トップページへ戻る

強権的な町消滅につのる批判
              豊関合併  住民は農漁業振興を要求     2004年3月20日付        

 
地方自治は、地方に住む住民の民主的な自治組織であるはずが、中央政府から町村合併の方針が出されると、実際の事情がどうであれ、市長から議員からみなそれに従って、強引にやってのける権力的な姿勢を見せつけている。山口県では来年3月の合併期日にむけて各地で自治体合併を追いこんでいるが、ここにきて枠組み破たんと再編の動きがあいついでいる。県東部では柳井地域1市3町の枠が崩れ、県央では小郡町、防府市、山口市などが市庁舎の位置をめぐって崩壊寸前。さまざまな利害や思惑がぶつかりあっているものの、住民意思を蹂躙して、強制的に上から上から町消滅をすすめていくことにたいして、各地で住民による運動や憤りの声が噴出している。  

 郡部の荒廃を強く懸念
 下関市と豊浦郡4町(菊川町、豊田町、豊北町、豊浦町)では12日から19日まで、合併協議会主催の住民説明会が開催されている。参加者でみると仕事を終えた役場職員のスライド動員が多くを占めているほかに、町の将来について必死に耳を傾け意見する人人の姿が特徴となっている。法定協会長の江島潔・下関市長が協議状況を報告し「新市建設計画案」を説明。1時間30分のほとんどの時間が江島市長の「説明」にあてられて、町民や市民が発言する時間はほぼない形式となっている。それでも発言や質問があふれる郡部では、豊北町や菊川町で予定時間が過ぎても終わることなく、最後は納得のいかない疑問や思いをかかえたままうち切りとなった。
 17日に菊川町でおこなわれた説明会。住民のなかからは「バラ色の説明だったが合併特例債が切れたあとの説明がない。どうなるのか」「郡部にとっては地域の自治組織がなくなるという大きな問題。住民の意思参加する場がないのはあんまりひどい!」「10年後の菊川総合支所(合併した場合)の職員数はどうなるのか」「下関とは違って郡部のものはこれから先どうなるのかすごく心配している」と質問や意見が出された。
 これにたいして江島市長は、「住民投票だけが住民意思の反映にはならない。今日のような場できたんのない意見を聞くのも民意の反映につながる。合併にたいする住民投票はいっさい考えていない」「地域の自治組織がなくなるというのは、いたずらに合併に反対する人が使う常とう文句ですよ」「(合併10年後の菊川総合支所の職員数)そこまでははじき出してませんよ」と答えていた。町民の質問に答えるのは江島市長。その一段下で、菊川町・林哲也町長は江島市長の「助役」のような存在感を保った。
 参加した住民からは「もっと住民が参加できる議論の場がほしい。このまま町の消滅だけが先行してすすめられるのは納得がいかない」(50代男性)、「“説明責任ははたした”というアリバイに思えた。不安がある」(40代男性)、「(“コミュニティー”“ファクター”“スタンダード”等)英語ばかり使うから意味がわからなかった」(70代男性)という声が聞かれた。
 降って湧いたようにすすめられる自治体合併の姿は、「地方自治」というのが名ばかりでまったく中央政府に従属し、上からおしかぶさってくる中央集権的な圧力と、その地域に生活し生産の営みをして暮らしている住民の下からの要求との板挟みにあることを示している。地方交付税や国庫支出金の無慈悲な削減によって「しかたがない……」とどこまでもあとずさりしていくことが、いま以上の地域の衰退と荒廃を招くことはまちがいない。下関・豊浦郡合併でいえば、とりわけ農村、漁村地域となる郡部の衰退に拍車がかかることを懸念する声が広がっている。
 豊北町職員の男性は、「一豊北町民としていわせてもらう」と前置きしたのち、「合併すれば豊浦四町の自治は奪われるだろうし、まちがいなく衰退する。財政的にも決定権はなくなる。まず地元経済が狂ってくると思う。町の各種事業ですでに下関側から業者が参入しているが、豊北町の業者は建設業をはじめとしてすぐにのみこまれるだろう」といった。
 そして「農漁業が町の基幹産業だから、これが発展しなければ町は合併してもしなくても、しだいに消えていく。わたしは田舎を守るということは、国土を守り第一次産業を守るということだと思う。戦後の農業とか漁業がなぜ衰退したのか、あれほどほ場整備や農道整備をやってきたが、それでも農山村とか漁村といわれる地方は過疎化して荒廃は止まらなかった。豊北だけでなくて、日本全国が例外なくそうなった。政治がどこをむいていたかという問題だと思う」と語った。
 漁業者男性の1人は「自治体合併、漁協合併いろいろあるが、ようするにわしらが発言する場がなくなっていく。合併しても下関まで声は届かないし、いまの豊北町でようやく町議にものがいえるくらいだ。人べらし、事業所べらしに魅力はない。それと、漁協合併して単協がなくなれば浜の団結を崩すことになる。これは金の問題ではない。漁師の結束は浜の財産だ。共同体というのが助けあって漁業を向上させてきた。合併がこれを崩して崩して、崩しあげていくものだ」と漁協合併と重ねあわせて話した。
 住民のなかで自治体合併を問題視する空気が広がっている一方で、間引かれ合理化される地域の大ボス、小ボスは合併には逆らわず、片隅で縮小されるイスの奪いあいや議員報酬獲得に熱を上げていることが、総スカンをくらっている。

トップページへ戻る