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急速に広がる市民の貧困
             下関 市外発注の継続に憤り増す    2009年11月6日付

 財布のヒモを固くしてみなが生活防衛に走っている。生活の貧困化が確実に進行していることをみなが肌身に感じている。下関市内では昨年来からMCSや神戸製鋼など大手企業から首を切られた若者や、中小企業が倒産して行き場を失った人人など失業者の姿が目立つようになり、企業や商店、医療機関や教育の現場でも貧困の実情がさまざまに語られている。「100年に1度の大不況」ではあるが、この間の政治が貧乏人は切り捨て、年寄りは死んでしまえ、労働者も農漁民も食えなくなっても知るか、商店・中小企業は首をつっても自己責任という市場原理をやりまくってきた。下関にいたっては市外発注路線で突っ走り、輪をかけて市民を首つりに追いこむ残酷政治がつづいている。
 中小企業に勤めている婦人は最近、知り合いの税理士の話を聞いてギョッとした。3月から9月までの上半期だけで、下関市内の企業が40社も倒産したというからだ。「県内で最も景気が悪いのが下関だと銀行の営業マンも話していた。資材を入れてくれている企業の担当者は“下関は市外発注が多すぎるのではないか。宇部や山陽小野田はここまでひどくない”と話していた。大型の箱物事業は多いけど、みな市外大手がとっていく。ピンハネだけして下請もよそから連れて来るから、公共工事が何のカンフル剤にもならない。箱はいらないからこんな時こそもっと市内が潤うような生きた血液を注ぎ込んでほしい」といった。
 別の企業で経理をしている婦人は、「倒産した40社には当然従業員がおり、その人の家族や子どもなど影響はすそ野に広がる。知り合いが勤めていたけど、住宅ローンを抱えたままで、長女も進学が控えているのにどうしたものかと悩んでいた。家を手放す可能性だってあるし、再就職もたいへんみたいだ。事業所1つ潰れることで何人もの人生が狂う。議員さんを抱えている○○社(建設会社)も従業員を大量に減らしたようだ」と心配そうに話した。
 会社経営が傾いていると噂される企業なら山ほどあって、いつどこがいっても不思議でない。金融機関のさじ加減次第で、首根っこをつかまれている企業も少なくない。「モラトリアム」がささやかれる折りに、山口銀行が貸し剥がしをしているのも中小企業の大話題で、「倍額融資するから、いま融資している金額を返済してくれ」の口約束に乗ってマチ金に手を出したら、その後は無視されているといった事例が語られる。「安倍派のトヨシステムやプランハウスは無担保無保証で焦げ付かせても良くて、そのとばっちりを私らがくらっているのか」の声もある。
 建設関係の仕事をしている男性は、厚生労働省が先月発表した相対的貧困率15・7%、アメリカに次いで先進国のなかでは第2位の貧乏人大国になったことに驚いていた。同時に、これを下関に当てはめたらどうなるのかと感じていた。下関は、生活保護の受給者比率が全国の2倍、児童手当の受給率が全国の3倍で、「それなら貧困率も2倍、3倍なのか?」と疑問をぶつけた。
 会社ではボーナスが出なくなって久しい。しかしもっと心配なのは自分の事よりも娘たちのことだという。「MCSの解雇も他人事ではない。若い子が不憫に思えてならない。ほとんどが非正規雇用で、うちのも雇い止めになって家に戻ってきた。下関の職安に通っていたが、いまは小倉の職安に行っている。心が荒まないように女房も心配しているが、なかなか仕事がない。貯金もないから、家から出て暮らすなどとてもできないのだ」と状況を語った。
 市内の各所で平日の昼間から20〜30代の子がフラフラしている姿を見るようになったのも話題になっている。旧市内の自治会長の1人は「解雇された子たちばかりだ。○○さん家の息子さん、○○さん家の娘さんもといった具合で、とにかく市内に仕事がないのがわかる。大企業がムチャな切り方をするが、中小企業にも受け皿になるような余裕がない。そのうえに市外発注や大型店の乱立で、とにかく下関から現金が逃げて地元企業が潰れていく。補助金が国から下りても、市長経由で市外に逃げ出すなら何の意味もないではないか。中尾市長になってからは税金の取り立てが厳しくなっているのも話になっている。差し押さえも増えているようだ。困っている人間を鞭でひっぱたくようなのが“経営者の視点”の正体なのか。それで駅前開発や新庁舎をいったら市民が怒るのも当然だ。先にやるべきことがある」と語っていた。
 商店街で八百屋を営んでいる男性は、店にくる老人客のなかで「(カゴを指して)タマネギ3つはいらないから1つだけ売ってくれ」などと必要最低限に切り詰める人があらわれているという。以前は足繁く通っていたお馴染みさんが、2日に1回から3日に1回になり、1週間に1回と足が遠のいている例もある。「スーパーの見切り品にお年寄りが群がっているし、お弁当の“半額”シールが貼られる時間帯を待っている主婦も多い。買い物の仕方が変わっている。激安のトライアルはいつ見ても満員御礼で家具では“お値段以上ニトリ”の独壇場になるのだろう」といった。物が売れないのでテナント料が払えず、店仕舞いするところも出てきた。
 医療機関では国民健康保険に切り替えた人が増えていることも話題になっている。高校では授業料減免措置を受けている生徒が急速に増えているのも特徴で、「以前はクラスに4〜5人だったのがクラスの3分の1という状況もザラ。お金がかかるのは授業料だけではないし、交通費もサンデンなら1学期ごとの定期だけで2万、3万とかかる場合もある。経済的な事情で辞めていく子も増えている」と語られている。アルバイトをして自力で学費を稼いでいる子も少なくない。小学校・中学校では給食で食いつないでいる子の存在が驚かれないまでに浸透してきた。
 全国レベルでは年収200万円以下の労働者が1000万人を超え4人に1人になったとか、若者の4割がそれに該当するといった数値が示される。就学援助、生活保護率など貧乏レベルでは全国先端をいっている下関ではどのような比率になっているのか、行政機関にたずねても調査数字そのものがない。生活保護費は十数年前には年間50億円台でおさまっていたが、今年度予算には約90億円が充てられるまで激増している。

 「不景気」に拍車かける 中尾市政の市外発注
 世間一般的な「不景気」に加えて輪をかけているのが繰り返される市外発注であり、過酷なダンピング競争だ。
 中尾市長になってから市役所の清掃業務もダンピング方式に変化し、某社が叩いて請け負ったが低価格すぎて投げ出すという出来事があった。市役所の警備業務も岩国市の会社が請け負っている。数年前には別の市外企業が経営に行き詰まって、警備員たちの給料を未払いのまま社長が蒸発する事も起きた。
 「安ければよい」なのだ。しかし「安い」か。金も税金も市外に逃げる。市内に回せば、仕事も雇用もできる。市内発注は高くはない。市民の市役所か、よそ者の市役所かの違いとなる。
 学校給食の調理業務も北九州の業者で、仕入れなどで地元を使わなくなったと声が上がる。広成建設(広島)が建設している社会教育複合施設の管理運営も広島市の合人社計画研究所を中心とした市外企業で、来春オープンに向けて数万冊の書籍を増やすことになったら、丸ごと紀伊国屋が受注するといった調子である。
 そして「形を変えた市外発注」といわれているのが大型店誘致政策。区画整理して用途変更した商業地をイズミが抑えて回った。「雇用創出の効果がある」といっても、パート・アルバイトの類で、非正規雇用の増加につながっている。錯綜する時間帯の4時間雇用などでは若者は食っていけず、2つ3つと仕事を掛け持ちしている20〜30代も少なくない。イズミやイオン系、福岡県などのスーパーが売り上げた現金は、下関市内から逃げていく。これらの企業が市街地開発利権とセットで、戦国武将ゲームのように商業圏争奪を繰り広げている。多民族国家の先駆けなのか中国人研修生を雇うところもある。
 いまや下関で景気が良いところといったら、代議士周辺や議員、「口先だけ景気が良い」と評判なのが中尾市長で、暗躍する山口銀行は株価暴落でハコモノ期待勢力の最右翼にいる模様である。資金面で優遇されて羽振りがよかった代議士関係企業も、使い捨てなのか火だるま経営に四苦八苦しているところが多い。
 そして、購買力が落ち、市民生活が窮乏化しているもとで、「経営者の視点」で懲りずに進めようとしているのが150億円かける駅前開発や200億円の新庁舎。使い道がない沖合人工島(700億円)も継続である。「不要不急の大型箱物をやっている場合か!」と市民の多くが問題視している。山口銀行関係者にそそのかされて何をやるのかと思ったら、放って置いても駐車場だらけになっている駅前に立体駐車場をつくったり、七スクリーン750席のシネコンをつくるといっている。中身が伴わなければ小綺麗なゴーストタウンにしかなり得ないことは明らかで、下関商業開発がこけるなら駅前開発は“駅前壊滅”にもなりかねないと危惧されている。
 安倍代理市政による外部からの植民地略奪のような市外発注路線を早急に改めること、大型公共事業による食い荒らしでなく、冷えきった市民生活を豊かにする施策が切実に求められている。江島市政の継承で中尾市政がへっちゃらで暴走していくことに怒りが高まっている。

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