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巻き上げて使う側に規制なし
消費税8%で大不況に拍車
                下関市内で現れる影響     2014年4月11日付

 消費税が8%に増税されて10日がたった。毎日の食品や生活用品から電気代、水道代、ガソリンなど、すべての物が値上がりして市民生活を逼迫させている。中小企業は経費の高騰に頭を悩ませ、商店は物が売れず収入がない。医療関係者も資材購入分の消費税を患者からとるわけにいかず頭を悩ませている。消費が縮小して不景気の実感が増していることがさまざまな業界で語られており、庶民の懐から有無をいわさず巻き上げ、法人税減税で大企業を助けたり、ODAで海外にまき散らしていく政府に強烈な怒りが渦巻いている。
 
 電気、ガス、水道もみな値上げ

 ある主婦は、「コスモスは値上げしないと3月から貼り紙がしてあった。5%税込み価格の表示のままだから、今は買い物といえばコスモスだ」と話す。コスモスでは新生児用の紙おむつ・メリーズ(1250円)が売り切れて、製造が追いついていない旨の表示がしてある。「今、布おむつに切り替える人が増えているようだ。野菜は露天で買えば値段は増税前とかわらない。食料品は増税にともなって便乗値上げしている感がある。ハムや肉も高くなった。着る物はしばらく買わないだろう」と、毎日頭を巡らせながら買い物をしていることを語る。
 70代の婦人も、「先日久しぶりに買い物に行ったが、初めて1000円以下だったので自分でも驚いた。これまでは1回に2、3000円分買っていたが今後はいる物だけ買うようにしないと」と話す。スーパーの棚を見ると、これまで税込み98円の物が108円になっていたりと、5%がかかった金額に8%をかけている商品もあるなど、便乗値上げも見られるという。「年金はまた下がるし、認知症の主人が通うデイサービスからも、食事代を500円から600円に値上げすると通知が来た。電気代も水道代もなにもかも上がるから、“食べないで生きていくしかないね”と近所の人と話している」といった。
 これまでも下関は物が売れない状態が続いてきたので、商店主たちは「値段を上げずに当面は少し小さくする」(パン屋)、「値上げは難しいが、小さくすることもできないので、ジャガイモを一つ減らすぐらい」(八百屋)など、さまざまに工夫して、極力お客に迷惑をかけない方法を模索して四月一日を迎えた。商店街でもぱったりと人が来なくなり、「生鮮食品は買いだめもできないのに、みんなどうしているのだろうか」と語られるほど閑散とした。
 あるブティックの店主は、「3月末は1万円のコートが出たりしたからビックリしたが、4月に入ってぴたっとお客が来なくなった」と話す。今まで買っていた人も「いいのがあるけど今回は…」と我慢する。「中間的な人のなかでも厳しさが出ていると思った。メーカーも以前は引き取りがあったが、今は買い取りが増え、在庫を残すとかぶらないといけないから仕入れも慎重になってしまう」と話した。
 メガネ店の店主も「うちは駆け込みもなかったが、4月に入ると修理や電池交換すらなくなった。世の中が止まってしまったみたいだ」と話し、靴屋の店主は「スリッパが1足という日もある。持ち店だから一応開いているだけで、10%になったらうちはなくなる。テレビでよく景気がいいというが、どこにあるのか」と話した。
 消費がさらに落ち込むなかで、スーパー同士の競争も激しくなっている。イオンやイズミの進出があいついで押されている地元系のスーパーは、増税対応を巡ってさらに厳しくなっているのだと語られていた。
 地元系の小規模スーパーの関係者は、「3月末にコメを10`とか、酒を1ケース買う人が2ケースなど、まとめ買いもあり、4月に入って実質1割減という感じになっている。高齢のお客さんが多いので、年金支給日の直前というのもあって、のぞいても買い物かごに少ししか入っていない。税込み・税抜きの混在に慣れて元に戻るとしても、6月まではかかるのではないか」と話す。イオンやイズミなど大手は従業員もおり、システムも整っているが、地元系スーパーは人手が少ないため、表示の切り替えも大変な作業。この店舗では表示を貼り替えて一つ一つチェックする作業が今も続いている。作業が間に合わず、1日は開店時間を遅らせたスーパーもあった。
 市内の土産物店で働く20代の女性は、「3月まではどうにか人が来ていたが、4月に入って全然来ない。売ろうにもお客がいない。土日も人が少ないし、来ても買わない。数年働いてきて初めての経験だ」と話した。しかし本社からは四月に入って売上が低いことを責められるといった。「人がいないのにどうやって売れというのかと思う。店番をかわってほしいくらいだ。自分が入社したときにはこんな状態じゃなかった。このごろすごい変化を感じて怖くなる」といった。

 設備投資迫られ廃業も 3日3晩価格書き換え

 増税分を転嫁できないという商店がほとんどで、悩んだ末に数品目にだけ消費税をかけたという商店や飲食店も少なくない。また増税にともない強制的に設備投資を迫られて、廃業・倒産も出ている。振込手数料まで8%になったから、1日には相手方が5%で入金したため送金がストップする混乱も起こった。
 駄菓子や子ども向けのおもちゃを扱っている商店の婦人は、8%になって駄菓子からも消費税をとらざるを得なくなったと話す。10円の物だけは据え置き、ほかは22円、25円などすべての商品に税込み価格を書いたシールを貼った。最近は10円玉を握って来る子が増えており、1円でもはみ出すと買えない。子どもたちが買う個数も減った。「私も電卓をうって、“はみ出したよ”といってあげる。子どもたちに楽しみのお菓子をたくさん食べさせたいが、店がやれなくなるから心を鬼にしている」と話した。
 お好み焼き屋の店主も、「これまで消費税をとっていなかったが、今回お好み焼きなどいくつかのメニューだけ値上げした。ビールやジュースも仕入れに8%かかっているが、全部値上げするとお客さんが来なくなるので、そのままにした」という。円安で小麦粉は値上がり続き。最近はキャベツも高騰し、エビもマヨネーズも値上がりして経費がふくらんでいる。
 ある衣料品店は、商品からいったん5%を引いて定価を出し、新たに8%をかける作業に1週間を費やした。4月1日前は3日3晩徹夜で値段表の書き換え作業をして手は豆だらけに。それでも間に合わず、1日の朝は店を閉めて午後から開けた。「また10%に上がるから外税にしたが、レジの設定を内税から外税にかえる作業も、業者を呼ぶ時間もお金もないから、自分で調べて打ちかえた」という。全国の同業者のなかでは、レジの機械が古くて8%の切り替えができず、設備投資をしようにも借金があれば銀行が融資しないため、倒産するところも出たという。衣料品業界に限らず、他業種でも増税にともなう設備投資ができない中小企業の倒産が出たことを話していた。
 個人タクシーの運転手も、メーターのチップ交換に約2万円かかったと話す。「水揚げが少なくて、赤字のときに2万円もの金額を出すのは大変なことだ。それでまた来年10%になれば、またかえないといけない。油代は上がるし料金が上がるとお客さんはますます乗りにくくなって運転手は待機時間が増えるばかりだ。いったい安倍はなにをしているのか」と怒りを語っていた。
 宮崎産の肉を扱う精肉店の店主は、「畜産農家の牛舎の水道、電気、飼料も、輸送するガソリンも値上がりしている。下関に肉が来るまでのあいだに3%がかかってくるので、売るときには相当値が上がって売らないといけない」と話す。さらにパソコンを使って売上データをつくることになり、仕事を終えてパソコン教室に通い、ワードやエクセルの表の作り方、データの作り方などを習った。自分でできない店は経理会社に頼むなど、増税準備にかなりの金額がかかったという。「その分を商品に転嫁するかどうかもある。今から元をとらないといけないが、今後どうなるのだろうか」と切実に語っていた。
 ある鮮魚店は10日の仕入れ価格を示した。ヒラソ2475円、天然タイ1080円、水カレイ1500円の合計5055円。9円値引きしてもらって5046円だった。最近は魚そのものも値上がり気味。それに消費税が404円つく。刺身を盛る発泡スチロールの皿も円安で1割ほど上がった価格に8%かかる。ビニール袋もスーパーのように3円とるわけにはいかない。商売にかかるすべての物が上がって経営が圧迫されているという。店主は、「1日に3万円も仕入れれば2400円も消費税がとられることになる。仲卸も経費がかかるから端数をまけてくれなくなった。仲卸が仕入れで消費税を払い、それに利益を上乗せした額に八%をかけて商店に売る。商店がそれに利益をつけて販売するのだから、どう考えても税金の二重取り、三重取りだ。一番損をするのはお客さん。だが自分たちのような商店は転嫁できないので、昼で店を閉めてよけいな電気代を使わないようにしている」と話した。
 医療関係者のなかでは、国が「初診料と再診料に増税分以上の上乗せをした」と宣伝していることに憤激が語られている。実際には本体の診療報酬を下げているので、実質はマイナス改定。「日経新聞などを使って、医者が相当もうかるような宣伝をしたり、今回もまったく影響を受けないような宣伝をしているが、開業医も経営は厳しくなっている。政府は医師がいなくなって初めて気がつくのだろうか」と憤りが語られていた。
 「福祉に使う」といいながら、介護保険も医療保険も軒並み値上がりで、市県民税もガソリン税も値上げ。年金は国民年金も厚生年金もまた減額になることが決まっており、「政府そのものが詐欺ばかり」と語られるようになっている。「アベノミクスで景気が回復した」といって消費税増税を決定したが、結局恩恵をこうむって内部留保を増やしたのは大企業だけだったこと、さらにその大企業が海外進出していくために、国民から巻き上げた税金が惜しげもなくばらまかれていく関係が浮き彫りになっており、お膝元の下関をはじめ全国で怒りが沸騰している。


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