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民意を表さない「自民圧勝」
衆院選・アメリカの選挙介入
                メディアと選挙会社の選挙       2005年9月13日付

 第44回衆院選挙が11日に投開票され、自民党が296議席、自民・公明で衆議院の3分の2をこえる327議席となった。この「自民党圧勝」はなにをものがたっているか。小泉を首相にかつぐ自民党、いわんや「刺客」と騒がれた落下傘候補など、かれら自身がわけがわからぬあいだに「圧勝」となった。自民党自体このような議席増大になるとは予測しておらず、自民党の力でそうなったのではなかった。それは、国民の総意などというものではなく、いままでの常識をこえた選挙を操作する大きな力が上から働いたことをものがたっている。いずれにせよ、行政を代表する小泉に逆らうものは国会議員でいることができず、いまや「三権分立」の原則が「構造改革」され、立法府は行政にすっかり従属する形になった。これは表向きの「自民党圧勝」の裏で、政党政治が崩壊したことを示しており、いわば選挙制度不信任を示したといえる。
  
 民主党は64議席も激減
 各党の議席数を見ると、自民党は296議席で改選前の212議席を84議席上回った。小泉批判が渦巻くなかで「刺客」の女性候補や選挙区を変えて立候補した候補者が地盤もないなか、小選挙区で13人が当選。落ちても比例区で9人当選。「郵政民営化」反対を表明し無所属で出た前自民議員は33人中16人が落選した。民主党は113人となり惨敗した。
 「郵政民営化に反対」した自民党造反派から33人が造反したが、自民党から離党した農村部基盤の国民新党は4議席で現状維持。都市型でいくとした新党日本は3議席から1議席となった。造反組の無所属議員で当選したのは13人だった。
 公明党は前回の34議席から3議席へらし31議席となった。その結果、与党は選挙前勢力の232議席から95議席ふえ、327議席となった。
 「政権交代」を叫んで惨敗したのは民主党で、改選まえの177議席から113議席になり、64議席も激減した。
 社民党は改選前勢力の5議席より2議席増の7議席となった。「日共」修正主義集団も前回の9議席の現状維持。小泉自民党の売国、反動、戦争、貧困の政治にたいする批判が渦巻いているなかで、口ではいろいろいっても実際行動で対抗者になっていないという審判を下された。
 投票率は前回の59・86%より上がって67%をこした。

 日米の財界も暗躍 「民主」潰し企む
 「自民党圧勝」について、当の自民党すらまったく予測しなかったことであった。小泉政治も4年半たって、そうとうにくたびれ状態となり、内政も外交も行きづまって、そのままでは惨敗は避けられないものであった。それが「圧勝」というのは、常識では考えられないことであり、背後で従来の常識をこえた力が働いたことを示している。
 それは自民党の力で「圧勝」したのではなく、自民党の背後の力がそうとうに働いてそうなったことを示している。これを予測していたのはメディアであった。その背後でアメリカと日本の財界がそうとうの小泉テコ入れをしていた。
 米英のメディアが小泉賛美の論調をはったのも異例であった。米フィナンシャル・タイムズは「戦後日本では、小泉首相のようにパワーを使った人物はいなかった」といい、ワシントン・ポストは「小泉首相の勝利をのぞむ」と社説を出し、ニューズウィークは小泉を「革命的な指導者、吉田も中曽根も凌駕する」と持ち上げた。英タイムズも「因習にとらわれない人物。日本国民もかれを見捨てるべきではない」といい、英デイリー・テレグラフも「保守派とたたかう戦後の傑出した首相の一人」と持ち上げた。それは今度の衆議院選挙にたいする米英支配層の思い入れの強さをものがたった。
 経団連の奥田会長も「郵政民営化を突破口とする構造改革について、各党の姿勢を問うもの。改革を断行する政党が政権を担うべきだ」と態度を明らかにした。
 選挙戦では、自民党造反派に対して「刺客」候補を立て、テレビなどがヤンヤの騒動を演じてきた。この落下傘候補が、小選挙区で当選することは、当人自身もまったく想像しなかったことであった。ひじょうにハッキリしていることは、候補者の背後で強力なテコ入れがあったことである。それに強い抵抗をしていた自民党の地方組織にたいしても強力な圧力がかかったことを示している。
 自民党の中央から武部幹事長名で直接に地方組織をしめあげるとともに、地方組織の支持基盤である大企業や業界団体などにたいして、「抵抗するなら陳情を受けつけない」「抵抗するならしめ殺すぞ」の圧力がかかったことは明らかである。
 造反派無所属がつぎつぎに落選となった。選挙中盤九州などで、メディアは公明党が実利優先で中央提携の自民党候補ではなく、造反派無所属ととり引きしていると報じていた。結果は無所属に票はいっていなかった。克明な名簿を公明党に提供したと報道されたが、この名簿が自民党側に渡って各個撃破の道具になったかどうかわからないが、そういう選挙謀略の手口はよくあることである。
 投票結果は自民党の小選挙区得票のうち公明党票が20%以上を占めた。政策がどうむくか関係ない宗教票が「自民圧勝」、強権的ファシズム政治の悪質な役割をはたしている。
 自民党の「刺客」対造反派が騒がれたが、選挙の結果は、「刺客」にたいする相当のテコ入れ、造反派退治があったのは事実だが、それ以上に民主党をつぶすものであった。
 解散・総選挙は、郵政民営化・構造改革に反対するものへの徹底した圧力を加え、つぎつぎに恭順の意を表明させる過程であった。自民党棄権派の高村や古賀などは郵政賛成の始末書を出して公認を得、反対派は新党でまとまるのを押さえて新党と無所属に分断し、無所属のほとんどは郵政賛成、自民党復党の方向へ恭順させていった。
 だが最大のターゲットは民主党であった。民主党にたいしては、郵政民営化に反対したことについて、メディアをはじめ、財界をつうじて圧力を加え、うろたえて郵政大リストラの方針を出したり、消費税増税実施などを出し、自民党より改革をやることを売り出し、愛想を尽かされる結果となった。無党派層から見ても魅力の乏しいものとなった。
 民主党は、頼りとしていた都市部の無党派層のかなりが、メディアに支えられた小泉パフォーマンスでとりこまれたにせよ、大企業と運命をともにする労働組合・連合の組織票が企業・雇い主の意志で小泉・自民党に流れたことをものがたっている。

 事実上の任命制代議士 選挙結果
 選挙で、自民党選対本部以上に小泉自民党の選対本部役になったのは、「公正中立」を看板にしたテレビ、大新聞であった。口をそろえて「改革を止めてはならない」で立場を一致、あげて小泉・自民党選挙をとりくんだのも新記録であった。共通していたのは「構造改革」に反対するのは時代遅れで、国賊であるかのような袋だたきをした。
 自民党は郵政民営化を要求してきた在日米国商工会議所に所属する選挙請負会社「プラップ・ジャパン」社と契約していた。この宣伝作戦では「小泉首相のキャラクターを支持する主婦、子ども、シルバー層」にターゲットをしぼる戦術を立てていたといわれる。「刺客」作戦は、解散一週間まえに同社と広告代理店でつくった広報戦略といわれる。
 メディアはそろって、「義理や人情でなく政策による選挙」であり「国民の判断」などといっている。今回の選挙は、「郵政民営化に賛成するか反対するか」に限定した、政策をめぐる選挙といえるものではなかった。また政策にもとづく国民の自由な選択などではなく、上からの権力、金力で国民を強制し誘導した選択である。
 選挙をやるのに、米系外資の選挙会社に頼り、宣伝は新聞、テレビに頼り、世論調査も新聞社に頼るというのは、政党の体をなしていないことを証明している。いわば政党政治の崩壊である。
 選挙の結果は、自民党が自力で選挙をたたかう政党としての力を喪失し、アメリカ支配層とそれに従属して国を売り飛ばす財界に飼われ、テレビや新聞にかかえられた存在であることをハッキリと証明した。
 選挙の結果は、事実上の任命制代議士となった「刺客」連中に代表されるが、自民党全体として小泉を批判するものは国会議員になれないことを示した。首相を批判できない国会という姿は、行政に従属した立法府になったということであり、憲法でいう三権分立を構造改革してしまったことを示している。
 選挙は、小泉自民党が国民の信を得たというものではなく、実態はその逆である。選挙、および議会は、支配者であるアメリカとその目下の同盟者である日本の売国独占資本集団が人民を支配する道具であることを示した。かれらが操作しようとすれば、さまざまな方法があるのだ。選挙は、議会制民主主義制度への不信任を意味することとなった。
 このような状況を突き破る道は、選挙をつうじるだけでは変えることはできず、全国的な大衆的政治斗争だけが、権力による選挙操作をもうち破る力である。

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