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民、自、「共」、社、みな得票激減
参議院議員選挙結果
               不信任された既存政党     2010年7月14日付

 参議院選挙は、小泉・安倍らの自民党政府の構造改革と戦争の対米従属路線が鉄槌を受けて倒壊して登場した民主党政府が、自民党路線を継承することを公然と唱えて大敗し、菅政府は発足1カ月にして死に体となった。民主党の衆議院選挙の大勝は反自民世論の棚ぼたであったが、今度の「自民党の勝利」は民主党批判の棚ぼたとなった。選挙結果は、自民党も民主党も嫌われているなかで、社民党も「日共」集団も得票を大幅に減らし、かれらが民主党、自民党の対抗軸とはみなされていないことも示した。この選挙は何を物語っているか考えてみた。
 自民党が惨敗したら民主党が調子に乗り、1年たって民主党が見離されると自民党が人差し指を突き立てて大喜びしている。「KY」の安倍晋三にはじまって「勘違い」の菅直人。アメリカや財界に見初められたと思ったら有頂天になって暴走を開始し、その度に国民との矛盾が激化して破綻を繰り返す。政治がボロく劣化しているのとセットで、既存の政党政治の拒絶選挙が続いている。
 今回の参院選では、どの政党も「勝った」といえない絶妙な結果となった。改選議席としては民主党が54議席から44議席へと10議席減らし、自民党が38議席から51議席に増加。「日共」集団が4議席から3議席へ、社民党が3議席から2議席へとそれぞれ1議席ずつ失い、国民新党が3議席だったのからゼロになり、みんなの党が行き場のない票を集めて10議席を獲得した。
 その結果、非改選も含めて242議席あるうち参議院は、民主党が106議席、自民党が84議席、公明党が19議席、みんなの党が11議席、「日共」集団が6議席、社民党が4議席、国民新党が3議席となり、与党が過半数割れとなった。
 ただ、改選第一党を自民党がとったとか、衆参で与野党の“ねじれ”が生じた以上に、全政治への不信任として大衆世論が表現された事に、今回の選挙戦の重要な特徴がある。
 政党ごとの得票数を見てみると、支持基盤の指標となる比例区では、民主党は03年衆院選以来獲得してきた2000万票台を割り込んで1845万票になった。反自民のうねりに乗っかった昨年の衆院選で2984万票だったのから見ると1000万票以上も減らした。
 そして「躍進した」といわれている自民党も実は1407万票まで減らしている。ボロ負けした昨年の衆院選が1880万票だったので、僅か1年でさらに470万票も減ったことになる。凋落のはじまりで悪夢であるはずの前回参院選よりも約250万票減となった。選挙区の得票数も減り続けているのに、それでも本人たちは喜んでいる。
 さらに公明党も800万票台を割り込んで763万票まで減らした。「日共」集団は07年参院選の440万票から84万票減の356万票。社民党も39万票減の224万票。国民新党も26万票減の100万票となった。与党、野党に限らず、各政党がみなガタ減りしている。
 さしあたり行き場のない票が、公務員叩きや消費税増税反対など叫んでいたみんなの党に流れ、同党が比例区では794万票と、衆院選よりも500万票近く上乗せする現象が起きた。比例代表による議席は民主党が07年選挙で18議席だったのから16議席へと減らし、「躍進した」自民党も13議席だったのから12議席へと減らした。
 選挙後、「消費税を唐突に提起したから」民主党が大敗したと菅直人首相は総括したが、税率10%を主張した元祖は自民党であって、政策において対立していない政党同士が「消費税をめぐって争った」などという選挙ではない。
 選挙区の合計得票数では民主党が2275万票(28議席)なのに対して自民党が1949万票(39議席)。選挙区、比例区ともに得票数は民主党が上回っているが、議席は自民党が上回る結果となった。議席は選挙テクニックでどうにでも変わる。要するに自民党の得票の減り方よりも民主党の減り方がすさまじかったこと、候補者擁立数や他政党との応援体制その他のテクニックで議席の増減は変化し、有権者から拒絶された側が敗北する選挙構図になっている。
 選挙全般としては、あらゆる政党が惨敗し、支持基盤がますます崩壊しており、あらゆる政党に対する不信任を突きつけた選挙結果となった。

 売国政治の継承に一撃 沖縄も岩国も

 特徴的な選挙区となったのは米軍再編とたたかってきた沖縄で、比例区の民主票が09年衆院選と比較すると26万票あったのから12万票と半減。裏切りへの鉄槌が下った。そして、直前に連立離脱などで「選挙対策」を施した社民党が約7万4000票だったのから、12万票へと増やす現象が起きた。投開票直前の9日には、沖縄県議会が日米両政府にあてた「辺野古移設の日米共同声明の見直しを求める意見書」を全会一致で決議するなど、「米軍出ていけ」の息吹が盛り上がっている。選挙区で当選した自民党候補も辺野古移設を批判して票を集める始末となった。
 同じく米艦載機部隊の移転に反対している山口県の岩国市では、選挙区において自民党候補はあまり得票数に変化がなかったものの、民主党候補は昨年の衆院選で4万8000票あったのから2万9000票へと、2万票近くを減らした。比例区でも1万票減らすなど、「米軍再編見直し」を叫んで人人をだましたことへの怒りが民主党離れになってあらわれた。かといって、社民党や「日共」のインチキは山口県内では早くから見抜かれており、そちらに雪崩を打つこともなかった。
 第2自民党のような顔つきで対米従属の政治を引き継いだ民主党はガツンと一撃をくらった。自民党にせよ、民主党にせよ、どちらもお互いの失点で議席が増えたり減ったりしているだけで、どの政党を見ても国民に根がない。政党の体をなしておらず、どれもアメリカと財界の提灯持ちばかりなのである。
 重要な特徴が、これほど自民党・民主党という主流政党への批判世論が圧倒するなかで、「日共」修正主義勢力、社民党が消滅に向かっていることである。反政府勢力とはみなされておらず、民主党、自民党の付属政党としか見られていないのである。広島などでは「禁か協か」といって蛇蝎のごとく嫌われているが、それは全国的傾向であることを示した。
 社会党は90年代に自民党と連立を組み、安保も自衛隊も天皇も認めて村山内閣をつくってもらってつぶれた。今度は、民主党と連立を組んで浮かれ、辺野古移転反対を叫んだが、口先とは裏腹に与党利権ほしさの姿は隠せなかった。「日共」集団も自民党や民主党に批判的なことはいうが、「オバマ万歳」を誰よりも叫び、米国に招かれて「アメリカは友人」などとはしゃいだり、「韓国」哨戒艦事件では「北の攻撃」と排外主義をやり、なによりも市民レベルで目にしている県議、市議などが当局と癒着し腐敗しきっていることは隠しようがない。このインチキぶりが暴露されたことを証明するものとなった。
 さらに自民党と連立を組み、長年の強権政治を保障して自民党選挙の実働部隊となってきた公明党も引き続き衰退傾向である。創価学会員が友人・知人にかつてないほど電話をかけまくったが、自民党ファッショ政治を保障してきた宗教政党はその危険性とあわせて、人人からそっぽを向かれることとなった。
 選挙は「消費税」だけが争点であるかのように商業マスメディアが煽った。確かに消費税増税を唱える菅政府に怒りが噴き上がった。それは消費税だけではなく、日米同盟優先という、鳩山が倒れた要因、つまり小泉、安倍と自民党がすすめてきた構造改革、日米同盟による戦争策動の道を継承することへの大きな怒りとしてあらわれた。
 菅首相は鳩山首相が辞めると、まるで長期政権をやるのが確定し大首相になったかのような振る舞いで、消費税増税をぶちあげた。自分を高杉晋作に見立て、「奇兵隊内閣」などといってはしゃいだ。それをいうなら「新撰組内閣」であり、井伊直弼程度である。菅首相が舞い上がったのは、訪米の際にアーリントン墓地に誘われてアメリカに認められ、G8やG20に行き各国首脳に認められたと勘違いするなかでエスカレートした。そして精一杯のぼせ上がった結果玉砕した。
 民主党大敗の結果、国会はねじれ、消費税増税など財界やアメリカ政府が要求してきた案件についても、強引に突っ走るわけにはいかない状況となった。菅政府は今年度中に消費税増税の具体案を取りまとめる意向だったが、選挙翌日、枝野幸男幹事長が年度内取りまとめの断念を示唆した。ただ、首相本人は「議論そのものが否定されたとは思っていない」と居直っている。
 財界はできれば衆参を民主が独占して、そのまま突っ走りたかったことを伺わせた。その思惑はうち負かされた。与党、野党の関係において政策上で自民・民主の何が対立しているのかさっぱりであるが、当たり前に議席の数だけ見ると、参議院で片っ端から否決されてもおかしくない。そして衆議院の三分の二の議席は民主党にはないので、安倍内閣時期のような強行採決もできない。国会が機能不全になるほどの打撃で、迷走を余儀なくされた。
 日本経団連の米倉弘昌会長は「消費税議論が(民主党の)敗因になったとは思っていない」といい、「選挙がきっかけとなり、具体的な議論に進むことを期待する」「菅政権以前の八カ月のあり方を国民が評価した。比例では民主党が最大議席を確保しており、国民の支持はあまり揺らいでいない。一人区で自民党がうまく戦ったのだろう」などと発言。要するに自民党と民主党の両天秤で、「連携できるところは連携すべきだ」と両党が協力して政策協議すること、改革路線が停滞することのないよう求めた。
 普天間移転すなわち米軍再編問題をめぐって、高まる国民の「アメリカ出ていけ」の世論との板挟みで野垂れ死にしたのが鳩山政府であった。自民党が転落劇を味わったのも、対米従属を基本にして国の売り飛ばしを進め、農漁業は食料自給率が40%になるまで破壊し、地方生活を成り立たないようにし、労働者は非正規雇用が増大して食っていけず、医療・福祉の切り捨て、国民生活の破壊をやる一方で、大企業や財界は優遇し、郵政民営化に代表されるような国民の金融資産をアメリカに貢ぐような政治に鉄槌が下ったからにほかならない。それなのに、1年前の選挙公約はまるでなかったものにして、自民党のあとを継いで野垂れ死にした鳩山の日米同盟優先の旗を担いでいるのに、鳩山とは全然違うような芝居をして暴走路線をはじめ、鉄槌を食らった。
 このなかで消費税論議にかき消されてきたのが、郵政民営化見直しのための郵政改革法案である。340兆円もの資金を持つ郵政グループをアメリカ金融資本へ売り飛ばすのを阻止するはずであったが、鳩山辞任のどさくさに紛れて廃案になってしまった。民主党と国民新党との合意で秋の臨時国会に提出するといっていたが、実質的に流れる趨勢になっている。小泉・竹中グループやチルドレンたちがゾンビのように復活してきたのと合わせて動向が注目されている。
 参議院選挙は日本の政党政治が不信任をくらい、マヒしていることをあらわした。民主、自民はもちろん、社民、「日共」集団にいたるまで、国民のなかに足をおく政治勢力ではなく、みな親米であり、財界の代理人ないしは色目使いであることを暴露した。政党あっての国民ではなく、国民あっての政党であることを有権者の行動は示した。日本の国民が求める政治は独立、民主、平和、繁栄、人民的民族的文化の擁護である。それを代表する政治勢力が求められていることを示した。

 

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