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民意に対抗の自民党空中戦
衆院山口2区補選
             地域潰しの「実績」を自慢    2008年4月14日付

 今月27日に投開票される衆議院山口2区補欠選の告示が15日に迫った。福田政府中枢で内閣官房地域活性化統合事務局長を勤めていた山本繁太郎氏を擁立した自民党は、選挙を前にして安倍晋三前総理などを続続と投入。「国に従えば活性化」「反対すれば夕張!」と大上段の主張を始めた。岩国市長選でなんとか勝った勢いで突っ走ろうという調子だが、末期症状を示す福田内閣の危機感の表れともなっている。補欠選は、自民党本部主導で突破をはかる自民党政府と、山口県民の鋭いたたかいとなり、全国的な注目も強まっている。
 自民党の選挙戦は、候補者選定から指揮系統、人員面もすべてが古賀誠選対委員長を中心とした本部主導で進んでいる。告示を4日後に控えた11日には、岩国市の市民会館で「山本しげたろう総決起大会」が開催された。主催者発表で1500人が集まった会場には、安倍晋三前首相を筆頭に、山口県内の林芳正参議院議員、岸信夫参議院議員、高村正彦外務大臣、河村建夫衆議院議員が勢揃い。
 全国からも、平沢勝栄、寺田稔、山口泰明、安井潤一郎の衆議院議員、山本一太参議院議員などが顔を並べた。公明党山口県本部代表の桝屋敬悟衆議院議員も参加し、長谷川選対本部長など2区内の県議、市議、町議なども参集。自民党中央が本腰を入れた、「全力投球選挙」をアピールした。
 安倍前総理が来るというだけで会場内には、SPを大量に配備。金属探知器まで設置される厳重警戒態勢のなか、参加者の胸には「警備の為」と、一般人や関係者で青、赤など色分けされたシールが貼り付けられた。
 入り口付近では、新聞記者がカメラを構えただけで、SPが取り囲むピリピリした空気が漂う始末。関係者が、「動員のほとんどが企業。自民党のお偉いさんが勢揃いするのにガラガラではみっともないから」と話すように、背広、作業服組が大半を占めた。
 次次にマイクを握った自民党の「大物」議員たちは、岩国基地内での民間空港再開や道路建設、岩国駅前開発、中小企業や田舎の再生、生活の向上など「地域活性化」を熱弁。全国的に小泉、安倍、福田政府と続く、規制緩和・構造改革によって、労働も教育も医療・福祉も農漁業も、外資や大企業優先でつぶしてきた自民党政治に怒りが渦巻いていることは、あまり計算にはない様子。「山本になれば繁栄する」「反対すれば暗闇」と、絶叫が続いた。
 冒頭では、応援に来ることを断られた福田首相がビデオレターで挨拶。「山本繁太郎さんは地域活性化の専門家。必ず地域の活性化の先頭に立つ」「郷土のみなさんの力を、ご支援を心からお願いする」と訴えた。

 兵糧攻めの実績も強調 自民党安倍代議士
 大会のメインゲスト的な扱いで、みんなが注目した安倍前首相は、「久久に岩国の錦帯橋の桜を見た。きれいですね。市長が変われば桜もきれいになる」「岩国を覆っていた暗い雲を若い福田さんがふっ飛ばした。もう1度このパワーを結集しよう」など、人が聞くと激怒するようなことを平気で発言。新市庁舎補助金カットや各種公共工事、防音工事の打ち止めなど、安倍内閣当時に開始した“兵糧攻め”を自慢する、空気の読めない政治家節を全開にした。
 その後も、「国とやたら喧嘩せず県と市が力を合わせて岩国の未来をつくる」「日本全体の安全保障を担う岩国市が堂堂と発展していい」「県と山本さんが一緒なら鬼に金棒」など、要するに「国のいうことをおとなしく聞け」という主張。また、「安倍内閣で1番重要だったのが地域活性化。美しい国づくりのため、プロを集め、そのとりまとめが山本さん」など、国民の実感のない「実績」を自慢するオンパレード。安倍内閣の“美しい国”の間に2区内では、畑や田は竹藪と化して荒れ放題。
 安倍氏の次に「威張っていた印象」といわれる林芳正氏も、「安倍先生がおっしゃったように桜まできれいに見える」と同じような調子。新市庁舎落成がホップで、山本氏の当選、福田市長とのコンビで駅前開発や市街地活性化プランが進めばステップ、民間空港が再開すればジャンプと演説。
 外務大臣の高村氏は、「今政府が悩まされているねじれ国会、それ自体は国民が選んだから仕方がない。ガソリン税が25円下がれば、それはみんな喜ぶが、ヨーロッパでは皆日本よりガソリン税が高い」と演説した。
 また、日本は先進国のなかで1番財政赤字が多いが、それも減税をするからだと主張。人が喜ぶことをやったら道路も福祉も苦しくなり「夕張市は破綻した。第2、第3、第4の夕張が生まれる。日本が夕張になる」といった。そして「アメリカと交渉できるのは、安倍先生と私しかいない」などと述べた。
 そのほかの発言者もみな同じ調子。福田良彦岩国市長は、「私が訴えたのも岩国再生。山本さんは地域再生の専門家。地域の再生なくして日本の再生はない。この課題を成し遂げるには余りにも大きな課題がありすぎる。仕事がしやすいように山本さんが必要だ」と訴えた。

 自民候補は「野党」演出 実際は自民本部主導
 極めつけが選挙の主役である山本繁太郎氏。「安倍総理に任命され、内閣官房で地域活性化、地方の再生の仕事をしてきた。朝起きて寝るまでこのことばかりを考えていた」とか、「地方が維持できるのかという過疎の問題をなんとか解決し、日本全体をバランスある形で発展させることが日本の一番の課題」など、自分がすすめてきた地方の衰退を嘆いて見せた。「まるで野党」の調子に、みなが驚いている。
 自民党は、選挙期間中も麻生太郎氏や中川秀直氏、古賀誠選対委員長などを、続続と投入する予定。選挙自体も「完全に本部主導」といわれる。県庁や県内の自民党関係者のなかでは、中央突破で補欠選に勝てば、2区内で重大争点となっている米軍再編も上関原発計画も一気に進み、傾きかけている福田内閣も再浮上できると浮き足だっている部分もいる。
 中央直結とあって、選挙手法も下から票集めをするというより、大物が登場して大企業を締め付けたり、公明党の組織票を固めたり後援会チラシを地域指定の郵メールで大量に送りつけたり、雲の上からという調子が目立っている。本部からの指令を受けた県議や市議なども走り回っているものの、「コマ状態」に反発も強く「どこまで動くかはわからない状態」といわれている。

 「民主党縛れ」の世論 県民の斗う意欲高揚
 そのようななかで対抗軸となるはずの民主党・平岡陣営が米軍再編問題や上関原発問題、日米関係問題など、自民党との対立点を鮮明にさせないことに、批判は強い。しかし、国をつぶす自民党政治に対する反撃機運は、農漁村のなかでも労働者のなかでも、教育関係者や高齢者のなかでも圧倒的に渦巻いており、「民主党も縛り付けることが必要」という世論が強まっている。
 牛野谷の60代の男性は、「今回の選挙も、創価学会の動きがネックになるだろうが、平岡の態度が煮え切らないのが1番腹立たしい。しかし、なんとしても自民党を倒さないといけないという思いを誰もがもっている」と語る。
 また、「地元として、愛宕山の米軍住宅問題が心配だが、問題なのは日本の国自体が無茶苦茶になっていることだ。後期高齢者医療制度は、姥捨て山のような政治だし、知り合いの自営業者には、“国保料も年金も払えない”という人がたくさんいる。米軍には年間2500億円もの思いやり予算を払っているが、いつまでもアメリカの奴隷で、独立できない状態を変えないといけない」といった。
 麻里布の商店主の1人は、「今度の選挙は、日本の国をどうするのかという選挙。千葉の息子からも、“民主党もダメだが、まず自民党を倒そう”と電話がかかってきた。日米“安保”の下では、日本が吸い上げられてつぶれるだけ。農漁村もだが、岩国市内でも若者は生活できないし、商店もみなやめていく。国として成り立っていない政治を変えるべき選挙」と語った。

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