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民主主義圧殺政治の源流・下関
選挙は嘘や陰謀が常套手段
              安倍独裁体制補完する野党    2014年12月3日付

 総選挙に突入し、安倍政治に対する審判が問われている。首相就任以来、「福島は完全にコントロールされている」「私が最高責任者だ(憲法解釈を問われ)」等等、現実とかけ離れた発言や民主主義を否定する発言がみなを驚かせ、日銀人事やNHK人事、組閣などでは周囲にお気に入りのメンバーを配置しながら、TPP参加表明、原発再稼動、異次元緩和、日本版NSC設置、特定秘密保護法の制定や集団的自衛権の行使容認をめぐる憲法解釈の変更など、世論の反発を押し切って暴走することが問題にされてきた。このなかで、安倍政治の故郷である下関では早くから民主主義が圧殺され、選挙では候補者が嘘を吹聴するのが当たり前となり、暴力的な陰謀を働かせて対立候補を叩きつぶしたり、民主主義的に信を問う代物ではなくなってきたこと、行政や議会にいたるまでみな安倍事務所の下請機関に成り下がっていることなど国政よりも一歩先を行く形で行政や政治が私物化され、独裁体制がしかれてきたことが話題になっている。日本社会の行方ともかかわったものとして、記者座談会をもって論議した。

 産業衰退の末に軍事要塞化

 A 安倍代議士が首相に就任してから2年が経とうとしている。この間「福島は完全にコントロールされている」「米艦に乗っている邦人を救うために集団的自衛権を行使する」ではないが、平然と嘘をついたりペテンにかけていくことや、民主主義を否定して独善的に暴走していく姿に全国の人人は唖然としてきた。しかし、下関の人間にとっては特に珍しい光景ではない。「民意無視」など安倍政治の代名詞みたいにみなが捉えているし、いまにはじまったものではないからだ。この特徴を描いて、全国に返す意味は大きい。
  外遊した先先でODAをばらまいて帰ってくるのを見て、市職員のなかでは「江島(前市長)とそっくりだ…」と絶句している人が少なくない。公務日数の3分の2を出張に充てて、東京に行ったり、海外旅行に出かけたりして市長が遊び回り、指摘されると「トップセールスだ!」と開き直っていた。「どっちが似たのかわからないが、外遊癖がまるでそっくりだ」という。江島は市長を引退に追い込まれて“ただの人”になっていたところ、安倍代議士に見込まれて参議院議員に出世した。それこそ長年にわたって安倍代理市政の実行者だった。いまの安倍政府の手法を見ていて、「下関の政治が源流をなしていたんだ…」と深い実感を込めて語られている。
  「まるで江島市政の国政版を見ているようだ」とある企業経営者も漏らしていた。民主主義がないことや、選挙で権力ポストをもぎとったら好き勝手に暴走していくことなど、そっくりだからだ。下関の政治の震源地はやっぱり安倍事務所なり安倍代議士だったんだと。10万人署名を突きつけられても有料ゴミ袋の値下げに応じなかったり、老人休養ホーム・満珠荘を閉館したり、「聞く耳持たぬ政治」が当たり前みたいになってきた。「それでも選挙に勝てる」という確信のもとにやられてきたことだ。
 D 公約破棄とか選挙で嘘をつくという点では、下関は早くから先進地だ。最近では中尾(市長)が「市庁舎は建て替えません!」と叫んで票を集め、当選したら「公約の進化だ!」と豪語して建て替えた。江島も初当選の際には「人工島反対」や「国保料値下げ」を叫んで当選し、直後に「若気の至りでした」といって反古にした。有権者に嘘を付くという行為に躊躇がない。
  そもそも江島の登場からして嘘だらけだった。まるで市民派のような素振りをして担がれたが、実は若い頃から安倍派所属で、安倍事務所の金庫番だった秘書に可愛がられていた。市民はそんなことはまったく知らなかった。そうして市民票を得ながら、一方で自民党、公明党の組織票にも支えられて一期目は当選した。そして、当選すると公約をみな投げ出して正体をあらわした。裏切ったのではなくて、はじめから騙していた。
  江島市政は14年続いたが末期症状になって「これ以上保たない」という判断になった。安倍事務所が次に隠し球で準備していた本命が香川(現市議)だった。これも市民運動に近寄って“市民派”色を出しながら、実は大学生の頃から安倍事務所で書生みたいなことをしている人物だった。市長ポスト奪取には失敗したが、いつもそういう詐欺みたいな手を使う。いまではすっかり素性が暴露されたから、議会でも無所属ではなく安倍派・志誠会に入っている。
  自民党なり安倍代理市政への批判票を騙して取り込むというテクニックだ。批判票もみな取り込むのだから選挙で当選するのは当たり前だ。「自民党をぶっ壊す!」といって自民党を大勝させた小泉よりもはるかに先行している。しかし嘘もあるが、選挙になる前に対抗馬を叩きつぶすというのも手口だ。対抗馬がいなければ選挙に勝つのは当たり前。せいぜい「日共」候補との一騎打ちでみなが嫌気をさし、低投票率の選挙にして組織票で勝ち抜けるのも得意技になっている。
  安倍晋太郎が亡くなった後、後継を巡って古賀敬章(前衆院議員、福岡四区選出)が反旗を翻した時などはひどかった。93年の衆院選は古賀のおかげで、安倍晋三もあわや落選という憂き目にあった。その後、古賀が市長選に出馬した際には、安倍事務所の秘書だった佐伯(前市議会議員)が福岡のヤクザに依頼して「古賀は北朝鮮人だ!」「北朝鮮にカネがわたる!」などと怪文書をまかせていたことも明るみになった。500万円で絵画を購入する約束で念書をかわしていたのに、佐伯が満額支払わなかったものだから、「ヤクザをはめるとはいい度胸をしている」ということで、腹いせで安倍事務所や自宅に火焔瓶を投げつけられ、その経過を暴露された。こんなのは氷山の一角に過ぎない。
  古賀敬章が良いか悪いかは別として、完全につぶされるまで攻撃を受けた。政敵潰しの執拗さといったらなかった。父親や姉が経営していた土建会社も日干しにされ、公共工事の入札から徹底排除された挙げ句、最後は地元銀行が不可解な貸しはがしを実行して倒産に追い込んだ。古賀についていた企業や支援者についても徹底的に制裁が加えられ、公共工事に入っている企業などはブラックリストに載せられて一切入札に呼ばれなくなった。たまらず安倍事務所に恭順の意を示して許してもらった人人も少なくない。明らかに「安倍晋三に逆らった」ことへの制裁だった。経済制裁なら北朝鮮よりも先に下関で実行済みで、以来癖になっているようだ。古賀も結局、根無し草みたいになって下関を出ていき、民主党から衆院選に立候補した際も福岡四区からだった。
  選挙が選挙でない。市長選もそうだし国政選挙も対立候補を叩きつぶしていまにいたる。市議選でも、安倍派が最大与党を形成するよう出馬制限がかかって乱立共倒れを回避し、安定的に議席を確保していく構造がある。合併した旧郡部がもっともわかりやすい。安倍派筆頭会派の志誠会はそれで五議席を得ている。地元選出を強く意識する旧町で、安倍事務所が出馬制限して出る杭は打って回ることで候補者を絞り、安定的に議席を稼ぐわけだ。選挙の前に対立候補をつぶすのが習慣づいている。おかげでおかしな右巻きの若造が出てきたり、たいして実力もないのに大威張りする議員がいる。そして、旧町の民意は議会に何ら反映されず、町民はものをいっていく場がない。民主主義が封殺される。
  市議会はオール与党で、安倍派がトップに君臨したもとで猿山軍団みたいになっている。公明党が第一の補完勢力で、あまり賢くない議長や志誠会に入れ知恵する役割を果たしてきたし、安倍派若手会派の「チーム政策」は秘書上がりの若手が仕切っている。保守系でも色合いの違いはあるし林派もいるが、安倍事務所の意向を汲んで、市長及び執行部が市政を実行し、議会もいっしょになって推進役になる。二元代表制で議会がチェック機能を果たしている姿など見たことがない。すべて会派政治で裏で話がついていて、議会では賛成多数でおしきっていく。国会と同じだ。
 E 唯一の市民派議員として市民の会が本池さんを送り込んでいるが、一期目の経験だけ見ても、なんとか叩きつぶそうと恫喝を加えたり、発言の揚げ足をとったりひどいものだった。この攻撃にもっともムキになっていたのが公明党・創価学会と「日共」集団だった。「日共」集団も野党とは見なされておらず、市民運動が盛り上がると必ず破壊者となって登場する。運動の分裂を仕組んだり、もめ事を持ち込んで市民が嫌気をさすような振る舞いをしたりして、執行部を喜ばせる。その功績が買われて市営住宅や生活保護利権を与えられるのがパターンになっている。利権に目がないから監査委員ポストをちらつかされれば自民党議長候補とも取引する。今回の総選挙で全選挙区に票割り候補を擁立して自民党を喜ばせているが、あれが性根だ。
 B 下関市議会はよそにない特別ルールも多かった。「本会議で委員会所管の案件については質問してはならない」とかの発言規制ばかりだった。問題を明るみにしてから若干手直しもされてきたが、委員会は市民の傍聴を認めず長らく密室でおこなってきたし、資料を欲しがっても配付してこなかった。あり得ないことが「紳士協定です」などといってまかり通ってきた。他市の議会事務局に笑われて近年はやっと手直しが進んだ。関谷議長が全国市議会議長会の会長や顧問を歴任したといっても、民主主義がない議会、一元代表制を貫く議会の実態がある。執行部というか、安倍代理市政にめくら判を押すのが仕事になって、議会中は緊張感がないから寝てばかりいる。そして夜になると飲み屋ではしゃいで、歓楽街のホテルに泊まって翌日の議会に出てくる。婦女暴行沙汰を起こしては示談で隠蔽する者がいたり、思い上がりもひどいものだ。安倍派であればなんでも許される、行政だけでなく警察もみんな黙認してくれると確信している。
  だいたい安倍事務所で長らく筆頭秘書をしていたのが山口県警の刑事上がりで、下関の企業や個人のすねの傷を掌握しつつ、睨みを効かせてきた。アルカポネが支配していたシカゴかと思うような、警察権力にも根を張った支配構造がしかれてきた。そのもとでの独裁政治だ。
 A 野党がみな補完勢力に成り下がっていることがその体制を保障している。以前は三菱などの同盟系が安倍派と見なされて、総評系は異なっていた。しかし近年は自治労なども市長選では安倍派候補を推すし、民主党県議の加藤も「民主党安倍派」と呼ばれているくらいだ。野党が安倍支配のもとでエサ漁りに終始し、今回のように解散総選挙になっても候補者を擁立せず、選挙サボタージュで協力していく。連合の三菱や神戸製鋼などは昔から安倍選挙をとり組んでいる常連だ。放り投げ後の総選挙では、かつてなく安倍陣営の危機感も強く、代議士本人が熱心に夏祭りなどを梯子していた。いざ選挙になると、三菱出身の松原(元県議、民社党)などが民主党陣営の内部に潜り込んで揉ませていた。市長選で票割り候補として出てきたり、連合関係のなかでもこうした魑魅魍魎がいる。一連の表裏含めたオール与党体制をどうやって突き崩すかが、有権者にとってはいつも問われる。
  山口県内の代議士のなかでもっとも出世して、最近では知事も安倍采配で決まるようになった。山本繁太郎も、次の村岡県政も安倍首相に頭が上がらない。高村、河村、林など県選出の国会議員を自民党本部の要職や大臣に就けるのと引き替えに、参議院ポストもお気に入りの北村、江島を配置した。選挙によって有権者に選ばれるという代物ではなく、上からの指名制度みたいになっている。

 朝鮮有事の重要港 知らぬ間に進んだ軍港準備 下関選んだ米軍

  総選挙で、自民党は議席を大幅に減らしてでもその後の四年間を確保しようとしている。「過半数なら勝利」というが、80議席以上減らしてでもやろうとしているのが、集団的自衛権の行使とかかわった関連法制の整備や、日米ガイドラインの改定だ。先送りにしているものをいっきに片付けて、戦争に突き進んでいく方向だ。
  「北朝鮮制裁」をはじめ、中国と揉めたり、韓国ともトップ会談ができないなど、いわゆるタカ派として戦争に異様なまでに前のめりな姿勢が諸外国からも嫌悪されて外交は行き詰まってきた。進んでいる方向はまさに戦争政治なわけだが、下関でもそのあらわれは具体的だ。米軍から朝鮮有事の際の重要港湾に指定されていることがウィキリークスで暴露されたが、響灘側では、垢田沖の人工島を中心とした都市改造が急ピッチで進行してきた。税金を760億円もつぎこんだあげく、商港としては使い道がない。ここを「米軍に利用してもらったらどうか」と青年会議所の安倍派若手たちが真顔で論議している。
  人工島に向けて膨大な予算を投じて巨大道路網も整備されてきた。国道191号と接続する安岡支所付近から吉見の海上自衛隊基地に向けた道路も拡幅されている。高速道路や新幹線駅から人工島に直結する道路の建設も進んでいる。人工島にほど近い安岡沖には全国最大規模の風力発電の建設計画が浮上し、これも住民の反対世論をおしきってつくろうとしている。単純に利権もあるが、もしかの有事に備えた独立電源という意味合いが大きい。
  安倍政府が再登板してから、第2関門橋構想も現実味を帯び始めた。従来の関門海峡を渡って小倉市街地につながる導線とは別に、彦島から北九州の日明方面に抜けていく構想になっている。これまでは「第2関門橋」と表現していたのに、最近は「関門海峡道路」に呼び名がかわり、橋ではなくトンネルになるのだともっぱらだ。軍事的要衝として見るなら、地上にあらわれている橋よりも地下を走るトンネルの方が優位性があり、短距離よりも長距離の方が角度をつけて深く走らせ、なおかつ関門港湾建設のために工事費をかさましできる。
 A 現在走っている関門トンネルもそもそもの出発点は軍事計画が中心だった。戦前、中国侵略にあたって人員や物資輸送をおこなっていくうえで、下関と門司を結ぶ関門が敵国の爆撃にさらされれば支障が出るので、その不安をとり除くために関門トンネルの建設に着手した経緯がある。第2次大戦が進行する過程で、大陸への輸送拠点だった関門海峡には米軍が日本全国に投下した機雷の半数を投下して、下関は2度の空襲で焼け野原になった。70年たって再び軍事要塞化の動きがあらわれている。
 人工島の建設がはじまったのは90年代半ばで、日米ガイドラインや有事法制などの動きと無関係ではない。米軍が勝手に重要港湾に指定していたが、市民が知らぬ間に勝手に準備してきたことだ。平和の港はいつでも軍事の港に転用可能で、気付いた時にはいっきに下関港が戦争の出撃拠点にされる。
 C 第1次安倍政府の時期に、官邸直結で「北朝鮮の潜水艦が攻めてきた」想定の実働訓練がやられたことがあった。全国でも初の動きだった。ミサイル騒動の時には臨検港にも指定された。人工島は有事の際の軍事物資の集積地というのがもっとも合点がいく。さらに下関港は今いる集荷業者を追い出して、米艦が利用しやすいものにする体制も進んでいる。「あるかぽーとには高級ホテルが必要だ」といってきたが、平常時に金持ちを泊まらせ、有事には軍人たちの休息場になる。カモフラージュの観覧車が目くらましというか嘘臭く思えてくる。
  鉄鋼の北九州とトンネルで直結し、造船の彦島とも近く、極東最大の米軍岩国基地からは新幹線を使えば30分程度。空から出撃すれば戦闘機なら朝鮮半島まで十数分。海兵隊などの殴り込み部隊は最前線の下関から船に積み込んで出撃していく。軍事物資は幡生コンテナヤードから運び込む。航海に必須の水の確保といえば、長府浄水場が人口減少の最中に過剰な設備を建設中。電力に何か問題が起きても、風力発電など独立電源の自然エネルギーを擁して対応可能。かなり具体的シナリオがあっておかしくない。
  2003年に米海軍佐世保基地所属の掃海艦「パトリオット」が下関港に入港して以後、頻繁に米軍艦船が入港するようになった。江島が大喜びで花束をもって駆けつけた。全国初の大規模なテロ対策訓練(04年)や、官邸直結の「北朝鮮の潜水艦が攻めてきた!」の実働訓練(07年)など、よそにはないことがやられてきた。オスプレイはわざわざ関門海峡を通過して岩国に運び込まれ、全国初の飛行訓練で下関の市街地上空を選んだ。
  「奥座敷」というか、瀬戸内海を挟んだ岩国では、今夏に沖縄・普天間基地の空中給油機15機を受け入れた。そして2017年までに厚木基地の空母艦載機54機と兵員・家族4000人を受け入れようとしている。そのために愛宕山を借金まみれにして米軍住宅に提供させた。基地内では施設の七割をリニューアルする大規模改修工事が進行している。そして岩国基地につながる道路建設も、下関同様に急ピッチで進んでいる。はじめから米軍や政府中枢は明確なプログラムをもって進めてきたことは明らかだ。秘密保護法など十数年前から徹底している。正体があらわれた時には「夢の宅地造成」が米軍住宅になり、「滑走路の沖合移設」が基地拡張になり、「夢の島・長州出島」は軍事拠点にもなりかねない。
  山口県出身の代議士が首相にとりたてられ、あるいは防衛大臣(林芳正)などに出世し、いつのまにか沖縄をしのぐ山口県全体の軍事拠点化が進められている。原発にしても、代議士連中は東京暮らしをしながら全国が嫌がる迷惑施設を郷土に持ち込み、その手柄で中央政界で出世していく。下関なり山口県の軍事拠点化はミサイルの標的になることを意味している。改憲や集団的自衛権の行使を叫び、東京暮らしの連中が郷土を差し出していくことを黙って見ているわけにはいかない。下関市民、山口県民にとっては、これら代議士連中のために標的にされる覚えなどない。民主主義の圧殺とセットで戦争と平和の問題が差し迫ったものになっている。これとの斗争が避けられない情勢だ。

 

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