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宮内・規制緩和のイカサマ商法
「かんぽの宿」叩き売り問題
               郵貯350兆円にたかる外資     2009年2月16日付

 日本郵政が“かんぽの宿”70施設と都心の1等地にある社宅などの9物件をオリックス不動産に叩き売りしようとした問題がクローズアップされ、ストップがかかった。「郵政民営化」とは何だったのか、改めて考えさせられる事態に発展している。
 もともと2400億円かけてつくったものを不動産価値が下がっている経済不況の折りに109億円で売り飛ばすというもので、安値で買ったものを高値で転売すればオリックスや外資勢力が丸儲けである。2000年代に入って、「構造改革」「官から民へ」などといって日本国内の政治、経済、法律から、労働、医療、福祉、教育分野にいたるまで根こそぎ制度をつくり替え、富める者が利権を略奪し、ボロ儲けを謳歌する世の中にしてきた。「構造改革」の代名詞ともなった郵政民営化も、要するに350兆円もの郵貯・簡保資金や、旧日本郵政公社が所有していた土地建物など国民資産を外資や利権集団が剥ぎ取っていくのが狙いで、“かんぽの宿”で明るみになっているのは氷山の一角でしかない。売国政策を進めてきた自民党清和会を中心とする連中や、オリックスのような政商の悪行をあぶり出すことが待ったなしである。
 日本郵政は昨年12月、一連の施設をオリックスの関連会社に格安で譲渡する契約を結んでいた。小泉内閣で総合規制改革会議議長をつとめ、郵政民営化を推進していたのがオリックス会長の宮内義彦氏であって、「出来レース」を誰もが疑うこととなった。
 「かんぽの宿」利用をめぐる公募型・企画提案方式の「入札」には、当初27社が応募していたが、まもなく15社が辞退し、最終的に残ったのはオリックス不動産とホテル・マネージメント・インターナショナル(HMI)、住友不動産の3社にしぼられ、住友不動産が辞退して2社となり、オリックス不動産がHMIと比較して「高値落札」となった。競争入札ではなく実質的には随意契約のような手法である。最近は、プロポーザルとか公募型というのが、官製談合で多用される手口でもある。
 この入札手続きを進めるための相談役をしていたのが、メリルリンチ日本証券で、日本郵政は08年2月にアドバイザリー契約を結び、これまでに1億2000万円の手数料を支払っている。成功報酬として6億円の支払いが約束されていたことも明らかになっている。メリルリンチ日本証券の親分であるメリルリンチは、外資ファンドのステート・ストリート・バンク&トラストの傘下企業で、このファンドはオリックスの筆頭株主でもあった。入札手続きを手配した側と落札した側の親元が同一なら、インチキというほかない。オリックスは発行済み株式の57・6%は外国人投資家が保有する「外国企業」である。
 そして日本郵政側で「かんぽの宿」一括売却を担当していたのがオリックスが出資する不動産会社から日本郵政に入社(07年)した伊藤和博執行役であることも明らかにされている。郵政資産の評価算定などにはこれまたオリックスに関連する人物が関与していた。民営化した日本郵政の社長には、竹中平蔵が推した西川善文氏が就任。三井住友銀行頭取だった人物である。そして、経営陣には三井住友銀行関係者らがスライドして脇を固めていたことも取り沙汰されている。

 国民資産安値で食潰し
 郵政民営化がおこなわれた07年10月時点に日本郵政がみずからはじき出していた、これら一括売却の対象となる物件の資産価値をトータルすると、土地が145億円、建物が154億円で、総額にして300億円近い。しかし1年たった時点の内部評価額は、土地建物の資産価値と負債額を相殺すると「93億円」とわざわざ安値に設定。時価で150億円の評価がついている施設「ラフレさいたま」などが含まれるにもかかわらず、なぜそのような安値になったのかという疑問点が追及されることとなった。
 案の定、テレビ番組に400億円規模での入札を希望した業者が出演するなどした。この不動産専門家が個別に物件を調べた結果「400億円は下らない」と評価したものが、本来高く売る側である日本郵政の算定では低く見積もられ、オリックスに格安の随意契約で売り飛ばす不思議さである。不況で不動産企業がバタバタと倒れている最中に、一括契約でしかも底値で買い上げることこそ意味があったと見るしかない。旧日債銀などを外資ファンドが二束三文で買い叩いた手法と似ている。
 ところが2007年10月に民営化したとはいえ、日本郵政の株式は日本政府が100%保有しており、現段階では「国有会社」状態。その保有資産ももともとが国民の財産である。監視権限と責任を負っているのは総務省で、権力バランスの変化とあいまって鳩山総務相が「出来レース」発言をしたり、麻生首相が「私は郵政民営化に反対だったけど、小泉内閣の一員だったから賛成した」「みんな勘違いしているが、私は総務大臣だったけれど、郵政民営化の担当大臣は竹中平蔵さんだった。濡れ衣をかぶされると、おれもはなはだ面白くない」などといったり、森喜朗元首相が、「(当時)郵政民営化したほうが正しいと思った議員は小泉さんだけだったと思う。麻生総理は、つい本当のことをいってしまっただけ」と擁護したり、不思議な光景が広がっている。
 郵政民営化見直し論まで出てくるなか、飛び出してきたのが小泉純一郎元首相で「怒るというより、笑っちゃうぐらい、ただあきれている」といい、商業メディアはいっせいに「倒閣運動を始めた」「自民党激震」と騒ぎはじめた。既存のマスメディアが疑惑解明をそらすのに必死なのも特徴で、朝日新聞、日本経済新聞、産経新聞などは論説で入札の「公正」さを説いたり、懸命に日本郵政擁護、オリックス擁護で立ち回っている。

 郵政民営化の狙い暴露
 2005年9月の詐欺的な郵政選挙によって自民党は大勝し、その後の安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と政権のたらい回しをして今日に至っている。衆院の3分の2議決などで、強行採決を繰り返す体制をつくったのが、商業マスメディアなどをフル動員した劇場型選挙だった。
 小泉純一郎・竹中平蔵コンビが「郵政民営化は改革の本丸だ!」と絶叫し、その要旨として「民間人に任せれば、今よりももっとよい商品やサービスを提供してくれる。郵便局のネットワークは過疎地でも維持する。民営化すれば法人税も固定資産税も納税され、民営化会社の株式を将来売却すれば、その売却益は国の収入として入ってくる。だから財政再建にも寄与する」と主張していた。特定郵便局にいたるまで、まるで悪者扱いされ「既得権益」「抵抗勢力」などという言葉が乱用された。
 ところが「郵政民営化」の正体がいったい何だったのか、である。「年次規制改革要望書」で郵政民営化を要求してきたのは、ほかならぬ米国政府であり、そのもとで小泉純一郎・竹中平蔵ら外資族と呼ばれる売国政治家、イカサマ経済学者どもが進めてきたのは、“かんぽの宿”叩き売りどころではすまない。
 郵政3事業はその後、「郵便事業」「郵便局」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の4社に分社化された。資金運用の顧問にはずらりと外資や金融機関が名前を揃えた。350兆円の資金を有する「ゆうちょ」「かんぽ」は全株式を売却する予定で上場されたこの株式を買い集めた者が350兆円資金を手にすることになる。
 また「郵便局」「郵便事業」の株式は持株会社の「日本郵政」が全株を保有している。「日本郵政」の株式も今後数年以内に3分の2が売却される予定になっている。上場して「日本郵政」の株式が売却される場合、外資ファンドが安値のうちに半分以上を買い集めれば、「日本郵政」は外国企業になる。その後、儲けにならない「郵便事業会社」は人員整理したのちに切り離せば、「日本郵政」は国内有数の不動産会社になって、高値で売り抜けたら外資の丸儲けというプログラムと見られている。
 旧日本郵政公社が抱えていたほとんどの不動産資産は「日本郵政」と「郵便局会社」に帰属している。日本郵政グループが保有する不動産資産は、土地だけでも1兆3000億円規模といわれている。これは国内不動産会社トップの三菱地所とほぼ同じレベルとされている。
 今後、2010〜2011年度には郵政株式を上場するスケジュールと専門家などは指摘しているが、その矢先に“かんぽの宿”が騒ぎになった。現状では日本郵政などの株式は全額政府が保有しており、株式上場には至っていない。経営だけが民営化された国有企業状態で「待った」がかかったわけである。そして小泉・竹中コンビが亡霊のような顔をして再登場した。日本郵政は「かんぽの宿」一括売却を白紙撤回。日本郵政の西川善文社長もさっさと辞任を表明するなど事態収拾を急いでいるかのようである。しかし、「かんぽの宿」疑惑の全容は解明されたわけではなく、「郵政民営化」の狙いそのものが暴露されなければ片手落ちである。

 利権をくすねた宮内氏
 外資ファンドの手先、日本人の顔をした「外国人」が規制緩和を実行して利権をくすねていく。これは郵政に限ったことではない。今回取り沙汰されているオリックス・宮内氏は、構造改革を押し進めてきた張本人といえる。
 外資との関わりを見てみると、日本政府が国民の税金を何兆円とつぎこんで復活させた日本債券信用銀行を10億円とかの二束三文で買収したとき、受け皿となったあおぞら銀行への出資などで米投資ファンドのサーベラス(会長は、父ブッシュ政府の副大統領)の後押しを受けたことなどが指摘されている。あおぞら銀行の社外取締役には、ブッシュ政府の元大統領経済担当補佐官だった人物が宮内氏と共に名前を連ねた。
 90年代から規制緩和に関わるなかで、オリックスは連結子会社218社、関連会社102社から構成される多角企業に変身。不動産ファイナンス、証券、自動車事業、レンタル事業、法人金融、生保、損保など規制緩和と密接に関わりながら先取りの多角経営をやっている。政府の規制緩和委員会の座長に宮内氏が就いたあたりから、急成長を遂げてきた。
 ライブドア事件や一連のM&A騒動に関与していた村上ファンドも、オリックスが45%出資した会社だった。このようなファンドの暗躍を推進したのは、金融システム改革関連法によるもので、規制緩和を政府に提言したのも規制緩和委員会。ライブドアの「株式分割」というインチキ手法も、規制緩和によって可能となった。“金融ヤクザ”顔負けの「問題児」たちに運用資金を出資したり、規制緩和でルール変更するなど、ゼニ儲けのレールを敷いて育てた黒幕にほかならない。オリックスのさらに背後で暗躍したのが外資ファンドである。
 このような人物が「規制改革・民間開放推進会議」の議長になって医療・福祉、教育、農業、金融、市場、労働・雇用政策など日本社会の各方面にわたる構造改革・規制緩和を推し進める「外資の手先」として大活躍。提言してやってきたことを見ると、「混合診療の解禁」や「株式会社による病院経営の解禁」などで、民間の保険会社(アメリカの大手保険会社)のビジネスチャンスを創出するといって、おこぼれにオリックスも食いこむとか、刑務所の運営を民間に開放してビジネス参入の具にするとか、税金の徴収業務を民間開放するとか、電力自由化によって外資参入を可能にするなどもそうだ。
 労働分野の規制緩和では、労働法を改悪してパート・アルバイト・派遣などの非正規雇用を増大させ、労働者やとりわけ若者を無権利の不安定状態にした。オリックスも派遣会社をこしらえてゼニ儲けをした。タクシーの規制緩和では、「(増車を規制する)需給調整は事業の活性化を妨げる」などと主張して、全国で台数が膨れあがったわけだが、オリックスはその間リース事業に乗り出して稼いだ。理容業界も規制緩和によって「10分1000円カット」などが街中に相次いで出店。最大手のQBハウスはオリックスが最大株主になって上場を企んできた会社だった。その分、巷の理髪店は散散な思いをした。その他にも限りない。
 郵政民営化に端的にあらわれている外資による日本食い潰し、売国政治に怒りは高まっており、構造改革・規制緩和の首謀者であるアメリカ金融資本に矛先が向いている。

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