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盛り上がる現職打倒の世論
27日投票の下関市長選
               “市政を変える”の勢い    2005年3月24日付

 下関市長選は27日投開票が迫り、かつてない現職打倒の市民世論の盛り上がりと、現職陣営の瓦解状況がかくしおおせなくなっている。ダンピング入札政策で市民が食べられなくなっていること、大型店出店で中小業者がなぎ倒されていること、県下一高いゴミ袋や、粗末な教育行政をまともにせよとの、市民の立ち上がりも勢いを増している。「現職は強いから」というあきらめの声がしだいに影を潜め、「市政を変えることができそうだ」との声が広がりはじめている。
 下関市民の会の街宣カーは市民の共感のカンパによって3台にふえ、商店街、団地や農山村を「市民のいうことを聞く市政を実現しよう」と呼びかけて、かけめぐっている。辻辻で街宣カーを止めてスピーカーを流すと、じっと聞いている人たちや「がんばって」との激励の声、深深と頭を下げていく市民が多い。抗議の声はまったくというほどない。
 とくに「下関では、多くの商工業者が倒産と廃業、悲しい自殺に追いこまれている。労働者には仕事がなく、あっても妻子も養えないホームレスのような状態におかれている。若い者は結婚もできず、学校では給食費が払えずに暗い顔をした子どもをふやしている」という部分で、街宣カーに乗っていると、市民の怒りの目線を感じている。
 あわせて「働く市民が食っていけなくなる政治を自慢する市政は本末転倒であり、市財政そのものも破たんさせるものであって、絶対にあらためさせなければならない」「今度は選挙に行こうという市民がふえている。市民の論議を広げ、市民をあなどった市政ができないように、悪いやつをこらしめ、市民のいうことを聞く市政を実現しよう」というくだりに、どこでも共感が寄せられている。手弁当参加の運転手もふえ、力が入っている。
 ゴミ袋値下げの会の母親たちが、スーパー前や商店街でおこなっている教育アンケートパネル展示も、強い衝撃とともに「今度こそ、自分たちの手で変えられる」という全市民的な共感となって広がっている。給食食器が犬猫以下のもので、壊れたトイレも放置され、下関の子どもたちが粗末にあつかわれていること、そして教育費の親負担が年年重くのしかかっていることに怒り、多くの人が教育アンケートを預かっている。
 同会がおこなった公開討論会の結果を知らせるチラシは、数万枚が刷り増しされて、宣伝カーや、街頭展示場でも本紙号外とともに街頭で手渡されている。またさまざまなところでコピーされ、無数に市内に広がっている。「投票の判断材料になった」「候補の違いがよくわかる」と喜ばれ、「今度はあきらめではなく、選挙に行ってみよう」と語りあわれている。
 宝町の市営住宅では、20代の母親が「選挙には行かないことが多かったが、今回は行こうと思っている。ゴミ袋は高すぎる。うちの夫は型枠大工をしているが、水族館や唐戸市場はよそから業者が入って、おかしいといっていた。わたしらが苦労して税金を払っているのに、よそに流すと市内がさびれていく」と語っていた。別の20代母親は、「きょうも、江島さんがヤバイらしいと団地で話題になった。離婚訴訟のことはだいぶまえに、人から聞いていた」とのべた。
 勝山の職場でも選挙のことが大話題になっていると、50代・婦人労働者は熱をこめて語る。「若い人たちが、今度は現職を落とさないといけないと話をしている。ゴミ袋の値段でも、江島さんは1人当り缶ジュース1本分といっていた。だけど4〜5年まえに中学校の運動会に来たとき、老人会のおじいさんから、“ちょっとたずねるが、自動販売機のジュースはいくらで買えるか”と聞かれて、“ぼくは自動販売機で買ったことはないから、わかりません”といったから、まわりの人たちはびっくりしてしまった。庶民のことはわからないから、あんな値段にしても平気なのだろう」と語っていた。
 長府紺屋町の団地では、70代の2人組男性が、「だれがなってもいっしょではなく、要するに現職を落とすのだ。長府でもお祭りに来た現職が、おじいさんに、水族館はむこうに持って行き、業者はよそを使ったそうではないかとやりこめられていた。庶民のにおいがする人にした方がいい。なんとしても悪玉を落とすのだ」と、チラシを手に論議していた。山の田の公団住宅でも、パチンコ店員の20代母親が、「教育アンケートを知っている。わたしたちのまわりのお母さんは、現職だけは絶対ダメと、入れないといっている。下関がさびれたし、ゴミ袋は高いといってもいうことを聞かないから」と、激しい怒りをあらわにした。
   ★ロ
 多くの市民のなかで、「現職は強いから」というあきらめの声が少なくなって、「現職陣営はそうとうにガタガタになっているぞ」の声がふえてきた。
 一つ語られているのが、現職の集会の参加が信じられないほど少なくなっていることである。出陣式は、数千人入る広い夢広場で500〜600人で、参加者自身が「同業者で行ったのは自分だけだった」などの声が聞かれている。山口新聞などの報道が、1300人としたことで、「強い」と思った人がいたが、こけ脅しをしなければ支えられないことを印象づけていた。
 こうしたなかで、市内の建設会社や企業に「あべ晋三事務所」の封筒に江島きよし出陣式、総決起大会のチラシが入れられ、送りつけられていることが話題になっている。安倍代議士の名による脅しとしてかつてないことで、しめつけもそうとうのものだといわれている。
 だが、22日に川中公民館分館でおこなわれた個人演説会は約180人で、同時刻に川中公民館でおこなわれていた中尾氏の個人演説会の半分程度であった。うち半分以上が建設現場の作業着を着た人たちで、ある男性は「安倍事務所のM秘書が来て、○人出してくれと頼みこむから、しかたなしに来た」と、ぶっきらぼうに話した。宇部のネームが入った業者など、外人部隊もいた模様で、下からの盛り上がりを実感させるものではなかった。
 各地で開かれている江島氏の集会も、公民館のホールを予定したものの少なくて急きょ畳部屋に変えたとか、漁民を集めながら漁業の話はしないことから何人もが途中で腹を立てて帰ったとか、江島氏が直接に語れば語るほど、人人が支持を広げるのでなく、離れていくという現象も出ている。
 江島市政との癒着がひどかった三菱重工、神戸製鋼などの大企業が、「現職でやれ」とのしめつけをしている形跡がいまのところ乏しい。刑事事件の恐れとかかわって「これ以上つきあうのはヤバイと見ているのだ」という説明もある。公明党も、長、友松市議などやっきになって否定したほどで、部分的に江島支持で動いていても、全体はいまのところ自主投票的。
 かつて自慢していた婦人の人気は逆に怒りに転じており、しめつけられていた建設業者をはじめ中小業者、商店などは、社長は江島集会に行っても、従業員どころか自分の女房子どもにも反旗を翻される状況もある。クサリにつながれた状態はあっても、いったいどこに自分から現職を支持する層がいるのだろうと見られている。
 頼みの安倍事務所であるが、いまのところ江島選挙の丸抱えで動いている。いわば安倍事務所のAチームである。ところがいわば「はぐれ秘書」的な部分による安倍事務所Bチームがいて、松原選挙を支えている。これは「打倒江島」以上に「打倒中尾」の印象がいぜん強い。さらには「江島を倒すことがほんとうの安倍派」と自負し「事務所の愚か者め」という勢いの安倍派C組がいて、江島、松原陣営と対決して中尾選挙を熱心にとりくんでいる。自民党内はもちろん、安倍派自体が三分割状態になっている。
 こうした下関の騒動のなかで、安倍晋三氏は、夫婦ともどもインドかどっかに行ってしまって出陣式には出なかった。安倍氏とすれば、「総理候補」という身からすれば、地元の自民党推薦候補が負けたとすれば格好がつかない。かといって江島氏支持をつづけて、市民の恨みを買い、自分の選挙に響くとなれば元も子もない。「どっちが得か」より、「どっちが損が少ないか」の選択を迫られる情勢になっている。
 こうしたなかで松原陣営が、江島陣営との関係で微妙な力のバランス変化があると実感されている。「江島氏を当選させるため反江島票を分断する役目」という見方があったが、江島陣営があまりにもお粗末というので、逆に江島氏が添え物に降格し、松原氏が主役に昇格するのではないか、との話も市内でかわされはじめた。
 中尾選挙は、しだいに熱が上がってきたという評判が広がっている。反現職で意気盛んな市民の多くが中尾選挙を支えている。逆にいえば、中尾選対の側からは自分が組織した票はじゅうぶんには読めず、どこのだれが支持して動いているのかわからないが、とにかく三者のうちでは一番盛り上がっていると評価されている。こうして選挙は、市民の主導で動いている。

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