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中尾市長が公約撤回の動き
下関・あるかぽーと開発交渉再開
               江島打倒の力を侮る勘違い    2009年5月1日付

 下関市民は、安倍代理の江島潔市長を引きずり降ろし、底力を発揮して中尾市政を発足させた。ところがさっそく様子が変である。全職員を動員して「運がいいです!」「幸せです!」「性格は直ります!」とかのトンチンカンな挨拶運動が始まったかと思えば、一方では公約放り投げのプログラムが進行している。エスコート役の関谷議長はじめとした議会が、わざとらしいバトルを演じて理由付けを補佐している。9万人の署名を集めている満珠荘早期再開を目指す老人たちには面会を拒絶。「芝生公園にするのは困難が多いとわかった」などといって、凍結していたあるかぽーと開発は江島前市長が駆け込み選定した大和リースの提案をもとに交渉再開。公約撤回の動きがあらわれている。「当選して何日もたっていないのにつまらない男だ。リコールせよ」など、安倍代理江島市政を倒した市民の力はますます強まっており、中尾市長の勘違いの行方が注目されている。
 4月中旬。某市議の結婚式に参加した人人は、中尾市長と関谷議長が「僕たち、表じゃあんなだけど、ホントは仲が良いんだよね!」などと写真におさまりながらはしゃぐ姿を見て唖然としていた。「いったいどうなっているのか?」と。夕方のニュースで、新庁舎建設の凍結を打ち出した中尾市長にたいして、関谷議長が「議会をバカにしてもらっては困る!」と興奮して毒づいていたのが印象に残っていただけに、「あれは猿芝居だったのか?」「実は、デキているのか?」と拍子抜けしていた。
 市長就任後、もっぱら注目を集めているのが公約がどうなるのかである。「市役所は建て替えない」「あるかぽーとは芝生の公園に」「満珠荘は老人休養ホームとして以前の営業形態にて早期再開を目指す」「学校統廃合はおこないません」「ゴミ袋は市内に発注して値下げする」「支所機能の強化拡充」「市発注工事は、地元業者を最優先する。公共事業の前倒しを行う」等等、選挙で掲げた約束がどう実現されるのか、市民は関心を示している。他に取り柄がないけれど、公約を見て投票したという市民は多かった。
 ところが腰砕けなのか、市民を騙しただけだったのか、4月28日にはさっそく「あるかぽーとは芝生の公園に」の公約を事実上撤回し、江島市長案で凍結になっていた大和リースとの交渉再開を打ち出した。「私の公約は景観、市民や観光客の憩いの場として多目的に利用する観点から…書いてある。計画を全部やめて芝生にするということではない。どこに落としどころをもっていくか大和リースと調整する」「公約の撤回ではない」「議会が審議してきたことを尊重する。これを全部ひっくり返すのは実際問題として難しい」などといった。
 委員会終了後には「こまかく分析するとホテルだけは必要とか、アミューズメント施設がよいとか、いろんな意見がある。相手業者がいることだ。賑わいは必要だし、人がもう少し集まるようなものにしたい。私自身も葛藤はある」「横浜の山下公園のような芝生公園が良いと思っていたが、下関のような狭い空間に大きな空き地があるというのはどうなのか。“市役所を建て替えません”というような180度の転換は難しい。市長選候補者の時はどれくらい話が進んでいるかわからなかった」「芝生がいいという市民の思いと、賑わいが必要ということのマッチングの問題。芝生公園というのも公約。一方で商工会議所と連携していくのも公約だ」などといった。
 選挙の時は、「あるかぽーとは芝生公園でいいんですよ! 箱物だけが全てじゃない。みなさんそうでしょうが!」と偉そうに大声を張り上げていたのから、明らかに路線変更している。終盤までマニフェストを出したがらなかった理由として、「出来ない事を主張しても仕方がないから、調査をし、地元経済界などとも調整して練っている。嘘はいわない」といっていたのが、さっそく「あのときはわからなかった」などといっている。3カ月で「若気の至りでした」と公約を反古にしたのが江島前市長で、それよりも早いペースである。

 廃案のむし返しに怒り噴出 あるかぽーと開発
 あるかぽーと開発は、一昨年春に、全市民的な反対行動が盛り上がるなかで、市議会でホテル用地売却議案が廃案に追い込まれ、計画は白紙に戻っていた。ところが、昨年5月に突如再公募の動きに発展し、実質2週間という異様に短い期間で仮公募の受付を締め切った。そして江島市長の任期切れ間近になって選定委員会が大和リースを選んだ。この選定には坂本紘二委員長(市立大学学長)のほか、中尾市長の「兄貴」分である松村久氏(商工会議所副会頭)なども参加していた。廃案になっていた前回とほぼ同じ内容であることに、市民の怒りは高まっていた。
 大和リースが総合評価方式の入札に提案して選定された案は、複合商業施設の建築面積は物販飲食だけで1万1310平方b。アミューズメント等が7550平方b。シネコン、フィットネス、スポーツ用品店、ゲームセンター、本・DVDレンタル、ペットショップ、ドラッグストアなどが入店する計画で、19階建ての高級ホテル(高さ六七・六b)もある。用地は30年間の事業用借地として契約することから、前回売却が問題になったような議会議決は必要ないと江島市長はいってきた。議会も「ハイ、そうですか」とあっさり承認していた。
 市長選の約1カ月前になって江島市長(当時)が次点だった明豊エンタープライズ(本命と噂されていた)との交渉に切り替えようとパフォーマンスした際、議会はあまりにも露骨なので、「新市長のもとで進めるべきだ」と凍結した経緯がある。そして新市長が決まったら「もう決まっているのだ」といっている。議会には進捗状況の報告ばかりで、どうせ飼い猫だとバカにして議決なしで勝手にポンポン進めてきたのが江島前市長である。「もう決まっているのだ」などと恥ずかし気もなく主張する議会もみっともない連中というほかない。28日の審議で率先して噛みついたのが長秀龍議員であるが、大和リースとはどんな関係なのか? という指摘もある。
 近年はJリート(不動産投資信託)や私募ファンドの拡大と連動して、都市部を中心にオフィスビルや商業施設の開発ラッシュが相次いできた。下関のような地方都市で、あるかぽーとをめぐる不動産利権の動きが絶え間ないのも、こうした事情が背景にあった。バカみたいにガラガラ・マンションを建設するのといっしょで、下関の街に必要とされるもの、必要とされないものの分別なく、野放図に突っ走る最大の理由である。
 経済情勢がどうなっていくかわからないこと、誰が必要としているかもわからない高級ホテルやショッピングセンターをバブルのように建設すること、30年後まで海峡沿いの先行きを委ねることに懸念は強い。10年過ぎたら転売も可能だとしている。少なくとも市民が必要としているからではなくて、別の事情から市有地を開放する事業を急いでいる連中がおり、そっちに中尾市長が傾斜している。
 唐戸地域などでは、公約を支持した住民らが「だまされた」と激怒している。

 江島市長の企画通りの様相 駅前開発利権も
 同時に、駅前開発利権も江島市長の企画通りに動きはじめた。公約では一言も触れていなかった「下関駅にぎわいプロジェクト」であるが、これは総事業費として約70億円を投じ、それとは別に金融機関などが出資する形で民間企業が駅ビル・集客施設・立体駐車場を建設するという壮大な駅前開発プランになっている。こちらも商業施設をつくるといっており、開発業者には下関商業開発が選ばれた。
 05年12月末にJR西日本広島支社と下関市、山口銀行の3者による「下関駅舎改築プラン作成協議会」が当時の駅舎や乗務員センターを更地にしてビルを建てる改築計画案をぶち上げ、その10日後には放火で三角屋根の駅舎や乗務員センターが丸ごと消失。まるで“焼け畑農業”のようで、直後から「にぎわいを創出するのだ」「中心市街地の活性化」といって鼻息が荒かったものだ。
 駅ビル整備、集客施設・立体駐車場は民間業者が開発を請け負い、JR西日本が負担するのは駅舎のバリアフリー部分のみ。公共事業として下関市などが負担する部分が総額68億円と見込まれている。「JR営業線近接施工要件に基づく建設施工が可能であること」という条件なのでJR西日本の関連企業である広成建設が請け負うと見られる。さらに事業予定地(5400平方b)をJR西日本から下関市が購入することにもなっている。一等地なので高い。

 既定路線に乗せていく芝居 安倍派・林派結託で
 公約撤回を迫るのが下関の上層に巣くう箱物勢力で、山口銀行はじめとした金融機関やまぶりつく政治家などがとぐろを巻いている。新市庁舎移転・建設も、この調子で放り投げをやっていけばどうなるかわからない。所信表明のなかで「選挙で示された民意を尊重することが市長として当然の責務。建て替えは凍結したい」と述べた。選挙時期には「建て替えない」と主張していたのが「凍結」すなわちその先に「解凍」する可能性にも含みを持たせて、こっそりトーンダウンしていた。そして保守系会派を筆頭にした議会側が、飼い猫から野良猫に豹変して、「“住民投票”及び“住民アンケート”を実施して、再度民意を問う」などとバカ騒ぎをはじめた。「前金でももらっているのか?」と思うほど必死に騒いでいる。
 民意ならば選挙で既に決着済みであることは誰の目にも明らかで、再び「民意を問う」というのもおかしな話である。しかし「市長選の結果は民意ではない」と否定し、まるで「中尾市長と議会のバトル」をやっているような振りをして、実は市民を欺きつつ、段階を追って安倍派・林派結託で既定路線に乗せていくパフォーマンスと思われる。満珠荘もしかり。
 箱物暴走政治の片棒を担いできた面面がやたら騒ぐ。そして公約に縛られた中尾市政をもませ、撤回していくパターンが目の前で繰り広げられている。ただし嘘臭い三文芝居が通用するほど甘くはなく、市民を愚弄すればその代償は中尾市政に跳ね返るほかない。江島市長を打倒した市民世論は中尾ファンなどではなく、無条件支持は選対に張り付いて物欲しそうにしていた汚れ勢力くらいである。
 引き続き市民の監視と運動で締め上げ公約を確実に実現させていくことが求められている。2年後の市議選でおかしな議員どもは振るい落とすこと、公約を反古にする嘘つきだったのなら中尾市長はリコールするしかない。「今日も一日市民の為にがんばろう!」は職員に口先で唱えさせるものではなく、市政をして具体的に実行することであり、最も初歩的なのは公約を守ることである。市民はたいへん注目している。

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