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熱がこもる戦争体験者の語り
小中高生平和教室
                現在重ね学ぶ子ども・教師     2006年5月5日付
 
 小中高生平和の会(代表/今田一恵・中高生代表/古川理郁、犬塚雄志)は4月30日、第40回平和教室を下関市のからと会館でおこなった。「戦争体験、空襲体験を学ぼう!」のテーマで、5人の戦争体験者が体験を語った。下関、宇部、山口、防府、萩、北九州などから小・中・高校生50人、父母や教師17人が参加した。
 午前10時に集合した子どもたちは、晴天のもとで近くの公園でドッジボールやキックベースボールなど集団遊びで汗だくになって遊んだ。
 昼食をとり、5班に分かれて礒永秀雄の詩『夜が明ける』の群読を練習した。今年のはじめから平和教室では礒永秀雄の詩や童話を読み深めてきたことから、短時間の練習であったが戦争体験者の前で班ごとに心をこめて発表した。体験者たちは戦争で九死に一生を得て帰ってきた経験を持つ礒永秀雄の詩に深く共感し、「こういう気持ちを伝えたい」と語っていた。
 その後戦争体験者が紹介され、3つの会場に分かれて聞きとりがはじまった。今回語った五人の体験者は、はじめて語るという人がほとんど。市内各地の「原爆と下関空襲展」を参観しそれを契機に体験を語ることを決めた人、中高生らが小学校の校門前で配ったビラを見て語ろうと申し出るなど意欲が溢れていた。

 親孝行の大切さ等強調 戦争体験者
 川中地区に住む河野氏(81歳)は、貧乏な生活や戦争を乗りこえてきた80年という長い人生経験のなかから、親孝行の大切さと人としての道(人倫)のことなど、一語一語に力をこめた。貧乏な家庭で口減らしのために11歳で岡山へ行き、兄夫婦に養われた。13歳で自立し下宿して川崎車両で働きはじめたという。
 17歳のとき志願し大竹の海兵隊で訓練を受けたが、「故郷を立つとき、親父は“戦争反対だから絶対見送らない”といい、お袋が下関駅まで見送ってくれた。プラットホームで私をジッと見つめ涙は流さなかったが、頬が震えていたのを見た。心のなかでは泣いていたんでしょう」と思わず目頭を押さえた。地獄のような軍隊生活、松山の航空隊で機銃掃射に狙われ「頭の中で走馬灯のようにお母さんの顔が回っていた」と語った。
 「日本の発展のためといってみんなだまされて、320万人が殺された。いかなる理由があろうと戦争は絶対反対。まず親に孝行すること、自分の身を立てて人間として立派に生きること、人も自分も傷つけないことが孝行することになる」と語った。またいまの日本社会がアメリカに従属し、人人の生活が小泉になったこの5年間で一段とおかしくなっていること、憲法九条の問題などにふれ「私は八一歳だがお迎えが来るまでは、日本をいい社会にするために力いっぱい後輩のために尽くそうと思っている。語ることができて本当にうれしい」と語った。子どもたちは河野氏の話に引きこまれていた。
 宇部空襲を体験した山本氏(73歳)は、あのときいえなかったことを「今いわなければ」とはじめて体験を語った。勤労奉仕でいもをつくったり、宇部の廃鉱に弾薬や武器がかくされていたが「見なかったことにしろ」といわれたこと、終戦間近には金色と銀色のビラがまかれ「日本良い国、花の国。七、八月は灰の国、京都美人は残しましょう」と書かれていたという。その後原爆が落とされ「本当にこのとおりになった」と、宇部空襲での多くの人が殺されていったなまなましい経験を語った。
 日本に基地があるのは、無条件降伏してアメリカの植民地になっているからだということや、「戦争が自分を強くしてくれた」と、つらい経験を乗りこえてそれを力に変え現在も人に役立とうとがんばっている姿が子どもたちの心に響いていた。
 大阪、下関、宮崎と3回の空襲を経験した牛島氏は、資料を準備し当時の様子を具体的に語った。小学四年のとき次次と襲いかかる焼夷弾で火は風を呼び、台風のような風が吹いて火のついた材木が空をまっている光景、そのなかを逃げ惑う人人を見たことなどの経験を語った。「戦争ほど悲惨なものはない。世界で今も戦争があるが、そんな世の中ではいけない」と強い思いをこめた。
 下関空襲を体験した舟木氏、当時の満州で看護婦をしていた小見山氏も子どもたちに話をした。「なにを話そうかと前の晩は眠れなかった」という舟木氏は子どもたちが一生懸命体験を聞き、次次と質問をする姿をみて、思いが伝わったと喜んでいた。体験を聞き終わったあと5人の体験者の前で感想発表をおこなった。

 受継ぎ頑張ると口口に小中高生が感想
 「舟木さんたちの時代よりぜいたくになっているので、わがままをいわずにしたい」(小学6年男子)、「宇部に住んでいて宇部空襲の体験が聞けてよかった。とても詳しかった。私も少しおばあちゃんに聞いたことがある」(中学1年女子)、「僕は山本さんの話を聞いて、一生懸命お話をしてくれたことが一番心に残った。山本さんのようにがんばりたい」(小学4年男子)、「河野さんのいった言葉で一番強く感じたのは“親孝行をしなさい”という言葉だった」(小学6年男子)、「本で読んだり学校で習ったのとは違うリアルな戦争体験が聞けてよかった。今までのイメージより、河野さんの話を聞いて戦争がもっとひどいものになった」(高校1年女子)。
 また参加した教師も感動を語った。防府市の小学校教師は、舟木氏の話を聞いて「自分の父親が下関空襲の体験者である」ことを語り、「戦争は子どもたちから全てのものを奪ったことをあらためて感じたが、なにもないなかで生きぬいてこられたたくましさ、力強さを感じることができた。子どもたちに伝えていく必要がある」と語った。
 戦争体験者からは「みなさんと出会えたことが一番うれしかった。このような活動をしている子どもたちや先生方がいることは日本もまだ捨てたものではない。先生方の信念を子どもたちに伝えていくことが大事」など、平和の会の子どもたちと、指導する教師へ強い期待の思いが寄せられた。

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