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日本壊滅の危機にさらした事故
              地震に耐えられなかった柏崎刈羽原発   2007年7月20日付

 新潟県の中越沖地震により、東京電力の柏崎刈羽原発では火災発生や放射能漏れなど緊急事態が発生した。柏崎刈羽原発は1〜7号機まで総出力821・2万`hあり、1カ所の発電所としては世界最大規模である。原子炉内の核燃料や運転によって蓄積された死の灰の量ははかり知れず、1歩間違えばメルトダウンや大爆発もありうる寸前であった。そうなればチェルノブイリ原発事故の何10倍という大量の放射能が放出され、日本国土全体が壊滅的な大惨事となる危険性をはらんでいた。民族の重大問題としてこれをあいまいにすませるわけにはいかない。

 放射性物質を大気中に放出
 今回の地震では、柏崎刈羽原発3号機から火災が発生し、約2時間にわたって黒煙を上げて燃え続けた。消火用水の給水管も破損し、水が漏れて、消火作業もままならなかった。また同6号機では使用済み核燃料貯蔵プールの放射能をふくむ水が海に放出された。緊急停止した7号機の主排気筒からも放射性物質が大気中に出た。ほかの6基の原発でも燃料プールがあふれている。また低レベル廃棄物入りのドラム缶約400本(当初は100と発表)が倒れて100本(当初数本と発表)のフタがはずれ、放射性物質が床から検出された。貯蔵庫には低レベル放射性廃棄物入りのドラム缶約2万2000本が保管されていた。
 東京電力の17日段階の発表では、50件のトラブルがあったということだが、実際にはそれ以上の事態が起こっていることは明らかであるが、全貌は発表されていない。現地の住民は「東電はこれまでもデータの偽造や事故隠しをやってきている。東電のいうことは信用できない。まだまだ重大な事態を隠しているに違いない」とみている。
 しかし、現段階でもいえることは、原子炉内の放射能が外部に漏れるというもっとも危険な事態が発生したことである。東電も国も「原発は地震が起きても放射能が漏れることはない。絶対に大丈夫だ」として、地震のさいの防災体制もとってこなかった。
 従来の国の原発の耐震基準はマグニチュード(M)6・5の直下型地震に耐えられるように設計し、地上で確認できる大きな断層を避ければよい、というものであった。しかし、2005年の宮城地震での女川原発でも、今年3月の、能登沖地震での志賀原発でも想定をこえた揺れが起こっている。また、中国電力島根原発近くで発生した鳥取県西部地震や新潟県中越地震ではそれまで知られていなかった断層が大地震を引き起こした。国の基準では実際にあわないことがかずかずの地震で立証されている。地震学者のあいだでは「今やどんな場所でも最大でM7程度の地震を想定しなければいけない」という共通認識になっており、すべての原発で早期に見直す必要性を強調している。
 東電の柏崎刈羽原発は7基ともM6・5の耐震構造しか持たなかった。今回の中越沖地震はM6・8の規模であり、想定した2・5倍もの揺れで、破壊力はすさまじい。使用済み核燃料プールの水が大きく波打ってあふれ、放射能をふくむ水が外部に漏れたことは当然起こるべくして起きたといえる。
 地震の際の原発事故で最悪の事態は、冷却水の配管が破損することである。冷却水が大量に失われると、メルトダウン(炉心溶融)という致命的な事故になる。冷却水が失われると、核分裂反応はとまるが崩壊熱による発熱のため、燃料集合体の温度は10〜60分後に数1000度になり、溶け落ちる。30〜120分後には原子炉の鋼鉄も溶かし、溶け落ちた燃料が水に触れると水蒸気爆発を起こす。この爆発で原子炉格納容器が破壊されれば、チェルノブイリを上回る大事故になる。
 原子炉内には大量の核燃料や使用済み核燃料、低レベル廃棄物なが蓄積されている。100万`hの原子炉を1年間運転すると、長崎型原爆1万発をつくれるプルトニウムと広島型原爆4万発分の死の灰が発生する。これが毎年蓄積されていく。柏崎刈羽原発では1〜5号機が1基110万`h、6、7号機が1基135・6万`hで合計821・2万`h。ウラン燃料は原子炉1基で100d以上は装填されている。これに使用済み核燃料プールが7基ともにあり、低レベル廃棄物のドラム缶が2万本以上も貯蔵されていた。7基を1年間運転するだけで長崎型原爆8万発分のプルトニウム、広島型原爆32万発分の死の灰がたまっていたことになる。
 今回の地震でも、冷却水用の配管が破損する危険性は十分にあった。そうなれば、原子炉内にたまっていた死の灰が外部に放出され、チェルノブイリどころでない大惨事になっていた。

 危険な55基の原発 どれも地震地帯に立地
 日本には現在55基の原発が稼働している。日本はすでに地震活動期に入っていると専門家は指摘している。現在とくに危ない地域として、東海、関東をあげ、とくに東海地震はM8クラスを想定している。浜岡原発がその震源中央に立地していることに警鐘をならし、柏崎、島根、伊方の各原発も要注意として警告してきた。また、日本列島が地球上でもっとも地殻変動が活発な変動帯であり、世界の地震の10%は日本列島とその周辺海域で起こっており、とくに日本の原発のほとんどが地震危険地帯に立地していることを強調して、早期に地震地帯での原発立地を見直すことを進言してきた。専門家の試算では、全国の原発を停止しても電力をまかなうことができるとしている。地震による原発事故で、生命、財産、産業などが犠牲になることを考えれば、原発をただちに停止することの方が国の利益になることは明らかである。
 今回の新潟中越沖地震では柏崎刈羽原発の直下に断層があったことが判明した。IAEA(国際原子力機関)なども「日本は原子炉の構造などについて、全面的な調査をおこなう必要がある」と重大視している。
 だが東電やマスコミは早早と地震による原発事故をかき消そうと必死になっている。東電などは、海に放出された放射能の濃度をごまかしたり、倒れたドラム缶の数を少なく発表したりし、この重大時に及んで隠ぺい体質丸出しにして、地元住民から厳重な抗議を受けている。現地入りした安倍首相も短時間の視察でお茶を濁しただけである。
 国の利益からみるなら、柏崎刈羽原発だけでなく、全国の稼働中の55原発を停止させなければならない。また新規立地計画はただちに白紙撤回すべきである。だが安倍政府は、「後は野となれ」という態度に終始している。
 憲法を改悪してアメリカのための戦争に日本人民を動員しようという安倍政府は、原発建設でも原爆の材料であるプルトニウムを生産し、核武装化を狙っており、日本人民の安全などはまったく念頭にはない。アメリカの戦争のために日本の若者を肉弾として差し出す道を切り開いた小泉政府の路線をひきつぐ安倍政府は、日本をアメリカの原水爆戦争の戦場にしようとしており、日本人民の生命、財産、国土も丸ごと差し出そうとしていることが今回の対応でも明らかになっている。
 柏崎市や刈羽村では、計画段階から原発建設予定地の直下に活断層が走っていることを指摘して原発建設に反対してきた住民は、東電への抗議行動を開始している。また「活断層はない」の判決を出して東電の原発建設を援護してきた東京高裁も追及し、全国的な原発反対の運動を巻き起こすかまえである。また、全国の原発立地点の住民も、今回の事態を重大視し、電力会社と国がぐるになり、「原発は国策」「原発は安全」とだましてきたことに怒りを燃やし、原発をやめさせる運動に全国で立ち上がろうと呼びかけている。

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