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日本の富奪い尽くす一体改革
消費税で儲ける大企業・年金は支給時に削る詐欺
          米国と財界の為国民搾る  2012年2月10日付
 
 野田政府がアメリカや財界に尻を叩かれて「税と社会保障の一体改革」を掲げた国民大収奪に乗り出している。消費税増税を柱にして、年金・医療・介護・保育など全分野に及ぶ改悪が内容だ。大企業は半導体など家電大手を先頭に日本国内ではもうけにならないとして法人税や消費税など優遇措置は受けながら、国内工場をつぶして海外進出しボロもうけする動きを加速。アメリカは欧州など世界的な経済危機のなかで自国経済自体がパンクし、軍事面では防衛費を削り日本を矢面に立たせ、財政面では日本から徹底的にたかる姿勢となっている。野田政府の「一体改革」による国民大収奪はこうしたアメリカと財界が日本の富を奪い尽くすTPPの先取りとなっている。それはアメリカが日本をアジア侵略戦争の盾にし廃虚にする日米軍事同盟の具体化に結びついており、独立・平和かどうかの国の進路がかかる問題となっている。

 各地の市場や小売店で消費税増税への憤りが噴出している。北九州市内の飲食店主の一人は「リーマンショック以後の派遣切り、工場閉鎖や東北の震災、就職難などで客が年年減るが、今年は年明けからとくにひどい。高齢者も今後のことを心配し使わない。みなが切りつめて生活している。そこに消費税増税とはなにを考えているのか。まだ消費を落ち込ませる気なのかと思う」と憤りをあらわにした。
 豊前海域の漁業者も「不漁に加え重油は上がり、網やロープなど漁具類は軒並み高騰し金具類の値段も上がっている。東北が被災したから西日本や九州で農漁業に力を入れないといけないのに消費税増税で首をしめる。食料生産がつぶれたら国も都市部も成り立たないのがわからないだろうか」といった。
 農家は天候不順による不作に加え、ビニールハウスに使う重油、肥料や飼料高騰に直面し、小売店もレジ袋、食料品販売に使うパックやラップ類などの出費が増えている。さらに関門地域では東芝やMCSなど大企業が工場閉鎖を打ち出すなか、家のローンを抱えたまま失業するなど生活の困難が拡大し消費落ち込みは深刻だ。ここに打ち出された野田政府の「消費税率を2014年4月に8%へ引き上げ、15年10月には10%に引き上げる」という方針は到底容認できないものとして論議が渦巻いている。
 門司区の市場店主は「売れ残りで消費税が回収できないのに仕入れるたびに消費税はとられる。しかも納税が遅れればすぐ利子がつく。“財源が足りないから増税”と政府はいうが、規制緩和で大型店を増やし、小売店が税金を払えないようにしたのは一体だれか。真っ先に“改革”しないといけないのは、国民から搾って大企業は減税し、米軍にせっせと基地や金を差し出す政治の方だ」と強調した。
 この消費税増税を要求しているのはアメリカと財界である。消費税を増税すると海外輸出に依存する大企業は「外国に売った商品からは消費税が回収できない」として輸出製品に対する消費税は、庶民から徴収した税金で国が還付する仕組みだ。トヨタは年間2000億〜3000億円規模の還付を受け、他の自動車産業も1000億円をこす還付を受けている。庶民にとっては消費税増税はとられるものだが、輸出企業にとっては増税すればするほど収入が増える補助金に等しい。
 さらに非正規雇用を大量に使う大企業は、正社員給与とちがってモノ扱いとなる派遣社員の報酬から消費税分5%が控除されるため、消費税率が上がれば上がるほど控除額が増える関係。消費税が上がると笑いが止まらないのが大企業でこのため経団連は消費税引き上げを執拗に要求している。
 財界以上に日本の国家財政にたかってきたのが米国でIMF(国際通貨基金)は「消費税の段階的引き上げが必要」とか「税率の15%に引き上げ」を提言してきた。そもそも日本政府が1000兆円もの借金を背負ったのも、90年代からアメリカが迫った600兆円もの内需拡大要求に従い公共投資をした結末だ。貿易黒字で得たドルは米国債の購入に当てられ、ドル安政策で円売り介入するたびに米国債を買いこみ、500兆〜600兆円ともいわれる米国債をため込んでいる。これを売れば消費税増税は不要だが、アメリカは消費税増税で国民から巻き上げた資金で、さらに紙切れ同然の米国債を買わせ、日本の富を奪い尽くそうとしているのである。

大企業や富裕層は優遇 法人実効税減税等

 消費税増税の一方で打ち出されたのが大企業や富裕層への優遇措置である。大企業が払う法人税は消費税導入時にもともと45%だったのを30%に下げてきたがまだ引き下げる方向。法人実効税率はすでに5%削減が進行中で、復興増税(3年期限)で3%増税しても2%の減税。2015年以後は完全に5%減税にするもので、10年間で12兆円規模の減税策だ。また「富裕層を対象とした個人所得税の最高税率を40%から45%に引き上げる」という内容も、消費税導入前に70%だった最高税率を5%ほど元に戻すだけ。そして株・証券売買の利益と株配当の課税は20%と明記されているのに、近年は「景気対策」と称して10%に引き下げたまま。これも「2014年1月から」としてすぐ廃止せず継続している。
 増税では高齢化社会をチャンスとみて、遺産相続で控除対象になる額を5000万円から3000万円に引き下げ、遺族からむしりとる増税策も盛り込んでいる。

若者世代にも影響甚大 中心収入と化す年金

 こうしたなかで年金支給切り捨てが進行し、若者もふくめ全世帯に影響を及ぼす問題になっている。下関市の男性店主は「知人の子が都会から帰ってきても仕事がなく親の年金をあてにしている例が多い。年金が出る偶数月の15日になると郵便局や銀行に親子で引き出す光景も見かける。年金はすでに一家の中心的な収入になっている。これを削ると若者世代にも影響が大きい」と話す。
 年金で息子や義姉の生活を補助してきた元船員男性は「年金受給額は多くても、息子は零細企業の社員で給与は月十数万円でその嫁は派遣社員。これで家賃を払い、食べ盛りの中学と高校の娘2人を育てるとなると生活が厳しい。生活できるまともな仕事がなくて若者が自立できないのが一番問題。だから税収も増えず保険料も足りなくなる。消費税を上げたり年金を下げても解決しない」と話す。大卒でも就職先がなかった息子を年金で養ってきた元鉄鋼労働者も「若者に働く場がなくて、かりにあっても非正規雇用ばかりだ。自立できる働く場を奪っていて、なにが持続可能な社会保障か。際限なく消費税を上げ続ける気か」と指摘した。
 年金支給年齢見直しは、60歳だった支給開始年齢を3年に1歳引き上げ65歳支給開始にする行程が進行中。だがこれを「2年に1歳引き上げ」とし68〜70歳にまで引き上げようとしている。支給開始年齢を遅らせ掛け捨てを増やすのが狙いだ。さらに「物価スライド特例分の解消」(物価が下がったことを理由に年金支給額を12年度から3年で2・5%引き下げる)や「マクロ経済スライドの検討」(少子高齢化が進むと“世代間の公平確保”を掲げて年金支給額を引き下げる仕組み)も明記。これまで老後は年金があると信用させて働くだけ働かせて、いざ60歳になると支給しない。支給時には「物価が下がった」「少子化だから」といろいろ理由をつけて大幅に削る。歴代政府が詐欺をやった姿が浮き彫りになっている。

個別家庭に負担押つけ 介護も医療も保育も

 そして介護では「施設から在宅へ」といい、医療では「入院から在宅へ」といい、保育では「公から民へ」といって株式会社参入を促進し、全福祉分野にわたって個別家庭に「自分で世話しろ」と負担増を押しつけ、大幅な予算削減をやろうとしている。
 介護では介護報酬を引き下げて要介護度の低い特別養護老人ホーム入所者の追い出しをはかってきたが、4月からまたヘルパーの生活支援基準時間を四五分未満に短縮(今までは60分未満)して介護報酬を引き下げるもので、ヘルパーから「機械的な作業だけでは介護などできない」「ヘルパーはロボットではない。四五分間ではなにもできない」と強い反発が起きている。
 さらに老人保健施設に6カ月入所したら介護報酬を減らしたり、介護用療養病床を減らすため介護報酬を引き下げるなど、重度者も追い出す方向だ。政府は「24時間体制の巡回型介護・看護サービス」を新設し、安上がりの「在宅」にかえようとしているが、看護師も介護職員も不足している現実のなかで介護難民が増加するのは必至となっている。
 医療も診療報酬改定によって、紹介状なしで大病院を受診する場合の患者の負担料を引き上げ、医療機関への初診時の保険給付額を引き下げることを打ち出し、急性期医療も平均入院日数を九日間に短くすることが目標だ。3カ月を超える入院患者は、今も診療報酬の大幅カットで追い出される事態となっているが、さらに長期入院患者を減らし医療費を抑えることを狙っている。こうした重度要介護者の在宅介護への押しつけ、長期入院患者追い出しによる在宅看護強要は「介護・看病苦」による心中や肉親殺しという悲劇を増やす殺人行為にほかならない。
 「子ども・子育て新システム」も幼保一体化を中心とした幼稚園と保育機能の統合、受入児童数増加による待機児童解消を宣伝文句としているが、公立保育園などの補助金を大幅にカットし、株式会社などの資本参入を認めるのが柱。子どもが少ない地域では保育園や幼稚園の統廃合で通園に時間がかかるため父母の負担が増し、子どもが多い都市部では「これまで認可保育園に入れなかった子を、受け入れていた地場の認可外保育園が淘汰され預ける場がなくなったらどうするのか」と危惧が語られている。保育関係者のなかでは「今の保育体制でさえ、育児放棄、子殺しなどの悲劇が増えている。安ければいいという大型店がのりこんで地元商店街をつぶし、もうからなくなるとまた撤退するというようなことは日本の未来にかかわる保育にとって許されない」と話題にされている。生活保護も「生活保護受給者204万人、地方自治体の負担を軽減する」などと称して、「職業訓練」を受けることを要件にして生活保護の停止・廃止をおこなう改悪に乗り出している。
 こうして国民から搾り上げた使い道は大企業やアメリカへのバラマキに使われていく算段となっている。それは昨年11月に1日だけで政府・日銀が円高阻止で8兆円もの資金をばらまいたのを見ても、同時期に開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会議で野田首相が各国のインフラ整備に2兆円規模を支援すると約束したのを見てもはっきりしている。こうした消費税増税を柱とする「税と社会保障の一体改革」は、日本国民の大収奪であるとともにTPPや対中国戦争を準備する米軍再編と結びついている。それは日本が経済的には徹底的に搾りとられ、あげくのはてはアメリカの企む対中国核戦争の戦場にされ廃虚になる道にほかならない。

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