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日本の未来担う教育運動の展望
第36回人民教育全国集会
             力強い子供達の成長に喜び   2014年8月25日付

 「戦争に立ち向かう教育を発展させ教育から世の中をたて直そう」をテーマにした第36回人民教育全国集会の「子ども・父母・教師のつどい」(主催・人民教育同盟)が24日、下関市の勤労福祉会館で開かれ、子どもや父母、上宇部実践を各学校で実践する青年教師、被爆者、戦争体験者など全国から300人が参加した。つどいは、「みんなのために」と集団的に育てる上宇部実践が生命力を持って着実に広がっていることが反映された。上宇部実践を通じて子どもたちが困難に負けずはつらつと成長している姿が参加者を感動させ、それを担う教師と、成長を心から喜ぶ父母や祖父母の願いが一堂に会す大交流の場となった。この数年来、体育重視の上宇部実践が各学校ですすめられるなかで、教師自身が被爆体験や戦争体験に学ぶことを通じて、上宇部実践こそ戦争を押しとどめる力を持った子どもを育てる教育であると確信が語られ、教育運動の明るい展望を示す集会となった。
 
 現代の軍国主義教育と斗う力 みなぎる教育者の使命

 集会の初めに人民教育同盟中央本部委員長・佐藤公治氏が「今日は子どもたちのいきいきとした姿、保護者、地域の人の生の声、教師の熱い思いがこの会場で一堂に会したすばらしい会になることに自信を持っている。教育から世の中を変えていく決意で頑張っていきたいと思う」と開会を宣言。続けて集会の基調報告が提案された。そのなかで1、子どもたちの力は無限大、2、上宇部実践で成長する子ども、3、保護者、教師が熱烈に支持、4、「みんなのために」で社会と子どもが変わる、5、今まさに貧乏になって戦争になっていく、6、教師の使命の6項目にわたって報告された。
 集会は子どもたちによる鉄棒やマットなどの体育実践の発表から始まった。最初に宇部市の黒石小学校六年生の子どもたち8人が登壇して、「私は5年生の初め、逆上がりさえできませんでした。今では高鉄棒で懸垂逆上がり、連続前回り、後ろ回りができます」(女子)、「私は跳び箱は怖くて、最初は四段も跳べませんでした。友だちや先生が教えてくれたり、応援してくれたりしたので、今7段が跳べるようになりました」(女子)などと集団体育で鍛えられた鉄棒、跳び箱、マットを実演。毎朝の鉄棒練習や、3クラス合同体育のビデオも上映された。鉄棒では逆上がりや連続前回り、後ろ回り、足かけ回りをし、跳び箱では開脚跳び、閉脚跳び、マットを使った空転など自信に満ちた表情で次次に技を披露する子どもたちの姿に拍手と歓声の声が上がった。黒石小の6年生は80人中70人が跳び箱8段が跳べるようになっていること、「何かできれば、“やりたい!”という気持ちができる。できた子にはより高い目標を持たせ、興味を持続させていけばさらに上達する」(教師)と語られた。
 またマットでは人間芋虫などを披露しながら、「友だちの上を転がるため痛くないように考えなければならないこと、直接に友だち同士の肌のぬくもり、やわらかさを感じることで仲良くなりいじめも解消できる」と教師が解説。子どもたちは、体育の他にかけ算99の練習をしていることや、絵や習字の作品を披露し「みんなで力を合わせてこれからも頑張っていきます」と発表を終えた。
 子どもたちの迫力ある実演に会場が沸くなかで、親たちが続けて4人発言。「今日は朝の練習から参加し子どもたちがいきいきとやっている姿を見て、先生たちが与えたことに対して、子どもが自分の意志でとりくんでいると思った。人間は生きていくなかで意志を持たないことは、ダメな生き方だと思っているので、これからも自分の意志でいきいきと楽しくやってほしい」(父親)、「子どもの姿を見て感動した。黒石小の子どもたちは体育で自信をつけてこれまで以上に学力も伸びている。体育で応援しあっていくことで友だちを思う気持ちも見られてきた。いじめもないし、学力だけでなく音楽や絵画などにも体育のやる気が影響している。上宇部小から始まった実践を今日初めて知ったが、これからも子どもたちがリーダーシップのとれるすばらしい人間になっていってほしい」(母親)、「うちの娘は恥ずかしがり屋で、発表の場に自分から出ていくことはなかった。六年生から急に自分からやりたいといい出して、これも先生のお陰だと感謝している」(母親)と喜びと感謝をのべた。
 続いて北九州市の小学校2年生の子どもたち10人が登壇。1年生のころから暑い日も雨の日もみんなで一生懸命鉄棒練習を頑張ったこと、「私は逆上がりができるようになったので、できない人の足やお尻を持ってあげました」(女子)、「私は友だちができたらうれしいです。みんなで上手になったので、2年生の運動会でつばめと逆上がりをしました」(女子)とのべ、運動会を再現するように教師の笛の合図で全員が逆上がりとつばめを披露した。運動会でできなかった子もその後猛練習してできるようになったこと、体育だけでなく計算100問を全員で頑張っていることなどを語り、「(逆上がり)八八人できるまで応援を続けます。そしてみんなで喜び合いたいです」(女子)とのべると大きな拍手が送られた。
 続いて父母が発言した。「1年生に入学してすぐは、いろいろな幼稚園から集まった子どもたちで心配していたが、“学校で朝、逆上がりをしているんだよ”“みんなで応援してあげてるんだよ”という話を聞くようになって、今まで聞いたことのない他の幼稚園や保育園の友だちの名前も聞くようになった。最後の3学期の参観日で子どもたちが逆上がりを見せてくれすごく上手になっていて、言葉もちゃんといえて成長していた。これから勉強も運動もやっていってほしい」(母親)、「こんな風に鉄棒ができない子がいても教えあって、できるようになれば自分のことのように喜ぶ姿に、すごく成長したなと感じた」(母親)、「すごく恥ずかしがり屋で、声を出すことが苦手な子だが、今回すばらしい発表がいえてとても感動している」(母親)。
 また運動会のときは逆上がりができなかった男子児童の父親は、「春の運動会のときは逆上がりがまったくできなかった息子が、7月に“逆上がりができるようになったから見てくれ”というので冗談だろうと思っていたら公園の小・中・大の3つの鉄棒で逆上がりをやって見せた。昔から“努力は実る”という言葉があるが、陰ながら息子も努力し親の見ていないところで、育っている子どもの姿に感動をもらった。みんなで一生懸命応援しあう、そういう教育をしてくれている先生に感謝したい」とのべた。
 教師の熱い指導のもとで、子ども同士が教えあいながら集団的に心も体も成長している様子が実演発表を通じて参加者に伝わり、その成長を心から喜ぶ父母や祖父母の思いが語られ感動の渦が会場に広がった。
 続いて上宇部実践に学ぶ教師交流会に参加している萩市の教師から、鉄棒やマットなどを全校でとりくむ様子がビデオレターとして上映された。
 ここで今年の第15回広島に学ぶ小中高生平和の旅に参加した子どもたちが登壇。初めに参加した子どもの父母が2人発言した。6年生の長女が参加したという母親は、平和の旅を通じて人の輪に入るのが苦手だった子が自信を持つようになったことを語った。それはカンパ活動で土砂降りのなか同じ目標に向かってみんなで頑張った経験や、カンパをしてくれた人の思いにふれたことで一人の力ではないことを経験したからだとのべた。また親自身も平和の会の活動を通じて学ばされ、現在たずさわる介護の世界で直面する貧困や格差の問題、集団的自衛権の問題などについて、同じ目標に向かって大人も子どもも力を合わせれば一人の力は小さくても政治が変わっていくのではないかと語った。
 3人の子どもが平和の旅に参加したという父親は、広島から帰って子どもたちが熱心に旅のことを語る様子を見て、「われわれ親自身も戦争を知らない。子どもと一緒に勉強しないといけないと思う」と語った。また前段の黒石小などの体育実践の発表についてふれ、「今“体罰”が問題になり先生たちもかかわりづらいなかで、すばらしい教育をされていると思う。頭が下がる思いだ。親も先生任せではなく、家庭での教育を考えないといけない」と語った。平和の旅にスタッフとして参加した母親(看護師)と専門学生(元リーダー)からのメッセージが紹介された。
 参加した子どもたちは、2日間で学んだことを一言ずつ発表し全員で「青い空は」を合唱。その後、被爆者に学び平和の担い手になる決意をこめた峠三吉の詩「序」を群読する大きな声が会場いっぱいに響きわたった。

 平和守る力育てる重責 被爆者らの思い学び

 休憩を挟んだ集会後半からは、教師自身が戦争体験・被爆体験に直接学ぶとりくみのなかで学んだことを3人の教師が発表した。長門市の20代の小学校教師は、元ゼロ戦操縦士の安岡謙治氏に話を聞いた感想をのべた。「多くの人が知らないあいだに国が戦争一色にかわっていたこと、印象に残ったのは、戦争中のつらい毎日のなかにも人人のなかにも思いやりがあったことだ。海軍時代に飛行場を一周走らされたときは一番遅い人にあわせて走ったり、鉄バットでお尻を叩かれた仲間のお尻をもみあった話などは驚いた。人人との思いやりの大切さを感じた」とのべた。さらに現在の集団的自衛権の行使容認など危険な方向に進むなかで、子どもたちが生きていく将来を平和な世の中にするために私たち教育者としてどうあるべきか、責任の重さと教育の役割の大きさを感じたとのべた。
 宇部市の小学校教師は、7月20日の全国青年教師交流会で安岡氏と被爆者の大松妙子氏の体験を聞いて「教育が誤り、型にはまった教育になるとむちゃくちゃになるという話だ。ゼロ戦に乗って戦地に行かれた話は衝撃を受けたが、負けるものかと必死に生き抜いてきた力、自分のことだけではなく仲間を思う心、現地の人を思う強い心とたくましさに衝撃を受けた。この国の平和を守るために必死の思いで全身全霊で体験を話されている」と語った。そのうえで、これまで修学旅行で直接体験を聞いた子どもたちは真剣に受け止めるが、教師自身が、子どもたちが学んだ感動を本やネットなどの調べ学習にすりかえて感動を薄れさせ、形だけの学習に導いてきた反省を語った。「教師として生の声を大事にして伝えていかないといけないと思った。安岡さん、大松さんの思いは、“みんなのために頑張る”という上宇部実践につながる。上宇部実践を通じて育つ力が、今から平和な日本を守り続ける力になると確信している。私たち教師が被爆者や戦争体験者の思いから離れずに子どもたちを導いていきたい」と決意を語った。

 魂にふれた上宇部実践 情熱溢れる若い教師ら

 北九州市の小学校教師は、この間上宇部実践に出会い、被爆者や戦争体験者の体験を聞く経験を通じて学んだことを語った。「安岡さんがいわれた“教育は誤ると恐ろしいことになる”という話を聞き、とてもハッとし重たいものを感じ、教育の重要性を強く思った。“国のため”といって知らず知らずのあいだに国民がいいたいこともいえず戦争に巻き込まれていったことを知った。一緒に聞いた若い先生が“教育ってすごい。子どもを洗脳できるといえばできる”という率直な感想を聞き、教育の力で大変なことにもつながる、教師である自分たちがいろいろなことに気づいていくことが世の中に大きな力を与えていくことを気づいた」とのべた。
 そして、この間上宇部実践に学んで鉄棒逆上がりをとりくむなかで、最初は「全員達成すればいいんだ」「自分がさせてあげた」というような教師の願いからしか見れず、子どもの喜びやできるようになりたいという願いが見えなかったとふり返った。そして実践をすすめるなかで、戦争体験と上宇部実践を結びつけるという内容に気づき始めたと次のように語った。「被爆者や戦争体験者がいう“戦争中は鍛えるなかでみんなで助けあう力が育っていったんだ。私たちはとても仲が良かった。今の人は根性が足りない”という言葉に込められた思いは、現在の“鍛えてはいけない”“できなくていい”という教育への批判だ。その本質を見ることで、体育を通じて鍛える上宇部実践が心から子どもたちの成長を願う教育だと気づき、子どもたちと心から一緒に喜び頑張れるようになり、確信が持てるようになった。被爆者や戦争体験者が今の世の中について、大変危惧している。今を背負う私たちがその思いを学び、“人の役に立つのであれば”と80歳、90歳になっても語られる生き方をお手本にして、父母と子どもと一体となって頑張りたい」と決意をのべた。
 続いて一昨年から各地で定期的に開かれてきた上宇部実践に学ぶ教師交流会に参加した若い小学校教師たちが次次と発言。北九州市の小学校教師が、かけ算99 100問を1日も欠かさず80回以上続けた実践報告をおこなった。「上宇部実践の教師交流会のなかで集団のなかで心も体も成長していく子どもたちの姿に感動した。それに刺激を受けて、自分なりにできることからやろうと、かけ算99 100問を続けてきた。鉛筆の音だけが教室に響くあの緊張感の漂う時間は子どもたちにとっても私にとっても良い時間になっている。継続するなかで一人一人の課題も見え、苦しいことがあっても友だちの存在は大きく励ましあい、クラスの所属意識も生まれている」と報告した。
 別の北九州市の教師は、子どもの体力の低下を危惧し解決しようとする教育実践はいろいろあるなかで、上宇部実践の一番の根本的な違いは「教師が子どもたちの心と力を信じていることだと思う。上宇部実践は教師の技術よりも大事なことがある、教師が持つべき心構え、心意気だ」と語った。萩市から参加した教師は、「上宇部実践にふれるなかで、教師は技術よりも大事なことがあるというのを学んだ。教師自身が“こんな子どもにしたい”というような熱いものを心の中に持っているかどうかだと思う。それがなければうわっつらな教育になるのではないか。今後も教師として、熱い気持ちを子どもにぶつけていきたい」と語った。ここで山口県下や北九州市の教師3人から寄せられたメッセージやビデオが紹介された。メッセージは、上宇部実践の真髄を学んだ教師が、特質を活かして音楽や算数でみんなで協力してできないことをできるようになる喜びを味わわせ困難に負けない子どもを育てる教育を追求していることが反映された。また北九州市の教師は、上宇部実践の大きな柱である体育実践と平和学習が、戦争体験を学ぶことを通じてつながったこと、「上宇部実践の土台としての平和学習は、子どもに戦争をしてはいけない、仲間のことを大切にする、弱い人の力になるなどの大切さを意識させ、体育でそれを本当に力にするんだということがよくわかった。あきらめない心、仲間を大切にする心、何にでも挑戦する気持ちを育て、社会に役立つ人間にすることがはっきりした」とメッセージを寄せた。
 上宇部実践は約四年前から体育重視の鉄棒実践として切り開かれてきた。その先駆けとなった上宇部小の当時の母親が発言し、この間の教育運動の発展を喜び、小学校のときに鉄棒を通じて培った「やればできる!!」の力が中学生になった現在も活かされており、子どもたちの力を中学校の先生にもぜひ見てほしいという思いを語った。
 下関市のPTA関係者は、上宇部実践が大きく広がっていることを喜び、「文科省のレールにそった教育では教育にならない。学力や体力を身につけ、いろんなことに立ち向かう力を育てる上宇部実践を全国に広げ、父母、教師、子どもがスクラムを組んで教育から世の中を立て直していきたい」と語り、来年の教育集会を今年以上に発展させる期待をのべた。
 最後に広島と下関の被爆者3人が発言。広島の上田満子氏は、原爆で弟と母親を亡くした経験を語り、「生かされた命、今みなさんに語っていくことで、絶対に戦争をしてはいけない、次の世代に伝えていってほしい。命の続く限り続けたい」とのべた。17歳のとき被爆した林信子氏は、子どもたちのはつらつとした姿への感動をのべ、自身が4年生のときから日中戦争が始まりずっと戦争だったことを語り、「そんな経験を絶対に今の子どもたちに味わわせたくない。戦争が2度と起こらないようにすばらしい世界にしてほしい」と期待を託した。最後に大松妙子氏は、七月の全国青年教師交流会で若い教師に体験を語ることができたことへの喜びを語り、戦争も知らず教育現場に立ったことのない政治家によってかき回される教育現場、破壊されつつある世の中を危惧し、現在、上宇部実践をすすめる教師たちの情熱に強い期待を寄せた。

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