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日本盾に核戦争企む米国
米軍再編もMDもテロ対策も
              他国恫喝し小型核開発    2008年5月14日付

 広島・長崎に原爆を投げつけたアメリカは、戦後一貫して圧倒的な核兵器を保有し、それを世界に覇権をうち立てる武器としてきた。アジアでは「北朝鮮の核が脅威」といって騒ぎ立て、中東では「テロ支援国家」と叫んでイラクやアフガンに戦争をしかけ、最近はイランやシリアへも戦争挑発を強めている。このなかで日本には「米軍再編」で岩国基地などを大増強し、被爆地広島湾岸一帯を核攻撃拠点にする企みを進めている。アメリカと日本が進めている核戦略について見てみた。
 人人のなかでは今年度から始まった後期高齢者医療をはじめ、欠陥だらけの介護保険改悪などの福祉切り捨て政策、増税や物価高などの生活苦と重ね「なぜ国民が生活できない状態なのに米軍ばかりに金を出すのか」との憤りが沸騰している。インド洋沖で米軍におこなう無償給油支援や、米軍再編に投じられる3兆円、「思いやり予算(米軍基地駐留経費)」として使われる1400億円、米軍のグアム移転で建設する米軍住宅の1一戸6700万円など、どれも国民から搾り上げて米軍に貢ぐ姿があらわれているからだ。
 岩国市など米軍再編に反対した自治体には再編交付金を出さなかったり、市長をかえるなど制裁手法も露骨となっている。

 格段の核攻撃能力強化 在日米軍再編
 このなかで自民党政府がしゃにむに推進する米軍再編計画は米軍岩国基地大増強や、座間への米陸軍第1軍団司令部移転などが柱。このうち際立った特徴は核攻撃能力の格段の強化が盛り込まれていることである。
 厚木基地機能を岩国基地に移転する計画は、核兵器搭載能力を持つ空母艦載機を59機も移転配備し、基地を沖合に広げ2400b級滑走路2本体制にするものだ。当初「水深13bでは空母接岸は無理」と宣伝されてきた軍港整備計画は「もう16b以上の深さに掘られている」と業者間で語られており原子力空母も楽に接岸できるとみられている。艦載機移転は2014年度が完了予定。艦載機部隊の夜間着艦訓練(NLP)基地は現在、馬毛島(鹿児島県)を候補地にあげている。
 近年、被爆県・長崎の佐世保港へ頻繁に原子力空母が寄港しはじめた。06年5月に入港した原子力空母「リンカーン」で見ると同空母は核ミサイルを搭載できる攻撃機など85機を搭載。駆逐艦、フリゲート艦など随伴戦斗艦はすべて核トマホークを搭載できる軍艦。同空母攻撃群のジョン・グッドウィン司令官は「われわれがここにいる理由は日本とこの地域に決意を示すためだ」と豪語した。昨年2月に原子力空母「レーガン」が入港したときもマートグリオ司令官は「西太平洋への展開は同盟国への米国の目に見える関与を示した」と語った。佐世保沖への空母配備計画も動いている。
 際立った増強は、8月に計画がされている、原子力空母「ジョージ・ワシントン」(排水量約10万2000d)の横須賀配備である。同艦の飛行甲板はキティホークより10%拡大。外洋では2倍以上の期間戦斗が可能となる。米軍が空母を国外配備するのは横須賀だけであり米海軍の攻撃拠点とする位置づけだ。
 米軍は横須賀基地には海上からミサイルを発射する任務を持つイージス艦を9隻配備している。海自イージス艦6隻とあわせて日本周辺はイージス艦15隻体制を敷いている。米国防省は06年2月、「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)で「中国は潜在的競争国」と名指しし、太平洋地域に空母6隻以上(現行は3隻)、潜水艦を42隻以上(現行は35隻程度)配備すると明らかにしたが、日本からアジアに向けてミサイルを撃ち込む体制が実行段階に移されている。

 「備え」装い国民総動員 テロ対策やMD
 米軍再編と連動して自衛隊が進めるのはミサイル防衛(MD)網整備である。防衛省の計画では海上発射型ミサイルのSM3は2010年度までに「こんごう」を含む4隻のイージス艦に搭載。海上で撃ち落とせなければ地上配備型ミサイルPAC3で撃ち落とす、としている。PAC3はすでに入間(埼玉)、習志野(千葉)、武山(神奈川)に配備。2010年度までに霞ケ浦(茨城)、浜松(静岡)、饗庭野(滋賀)、岐阜、白山(三重)、福岡県の芦屋、築城、高良台の各基地に配備する。
 このミサイル防衛網の情報源は米軍の軍事偵察衛星となる。米軍は青森県に早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を配備したが「米本土へむかうミサイルの監視と米軍基地にむけられたミサイルの監視が目的」と表明した。「日本防衛」など最初から目的に入っていない。アメリカは日本を米本土防衛の盾として原水爆戦争の火の海にする企みを進めている。
 このなかで小泉―安倍から続く福田政府は「テロ対策」と騒ぎ、「国民保護計画」といって戦時総動員体制を具体化している。沖縄戦をモデルにした同計画は「核ミサイル飛来」の避難訓練に見られるように、日本を原水爆の焦土と化すことが前提だ。日本政府は原水爆戦争を避ける外交努力をぶち壊しては「核の脅威」と騒ぎ、「備えが必要」→「危険が及ぶ前につぶす」と先制攻撃へ誘導するのが常套手段。こうして「有事」となれば有無をいわさず戦時動員できる態勢を具体化している。最近も洞爺湖サミットにむけて北海道にミサイルを配備したり、テロリスト対策で警察や公安などの住民監視を強めているが、こうした動きも米国の核戦略と無関係ではない。

 イランや朝鮮等を挑発 核兵器で包囲し
 アメリカは冷戦終結以来、イラク、イラン、朝鮮などを「悪の枢軸」と呼び、政権転覆を策動してきた。01年にNYテロ事件が起きるとアフガンに猛爆撃を仕掛けて占領。03年にはイラクに「大量破壊兵器をもっている」「テロリストと関係がある」と騒いで、武力侵略を開始した。しかし「大義」の大ウソがばれ、戦況も頑強な反占領斗争で泥沼にはまりこむなか、次なる目標として朝鮮やイラン、シリアの核問題を騒いでいる。06年3月に発表した「米国の国家安全保障戦略」では「先制攻撃戦略の維持」を強調し北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、ベラルーシ、ミャンマー、ジンバブエの7カ国を「圧制国家」と規定。「単一国家としてはイランが最大の脅威」と位置づけた。中国は「世界の資源を一人占めするかのように振る舞っている」とした。
 そしてイランが何を主張しても聞く耳をもたず国際原子力機関(IAEA)による強制査察を押しつけ、いうことを聞かなければ国連安保理で制裁決議をやると屈服を迫った。米海軍はイランや朝鮮への攻撃を念頭におき、米核戦力の中核をなすオハイオ級戦略原子力潜水艦に24基配備した核搭載型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のうち2基を通常型に変更。「核ミサイルは発射用件が厳しい」とし、2基を発射しやすいミサイルにした。
 天然資源防護協議会(NRDC)によればすぐ使える核弾頭保有数はアメリカが1万800発。ロシアが保存している核のうち実質使えるのは8600発程度で、アメリカの核保有数が世界で突出している。他方、北朝鮮の推定核保有数は2発。イランは核保有国と認められていない。世界に「核の脅威」を与えているのはアメリカの側である。
 こうした力関係のなか昨年末、米海軍艦船がペルシャ湾のホルムズ海峡でイランの小型艇に警告射撃する事件を引き起こした。1月には「イラン艇が米艦船を威嚇した」と大騒ぎしブッシュ大統領は「もう1度起こしたら深刻な結果に直面する」と恫喝した。アラブ諸国に「イラン包囲」を呼びかけたが、サウジアラビアもエジプトもイランと友好関係を維持する道を選択。孤立したアメリカは2月、オベリング米国防総省ミサイル防衛局長がトルコからカスピ海沿岸のイラン近隣地域に移動式MD用早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を配備すると表明。4月17日には米英首脳会談でイランに「核兵器保有阻止の制裁」を強化すると決めた。
 4月末にアメリカは「シリアの核開発を北朝鮮が支援していた」と米議会秘密公聴会にビデオや衛星写真などを提出。直後に発表した07年の国際テロに関する報告書では北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、スーダンを再度、テロ支援国家と指定し敵視政策をとることを明らかにした。
 他方、インドやイスラエルとは核兵器を軸にした同盟を強化。06年にインドが通信衛星を静止軌道に乗せる中距離ミサイル(射程3500`以上)を発射したが日米政府はこぞって歓迎した。核弾頭も装着できるミサイルで、インドのメディアは「パキスタンと中国を威嚇するためだ」と報じた。ブッシュ大統領は06年3月にインドと原子力協定を結び「軍事用の原子炉はIAEAの査察を受けず、アメリカが核燃料と核技術を提供する」と規定。米軍がインド洋での軍事行動をしやすくするなどの利害からインドの核開発は激励している。イスラエルも核弾頭200発を保有する核保有国だが、アメリカが査察を求めたことはない。「建国」以後、何度もアラブ諸国に戦争を仕掛けるが、裏で糸を引くのはアメリカである。

 小型核量産体制を準備 「使いやすくする」と
 このなかでアメリカが急いでいるのは小型核兵器の開発である。06年2月には小型核兵器を開発するための臨界前核実験を英国と共同で実施。その翌月に核兵器の中枢部分「プルトニウム・ピット」の生産について、核安全保障局(NNSA)のブルックス局長が、今後6年間で年間30〜40個の生産体制を確立すると表明。年間最大450個を量産する新型ピットの工場を建設する方向を明らかにした。
 そして米議会で2007年会計年度の新型核弾頭の事業予算を06年分の2倍にあたる5000万j(約58億円)を計上。ブッシュ政府は新型核弾頭を2012計年度(11年10月〜12年9月)に製造する方針を議会に伝達。小型核量産体制にむけ、「テロ組織への核物質流出を阻止する」と主張しこれまで8施設でしていた核開発を2大施設に集約し、2022以後は年間125個のプルトニウム・ピットを生産すると決めた。
 こうしたなかでミサイルを配備したイージス艦が、ハワイ沖で活発に発射実験を繰り返している。2月に漁船を沈没させた海自イージス艦「あたご」もその訓練の帰りだった。ミサイル防衛システムは大気圏外で迎撃する上層システムと、パトリオット・ミサイルなどを利用する下層システムで構成されるが、放射能被害の及ぶ下層システムはすべて日本の国土や海域に配備する。米軍岩国基地内での核ミサイル攻撃を想定した待避演習は米兵とその家族だけを国外に脱出させ、岩国市民は攻撃されるにまかせる訓練を繰り返しているが、それは全国共通の問題となっている。
 小泉、安倍、福田とつづく政府はこうしたアメリカの日本を破滅させる戦略に従い、北朝鮮の核開発・拉致問題、靖国神社参拝や竹島・尖閣諸島の問題に関連して、中国、朝鮮へ排外主義をあおってきたが、その外交政策は内外で孤立し破たんしている。中国、朝鮮、アジア人民をはじめとする国際連帯は切実な課題である。そしてアメリカが日本をはじめ世界の労働者を搾取、収奪、支配する根幹が軍事力であり、その最大の武器が原水爆である。日本から「アメリカは核をもって去れ」「米軍基地撤去」「原水爆禁止」の圧倒的な世論を強め、発信することは唯一被爆を受けた国民の責務であり、世界平和に貢献する道である。

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