トップページへ戻る

日本をつぶす小泉構造改革
 時代遅れの市場原理主義
                米国の国益の為に      2005年8月20日付
 
  働く物の主張を力に

 小泉首相の4年半に審判を下す衆議院選挙が迫っている。小泉は「郵政改革を問う選挙だ」と騒いでいるが、郵政民営化が国民にとってなにかいいことがあると思う者はいない。小泉は構造改革を叫び、それに抵抗するものはみな時代遅れのように騒いできた。しかしそれがすすむほどに、国民にとってはろくな結果にならなかった。この構造改革は、日米構造協議などといってきたものであるが、協議とは名ばかりで日本からアメリカの構造を改革する要求は一つもなく、もっぱらアメリカ側から日本の構造を変える要求が出され、その指示を植民地総督のような調子で実施してきたものである。西部劇や「真昼の決斗」などアメリカの野蛮文化に心酔する小泉や、アメリカ派遣のような学者大臣の竹中などの新型人間がその旗を振ったが、この選挙でも頭の回転の速い女官僚とか、すべてはカネ次第というアメリカ型商売人のホリエモンとか、「義理や人情」とは縁もゆかりもないタイプの新型人間を落下傘候補で押し立て、構造改革に突っ走ろうとしている。だが連中がどう騒ごうと投票するのは国民である。

 激増した自殺や倒産
 小泉は登場以来、メディアに支えられて「聖域なき構造改革」などと叫んできた。この構造改革は日本側から要求したのではなく、アメリカが要求して多国籍型の売国的な独占企業が旗を振ってきたものである。アメリカ大使館が毎年進ちょく状況をチェックして「年次改革要望書」という形で小泉に細目にわたる指示を義務づけ、小泉だけでは頭が回らぬとして米国ハーバード大客員准教授である竹中を特命大臣につけさせ、トヨタの奥田らによる経済財政諮問会議で決めた格好にして、国会などは賛成の事後承認を与える付属機関となって、首相官邸主導で強行してきたものである。
 小泉は四年半まえ「自民党をぶっつぶす」といって登場したが、結果は日本をぶっつぶすものであった。「改革なくして景気回復なし」といったが、景気になったのはアメリカと特定の大企業だけのボロもうけであり、おびただしい中小企業も農漁業者も、労働者も首つりに追いこまれるばかりの結果となった。
 小泉首相や竹中大臣は国会答弁で「景気は緩やかに回復しつつある」としてきたが、大もうけをしているのは、新生銀行を買収したリップルウッドのような外資系買収ファンドや、超低金利のもと史上最高の増益増収をあげる大銀行、おもに海外輸出により純利益1兆円をこえたトヨタなど、自動車産業や電気機器産業などのごく一部の大企業であった。労働者や農漁民、中小業者の実態は、倒産や賃下げにさらされて家族を養うこともままならず、「景気の回復」とかけ離れた、自殺や夜逃げの自由競争にたたき落とされてきた。
 自殺者数は1998年から7年連続して、年間3万人台を突破している。2004年は3万2325人で、95年から10年間で1・5倍にまで激増し、この間に約30万人が命を絶っていった。小泉になってから15万人近くが殺された計算になる。昨年の自殺者のうち働き盛りの30〜50歳代の男性は、1万3402人(4割強)にのぼった。日本は戦争と同じになり、自殺社会に“改革”されたわけである。
 2004年の企業倒産は1万3837件で、負債総額は約7兆9300億円だった。ピークだった2000年は約2万件で、負債総額は約24兆円であり、この4年間で約7万社がつぶれた。昨年は負債1000億円以上の倒産が4件、100億円以上は146件で、不良債権処理で大型倒産はへったが、中小企業がなぎ倒されてきたのである。

 不安定雇用が増加 食えない状態が広がる
 今年6月の完全失業者数は280万人で完全失業率は4・2%としている。2002年10月に過去最悪の5・5%(男性、5・9%)を記録して、減少傾向にあるとしているが、失業中の一時的アルバイトも雇用者としてカウントしており、実態はこのようなものではない。また雇用者総数の5410万人のうち、パートタイム労働者が1259万人と4分の1を占め、派遣労働者や契約社員がふえている。働いても食えない状態が広がっている。
 働く人人の家計は火の車となっている。経済財政白書によると、95年まで日本の家計貯蓄率は10%台で主要諸国一位だったが、九九年ごろから急激に下がりはじめ2001年に7%以下になり、最低ラインの米国なみとなっている。2004年の出生率は1・29%で過去最低となっており、離婚件数は29万組で過去最高を更新しつづけている。妻子を養えず食べていくことができない低賃金では、将来の不安が大きすぎるため若い人たちも子どもを生めなくなっている。
 
 米国指図の「改革」
 アメリカの要求でおこなわれてきた構造改革が、働くものを生きていけないように追いこんできた。アメリカは、1985年にはプラザ合意で超低金利、円高を、89年には日米構造協議で200項目にわたる要求を突きつけた。つづく93年には日米包括経済協議で日本市場の自由化、開放化を迫った。アメリカは95年からの10年、日本での市場開放の「障壁」を崩すため、具体的な要求を文書で示し、その実行を監督、指図してきた。
 日本の商業マスコミはふれないが、米国大使館は「日本政府への米国政府の年次改革要望書」というものを公表してきた。項目ごとに各省庁の担当部局にふり分けて検討させ、各種審議会での自主的報告の形をとったうえで、法律や制度の改革として実行してきた。小泉政府のすすめてきた構造改革は、細目にわたって米国に指図されてきたものである。「改革」の中身はすべて米国がつくったもので、小泉首相や竹中大臣が段階を画した対米従属政治をおこない、日本社会をいっきにズタズタにした。
 小泉首相登場の半年まえの2000年10月、憲法九条放棄を要求した元国務副長官アーミテージ、日米安保「再定義」にかかわったハーバード大学のジョセフ・ナイなどが中心となり、俗称「アーミテージ・リポート」が発表された。「米国と日本・成熟したパートナーシップにむけて」と題する、米国防大学の国家戦略研究所のリポートで16人が研究メンバーとして名をつらねた。
 リポートでは経済と安全保障の一体性を強調したうえで、これからの日本経済についてつぎのようにのべた。@市場開放をしてグローバル化したゆまぬ規制緩和と貿易障壁を削減する、A高齢の労働者(終身雇用でエンジョイしている)や保護産業などを改革せよ、B金融問題をいまだ適切に認識しておらず、欠陥がありC橋、トンネル、新幹線など利益誘導的な公共事業の中止、D外国から直接投資をふやし、収益性に重きを置く、E米国基準の企業会計や商習慣の確立。
 アジアにおける米国の利益は、繁栄し成長しかつ活発な日本経済の恩恵を受けていることを記したうえで「改革が行われないことによって、米国企業の利益が冒とくされ、世界経済が危機に瀕する場合は、米国は正当な権利を持つ」などと、安全保障にまで踏みこんで迫っていた。
 
 企業乗っ取り促進  商法等法制度も改造

 小泉の総裁選勝利は日本国内の常識を覆すものであった。それはメディアの支えが大きいものであったが、その背後でアメリカが動いたことは疑いない。小泉は首相ポストにつくなり2001年6月にブッシュ大統領と、「規制改革および競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)を新たに発足。それは「米国の製品・サービスの日本市場へのアクセスを妨げる法律、規制、行政指導などの措置を改革するよう」強く求めるものだった。その後に出された「年次改革要望書」によると、「政府慣行、法制度、商法」に盛りこまれた日本的なやり方を「時代遅れ」といい、米国の企業が入りやすいよう改造するために、露骨な内政干渉をくり広げてきた。
 2004年2月に新生銀行が株式再上場したが、米国の乗っとり見本のようなものだった。新生銀行は1999年に破たんした旧日本長期信用銀行を、米投資会社リップルウッドが10億円で買いとったもの。再上場により13億5000株のうち4億7000株を売却し、収入は約2500億円に上り、保有株価のふくみ益6000億円をあわせて、約8500億円を手に入れた。リップルウッドはこの買収だけの目的会社を、外国投資収益に税金がかからないオランダへ置いたため、日本には課税権がなかった。
 日本政府は新生銀行の再生として、巨額な利益をあげても税を払わない投機会社のために、旧長銀の債務超過の穴埋めに3兆6000億円の交易資金を注ぎこんできた。また債権や株式など資産買いとりで3兆9000億円を投入し、これも返ってくるかわからない。さらに瑕疵(かし)担保条項といわれる、貸出債権が不良化すれば政府が帳簿価格で買いもどすという、とんでもない契約をしており、2003年2月の期限切れまでに、新生銀行の債権8800億円を買いとっている。
 リップルウッドが買いとった新生銀行は、「そごう」の債権放棄拒否をはじめ徹底的に貸しはがしをして、取引先6000社を半減させた。米投資会社は国内産業の育成などという姿勢はなく、もっぱらもうけの手段にしてきた。貸出額は3年半で約7兆円から3兆4000億円にまで激減した。貸出などの非効率なことはやめて、有価証券売買やローン証券化などといった、投資銀行的な経営に切りかえていった。そのほか旧山一証券、旧日債銀などが乗っとられたほか、りそな銀行などいくつかが米投資会社に狙われている。東京証券取引所の全銘柄のうち、外資が2割を所有しており、優良企業のなかでも完全に乗っとられたところもある。

  米国の財政赤字補てん 巨額な米国債抱えこむ
 またひじょうに理不尽なことは、巨額なアメリカ国債をかかえこんでいることである。30年もの国債となれば、その間のドル安はそうとうのもので、360円だったものが100円になれば250円分はただでやったことになる。日本の財政赤字をつくって、アメリカの財政赤字を補っているのである。日本の銀行は日本政府の国債をかかえ、市中にはさっぱり資金が回らないようなシカケとなっている。
 小泉政府は「円高ドル安になれば、日本の輸出企業(自動車や電機)が打撃を受ける。日本の国益を守るためだ」といって、円売りドル買いの市場介入をおこない、米国債を79兆円も買いこんできた(2004年9月の残高)。その結果、米国債発行残高の海外保有残高2兆jのうち、4割を日本が占めることになった。03年度には市場介入額は、過去最大の32兆円で、前年度の8倍に達した。枠をほぼ使い切ったため、04年度には国家予算の2倍近い140兆円まで枠を広げた。
 米国は巨額の財政赤字と、貿易赤字をかかえており、大量に発行される国債を日本に買いとらせることで、長期金利の上昇を抑えて経済的な破たんをまぬがれてきた。日本から資金を巻きあげることでパンクを回避しているのである。03年度のドル安阻止の介入は、欧州諸国がまったくしないなかで、小泉政府の異常介入が、翌年のブッシュ大統領再選にむけた政治経済の情勢を有利にした。日本政府は20年間、対外投資のほとんどを米国債にふりむけてきたが、買い集めた米国債はニューヨーク連邦準備銀行に預けられ、日本側が勝手に売れない仕組みになっている。
 
  空洞化が進む日本 破産必至の市場原理
 アメリカの指図ですすむ構造改革は、市場原理主義、規制緩和を内容とするものである。それはアメリカと同じような制度に改革させるというもので、アメリカ資本が自由勝手に日本市場を乗っとることができるようにするというものである。
 その結果は度はずれた貧富の格差としてあらわれている。法人や富裕層の税金を軽減し、大衆課税を強める。農業や漁業はつぶして食糧が自給できないようにする。社会保障とか教育、医療などを切り捨て、自己負担としてほうり出す。大学も効率、損か得かが基準に、市町村は合併させて地方自治などなくしてしまおうとしてきた。
 市場原理、構造改革は70年代からアメリカではじまり、80年代、90年代には中南米に押しつけていまでは総反撃を受け、ソ連、東欧崩壊後に採用させたが惨たんたる失敗をしてきた。イギリスはサッチャーが実行し、ウィンブルドン現象といわれるような国内経済の選手はアメリカ資本ばかりというような空洞化となった。このように失敗してきたものを小泉にやらせ、つぶれかかったアメリカに食いつぶさせようというのである。
 市場原理、すなわち資本のもうけ一本やりというわけだが、これは金利稼ぎをこととする投機主義者どものいい分であり、それでは生産を基本として成り立っている社会の実際に逆らうことになり、パンクするのは当然となっている。この金利稼ぎどもも、稼ぎのもとは世界の働くものがつくり出した富を、あれこれの操作でぶんどっているだけである。
 そして封建時代の手工業生産と違って、資本主義社会の生産活動は、国をこえて無数の働くものが協同、協力して生産している。しかも働くものにとっては自分のためではなく、人のために生産している。これを個人個人に分断し、自己責任、成果主義、個人競争とだけいっていたのでは、社会の根本である生産活動が成り立たない。
 市場原理、構造改革というものは、時代の先端どころか、欲の皮が突っぱっただけの野蛮時代の原理にほかならず、社会をさんざんに荒廃させるだけの、とんでもない時代遅れの原理である。この「市場原理」を神様の教示のごとく崇拝し、構造改革を叫ぶ小泉政治は、疑いなく日本をぶっつぶし、アメリカ合衆国のハワイにつぐ州にしてしまいかねないものである。これにたいして、社会を支えている働くものが、そのあたりまえの主張を束ねて、どこまで力にするかが、今次選挙でもっとも注目されることである。

トップページへ戻る