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二井県政・与党議会への審判
告示迫る山口県議選
             基地・原発・合併等に憤激   2007年2月16日付

 山口県議選の告示(3月30日)まで残りわずかと迫り、県内で、は動きが慌ただしくなっている。4月の統一地方選は7月に続く参議院選挙への前哨戦になるだけでなく、来年8月の県知事選挙において、3期12年続いた二井県政への審判と直結していく意味合いをもっている。安倍首相の地元・下関で今月おこなわれた市議選では、自民党安倍・林支配が大凋落したばかりだが、二井関成県知事(林派)と、構造改革の旗振り役を務める林芳正参議院議員(内閣府副大臣)ら自民党林派体制への県民の批判世論は、4年前の比ではない。近年、市町村合併によって農漁村に大なたを振るい、漁協合併では自民党林派がこしらえた200億円超もの巨額の負債を漁民に肩代わりさせ、上関原発を推進し、岩国の米軍移駐問題では下請圧力機関と化してきた権力構造との対立・矛盾は、きわめて鮮明になってきた。飼い犬と化してきたオール与党県議会の面面も、その評価を問われる。

 注目あびる熊毛、岩国、防府等
 県内の市町村の数は4年前に56あったのが、合併によって、22まで減った。それにともなって、県議選は選挙区が22から15に再編され、定数は53から49に減った。農漁村地帯が都市部に併合されたのが特徴で、1人区は消滅した。前回は無投票が9選挙区に及ぶなど過去最多となったものの、今回は全選挙区で実施される見こみとされている。特徴的な選挙区や候補を見てみたい。
 全県的に注目されている選挙区の1つが、熊毛郡区(定数1)だ。県議会に出てくる原発地域の「顔」が推進になるか、反対になるか、議席が絞られたなかで関心が高まっている。自治体合併で旧大和町、旧熊毛町がそれぞれ光市、周南市に組み込まれたことから、今回は上関、平生、田布施町の3町と選挙区が縮小。原発推進の旗頭であった現職の吉井利行県議と、「原発反対」を主張する小中進県議の2人が立候補表明している。
 メンツのかかった中電は3月から本格始動して、弱体化が指摘されている吉井陣営のテコ入れをはかるとも語られている。また、旧社会党出身の山田健一・平生町長のブレーンが吉井応援に動いており、「山田が原発推進になった」という声もある。原発推進構造にたいして、上関町内と周辺住民が団結して跳ね返す選挙となる。
 前回選挙では、はじめて原発反対を主張した候補が出てきたことから、大ベテランだった亀永恒二元県議(連合山口とつながった原発推進候補)が振るい落とされた経緯がある。「原発反対」の受け皿として世論に便乗した小中進県議だが、信用をなくすための「反対派」という評価もあり、住民のなかでは複雑なところがあるが、「地域の意志として吉井を勝たせるわけにはいかない」との思いが強まっている。
 旧玖珂郡区が統合された岩国市(定数5)では、昨年の市議選にもまして米軍再編問題への態度が最大争点になっている。地域では米軍や防衛施設庁と一体となって市民に襲いかかる二井県政にたいして、我慢ならない思いが渦巻いている。自民党からはベテランの山手卓男県議、畑原基成県議、橋本尚理県議のほか、元市議の河谷慎二氏が立候補予定。米軍再編問題の渦中でいち早く「現実的対応」といって腰砕けになった元由宇町長・槙本利光氏も無所属看板で名乗りを上げた。
 このなかで、嫌われ者「日共」の久米慶典元県議と、藤谷光信県議の後釜として出馬する民主党の吉敷晶彦氏が立つ。衆院選の得票では自民党候補を上回る民主・平岡代議士の地盤でありながら、1議席しかとる気がないというのも、自民党体制とのおかしな関係を物語る。また市議選で意味深な票の振り分けをやった公明党は、当選確実なのに候補を擁立しないというおかしな現象で、自民党に票を流すキーマンなのだと見なされている。
 二井県政は市町村合併を強権で進めてきたが、拒否した防府市(定数4)では合併問題が大きな争点となっている。この地域では、中国地方議長会のボスとなった自民党・島田明県議会議長が長年安泰をむさぼってきたが、昨年の防府市長選では合併に反対する市民世論が、二井県政・自民党・連合の相乗り候補を破るなど波乱が起きたばかり。松浦正人市長と協力体制をとった2人の新人が県央合併に反対する立場で登場し、合併反対世論と敵対した島田、斉藤良亮両県議のベテラン組に牙をむいた格好だ。公明の石丸典子県議のほか、マツダが労使一体となって推す木村康夫県議をふくめた6人のうち、2人がふるい落とされることになり、興味深い様相となっている。県議会では、吹田幌元自治相(96年の知事選で、二井知事に破れて落選)の伏兵として、その後争った二井知事と馴れ合うことでポジションを固めた島田議長体制が8年間も続いてきたが、市民を恫喝した影響がどう反映するのか、足下から牙城が突き崩されるのか注目されている。

 大島や下松でも選挙に 漁協合併批判渦巻く
 20年間無投票が続いた大島郡区と、12年間無投票だった下松市でも今回選挙がおこなわれる。大島では、自民党県連3役の柳居俊学県議がボスとして君臨してきたが、無投票阻止で高齢新人が飛び出して有権者を喜ばせた。町内ではとりわけ地元漁業者(東和町)のなかで反自民の盛り上がりがあり、「参議院選で林芳正を落選させるまでつなげたら漁民の勝ち」と世論は沸騰している。
 その他、山口県政を揺るがした漁協合併問題とつながって、漁民に恨まれるか、あるいは見放された候補は多い。萩市・阿武郡区(定数2)では、選挙区統合と定数削減によって自民現職の3人が争うしかけとなった。柳居県議の盟友で同じく自民党県連3役の新谷和彦県議にも厳しい視線が向けられる。「農水(委員会)の新谷」を自慢する割には、漁民に自民党林派のツケを転嫁するのに加担し、漁協上層部とつながってうごめくなど、林派・二井県政の子飼いのような実態があまねく暴露された。しかしその他の2人も市民から見れば似たりよったりで、田中文夫県議、小河啓祐県議の3人による争いは、むしろ“切り捨てられる地方”の虚しさも漂う。
 ちなみに漁民が辟易した候補のなかでは、下松市の守田宗治県議(弟が県漁協幹部に成り上がって威張り散らしている)や、票欲しさで覗き見をするが、さして役に立たなかった宇部の佐々木明美県議や久保田后子県議、漁協組合員ながら体を張って漁民を守ろうとしなかった下関市豊北町出身の藤山房雄県議、地元は大揺れしているのにイノシシの心配ばかりしていた吉田和幸県議(下関市豊浦町・漁協組合員)なども冷めた視線で見られている。
 下関市(定数10)では市議選同様に郡部乱立の模様で、旧市出身の現職にとっては比較的安泰の構図。自民党安倍派の西本県議が亡くなった後釜には菊川町長だった林哲也氏が出てくるほか、合併で町長職を失ったなかでは旧豊浦町の浜岡歳生氏も立候補を表明。予定される13人のうち10議席を争うわけだが、これまで2議席を争っていた旧郡部からは5人の立候補予定者がいる。
 県議選は各選挙区でさまざまな争点や特徴をもちながら進行している。しかし全般として、3期12年目に突入した二井県政と県民との矛盾関係、さらには、構造改革路線を突っ走る国政と、県民との対立関係のなかで争われている。県政や県議会というと日頃なにをしているのか見えにくく、国政、市政の中2階に住民の監視は届きにくい。しかし各分野で県民生活に大打撃を加えてきたのは、ほかならぬ二井県政であり、飼い犬議員にたいする審判は、二井県政の姿をあぶり出さずに下すことはできない。
 二井知事の3期目の任期は8月でのこり1年となる。本人は4期16年にむけて意欲を見せており、「住み良さ日本1の元気県」にするのだと主張している。「1足す1は“二井”」「セミが“二井”“二井”と鳴いております」などと叫んで回った実質無投票の前回選挙で、当選後やった施策は国政の下請機関にすぎず、県民生活の破壊だったという実感は各分野でひじょうに強まっている。

 第2次合併も策動 22市町を9市に再編へ・県身売りの準備
 県は昨年、新合併特例法の期限が切れる2009年度末までに県内22市町を9市に再編するための第2次合併構想をとりまとめた。道州制=県の身売りへのいわば事前準備といったところで、自治体、ないしは住民の頭上を通り越して、県知事には合併勧告権限まで与えられるというおかしな事態のなかで、動きがはじまった。反発する防府市などがもっとも特徴的に状況をあらわしている。この4年間で、各地の県民局が町や村をスパイをし「指導」して解体してきた。そのことによる中山間地の疲弊はいまからさらに深刻さを増す状況だ。
 かかわって本庁組織や出先機関の再編。土木や教育事務所、支所の廃止や、職員を10年度までに1164人削減するほか、今後は土地開発公社や道路公社の廃止、農業試験場や畜産試験場、産業技術センターなど6カ所の試験研究機関の統廃合も予定。切り捨てはとりわけ第1次産業に集中しており、漁協合併によって山口県漁民を2000〜3000人ちかく淘汰して、水産部は水産課に格下げするという事態も起きた。
 切り捨ての根拠とする「財政が苦しい」という県の台所事情は、二井知事が就任した96年以後、県債残高は約5000億円増とすさまじい勢いで伸びて、今年度末には、過去最高の1兆1567億円に到達する勢い。県財政の貯金にあたる基金は取り崩すばかりで、残高は1年分もない(150億円)ほど使い果たした。山口県の県債は主に山口銀行などの金融機関が買い取っており、利子は2%。借金返済にあたる来年度の公債費のうち、利払いだけで205億円にのぼり、県政の箱物事業でいかに金融機関が儲かったかわかる。山口県政史上、もっとも短期間のうちに借金を増やした男というほかないが、それほどの箱物事業や巨額の金使いをやってきたことのあらわれである。
 その結末が道州制による身売りというプログラムである。自民党林派が山口県信漁連の預金を200億円食い潰して漁民に肩代わりさせ、二井県政・水産部が強烈に誘導したが、同質のやり方で県民全体に尻拭いを強いるものとなる。

 岩国や上関も矛盾激化 原発や基地で暴走
 岩国では、米軍基地の沖合拡張に必要な土砂を確保するため、県は約850億円の資金を投入した愛宕山開発事業を実行してきた。失敗するとわかっていたこの事業の巨額の損失は県民と岩国市民がかぶるだけでなく、丸ハゲにした山を米軍住宅に転用する意図をもって、はじめからやられてきたものだ。
 米軍再編とかかわった厚木基地機能の移転問題について、圧倒的多数の岩国市民が反対意志をつきつけたのちも国の強権はやまず、昨年末には07年度予算案で岩国市の新庁舎建設事業にたいする補助金35億円の予算要求を見送るなど、兵糧攻めを敢行。当初は「地元の意向を尊重する」といっていた二井県政も早早に裏切って、岩国市にたいしては「現実的な対応」を求める動きとなってきた。自民党県議どもは、愛宕山開発の丸ハゲ跡地を米軍住宅への転用も前提にして「早期解決せよ」と主張する有り様である。
 上関原発計画でも、2000年には林派である二井知事が計画に同意、それを受けて中国電力の取締役に林孝介氏(林義郎元代議士の実弟)が就任したことともあわせて、一族の利権で郷土の売り飛ばしをすすめることに強い反発の声が強まった。このとき、自民党も民主党も県議が一丸となって知事同意を求める動きにもなった。その後も祝島漁協の漁業権売り渡しを意味する漁協合併では、県水産部が何度も島に渡って切り崩しを実行するなど奔走してきた。
 県民と県政、県議会との矛盾がかつてなく高まっているなかで、各選挙区における審判がどのような形で反映するのか、大きな注目点となっている。二井県政が実行してきたのは国政の執行機関としての下請であり、それは参議院選にもつながる県民の審判となる。53人もいる県議会が、上関原発にせよ岩国基地問題にせよなんら県民の意志を代表せずにただの承認機関となってきた現状、地方切り捨ての構造改革と強権政治にたいして、県民がどのような判断を突きつけるのか関心は高まっている。

 20年ぶりの県議選大島郡区戦 
     柳居独裁体制に審判 漁協合併等批判うっ積

 大島郡区には、36歳で初当選以来、4期連続で無投票当選してきた自民現職で住職の柳居俊学氏と、町議で神職の黒田壇豊氏が立候補を表明。周防大島町民からは、「ながらく無投票が続き、閉塞感と大きな問題が生じていることに疑問を感じる」「郡民党として県政に声を届けたい」と対抗馬が出て、選挙戦となったことが喜ばれている。
 柳居氏の陣営がもっとも恐れているのが、インチキな総会などによって強引に押し切られた漁協合併に反発する漁業者の離反だ。
 お膝元である旧東和町では、「漁業者のための組合を!」を合言葉に漁師の行動が続く。柳居氏と県の後ろ盾をいいことに小田運営委員長は、ゴチ網禁漁区を勝手に解除したり、漁協資産や漁業権を好き放題に売却・貸与しようとしたりと暴走をエスカレートさせている。最近では、小田氏支持できた地区の漁業者までが、「横暴な組合運営に我慢の限界」として反乱を起こした。同様な反発は、柳居氏も関与して合併させられた郡内の他漁協組合員のなかにも渦巻いている。
 岩国基地への空母艦載機部隊移転問題も町民の重大な関心を集めている。「大島の静かな空を守る会」が取り組んだ反対署名は、町民の6割を超えた。柳居氏は、県議会で米軍関連担当議員として容認する二井知事らと行動をともにしている。中本冨夫町長が、幾度となく町民から「反対するように」と申し入れされても受け付けないのも、「県議がバックにいるからだ」といわれる。黒田氏は、「郡民の6割の意志を受け止め、移転には反対する」と表明している。
 また、久賀では久賀高校の安下庄高校との統合反対署名が、地域をあげて取り組まれた。署名は、短期間のあいだに1万438人にのぼり、嘆願書や要望書も出されたが、「聞く耳を持たなかった」と語られている。関係者のなかでは、「当初、久賀が存続する話だったはずが、柳居氏などが関わり1カ月の間にコロリと変わってしまった」と憤りが強い。地区民のなかでは、「柳井や大畠から通ってくる生徒もいるのに、なぜ不便な安下庄にしたのか?」「郵便局もなくなって、久賀は寂れるばかり」との声が語られている。

 各町民運動が響き合い世論に
 町民のなかでは、様様な問題がつながりあって論議が広がっている。
 東和の漁師の1人は、「20年選挙がなかったこと自体が異常だ。これまでも、対抗馬がでようとするたび“降ろされた”という話はよくあった。合併総会のころには、柳居氏が直接電話をかけて“賛成しろ”とやったりもした。合併の結果は、組合員の大量脱退など、漁協の崩壊だった。みんな腹をたててるんだ」と話す。
 別の漁師は、「みなが問題にしているのは、漁協合併だけに留まらない。市町村合併、農協合併、学校統合などすべてに柳居さんが絡んでいる。大島代表なのだから郡民の立場でやってくれればいいが、いつも国や県の側で、大島は切り捨てられるばかりだ。このまま郷土がすたれるのを放置してはいけないという思いが強いんだ」と語った。
 久賀の住民の1人は、「4期も無投票できたが、柳居さんは独裁者みたいな政治を住民の声を聞かずにやっている。学校問題にしても財政状況が悪いからなどというばかりだ。みなさんの不満は、去年の春過ぎから渦巻いていたが、いままで眠っていた人たちがいきりたってきた。ここでがんばって、大島を変えないといけない」といった。
 そのほか、郡民のなかでは、「柳居氏に対抗すれば、脅しと復讐がすごい」と何人も立候補を断念したこと、東和の漁業者に対して手を変え品を変え方方から圧力がかけられていることなどもうわさとなっている。

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