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二井県政10年余でどうなったか
告示近づく山口県議選
            自殺者は毎年400人も   2007年3月5日付

 今月30日に告示を迎える県議選は、旧自治省から天下った二井関成県知事の3期10年余(来年8月に知事選)におよぶ県政とその使い走りをしてきた、県議会に対する県民の審判となる。二井県政は、戦後つづいた岸・佐藤の反動県政からの転換として県西部から登場したが、上関原発計画の推進、岩国米軍再編の推進、自治体合併や漁協合併の強権的な推進、そしてきらら博などのバカ騒ぎでのむだ遣いなどをやり、県民生活を極端に切り捨ててきた。「しっかり聞いてしっかり実行」などといってきたが、もっぱら国のいうことばかりを聞いて県民のいうことは聞かない小役人政治であることが怒りを買ってきた。県議選挙は、二井知事のへりで日頃何をやっているのかわからない県議たちの信任を問うものとなるが、それは二井県政にたいする全県民の審判となる。さらにアメリカ帰りで「構造改革の政策通」と称する林芳正内閣副大臣が登場する7月の参議院選挙につながる前哨戦としても、たいへん注目されている。
 二井県政は「住み良さ日本1の県づくり」を標榜してきた。しかしながら、県民のなかではまったく裏腹だったという実感が強まっている。「しっかり聞いて、しっかり実行!」したのは自民党や中電のような大企業、米軍の主張であり、県民と敵対する政策が、各分野で怒りを買ってきた。県議選は選挙区ごとにさまざまな争点や特徴をもちながら進行しているが、全般としては、この二井県政と県民との関係、構造改革路線を突っ走る国政と、県民との対立関係のなかで争われる。二井県政の10年余で山口県はどのようになっているか見てみた。

 岩国には制裁政治 米軍の下請の姿を露呈
 山口県政のアキレス腱と見なされてきた岩国米軍再編問題では、ならず者部隊の受け入れ推進で旗を振り、岩国市民を「ならず者」扱いして住民の逆鱗に触れている。安倍首相がテコ入れした住民投票、市長選でも岩国市民は圧勝するなど、その強いたたかいに全県民が注目の眼差しを向けている。
 当初、厚木基地からの移転が表面化したとき、毎度の調子で「地元の意向を尊重する」といっていた二井県政であるが、市民世論が盛り上がるにつれて、安倍内閣と連携した強権をムキだしにしていった。県議会も自民党が「現実的対応をせよ」と叫び、山口県の強権勢力がフル動員で襲いかかっている。
 県政が主導してきた愛宕山開発事業では米軍基地拡張の土砂を世話したおかげで、県と岩国市が262億円もの借金を抱えるという、デタラメな事態に立ち至った。約850億円もの資金をぶちこんだものだ。しかし、その穴埋め策などといって、当初から取り沙汰されていた米軍住宅への転用策が持ち出され、強硬姿勢となっている。
 先月から岩国市内で開かれている住民説明会では、どこでも住民の怒りの声が噴き出した。自治会連合会が反対決議を上げた際、地元・橋本県議がもませたものの、自治会長たちの勢いがはるかに上回ってアウト。コワモテ政治とそれに屈服しない住民との鋭い斗争が続いている。
 岩国市民が激怒しているのは、県政が米軍や防衛施設庁の下請けになって、また中央の自民党政府と一丸になって圧力を加えてくる有り様である。国は約束破りの市庁舎建設への補助金を拒否。四方八方からの圧力を加えれば加えるほど、住民の怒りの行動が盛り上がっている。

 深刻な農漁村疲弊 全国でも突出・限界集落は約420に
 山口県で深刻なのは農村集落など過疎地の疲弊が、全国よりも突出していることだ。
 今年2月に入って、国土交通省は今後全国の2641集落が消滅する恐れがあるとする調査結果を公表した。過疎地域を抱える自治体におこなってきたアンケートに基づくもので、「10年以内に消滅する可能性がある」のは422集落。「いずれ消滅する」のが、2219集落というものだ。近年、「限界集落」(65歳以上が集落人口の5割を超えて、社会共同生活の維持が困難な地域)という言葉まで飛び交うようになり、地域格差が問題視されるようになった。それほど国土の切り捨て偏重政治が進行してきたのである。
 なかでも山口県は、中山間地(約3300集落)が県土の7割を占め、全国と比較しても農業集落の減少が急速に進行している。規模が小さく、高齢化が著しい県東部の集落はとくに深刻な状況に直面しているとされる。2003年を境にして「加速度的に進行している」と危惧(ぐ)され、小泉改革の“地方切り捨て”によって拍車がかかった格好だ。これは集落崩壊までおいこんだ国、県の農政崩壊である。
 もっともひどい地点として注目されている岩国は、限界集落を129カ所も抱えている。山口県全体の限界集落が約420と数えられているので、約3割が集中する過疎地域だ。高齢化率70%で集落世帯数が9世帯以下の「危機的集落」が31カ所。高齢化率50%で19世帯以下が九98カ所。
 しかし萩の山奥や阿東町、その他の農業地域も似たり寄ったりの状況には変わりない。上関原発立地点の四代地区なども年年地区住民が減少し、残された年寄りの暮らしは深刻さを増す。「○○さんの住んでいた家」には廃屋に草が生え、数10年をともに助け合った年寄りは余計に寂しい気持ちになる。農漁業の無惨な破壊が基本となって、自治体合併や構造改革で予算まで切られて、それぞれに伝統と文化を育んできた郷土が荒廃し、崩れかかっているのである。
 国土交通省の打ち出す方向としては、日常生活の助け合いすら難しくなる地域については、行政主導の集落再編・統合を促す。残された年寄りを土地から切り離して「集団疎開」させるという誘導策である。全国調査では4割の自治体が官製的な集落合併を検討していると応える有り様だ。中央官僚の脳味噌からは、「“都市のコンパクト化”によるインフラ等の維持管理の効率化」が叫ばれるほどで、「人口を集約すれば道路交通も目標値が定まる」など真顔での発言がくり返されてきた。県が市町村課や各県民局にスパイさせ、強烈に誘導した、自治体合併なり地方切り捨てというのが「そういうことだった」のである。「10年先には、人っ子1人いなくなる…」のつぶやきが現実味を帯びはじめて、過疎地域の思いはしだいに怒りに変わってきた。
 二井県政は来年度予算の目玉として中山間地域対策事業に力を注ぐといって「中山間地域集落ネットワーク形成支援事業」に1800万円、「やまぐちスロー・ツーリズム推進事業」に760万円の鼻くそ程度の予算をつけてアピールする。しかし自治体合併で切り捨てられた額に比べれば、雀の涙にも満たない“ありばい予算”。国体に使う競技場関連に200億円、宇部興産のために作っている湾岸道路などにぶちこんだ650億円と比較すると、低い位置づけであることは一目瞭然である。

 県内の農家6万軒も減40数年の間に
 県内の農村の疲弊状況を農家数(兼業・専業をあわせる)で見てみると、昭和37年に11万4430軒あったのが、平成16年には5万1920軒まで、54・6%もの減少となった。ともなって耕地面積も激減した。農業で生活が成り立たないことが構造的に作用した結果そうなった。さらに国策として地方切り捨て合併が襲い、とくにここ10年、5年来の激減状況が深刻なものになっている。
 第1次産業分野では、県が采配を振るった漁協合併では、自民党林派がつくった信漁連の203億円にものぼる赤字を零細漁民に肩代わりさせた。おかげで山口県の沿岸では2000〜3000人もの漁民が辞めていくという、とんでもない事態が起きた。行政が苦しい漁家経営に政治家がこしらえた借金をかぶせ、ギロチンするのだから、まさに気狂い沙汰である。自民党林派の悪事を闇に葬るために同派閥の二井県政が強行した。一方で水産庁は「少数精鋭」の大規模漁家を優遇する施策を打ち出し、財界が邪魔扱いしてきた零細漁民を大淘汰する方向へ舵を切っており、二井県政の漁民なぎ倒しと、漁業権剥奪は全国の先陣を切ったことで、中電などの大企業に認められる関係となった。
 農業も漁業もなすがままに疲弊したというよりは、そうした国政・県政がもたらした結末にほかならない。「行政の効率化」で県は農業試験場や各種の研究機関を統合・廃止するほか、過疎地域に設置していた事務所なども撤退させる。統合させた地方の高校跡地や公舎は売り払って、来年度は15億円の収入を見こむ。

 県人口150万人割る 事業所は5年で6600減・都市部の自殺増
 県人口は150万人を割った。平成12年の国政調査では約153万人だったのが、17年調査では約148万人となった。全国でも突出している農漁業の衰退は前述したとおりであるが、都市部はどうなっているかというと、毎年400人前後の自殺者の多くが、こうした地域から出ている。10年で4000人近い人が命を絶っているのだから、小さな自治体を丸ごと飲み込むほどの人数になる。
 平成16年におこなわれた事業所・企業統計調査で、事業所は6万9072カ所、従業者数は57万6259人。前年から廃業した事業所は1万1767カ所にのぼり、新設事業所は7226カ所にとどまった。平成13年調査との比較では、「医療・福祉」が84事業所増になったほかは、軒並み減少している。
 「卸売・小売業」が2643事業所減(10・6%減少)と大きく、次いで「飲食業・宿泊業」が806事業所減(8・7%減少)、「建設業」が683事業所減(7・9%減少)、「サービス業」が448事業所減(3・2%減少)となった。ともなって、そこで働いていた従業員は仕事を失っている。卸売・小売業から1万5103人が離れ、飲食・宿泊業からは2621人、建設業は8773人、製造業からは8250人が減少した。
 県内の事業所、従業員を雇っている会社・団体などの数は、平成11年調査では7万5746カ所あり、従業者数は61万4350人いた。わずか5年間で6674カ所も減り、働いている人人も3万8091人減少した。
 商業活動でとくに中小企業が振るわないこととかかわって、ダンピング競争が熾烈を極めている県の入札にも、1昨年から電子入札が導入された。今後さらに対象を拡大する。大手の分け取りで、中小や地元企業排除が容易になる関係は、先行して導入された下関の業者が1番よく知っている。土木関係では、昨年から6000万円以上の建設工事、1000万円以上の業務委託にまで対象が拡大され、20年度の本格導入をめざす。また、建設業者にとって人ごとでないのは、昨年には官製談合の温床にもなる「総合評価方式」まで1部導入されたことだ。二井県政の恣意的な“評価”がもろに反映する入札方式となった。

 注目される県民の審判 議員報酬は年二千万
 年間2000万円もの議員報酬・政務調査費(月額35万円)をもらっている県議たちについて、県民生活のためにどれほど役に立っているのかピンとこないのが実情だ。県民と県政、県議会との矛盾がかつてなく高まっているなかで、県政の舞台にとぐろをまいた議員集団にどのような審判がくだるのか、大きな注目点となっている。
 それは同時に、来年8月の県知事選挙において、二井県政への審判と直結していく意味合いをもっている。市町村合併によって農漁村に大なたを振るい、漁協合併では、水産県を崩壊させ、岩国の米軍移駐問題では下請圧力機関と化してきた権力構造との対立・矛盾は、きわめて鮮明になってきた。飼い犬と化してきたオール与党県議会の面面も、そのなかで評価を問われる。

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