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農業のない国にする自民党
                食糧危機、国土の荒廃      2008年4月18日付

 日本の農漁業、農漁村は戦後60年余をへた現在、有史以来経験したことのない破壊状況にある。主食であるコメでさえ、外米を輸入するために水田面積の4割以上を減反し、米価は半値に下落し、コメの作り手のない耕作放棄地が広がり、国土の荒廃が進んでいる。食料自給率はわずか39%に落ち、世界的にも最低水準である。また市町村合併で、農漁村からは役場も学校も病院も農協・漁協も銀行もなくし、人を住めなくさせて衰退させ、農漁村集落の消滅があいついでいる。人人の生命の源である食料を生産する農漁業の破壊は、農漁業・農漁民だけの問題にとどまらず、国民への安全な食料の安定的な供給の問題、独立国としての国家の安全保障にかかわる問題、さらには地域社会の歴史や文化の崩壊の問題、国土環境を保全する問題など全国民的な重大問題を含んでいる。農漁業・農漁村の破壊を促進する自民党売国農政に鉄槌を下し、食料自給を実現するために全国で生産者の決起が始まっており、国民的な運動に広がる様相を呈している。

 世界的に輸出規制進む中で
 米国産の狂牛病(BSE)牛肉の輸入問題、毒入り冷凍餃子問題をはじめ一連の偽装食品問題、昨年から今年に入っては輸入小麦やトウモロコシ・大豆の高騰、その関連商品の軒並みの値上げ、バターの品不足など、「食」をめぐって、「安全性」の面でも「安定性」の面でも衝撃的な事態があいついで起こっている。
 日本ばかりでなく、世界では穀物や食料品価格の高騰で、「抗議デモ」や「食料暴動」が激発している。インドネシアでは1月に大豆価格高騰に抗議し1万人の消費者がデモ、マレーシアでは2月に食料価格高騰反対デモ、メキシコではトウモロコシ高騰に抗議して、何1000人もがデモ、イタリアではパスタ騰貴抗議のデモが起こっている。4月にはハイチで食料暴動が起こり首相が解任された。フィリピンでは米穀商が襲撃され、エジプトではパンの奪いあいで死傷者が出ている。これらは氷山の一角で、世界銀行の調べではアジアやアフリカ、中南米などの貧困な低開発国を中心に33カ国で食料騒乱が起こったとしている。
 「食」をめぐるこうした非常事態は、食料を生産する農業の問題が根源にある。日本の食料自給率は1960年には79%だったものが、06年には39%まで落ちた。国際的には飛び抜けて低い【グラフ参照】。穀物自給率は60年には82%だったが、00年には28%に落ち、その後は横ばいである。
 戦後の食料生産の特徴は、コメをはじめとするあらゆる品目で、自給率が低下していることである。コメも輸入自由化で、100%自給体制が崩れた。小麦は39%が13%に、大豆は28%が5%に、100%自給していた野菜は79%に、同じく100%自給の果実は39%に下落。畜産物も100%自給していた鶏肉が69%に落ちたのをはじめ牛肉、豚肉、鶏卵と軒並み自給率は低下している。水産国日本の魚介類自給率は108%から52%に半減している【グラフ参照】。

 国内生産を破壊 危険な食料の輸入増大
 自民党政府は「貿易自由化」「グローバル化」をかかげて食料輸入を増大させるとともに、「市場原理」を導入し、国内の農産物価格を急落させた。コメでは、輸入自由化前は1俵=60`が約2万円であった。輸入自由化前までの生産者米価は、原則的には生産費を基本にして政府との交渉で決定されていた。だが、自由化後は、政府は食料管理法を撤廃して「市場原理」を導入した。「国際競争力のないコメづくりは消滅しても当然」とし、「国際競争力をつけるために規模拡大」とあおった。農家は多額の借金をして規模拡大をおこなった。
 輸入自由化で、農家手取りの米価は06年には、1俵=60`1万円と半減した。農水省調査の06年の生産費は平均して1俵1万6824四円。10〜15f規模では1万1510円、15f以上という大規模層でも1万964円で、手取り米価を上回る。借金をして規模拡大をした農家ほど米価下落の打撃は大きい。7〜10fの規模でも農業収入は家計収入の85%しかなく、農業収入だけでは家計は赤字という調査結果もある。
 こうした日本農業の現状は、世界中を市場原理主義で覆い尽くそうとするグローバル化の動きがもたらしており、世界貿易機関(WTO)の農業交渉、二国間自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を舞台にして、「関税引き下げ」や「規制緩和」の形で進んでいる。
 「規制緩和」は、食の安全基準をめぐる動きであり、「各国が自国の食の安全のために厳しい規制を課すと、それが障害になって交易の自由が損なわれる」という論理である。代表的なものが米国産BSE感染牛の輸入問題である。「安全でないという科学的根拠がなければ安全」という詭弁で、アメリカは全頭検査なしでの輸入解禁を日本政府に認めさせた。また、毒入り冷凍餃子は、農薬検査なしで日本に輸入されていた。「各国の食の安全性」を犠牲にしてしかアメリカのいう「自由貿易」は成り立たない。
 「関税引き下げ」では、日本の農民は、WTO農業交渉における上限関税導入や重要品目制限に反対し、また日豪FTAの締結による関税撤廃に反対して抗議行動を展開している。農水省の試算でも、世界に対して全面的に関税を撤廃した場合、食料自給率は12%にまで落ちるとしている。
 自動車や家電など輸出産業や海外投資で利益を得る金融業界は「高関税で世界に閉鎖された日本の食料市場」の開放が必要であるとし、私企業の利益追求のためにそれが「国益」であると唱えている。

 国の独立脅かす問題関税撤廃や 減反も促進
 日本の農産物の平均関税率は12%で、先進国のなかで日本ほど開放された食料市場はない。EUは20%、タイ35%、アルゼンチン33%よりもはるかに低い。野菜の多くはわずか3%である。高関税なのは、コメや乳製品などわずかに残された農産物でもっとも基幹食料である。
 これらのわずかに残された重要品目が関税ゼロになった場合、農水省は以下のように試算している。国産の麦・砂糖は全滅。生乳生産も加工向けは実質的に消滅し飲用向けの500万dの生産だけに減少する。製糖や乳業を含めた地域経済全体の損失は農産物の損失額の2〜3倍になる。コメも1俵4000円弱のオーストラリア産米との価格競争が迫られる。国産乳牛生産の大部分と和牛生産の3分の1程度が消滅する。食料自給率12%とは、地域の特産品の生産を残し、日本農業は全滅させ、食料を100%輸入に頼るという数字である。
 それでも自民党政府は「食料は安い外国産を買えばいい」「日本でコメをつくらなくても中国でつくればいい」としている。小泉政府のコメ構造改革では、現在200万戸の農家を40万戸に削減し、農地を集約して規模拡大し、効率化をはかるという。さらにコメの減反を拡大し、水田の4割以上減反の目標を徹底させるとしている。
 日本の農家戸数は1960年代には1000万戸であった。この間に800万戸を切り捨て200万戸にし、さらに160万戸を離農させる計画である。耕地面積は60年代には607万fあったが、05年には469万fと約2割減少し、作付け面積は813万fから438万fに半減した。農業従事者は1175万人から224万人へ8割減少した。自民党政府は農業、農村をさらにつぶそうとしている。
 戦後の自民党農政は一貫して「工業製品の輸出拡大のために農産物輸入を拡大する」「アメリカ農産物の輸入増大の受け皿のために国内農業を破壊する」「食料は買えばいい」ということできた。だが、それが許されない事態が進行している。世界の穀物在庫は危険水域にある。国連食糧農業機関(FAO)の調べでは、国際的に安全な在庫量は70日分と規定されているが、現在の穀物在庫は53日分しかなく、1980年以来の最低レベルにある。しかもここにアメリカのサブプライムローン危機で行き場を失った国際投機資金が流入し、穀物価格の高騰に拍車をかけている。アメリカの穀物先物価格を見ると、05年に比べ小麦は4倍、大豆は3倍、トウモロコシは5倍へ暴騰している。国際的なコメ価格はこの1年間で70%近く急騰している。
 こうしたなかで、中国、インド、ベトナム、ロシア、ウクライナ、セルビア、カザフスタン、アルゼンチン、などの主要な穀物輸出国が自国の食料確保のためにコメや小麦、トウモロコシ、大豆、牛肉などの輸出禁止や抑制をおこなっている。

 自給率12%の場合 飢餓や餓死の急増必至
 国際的な穀物・食料品価格の暴騰や、食料輸出国のあいつぐ輸出規制のなかで、食料自給率12%という日本はどういう事態に直面するか。
 まず国民への食料供給は危機的状態になり、飢餓や餓死はあふれ、社会的な混乱は必至である。さらに専門家は「わが国の食料自給率は、もはや独立国家としての国家安全保障を維持できない水準にもなりかねない」と指摘し、ブッシュ大統領の「食料を自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」という演説を紹介している。
また別の専門家は日本の農業改革について「日本が米国の51番目の州になったような政策」と批判している。
 また、「グローバルな市場の力は伝統的な農村家族を解体し、地域を壊し、人と人との関係をばらばらにして人人の協同性を破壊する」とし、農業を破壊することは、人と自然の豊かな関係を破壊し、地域性、風土性、多様性を破壊すると問題にしている。
 さらに専門家は窒素過剰の問題をとりあげている。
 「かりに食料貿易の自由化が徹底され日本から農地が消え、すべての食料が海外から運ばれてくる場合、日本の窒素需給は大幅な供給過剰となる」とし、そのことは幼児の酸欠症や消化器系ガンの発症リスクの高まりなど人間の健康に深刻な影響をおよぼすと指摘している。「わが国の窒素需給を改善し、健全な国土環境を取り戻し、国民の健康を維持するには、食料・飼料を輸入に過度に依存せず、農業が自国で資源循環的に営まれることこそ重要」という。
 農漁業や農漁村の破壊は、第1には国民への安全で安定的な食料供給の危機を引き起こすが、とりわけ国家の独立にかかわる問題であり、さらには社会の歴史・文化を崩壊させ、国土崩壊、健康障害にもつながるなど、多様な全国民的な問題を含んでいる。
 全国で今、農業生産者がWTOやFTAでの関税撤廃に反対し、戦後の自民党政府の売国農政の根本的な転換をめざして、「食料自給率向上」「日本農業を守れ」と行動を開始している。これに消費者団体や商工業者も連帯する動きも活発化しており、国民的な運動が巻き起こるすう勢になっている。

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