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<論壇>市当局の医療無責任で強行する市立病院の独法化  2011年3月4日付

  下関市立中央病院の独立行政法人化問題が市民の大きな関心を呼んでいる。地域の医療がどうなるか、安心し信頼してかかることができるかどうかは、市民にとって健康にかかわり生き死ににかかわる深刻な問題である。下関では4つの総合病院が相互に依存しあって地域医療を成り立たせている。中央病院はその重要な一角を占めている。ところが中央病院ではこの間、医師も看護師もつぎつぎにやめており、市民のなかでも「ひどい目にあった」とかいい評判ばかりではない。そのような状態の解決という装いで独立行政法人化をするといって、中尾市政は3月議会で定款変更を決めようとしている。
 それは単純に独法化がダメで、公立の現状をつづければ良いという問題ではない。公立の現状に問題があり、独法化がその問題をさらに輪をかけて悪化させ、医療をもっとダメにするという問題としてあらわれている。
 独法化の最大の理由は赤字である。ところで病院の医療収入を増やす最大の要因は、患者が「いい病院だ」とみなして、たくさんの市民が頼りにする病院にすることである。それは医師をはじめ、看護師、検査技師、給食など医療現場に働く人たちがどれほど医療に情熱を燃やし、医療に働きがいを感じて、患者の信頼を得る病院にするかである。それがつぎも患者がかかろうとし、人にもすすめ、病院の経営もよくするし、市民が喜ぶことである。
 ところが中央病院の場合、際だった特徴は病院を運営、管理する市当局側に、いい医療を提供し患者の要請にいかに応えるかという意識が乏しいことである。配置される事務スタッフは2〜3年の交代で、医療事務の専門家を当てるという姿勢がない。本庁の出世レースをはずれた腰掛けといった配置である。しかも退職間際の役人を送り込んでは病院会計から退職金を出させるような姿勢である。そして窓口業務や掃除、給食などさまざまな業務を民間委託して、病院本体は赤字なのに委託された企業は黒字という利権対象にもなっている。
 中央病院の医療崩壊の最大要因は、病院を管理運営する市当局側の医療への無責任が最大問題である。しかし当局側は自分の無責任は棚に上げて、医療収入を保障している医療現場の人たちの責任にし、医療をどんどん破壊してきた。現場で働く人たちを削減したり、給与カットする。それ以上に、現場で働く人たちの医療労働の働きがい、喜び、誇りというものを理解もできず、切って捨ててきた。それがますます医療を破壊してきた。
 独法化はここまできた無責任態勢をさらに無責任にするものになろうとしている。その模範が独法化した市立大学であり、学問とか教育とかにはまったく無知蒙昧な水道局長退職者や市の部長退職者を理事長、事務局長に天下りさせ、管理運営の側から大学の機能をメチャクチャにしてしまった。この無責任な天下り人事で1600万円、1200万円という高額報酬をとって非効率の典型を実行しながら、事務職員は嘱託や派遣という短期雇用に変えて大学事務の継承性をなくさせ、「仕事ができない効率化」を自慢してきた。
 中央病院の独法化も、なぜ公立のもとで医療崩壊になっているのか、医療機関として市民の期待に応えるように何を解決してどう立て直すのかの論議が決定的に欠けている。その論議を尽くし、いい医療を市民に提供するということから正しい解決方向を見いだすことが不可欠である。中尾市長は「赤字部門は切り捨てるのが経営者視点」という単純頭で3月議会で突っ走ろうとしているが、チェック責任を持つ新市議会が相も変わらずノーチェックでやり過ごすのか注目しなければならない。とくに今度の議会は安倍派が4つの会派を占領する議会となっており、安倍代議士の意向が下関市民の医療がどうなるのかの命運を決することになる。
 まともな医療をうち立てるためには、患者のためいい医療のために働く医療現場の医師、看護師などの発言を強めること、それを全市的な医療従事者の発言に結びつけ、なによりも医療の立て直しを期待する市民を結びつけ、中尾市長や市議会の暴走を規制しなければならない。

 

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