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<論壇>イラクの復興ではなくアメリカの復興が目的
                                          2003年12月16日付

 小泉政府が自衛隊を派遣しようとするアメリカのイラク戦争は、なんのための戦争であるか。はじめは「テロ撲滅」のためと騒いだが関係がなく、あと「大量破壊兵器の脅威」を騒いだがその理由もなかった。その後は、「イラクの民主化のため、解放のため」といったが、イラク国民は総反発。自分が攻撃した結果、反撃が起きると「テロの横行」といっている。あれこれいっているが、なにがなんでも戦争をやり占領するというのには理由がある。
 最近ブッシュ政府は、「イラク復興事業」の入札についてアメリカの戦争協力をした国の企業にかぎり、仏独露などを排除することを明らかにした。イラクの復興需要は総額5500億j、60兆円になると見こまれている。イラクは石油大国であり、「復興資金」は石油代金で賄うわけである。この「復興需要」は、かつてアメリカが日本にやった空襲と同じで、おびただしい爆弾をイラク全土に投げつけ破壊しつくすことによってつくったものである。いわば人為的な市場創出である。「復興援助」というものは、人の常識でいうなら罪滅ぼしをすべきものであるが、アメリカがやっているのは、薬を売りつけるために、なぐりつけてケガをさせ親切づらをしているようなものである。
 また占領軍当局は、イラクの国営企業を売却して民営化すること、外資が100%資本参加できるようにする、などの方針を決めた。イラクの企業も外資が乗っとろうというわけである。すでに米英軍の占領にともなうイラク軍の解体によって数十万の兵士が失業し、政府・行政機構の役人も失業した。国営企業の民営化によって失業はさらに増大することになる。アメリカは軍事力を使って、文句をいう政府を倒壊させ、「グローバル化・市場原理」を強制している。
 アメリカがいう「イラク復興」は、石油を略奪し、そのカネで復興需要をひとりじめにし、国営企業を乗っとり、失業者をふやすものである。それは少しもイラク国民のためをはかるものではなく、「アメリカの復興」のためといわざるをえない。いろいろ難癖をつけているが、これをあるがままに見た人の常識でいうなら泥棒であり、大量の爆弾を使ったとんでもない押しこみ強盗だといわなければならない。イラクの国民がこれにたちむかうのは当然のことである。
 小泉首相はシドロモドロの理由をつけてなにがなんでも自衛隊を派遣しようとしている。憲法前文のまえとうしろに書いてあることを切り捨てて、一部だけを引き合いに出して自衛隊を派遣することが「名誉ある地位を占めることだ」などということが、学校の国語のテストでとおるなら、日本の教育が低学力になるのもやむをえないといえる。「非戦斗地域に出す」のであれば自衛隊を出す必要はないし、戦斗地域と思っているから戦斗部隊を出すのであって、武力参戦をするから重武装をさせるのである。要するに、復興需要の分け前にあずかろうとするものはアメリカといっしょに血を流せという脅しに従っているからであり、日本の独占資本集団が泥棒の分け前をほしがっているからである。そして戦争のなかでもっともむずかしいこのような人民戦争のなかに自衛隊が飛びこむなら、悲惨な結果になることは明らかである。
 資本主義社会は、資本の利潤追求が支配する社会である。そのために農漁民や中小業者を収奪し、労働者を搾取することで、人人を貧乏にし、その結果消費購買力をなくしていく。生産力は激しい競争によってふえていくわけで、過剰生産危機を避けることはできない。近年では株や地価などによるバブル経済で架空の需要をつくったが破たん、いまや戦争によって仏独露などのイラク利権を奪いとり、戦争による破壊で需要をつくりひとりじめにしたいのである。独占資本集団の利潤追求のやり口は、まともな意味で物を生産してもうけるとか、商業道徳というものは地に墜ちて、バブルというバクチや、詐欺や横領が横行し、いまや戦争という強盗の手段を使うというますます恥知らずなものとなっている。
 「自由、民主、人権」を叫んで社会主義国の転覆をやったのはアメリカであった。日本でもこの「自由、民主、人権」を叫んで、湾岸戦争をあおり、アフガン、イラク戦争のスローガンにしてきた。「自由化」「規制緩和」のかけ声で、福祉も医療もコスト一本槍、「自己責任、受益者負担」で切って捨て、教育も文化もデタラメにしてしまい、外資の企業乗っとりの自由が横行し、失業と貧困がまんえんしている。日本を戦場とするたくらみも動いているが、日本の国土をもう一度戦災で破壊し、復興需要をつくるというのはとんでもないことである。
 ブッシュ政府は、「軍事力によって市場原理、自由と民主主義」を世界中に強制するという戦略をとっている。そのような戦争を押しとどめるもっとも大きな力は、生産を担う労働者、農民、漁民、勤労人民のなかにある。

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