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 <論壇> 軍部に戦争責任かぶせた勢力が今戦争仕組む  2006年7月24日付

  「昭和天皇はA級戦犯の合祀を嫌っていた」というメモをメディアが一斉に取り上げて騒いでいる。そのほか朝日新聞などは「軍部の圧力で仕方なく戦争に協力した」などの特集を組んだり、日本経済新聞などは日米開戦を準備した近衛文麿が「日米開戦のはじめから敗戦はわかっていたが軍部に押し切られた」などの報道もしている。そして「天皇は平和主義者であった」と宣伝している。
 だれが見ても戦争は軍部だけではできなかった。「暴支膺懲」と大衆を煽ったり、戦争批判者を袋だたきしたりして、人人がものをいえないようにさせた朝日など新聞がなければ戦争などできないことであった。天皇崇拝とか他民族蔑視の排外主義を植え付け、批判精神を奪う学校教育がなければ、人人を戦争に駆り立てることはできなかった。軍人勅諭でたたき込まれたように軍は天皇の軍隊であった。アジアへの侵略、戦争から戦争へと駆り立て、無惨な敗戦に導いていった最大の勢力は天皇を頭とする三井、三菱など独占資本集団であった。
 ところが日本の敗戦と戦後処理にあたっては、軍部に戦争責任があるのは明らかだが、すべての責任を軍部に押しつけて、天皇をはじめ政財官界から新聞からみな、責任逃れをして支配の地位を温存してきた。アメリカは戦争責任はすべて軍部に負わせて天皇を保護し、天皇を中心とするかいらい政府をつくるという方針を持っており、その通りにした。天皇側は敗戦は必至というなかで、中国・アジアことに日本人民からの戦争責任の追及を恐れ、アメリカが単独占領することを願い、アメリカに保護を求めたというのが歴史の経過である。そのような日米双方の戦争指導者の思惑が働くなかで、沖縄戦から都市空襲、最後に広島、長崎の原爆という、筆舌に尽くしがたい犠牲が払われたのである。天皇が平和主義者というのは日本を占領したアメリカが平和主義だというのと結びついたもので、戦後人人の頭を洗脳してきた欺まんである。
 現在、北朝鮮のミサイル問題で、先制攻撃をせよとか、軍事制裁を意味する国連決議をせよと、全面戦争を引き起こしかねない騒ぎをしている。「横暴な朝鮮を懲らしめよ」の宣伝をしてものがいえない状態をつくろうとしたのがメディアであり、先制攻撃を煽ったのは軍側というより安倍、額賀、麻生など文民側の政治家である。そして騒ぎ全体を仕組んだのはアメリカであった。戦争責任を軍部だけに押しつけ自分たちは平和主義者だと装って生き延びた戦争勢力が、現在人人をふたたび戦争に駆り立てていることが、現実的な重要問題なのである。この「平和主義」は、自分に脅威を加える外部の「ならず者国家」「悪の枢軸」を軍事制裁するのは当然だというアメリカ型の好戦主義を意味している。
 敗戦後は皇室のなかからも天皇退位論が出ていた。昭和天皇が「A級戦犯の合祀はけしからん」という意味は、戦争責任を感じているなどというものではなく、せっかく軍部に責任をかぶせて収まってきたのに、寝た子を起こして自分のところに責任追及が及びかねないという、1流の自己保身意識と見るほかはない。

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