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 <論壇>上関原発を潰して島と瀬戸内海漁業と国を守れ 2009年11月30日付

  上関原発問題は27年を過ぎて、最終的に断念となる大詰めを迎えている。本紙の「祝島が補償金の受けとりを拒絶すれば原発は終わり」というスクープは、上関町民がさまざまに感じていた実感と合致して衝撃的な反響となっている。推進派中枢は顔をひきつらせ、あるいは怒り、あるいは逃げ出し、図星であることを証明している。
 祝島の漁協では役員不在の状態が続き、県漁協が県水産部の同席のもとで漁民を集めて補償金の税金にかかる説明会を開いた。
 それによると、第一のヤマは来年3月末までで、分配すれば税金は基本的にゼロで、分配しなければ県漁協から供託金分まで含めて法人税として二千数百万円をとる。つぎのヤマは5月で、供託金5億円余を受け取らなければ国が没収。そして最後は、2年後の10月までに県漁協に預金の形である5億円余を受けとらなければ、国税が3億円余を祝島支店負担としてとる、としている。国が没収したあとの供託金の分からも税金をとるというイカサマである。要するに9億円余を中電が国に寄付するという話である。最後の条件がミソで、3億円余の税金を祝島支店に払えというが、払うには5億円を受けとるほかないという装いである。
 この税金話は、税務の常識のある人から見ると、非常識きわまりないもので、脅し以外の何ものでもない。受けとっていない金、つまり所得になっていないのに税金がとれるわけがないのが日本社会の常識である。したがってこれは、こけおどしによって、実質無税である3月までに受けとった方が得という話である。
 中心問題は税金との関係でとり分が多くなるか少なくなるかではない。原発ができるかつぶれるか、原発がつぶれるか島がつぶれ瀬戸内海漁業がつぶれるかの問題である。この補償金受けとりを祝島が拒否するなら、最後的に祝島の漁業権は消滅しなかったという結論になる。影響を受ける祝島地先の漁業権はもちろん、107共同漁業権も残るし、埋め立て工事をすると魚の産卵場として影響を受けるため田ノ浦地先も手をつけることはできなくなる。
 なお補償金受けとりの議決は過半数でよいというのはインチキであり無効である。補償金受けとりが意味する中身は漁業権放棄であり、3分の2の議決でなければならない。県水産部が同席してこういうインチキをやらせるところに、二井県政のペテンがある。
 中電は漁民だけに出すわずか10億円ほどの金で、27年の困難な島民の努力を踏みにじり、島全体の生活権を買いとろうというのである。それだけではなく、周防灘、伊予灘、瀬戸内海の漁業をみな買いとろうというのである。さらには岩国基地の大増強とあわさって、最悪のミサイルの標的をつくり、国土を廃虚にしようというのである。祝島の10億円、八漁協全体で125億円で奪われる、島民、町民、県民、国民の財産はケタ違いに大きい。

 国、県、中電への共同斗争を

 中電や県は、祝島の反対が崩れると見て、昨年秋に二井知事が埋め立て許可を出し、中電は補償金の残る半金を支払うことになった。ところがこの春祝島では補償金受けとりが否決された。そして原発終わりの期限をつくってしまった。たくさんの発電所をつくってきた中電が、その全経験として信じていることは、漁民は金を見せたらみな受けとるというものである。しかし祝島はそうではなかった。
 祝島の漁民が補償金の受けとりを拒否していることは、全町、全県、全国で敬意を持って共感されている。自分のため、金のためばかりの世の中で、世のため、人のためにがんばり抜いていることへの共感であり、そこによりよい社会をつくる力を感じている。それは祝島魂を天下にとどろかせている。
 小泉政府の市場原理改革を通じて日本社会はさんざんに崩壊してきた。製造業はいらないといって、労働者は子どもを育てることもできず、国を支える労働者がいない国にするという。また農業や漁業のない、国民が餓死する国にしてきた。学校は九九のわからないバカづくりをやる。日本の富はアメリカに貢ぎ、一握りの大企業がボロもうけするばかり。原発は、このような日本社会をぶっつぶす、「あとは野となれ」の売国と亡国政治の象徴となっている。
 このつぶれてゆく日本社会は抜本的に立て直すほかはない。この立て直しの出発点は食料生産の立て直し、農漁業の立て直しからとなるのは明らかである。農漁業が儲けがない社会構造に問題があるし、それは変わるほかはない。上関の海と山を守ることは、瀬戸内海を守ることであり、国を守ることであり、日本民族の将来にとってこの上なく大事なことである。
 ここで祝島の漁民ががんばるための条件は、売国と亡国の国策に反対して日本を立て直す内容を持った祝島全島民の団結が第一である。そして祝島を応援するだけではなく、同じ目的で全町、全県、全国からそれぞれの持ち場を基礎にして、政府、二井県政と中電本社という共通の敵に対する共同の斗争を圧倒的に強めることである。とりわけ国民の魚食を保障する漁業を守る瀬戸内海漁民全体の連帯、米軍基地の岩国や、被爆都市広島の連帯は強力な力となる。
 来年2月の町議選は、議席の増減もあるが、それ以上に「原発を終わらせろ」の町民票が圧倒するようにすることが重要な課題である。祝島の漁業権を守り抜くたたかいに連帯する町民の力を示すことが重要となる。日本中の人人は、権力、金力を打ち負かして勝利するたたかいを切望している。

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