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 <論壇> 投票の結果が証明する小選挙区制のトリック   2005年9月15日付

 衆議院選挙は国民の実感とはまったく異なった異様な結果となった。妖怪変化が踊り回り、さまざま欺まんと陰謀に彩られた、インチキ選挙であったことは疑いない。これはなにをものがたっているのか。
 第1の欺まんは「自民党圧勝」「与党3分の2以上の議席獲得」の欺まんである。自民党の得票数をあらわす比例票の得票率は38%であった。自民党と民主党の得票率の比較で見ると、小選挙区で47%にたいし36%、比例区では38%にたいし31%であった。得票数は4対3であったのに議席数は3対1となった。得票は3分の1しかないのに、議席は3分の2になるというのは、小選挙区制という国民の意志をねじ曲げる選挙制度のトリックである。国会で絶対多数をとったが、得票数は有権者総数の25%しかないというのは、この選挙でかかえた小泉自民党の大矛盾となった。
 自民党の小選挙区の得票は、比例と比べて700万票ほど多かった。自民党の比例票には、自民党系無所属が小選挙区で獲得した280万票のほとんどの部分が投じられたと見ることができ、およそ1000万票が自民党外から上乗せした数となる。この最大は公明党であり、比例で得た900万票のうち、小選挙区で自党候補に投じた100万票をのぞく800万票のほとんどを自民党の小選挙区候補に投じたことになる。あとの数百万票規模で、労働組合・連合から動いていると見るのが自然である。ちなみに民主党の比例票には、社民党の270万票が流れこんだことが想定されるが、民主党票が前回から、小選挙区でふえているのに比例票が100万票へったのは、連合の動きと見られる。経団連が異例の小泉支持をうち出すなかで、労資一体組合の当然の動きである。
 前回と比べて、投票率が上がり、投票総数は850万票ふえたのが特徴となった。このうち自民党の小選挙区得票は650万票ほどふえた。ところが大敗北という民主党の小選挙区得票も300万票ほどふえている。自民党と民主党の議席の大変動は、自民党が民主党にたいして前回より350万票ほど引き離したことが要因であった。それは投票者のうち5%ほど、全有権者のうち3%ほどを占めるが、その数%が変動したら議席の大激変が起きるというのが小選挙区制のトリックである。この投票率が上がったのは、テレビや大新聞が「小泉劇場」の大宣伝をやった影響といえる。
 テレビや大新聞は小泉応援の大騒ぎをくり広げたが、有権者の3%ほどしか動かす力はなかった。選挙結果は、けっして民意の大変動を示すものではなく、逆にテレビ・大新聞というものが、公正中立どころか、詐欺・謀略のたぐいの御用機関、メディア・ファシズムの旗手として、うかつに信用してはならない警戒すべき存在であることを広く人人に教えた。
 ブッシュ政府はこの選挙に大喜びをしている。アメリカは、イラクやアフガニスタンの選挙とか、ウクライナの選挙とか、他国の選挙に介入して、陰謀をめぐらし操作するのが常套手段である。今度も、外資の支配力が強まっている日本のメディア、企業そのほかさまざまな支配下の道具立てを使って、衆議院選挙に介入し、圧勝させてやった小泉に無理難題をやらせようというわけである。
 大新聞は、選挙中は「郵政一本」を叫ぶ小泉をもてはやして、そのうえで「郵政以外は白紙委任か」などと批判づらまでしてみせていたが、選挙後は一転して、「3分の2の議席があればなんでもできる」といって、年金や医療など社会保障制度の改革を急げとか、財政再建すなわち大増税をやれとか、自衛隊イラク派遣の延長とか、憲法の改定をやれなどと騒いでいる。
 政治は万事議会をつうじなければ動かすことができないと見る人人は、今回の選挙で暗い気持ちになるほかはない。しかし政治は国会だけで動いているのではなく、国民との関係で動いている。有権者の25%の得票しかない自民党が、それだけで好き勝手をできるわけがない。民意を踏みにじられた国民が黙っておく必要はない。「日共」修正主義集団は「確かな万年野党」を宣言して議席を与えてもらい、社民党も議席を分けてもらった。かれらが支配層から珍重されるのは、あらゆる大衆の斗争を攪乱し攻撃するからである。
 小泉政府と国会は大政翼賛会のようになって売国と戦争の反人民の道を突っ走るだろうが、それは国民の大多数と大矛盾をきたすほかはない。このような国会の状況は、国民の信頼をますますなくすほかはない。このようななかで労働者をはじめ、農漁民、中小零細業者、青年、婦人、文化人・知識人、学生、教師など、あらゆる階層のなかに渦巻く世論を運動にすることが最大の力となるし、その条件がさらに大きくなったことを示している。

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