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  <論壇> 「株主天国」=「働く者地獄」を作る規制改革 2006年6月19日付

 村上ファンドの村上世彰が逮捕されたが、阪神電鉄株を売って500億円ほどのもうけになるといわれている。インサイダー取引の法律違反もさることながら、村上本人がいう「メチャクチャもうかった」ところが、いつ孤独死や餓死、ホームレスや自殺にさらされるかわからない状態におかれている大多数のものにとっては頭にくるところである。
 村上に金を出してボロもうけしていたものに、日銀総裁の福井氏がおり、小泉政府の規制改革を仕切っているオリックスの宮内氏がいた。そのほかにも、村上の同僚の通産省官僚とか、農漁業者の預金をもてあそぶ農林中金などの名前も挙がっている。福井総裁などは、1000万円を預けて年に数100万円、合計2000万〜3000万円を儲けていたことになる。日銀はゼロ金利を続けて、国民が1000万円預けても年に100円しか利息がない状態にして、自分はサラ金以上の利ザヤ稼ぎをしていたのである。現代の「勝ち組」というのは人をだまして利ザヤ稼ぎをする連中のことであり、富をつくり出して巻き上げられる庶民の側を「負け組」といってバカにしているのだ。
 宮内氏となると、オリックス自体がアメリカ資本の支配下にあるが、小泉の規制改革を仕切ってきた人物である。労働者が人間生活ができないような労働法制改悪をやらせたり、税金は上げ、医療や福祉をバッサバッサ切り捨て、村上のようなファンド業者なる利ザヤ稼ぎが幅をきかせるよう制度作りをやってきた。教育改革も宮内らが指図する有様で、国民を家畜のような状態におくことによって、投資ファンドのような利ザヤ稼ぎが荒稼ぎする制度をつくってきたのである。
 金持ちから金を集めて株の買い占めをやってその会社の乗っ取りをはかり、高値で株を買い取らせてぼう大な利ザヤを稼ぐ。それを出資したものが分け合う。そういうのが投資ファンドという商売である。このような商売は、フジテレビや阪神電鉄などの経営者もピンとは来ていなかった新型商売である。敵対的企業買収はそれこそ略奪合戦であり、ヤクザ稼業と同じで、村上の知恵だけでできる話ではない。政府自民党・官僚機構中枢、独占資本中枢という権力がバックになってやらせたものにほかならない。この企業買収の法律を作ったのが通産省にいた村上自身で、自分以外に人があまり知らないうちに、自分がこの新商売を始めて荒稼ぎをすること自体が大インチキである。
 村上が「メッチャクチャに儲けた」というが、だれかがもうけることはだれかが損をするというのが資本主義の原理である。この事件では直接には阪神電鉄やフジテレビなどが何100億円を損したことになる。それは結局のところは、労働者が作り出した富であり、「損をとり返す」といってムチをたたかれるのは労働者である。だれが見ても、株主同士の株の売買では富は1つも作り出せない。株主の儲けは、労働者が働いてつくり出した利潤を分けどりしたものである。
 労働者であれ、農漁民、商工業者であれ、働いて社会の富を作り出しているものがさんざんな目にあっている。それを搾り取っているものは、その企業の雇い主だけではなく、金を貸している銀行が金利として吸い取り、最近では株主資本主義といって投資ファンドなどを使った利ザヤ稼ぎ連中がまぶりついて搾り取る構造になっているのである。
 働くものがいま、不安定雇用、失業、ホームレス、餓死・孤独死から自殺に、追い込まれている。これは「自己責任」というものではなく、規制改革なる「資本天国」「株主天国」すなわち「働く者地獄」作りの政治が生み出した問題である。働くものの生活を擁護するというとき、それぞれの企業だけに囲われて、つぶれかかった雇い主だけを相手にしたのでは展望はない。小泉政府の規制改革という制度改悪とともに、独占資本全体がアメリカに隷属する形で、働くもの全体を搾取し抑圧するという仕かけにたいして、労働者、農漁民、商工業者などあらゆる勤労人民の共通利益に立った全国的なたたかいをしなければならないことを示している。

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