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両陣営は低調、町民は活性化
上関町長選挙
               得票率勝負の住民投票に     2007年9月24日付

 中国電力の上関原発計画を最大の争点とする上関町長選の告示が、25日に迫った。推進派柏原氏と「反対派」山戸孝氏の争いという選挙構図となっている。町民のなかでは、25年続いた加納派の支配構造に終止符をうち、町民の団結を回復して町の正常化へ乗り出そうと活発な論議が広がっている。
 表面上に表れた選挙戦は、今月30日の投票日が近づいているのに「見たことがないほど静か」といわれる。
 室津住民の1人は、「今までの選挙は1カ月以上前から耳をふさぎたくなるほどの大騒ぎだったのに、今度はなんの音もない。運動員もほとんど動いていない」と首を傾げる。別の住民も「選挙前おきまりの飲ませ食わせも聞かないし後援会名簿を集めて電話が1本かかっただけだ。中電のことだから、裏の裏ではいろんな事をやってはいるのだろうが、おとなしい」と話す。
 推進派の方は、町民から嫌われている山戸氏の息子が相手ということで、「楽勝ムード」全開の様子。「7割は確実にとれる」という人物がおり、「今回の選挙はもう8割方の票は固まっているから動く必要はない。カタはついたようなものだ」という幹部もいる。「動かないが大丈夫なのか?」と質問した町民に、「こんなに簡単な相手なのに、なにをそんなに一生懸命になる必要があるのか」と逆に聞き返す部分もいる。「原発建設が一気に進むことを夢見て、ウキウキしている者も結構いる」と話されている。
 一方、1度は候補擁立断念を決定した「反対派」の側は、町民の強烈な批判の前にあわてて山戸氏の息子を擁立したが、「出馬の格好だけでなんの運動もしていない」。運動をしないだけでなく、「さらに嫌われるようなことばかりをする」と町民の怒りを買っている。
 上関の70代の男性は、「立候補自体を遅らせて、やる気のなさを証明したのに、今度は後援会も集めないで事務所も開いていない。名前だけの出馬で、選挙運動もしないつもりではないか。推進を助けるようなことばかりをやっている」と語る。
 室津の60代の男性は、孝氏を擁立したとされる「祝島Iターン・Uターン者の会」が配った『一流の田舎を目指そう』というチラシに激怒していた。「周回遅れが先頭ランナーになるとか、金で買えないものがあるとか原発依存症に町民がかかっているような、馬鹿な事ばかりを書いて、原発反対は全然なかった。どこの大学出か知らないが、みんなは親に養われたりせず苦労して生活しているんだ。とりえの原発反対もない」と話す。
 同じチラシを読んだ80代の婦人も、「都会人が田舎者を小馬鹿にしたような事を並べていた。せっかく信用のない山戸の息子でも、反対の札としてがんばろうと思っていた町民にまたやる気をなくさせる」と強い口調で語る。「30歳で右も左もわからないのはみなが知っている。“原発に反対です。若くて経験はないが、一生懸命がんばるのでよろしくお願いします”で十分だ。町民を馬鹿にしてはいけない」といった。
 上関の70代の男性は、「柏原と山戸といっても、2人とも同じようなものでケンカしていると町民は誰も思っていない」と語る。
 祝島の住民は、「島でも、今回は後援会集めもする気はないという。入れたい者が勝手に入れろという態度だった。幹部の取り巻きの方から、“はじめから勝てないのはわかりきっている”といってあきらめさせるようなことを煽っている」という。

 町民の中は世論大転換
 しかし町内では、25年の間、推進派と「反対派」の仮面をかぶった推進派が機能して、町民を分断し原発を推進してきた仕掛けが暴露され、表面に表れた動きとは別のところで大きな世論転換が進んでいる。
 原発計画が浮上した当初から推進をしてきたという男性は、「今度の選挙まできて、格好だけの“反対派”と、金儲けだけの推進派が一緒になって、町を好き勝手にしようとやってきたのがよくわかった。町民はおかげで、家族でも同級生でも色分けされて、バラバラにされた。20年で町は1つもよくならなかったし、儲けたのはつながっていた上のものだけだった」と語る。
 「そんな仕掛けは中電がやらせた。祝島のようになるなと町民を抑えるのと、意見があるものは飲ませ食わせとか、金や子どもの就職先を世話してものをいえなくさせた。交通違反のもみ消しなどはよくあると聞いた。それでも従わないのは、力づくでつぶした。中電も持ち上げる時はいいが、捨てる時は残酷なものだ」といった。
 上関の80代の婦人は、「無投票にさせなかったのは町民の力ですね。最近、中電が町民を建設予定地の見学に連れて行って、すぐにでもできるようなことをいっていた。でも、参加した人たちは昔から同じ事をいって一つも進んでいないと話になっていた」と話す。
 また、「年寄りは住みにくいし、若い人はいなくなった。人口は、半分以下になったでしょう。推進といわれる漁師たちも、原発がなにかなど考える前に金がバラまかれて、しかたなく推進でやるしかないんだとボヤいていた。みんなもうコリゴリしているし、原発に熱をあげることはない」と語る。
 戸津の60代の男性は、「町内の暮らしは、病院1つ行くのにも、柳井の周東病院には1日がかりで、往復で3000円以上はかかるし、そこでみれない特殊な病気は徳山中央病院まで行くが、バスと電車を乗り継いで5000円はかかる。今は自転車にさえ乗れない年寄りも増えて、バス停に出るのさえ大変だ。原発ばかり叫ぶあいだ、町民のためにはなんにもならなかった。原発も、いいかげんやめるならやめろという人ばかりになっている」と周囲の様子を話した。
 推進の選挙運動を手伝ってきたという80代の男性は、「推進で一生懸命になる人はいない。賛成も反対も上は同じで、馬鹿らしい。今度の選挙でも、運動する人は少なくなっている。楽勝といっているというが、下の者がついていかない選挙はそんなに甘い物ではない。たかをくくっているのかもしれないが、町民を馬鹿にすると大火傷するぞ」といった。

 町民団結の機運広がる
 町内では、「中電支配の範囲外から町民派の候補を立てよう」との動きが切望されている。「原発はいい加減に終わり。分断されてきた町民の団結を回復して、町を正常化しようと訴えれば勝てる可能性が高い」と語られている。しかし、「新しい動きは、推進と“反対”、中電の三方から袋だたきにあうのは確実で簡単ではない。町政大改革になるが、勇気がいるし相当に町民がバックアップする運動をつくらなければ実現できない」と語られている。
 室津の80代の婦人は、「今の選挙がパフォーマンスでしかないのはわかりきっている。柏崎では大変なことになったし、町は寂れてしまって推進で動く町民はいない。純粋に原発を誘致するかどうかを問う選挙になれば、反対が勝つのは確実だ。反対の力が示せれば私たちは誰でもいい。私は純粋な反対票として投じたいと思っている」と語る。
 白井田の70代の婦人も、「負けるといわれる候補で反対票が4割以上出れば町民の勝ちだし、拮抗状態にまで持っていけば中電はお手上げになる。これまでの原発反対の票も、候補の善し悪しで出てきたものではない。祝島の人たちや日頃は表に出ないけど、心から原発反対と思っている沢山の町民がたたき出してきたものだ。推進に愛想をつかしている町民は多いし、中電をお手上げにさせようと動き出したら、おもしろくなってきた」と語る。
 戸津の60代の男性も、「祝島のおばちゃんたちが、昔から身銭をはたいて反対運動してきた大変さはよく知っている。上関は、中電が金をバラまいたり陰謀をやったりするからおかしくなった。上の悪いことをいつまでも許していたら町民が泣く目にあう。今度は、得票率が勝負だし町民はふんばり時だ」と語る。
 祝島島民のなかでも、町民の反対の力を示そうとの論議は広がっている。
 70代の婦人の1人は、「大変な思いをしたのは、祝島だけではなかった。長島側の人たちも、中電とか推進の圧力があるし同じ思いをしてきた。推進と反対でケンカさせられて騙されてきた町民は、みんなが苦労した。今度の選挙では、祝島も崩れていないし、お互い協力しようと長島側で話をして回りたい。豊北町の人たちと同じようにがんばりますよ」と強い意気込みを込めて語る。
 別の婦人も、「ここまでがんばってきて今さら負けられないという思いは、80代とか70代の年寄りのなかでも強まっている。私たちは、幹部がいうから原発反対をやってきたわけではない。年寄りの1番の問題は戦争だし、海と山を守っておかないといけないという思いなんです。推進できた人たちも離れているというし、一緒に協力できるようにしたい」と元気良く話した。

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