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構造改革・戦争政治と対決した世論
参院選結果が示す情勢の特徴点
               国会政党の歴史的な衰退    2004年7月17日付
 
 参議院選挙結果は意味深い結果となった。選挙は、個別の大衆は相談したわけではないのに、全国的に共通した世論があらわれた。結果は自民党の惨敗、また自民党と運命を共にして「共産党」の看板を掲げる修正主義集団が自民党以上の惨敗、民主党は勝ったというが、革新系のあまりの堕落ぶりに助けられて、行き場が無い自民党批判票が流れただけで勝利とはいえない。選挙後小泉を筆頭にみな勝利したような自画自賛合戦であるが、勝った政党はどこもない。国会を占める政党が、国民とは遠い世界に飛んで行き、まるで宇宙遊泳をしているか、バーチャル化(仮想現実)でさまよっている状態にある。選挙で示された全国の大衆の要求はなにか、真の対決点は何であったか、対決点の解決を目指す人民の進撃方向はどこにあるか、考えてみたい。
   
 米国の方だけ向き国民から遊離
 選挙結果があらわす全国の人民大衆の世論はなんであったか。
 第1は自民党の大惨敗であり、それはたまたまの結果ではなく、構造的なものであり、今後立ちなおる見こみが乏しい惨敗であった。選挙でははじめたるんでしまってタカをくくっていたものが、メディアの世論調査でハッパをかけられると飛び上がり、組織をしめつけ、公明党に土下座をし、民主党の看板をかけた連合ボスなども使い、やっとかき集めたものである。宗教組織である公明投票を引いた、いわば神頼みの票を除いた自民党単独の票ならさらに10議席ほどは減少という解党の危機を露呈していた。
 選挙後小泉は、「逆風のなかで、与党に安定多数の議席を与えてくれた。やはり(有権者は)全体を見てくれた」といった。「安定多数」は前回の議席の蓄えによるものであり、前回の選挙が勝利したから今回の選挙は敗北していないというペテンである。「コメ百俵」といって教育予算を削り、憲法前文を朗読して自衛隊を戦地に派遣する、いうことはやることと逆という、口の先だけがぺらぺらと回転する軽薄な「詭弁の男」ぶりをまたも発揮した。

 自民の得票が激減 組織票、軒並み崩れる
 自民党は今参院選で49議席獲得したが前回の65議席から激減し、最低ラインの目標51議席も確保できなかった。自民党の敗北は、伝統的な支持基盤の崩壊であり、反発であった。「強い」といわれた地方の選挙区で得票は261万票もへらし11議席。前回25勝2敗だった1人区は14勝13敗。橋本首相が退陣した98年参院選の15勝8敗すら下回る結果となった。山口県では、支持基盤のない民主党大泉候補にたいして圧倒的に優位と見られていた、安倍晋三氏の実弟である岸信夫候補が、公明党の票がなければ完敗という結果になった。地方の大問題は、農漁業破壊、中小企業なぎ倒しを基本とした「三位一体改革」と称する地方予算切り捨て、市町村合併・道州制、すなわち地方自治解体である。自民の動員がきかなかったのはそれらの結果である。比例区では沖縄県以外の46都道府県で01年参院選より得票をへらし合計431万票の減となっている。
 また、かつては1組織で100万票以上集め「集票マシン」ともいわれた自民支持団体がのきなみ票をへらした。農水省出身の自民現職・日出英輔氏は農協系政治団体・農政協から支持を受けたが異例の落選。国土交通省関連でも現職の斉藤滋宣政務官、元建設局長の松谷蒼一郎氏、元住宅建設課長の上野公成氏が落選した。
 また不動産関係団体の支持を受けた横内正明氏、旧自治省幹部で地方行政・消防関係団体の北里敏明氏、日本薬剤師連盟の小西恵一郎氏、軍恩連盟の鈴木正孝氏も落選。そのほかときわ会(JR)、日本フードサービス協会、防衛を支える会、日本歯科技士連盟などの候補も落選した。
 当選者でも特定郵便局長OBでつくる「大樹」の長谷川憲正氏は前回から20万票減。建設業団体連合会の脇雅史氏も2万票減。遺族政治連盟の水落敏栄氏は九万票減。看護団体の南野知恵子氏も2万票減。ゼネコンの支援を受けた土地改良政治連盟の佐藤昭郎氏が四万票減となった。
 小泉首相が「自民党構造改革の信任を問う。100万票が目標」と大宣伝した竹中平蔵も、大手銀行が奔走したが、72万票どまりだった。
  
 構造改革に反発噴出 自民党も構造的崩壊
 以上のように、自民党の支持基盤となった組織票が動かず崩れた。地方は農漁業の破壊、中小企業つぶしを基本にした「三位一体改革」と称する地方自治の解体、土建業者もゼネコンが官製談合で奪う一方でのダンピング競争によるしめ殺し、商業者は大店法撤廃のなかでの巨大店出店攻勢のなかで殺される、酒屋も米屋も薬屋も規制緩和・自由販売でアウト、医師も医療制度改悪で立ちゆかない、教育界は予算切り捨ての自由勝手な教育で深刻な崩壊、戦争遺族会もふたたび若者を戦地に送るとなって票は激減した。自民党の組織母体といわれたところが、小泉の構造改革でさんざんな目にあい、年間の自殺者が4万人に近くなるほどしめ殺されている。自由競争を叫んだアメリカ資本を中心とする巨大独占体の横暴を保障する構造改革が、まさに内戦のような殺し合いの様相になっている。
 メディアは、年金と自衛隊の多国籍軍派遣が争点といったが、実際の争点はそんな単純なものだけではなく、規制緩和、自由競争、すなわちアメリカ追随のグローバル化・構造改革が大きな争点であった。
 小泉が自衛隊を多国籍軍参加させるアメリカのイラク戦争は、アメリカ独占体のグローバル化、石油略奪によるイラクさらに中東の市場確保、世界収奪が目的であり、構造改革とたたかうことぬきに「護憲」も戦争阻止もない。構造改革の基礎のうえに翼賛政治が象徴する物言えぬファッショ的な抑圧があり、武力参戦への動員があって、そのような自民党売国政治に人人は大きな反発を示した。
 選挙は、自民党の構造的な崩壊である。まさに自民党の支持基盤は小泉が構造改革によって「ぶっ壊してきた」わけである。
  
 際立つ「日共」凋落 選挙区の議席はゼロ
 さらに選挙のきわだった特徴は「共産党」の看板を掲げた修正主義集団が、15議席から4議席へ議席を激減させ歴史的な大凋落をしたことである。自民党批判が強まることが、かれらへの支持の大きさにはならない。人人からいまや自民党の対抗者と見なされておらず、運命共同体であることを証明した。
 「日共」集団の比例区の得票は、橋本政府の経済政策に強い批判が示された98年の参院選で820万票をとった後は低迷し、次の衆院選で670万票、01年参院選で433万票、昨年末の衆院選で458万票、そして今回は436万票となった。とりわけ、かつて勢力を誇った神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫では現職候補が落選し、選挙区は59年以来45年ぶりの議席ゼロ。

 構造改革問題で争点をそらす役割
 選挙ではとくに、大衆の死活の問題となっている構造改革問題で正面から争点にせず、いい改革の推進者のような顔をして、対決点をそらした。
 「日共」修正主義集団の志位委員長は、「まちがった路線・方針をとったときは責任が生まれてくる。党の指導部が、まちがった路線方針を掲げてたたかったとは思っていない」と弁解、敗因は「自民か民主かという“2大政党”の流れが強力につくられたから」。支配勢力の意図が働くから勝てないというのは、いつも支配勢力には負けるという精神であり、共産党ではないということである。そしていつも、正しいわが党の政策を理解しない大衆が悪いという。それは自己中心の戦後アメリカ型教育の優等生ぶりを発揮している。負けているのに勝ったような詭弁をいう唯我独尊は、小泉とそっくりである。
 「日共」集団は、社民党の後を追って、党の綱領で「安保」も自衛隊も天皇制も容認し、資本主義の体制内の党を宣言して支配勢力から認めてもらうことを願った。かれらは、戦後アメリカ占領軍を解放軍と見なし、原爆投下を平和と民主化のための貢献として感謝した流れを引きずってきた。「わが党」第一、党利党略一本やり、個人の勝手主義の擁護者であり、アメリカのインチキな民主主義の崇拝が性根である。これは人民運動の破壊者として広範に知られるところとなった。それは「自由、民主、人権」をスローガンとする自由競争・市場原理、構造改革との対決をするわけがないのである。
 大衆が実際体験しているところでも、労組幹部になったら企業乗っ取りの道具にし、議員は裏取引に明け暮れ、弁護士は保守顔負けの悪徳をやり、はては有事法反対の集会などといえば専門家づらをしてあらわれ、大衆の運動をつぶして回る。大衆の死活問題である市町村合併などでも、かれらが旗を振ると、大衆は利用されて最後はどんでん返しを食らうという経験をしてきて、一緒にやるのをためらう、すなわち運動を沈静化させる役割を果たしてきたと見なされている。広島が典型的で、かれらが原水禁運動の専門家づらをすることで、被爆市民が原爆への怒りを表明することを抑えつけてきた。
 いかにも平和で民主主義で庶民の味方のようなことをいい、その実、人民の運動をアメリカと売国独占の支配に縛りつける、社会的な支柱、共犯者としての欺まんが通用しなくなったことは、護憲世論が後退したなどというものではなく、よいことである。
   
 民主も組織票衰弱 腐敗労組幹部に批判
 民主党が議席を躍進させ、改選議席の38議席から12議席ふやした。これは寄り合い所帯の正体のしれない集団への支持というものではなく、社民、「日共」集団のあまりの腐敗のなかで行き場のない自民党批判票が流れただけで、とても勝利とはいえない。
 むしろ民主も議席、得票数はふやしたが、基本となる組織票は衰弱傾向であった。依拠する労働組合・連合関係の比例区の票は激減する一方。最大労組自治労は前回から5万票へらし自動車総連なども2万票の減となっている。
 地方自治体解体という大問題で、なんの役にも立たないのが、労働組合ならぬ子役人組合と化した自治労であり、このダラ幹どもに自治体労働者の信頼はない。規制緩和の号令のなかで、職場は戦場のようになり、度はずれた労災事故が連続、健康破壊、生活破壊も著しい、生活できない不安定雇用、倒産・失業の脅威にさらされているが、労働組合連合は資本の側で首切り役。労働者の信頼はないが、ダラ幹どもは民主党の看板をして終盤の自民党劣勢情報で会社と一緒になって自民党応援に回ったものも多い。
 公明党は落ち目の自民党に恩を売って勝ったような顔をしている。いかなる情勢になっても揺るがぬ組織力を自慢しているが、宗教を基盤にし、うちの神様に従うものだけがいい目を見て、信じないものはひどい目にあうというのは、ファシズムの危険性をあらわしている。
 以上のように、自民党をはじめどの政党をみても、その共通した特徴は、日本国民からすっかり遊離してしまい、政党の体をなさなくなっていることである。自民党ははじめたかをくくっていたところ、メディアの世論調査で飛び上がってアワを食って走り回った。大衆の世論についてメディアに聞かなければわからぬ政党というのは政党の体をなしていないということである。いかなる政治も大衆を動員できなければ政治ではない。
 国会がすっかり国民の実生活とは異質な世界になってしまって、政党がまるで宇宙遊泳状態、バーチャル化(仮想現実化)してしまっていることをあらわした。歴史上いかなる支配者も民が世話になっていると思わなくなったら終わりとなった。権力をふるうばかりで民を世話しない政治がまん延しているのである。
 自民から「日共」に至るまで、政党政治が衰弱し崩壊していることが、選挙が示した重要な特徴である。候補者からして、国民の生活実感をまったく知らず、アメリカに留学して頭に詰めこまれた若いのが、偉そうな顔をして勝手をする。自民も革新も国民の方を向かずにアメリカばかりを見ている。アメリカに認められるのが出世の道という売国政治が、かくも無能な政党をつくってきたのである。これは外交で顕著であり、アメリカ一辺倒で朝鮮、中国、アジアなどとの関係ですっかり悪化させ、欧米からは自主性のない劣等国扱いされる結果となった。
 参議院選挙は、以上のような情勢の重要な特徴を示した。大多数の人民大衆がすすむべき方向は、構造改革と武力参戦へすすむ対米従属の売国政治との対決点を鮮明にして正面からたたかうことであり、そのためにはあらゆるインチキな共犯者を暴露し、単に小集団だけが叫ぶのではなく大多数の声を集め、それを一つに束ね、行動にし力にする、そのような私心のない勇敢で献身的な真の愛国者・政治集団を結集することがきわめて重要な課題となっていることを示した。

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