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生活擁護、平和擁護の市民運動を
本紙記者座談会 下関市政巡る情勢
             物言えぬ軍都作る江島市政    2007年3月19日付

 安倍晋三首相の地元・下関では、2月の市議選で30万市民のなかで江島市政批判が圧倒し、市民生活を守ろうとする世論が噴き上がった。ところが江島市長はさっそく廃案になったばかりのあるかぽーと市有地売却議案を市議会に上程し、老人休養施設・満珠荘の一方的な閉館、文化会館建て替えの再入札、犬猫安楽死施設、海響館のペンギンハウス、JR梶栗駅舎や下関駅ビル開発など、箱物利権満載で開き直りの強行突破に挑んでいる。軍港化が指摘される沖合人工島を中心とした不気味な都市改造が動き、国民保護計画の具体化として5月には六連島で全国初の実動訓練がもたれる。江島市政をめぐる情勢と、熱を帯びてきた市民の運動の方向性について、記者座談会を持って論議してみた。

 市民の圧力が強まる あるかぽーと売却議案上程
  市議選が終わって1カ月半が経過した。3月議会もすすむなかで、江島市政の方向性が鮮明になってきた。1言でいえば懲りずに暴走をはじめたわけだが、個個の問題はどうあらわれているのか、それら全体を通じて下関をどうもって行こうとしているのか、それに対する市民の運動の方向について論議したい。
  3月議会の目玉の1つは、あるかぽーと市有地の売却議案だろう。議員の多数は選挙中反対と言明した。選挙が終わったら転向したのもいる。どっちにしても市民の圧力は強い。19日の建設委員会は、モニター設備のない第4委員会室であり、密室論議だ。委員会で仮に強行したとしても、本会議では「反対」を主張してきた議員も多数いるわけで、どうなるかは流動的だ。ここは市民が下から運動を押し上げないといけない。市民も多数押し掛けるようだ。20日の江島市政刷新・市民集会にむけた動きも活発になっている。最終本会議は28日だ。
  今回の議会では、市民連合の砂田議員(三菱重工)が個人質問のなかで、あるかぽーと計画について「早くやれ」と市長を煽った。それに対して江島市長は「みなとまち開発と唐戸商店会が合意して、シャトルバスの運行や共同イベントを計画している。唐戸商店会にとってはラストチャンスだ」という発言をした。同じ時期に「みなとまち開発」の別名である「唐戸の発展を考える会」の名で、あるかぽーと賛成のチラシが配られた。江島市長の答弁は唐戸商店会旧執行部が勝手に結んだ合意(その後、商店会は撤回した)を、現在も生きていると強弁したもので、ゴリ押ししたいわけだ。
  3月10日に、江島市政の暴走を止めさせようと市民集会の事前相談会がもたれた。ここで集会日時は20日に決まった。すると、市議会は建設委員会や文教厚生委員会の日程を急きょ前倒しして、19日に設定するという動きにもなっている。
  あるかぽーと開発は、二束三文の市有地売り飛ばしと商業施設誘致でしかない。土地の値段が五年前の3分の1で、あの安値だったら飛びつくはずだ。みなとまち開発の藤井社長は江島後援会の会計担当だったが、土地鑑定評価の会社は藤井社長の従兄弟の会社。もう1つも江島市長絡みの業者。お手盛りもいいところだ。
 安倍の叔父が頭取をつとめていたみずほ銀行がスポンサーで、投資額135億円のうち95億円を融資する。「融資は単独で担保はなし」といういかがわしいものだ。実質的にはみずほ銀行の土地になるわけで、大型商業施設が行き詰まったら別目的に利用していくのは見え見えだ。土地は賃貸契約で30年握られる。
  これには自民党林派が異常すぎるくらい熱心。議会では建設委員会が門出委員長、平岡副委員長の林派推進コンビ体制で、異儀田議員も林派が熱心に選挙応援していた。同委員会では賛成5、反対4とみられているが、ことはそう単純じゃない。平岡議員なども、唐戸市場で「選挙のときは反対といっていたが、どうなっているんだ!」と叱責されたことが話題になっている。

 存続署名が広がる 犬猫以下の扱い・満珠荘廃館に憤り
  満珠荘の閉館についても存続を求める運動が急速に広がっている。
  突如「休館」を打ち出して、再開するつもりがない。利用者がいるし、そこで働いている者もいるのに、人間無視の一方的なものだ。議員が視察に来たといっても利用者の意見すら聞かずにさっさと帰っていった。利用者の会は3月15日、文教厚生委員会・菅原委員長に利用者の声を聞く場を持つよう要請した。存続を求める署名は1万3750人分集まっている。みんなの手持ちを合計したら1万7000人を超えているようだ。わずか1カ月でこれだけ集まっており、すごく勢いがある。高齢者の怒りがすごいし、行動的だ。
  市長は議会答弁で「未来永劫満珠荘を続けるとは考えていない。同じ場所で同じ規模のものを建設するかは未定」と発言した。アスベストなどというが、それ以前に老人福祉事業をやる気がない。「儲かってないじゃん」というのはホリエモン顔負けの市場原理で、行政にも露骨にあらわれたわけだ。
  あるかぽーとを性懲りもなく強行するということと、満珠荘も一方的な利用者・職員無視、市民無視で廃館にしてしまう。ほかにも野良犬・野良猫の安楽死施設、ペンギンハウス、梶栗駅、文化会館建て替え事業の再入札などがオンパレードだ。
  全国初の犬猫安楽死施設11億円となると業者が限定されるし決まった上での話だろう。下関で導入実績をつくれば、メーカーにとっても全国への売り込みの足がかりになる関係だ。下関のと殺の歴史では、はじめは酸欠処分にしていた。次は薬になり、筋弛緩剤を注射していた。あたらしい施設は「もっと気持ちよく死ねる方法」というわけだ。「筋弛緩剤で殺すのにはそんなに苦痛はないはずだが…」と現場の人人も首を傾げていた。
 いま野良猫は大和町にある会社が委託されてと殺処分している。野良犬は動物管理所で一時預かって、頭数が揃った段階で県の動物愛護センター(小郡)に持って行き、まとめてと殺処分している。下関では各家庭の死んだ飼い犬・飼い猫を持ってこさせて、一定期間冷凍保存して、7〜8匹そろったら焼却するシステムになっている。そのための焼却炉は完備している。以前に比べると、野良犬・野良猫の数は激減しているのが実態だ。あらたに11億円も投資するわけだから、人間を焼くのよりもコストが高いのではないか。
  ペンギンハウスも業者は決まっているのだと語られている。「特殊技術が必要」として他を排除するやり方。兵頭議員が、「1匹いくらのペンギンを何匹入れるのか?」と質問すると、「わからない」と答弁していた。1億円で買い込んだペンギンを20億円の水槽施設に泳がせる。100匹だったとしても1匹が100万円。50匹なら200万円。これもどこから仕入れるのだろうか。市民のなかでは「下関はペンギンさんの方がいい暮らしができる」と語られている。

 異常な人工島計画 破綻させ軍都作り・市民無視と連動
  大きな動きとして国民保護計画が3月議会に報告された。全国初の実動訓練が5月末に六連島でやられる。かかわって、人工島建設を中心にした不気味な都市改造計画も進行している。周辺道路の建設規模だけ見ても異常極まりない。4車線で幡生ヤード、高速道インター、関門トンネル、新幹線駅、そして第2関門橋とつなげる。すべての道は人工島につながるというものだ。
 この道路をみると、市民生活のためとか、下関の発展というところから考えられているのではなく、国土交通省主導であり国の必要によるものだ。中心になる人工島は、岬之町のコンテナクレーン1基のみ。今つくっている道路は必要ない規模だ。
  投資額も文化会館建て替えどころの金額ではない。人工島に第1期工事だけで675億円。その入り口から北バイパスまでの道路を市が32億円でつくった。国土交通省の北バイパスは総事業費が720億円。県が幡生ヤードとつなぐ高架橋などの道路に163億円と桁違い。都市改造が知らない間に、騒がれないうちに進行している。「渋滞解消」などというがカモフラージュだ。北バイパスもいまのところつくっているのは汐入から人工島につながる部分まで。綾羅木方面の地権者が土地を売らずに抵抗しているとも話されている。
  江島市長も「国策」を強調する。この薄気味悪さを客観的に見た場合、軍港・軍都づくりしかない。さんざん箱物をやって市財政を食いつぶして、破綻させて、関門特別市、つまり北九州への身売りをやり軍事都市にするというなら説明がつく動きだ。
  軍港ということは商港と対立する。すでにフェンスが張ってあるが、平和貿易が制限される。下関の地元に根ざした発展ではなく、非生産的な方向だ。臨検港に下関港と佐世保港が指定された。安倍内閣は防衛省昇格にともなって海外派遣の特別部隊を編成した。緊急事態になれば兵隊は新幹線で飛んできて、装甲車とかさまざまな物資は幡生ヤードにどっさり持ってきて、人工島に直結させ、人工島から艦船で出撃するというのでは、便利なつくりをしている。
  市民無視というのが軍事化とのセットで非常に露骨だ。軍事優先。それが市民生活破壊なのだ。産業的なものはみなつぶしていっている。まるきり植民地みたいだ。そして外資誘致をいいはじめた。
  下関の主権をなくしてしまって、地方自治権を奪うのが関門特別市だ。江島市長が北九州とことさら合併したがる理由は何かだ。わざとでも財政破綻する方向にすすんで、関門特別市になれば、下関はいまの豊浦郡みたいな存在になる。住民が何をいっても届かない。市民の発言権を封じ込めることと軍事都市化は連動したものだ。
  江島市長の親分にあたる安倍首相は、支持率低下になったら「統率力をもってやるのだ」とムチャをやりはじめた。国政では、衛藤復党問題、従軍慰安婦問題での開き直り発言はアメリカ議会からもバッシング。憲法改定の国民投票も前倒しするといいはじめた。下関でも「ナメるなよ!」と意地になっている印象だ。そもそも安倍政権のガタつきは、下関から火がついた。文化会館建て替え問題が起きて、市民の批判は高まった。すると上の方でもガタガタやりはじめた。その後の開き直りも、下関先行だ。

 飼い犬議会の姿露呈 運動抑える「日共」・存在感示す兵頭氏
  そういう市政に対して、下関市議会はどうなっているか。先の市議選で江島市政を批判しながら無所属で立候補した者、あるかぽーと反対といった者は得票を伸ばして、自民党は惨敗した。しかし当選したら自民党会派に寄せ集まっていくし、さっと江島与党体制に収まっていく。議会は本来市民を代表して市長を監督する位置にあるが、市長の目下の飼い犬が常識みたいになっている。
 流れを見てみると、最初の会派編成のところで、無所属看板で江島批判をやりまくっていた亀田議員がスッと自民会派に入って、破門となっていた井上議員、異儀田議員にわびを入れさせて引っ張り込んだ。そして議長選では「野党組」といわれる部分が「日共」も公明も手をつないで自民党・兼田議員を担いでオール自民党与党にしてしまおうの動きになった。
  あるかぽーと計画をめぐって緊張が高まれば、「日共」集団などが市民の運動を抑えるような言動をする。
  江島市長を打倒し市民の生活を守るといって議会に送り込まれた兵頭議員は一定の存在感を示している。兵頭氏が委員会視察のさい、利用者の声を聞かない議員集団にのこのこついて行って、途中で連れ戻されて叱り飛ばされたこと、そして兵頭氏本人が元気になって動き出したことに市民は大喜びだった。
  13日の個別質問で兵頭議員があるかぽーとやJR梶栗駅の問題を質問すると、議長・副議長が「さるところからクレームが出た」といって圧をかけるという動きもあった。「JRや神戸製鋼などの民間企業を誹謗中傷してはならない」「議会本会議での発言は公式発言であり、議事録から削除する」と主張した。兵頭議員には不穏当発言として注意がおこなわれたが、「市民の声を代弁しているので削除には応じられない」と断った。
  「JRがたかり商法だ」というのが不穏当発言というわけだ。自分は一銭も出さずに、税金と住民の寄付金で駅をつくらせるのだから、普通の人間の目から見るとたかりだ。市議会では本当のことをいったら不穏当となるわけだ。福田副議長がカリカリするのはわかりやすい。「わしが梶栗駅はやったのだ!」と演説したくらいだから、タカリといわれたら自分がいわれたと思って腹が立つのだろう。
  委員会の満珠荘視察で兵頭氏が引き戻された問題で、「日共」集団の檜垣議員が、水野県議の選挙運動ビラの裏側に、“議員として大事な公務を放棄した”旨をのべ、次にやったら“懲罰”だ、と大喜びの文章を書いてばらまいた。兵頭氏の写真入りだ。市民は「市民の味方ではなく市長の味方なのだ」とびっくりたまげている。檜垣議員には何の迷惑もかけていないのだが、兵頭氏を議長室に呼んで注意を与えた議長、副議長や市民から逃げた菅原委員長のメンツに逆らったのに腹が立つのだ。共産党の看板で江島与党を宣言する行動だ。そのビラを市内中にまけばいいのだ。水野選挙の票が増えるのか減るのかやってみればいい。その度胸はない。「国民保護計画」などが出される中で、「自分を兵頭と同じとみられては困ります」「私は忠実な与党です」という身のあかしの気分が抑えきれないのだとみられる。
  兵頭氏が唐戸や長府など市内で、緊急の議会報告といって街頭演説をやったが大歓迎だった。議会の誰が裏切って誰がどうしているのかと大関心だ。どうやって議員に圧力をかけるかという意欲が強い。
  市民代表の議員を送り込んだことで、議会の内部から江島市政が何をやっているか、議会はどうなっているかなどを広く市民に知らせる。そして市民の世論と運動を起こして市政を変えていく。そういうイメージができはじめたと思う。議会の中のインチキの姿もだいぶ市民の目にさらされるようになった。兵頭氏は、議会の中で、兵頭個人ではなく市民が後ろにいるというイメージで映るような方向に進んでいる。
  兵頭氏は委員会視察を引き上げたが、最近1人で回って相当に詳しい話を聞いてきている。委員会視察がいかにお粗末かはさらに暴露されることになる。

 市民運動の強化へ 戦争反対軸に・共通の根にむけ
  議会の活動と結びつけて市民の運動をパワーアップさせることが大事だ。市政をめぐってはあるかぽーと問題、満珠荘、梶栗駅、文化会館建て替え再入札、ペンギンハウスや犬猫安楽死施設、市県民税の増税や教育や福祉の切り捨て、そして人工島とその取り付け道路問題、国民保護計画と六連島訓練問題など山積している。市民の運動としては、様様な人人による様様な要求と運動を具体的に起こすことと、それらを共通の根っこに対する共同のたたかいとして1つに合流させていくことが大事だ。諸問題があるが、それら全体を通じて、下関をどうしようとしているのか、それに対置してどんな下関にしなければならないのかを対置した運動がいる。江島市長は安倍総理の方向を具体化してやっているわけだから。
  国民保護計画が策定され、六連のような実動訓練がはじまると、ヘナチョコ野党やインチキ平和勢力というのが恐れおののいて引いていくシカケがある。戦時体制で「戦争だ!」といったら飛び上がって逃げていく人種だ。安倍批判、江島批判は噴き上がっているから、「国を守らないといけないのだ。何を文句いうか!」という内容だ。実動演習を早くやりたいというのは、そういう効果を期待しているからだろう。「日共」やインチキ革新が「逆らいません」と手を挙げるのも、そういう効果だ。しかし大衆の方は「バカじゃないか」といっている。
 現実に大衆のところは腹を立てているし、平和のため、民主主義のためにあくまで大衆の中に根をおいて筋をとおす政治勢力がやり抜けば支持される関係だ。平和の運動は今後ひじょうに重要だ。江島市政が、さんざんに下関を食いものにし、市民が生活できないようにし、わざとでも財政破綻させて、あとは北九州への身売り計画で、下関は地方主権をなくした軍事都市にする、軍事優先が平和的な市民経済をさらに破壊するというものだ。したがって戦争反対を軸にした生活擁護、民主主義擁護の総合的な運動を発展させなければいけない。そういう構えた運動構築が要求されている。