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世界維持できぬ金融資本主義
新自由主義の意味するもの
             強烈な搾取と貧困を作る    2010年7月9日付

 参議院選挙の投開票をひかえ、65年目の敗戦記念日を迎えようとしている。世界も日本も古い常識では理解できない大きな変化をしてきた。2008年9月のリーマン・ショックを契機に、アメリカがこの間どんなデタラメをしてきたのか暴露されてきた。日本経済は急速に衰退し、農業はつぶされ、製造業は中国・アジアなどへ逃げて、失業者はあふれ、将来のめどが立たない。資本主義世界はどこからどう動いているのか、社会の活力ある発展の道はどこにあるのか、経済の面から明らかにする論議をしてみた。
 
 大暴れの金融資本 リーマンショック後もボロ儲け

 司会 日本社会全体の崩壊が語られている。若者の職にしても農漁業にしても、教育にしても学問にしても、医療や介護にしても、このままでは日本はつぶれるという実感をみんなが感じている。どうしてそうなったのか、ここはさまざまな現象を切り離して、また目の前の諸問題だけ見るというのでなく、世界的な範囲で、歴史的にどういう経過でこうなったのか、どこにこの社会を発展させる力があるのか、そういう大局的な視点がいる。そういう研究、論議をはじめたい。
  リーマン・ショックは世界の歴史的な出来事になった。金融機関が膨大な不良債権を抱え信用は収縮し、まさに金融恐慌となってあらわれた。そこで、「市場原理」「小さな政府」といっていた各国政府が当然のような顔をして税金を投入し、金融機関の不良債権を肩代わりした。そして今度は「ソブリン・リスク」といって国家財政の破綻がギリシャなどで騒がれている。世界経済を破綻させた金融機関はすぐに金儲けに奔走し、1年で復活を遂げる有様だ。新自由主義・市場原理・規制緩和・自由化というのが何だったのか、パンクしてずいぶん明らかになりはじめた。
  今度の問題はアメリカの住宅バブルの崩壊だ。それがサブプライムローン問題だ。支払い能力のない貧困層に乱脈融資をして住宅を建てさせていた。ローン会社が審査なしでどんどん融資する。そこへ投資銀行が、ローン会社の債権を買いこむ。そしていろんな債権をまとめて、それを複雑な金融工学を駆使して証券化商品にし、年金基金などに売りつける。支払い能力が低いので金利は高い。投資する側はハイリターンに飛びつくという仕かけだ。これが世界中に拡散し、住宅バブルの崩壊で世界の金融全体の破綻になった。
 C 高度な金融技術というがイカサマ金融だ。証券化商品として金を投資しているものは、借り手がどこのだれで支払い能力があるかないかもわからない。大きな投資銀行がやっていることだからとか、格付け会社が心配ないといっているから、としかわからない。
  銀行は信用事業だという。しかし銀行が人をペテンにかけ、身ぐるみ剥いでもうけるという信用できない事業をやっているということだ。世の中がおかしくなるはずだ。
 D 倒れかかっていたアメリカの金融機関は、すさまじい公的資金を注ぎこまれて、すぐにもうけをとり戻した。ヘッジファンドは、ギリシャ国債が暴落することで、保険であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)による利益が膨らんでボロもうけしている。ギリシャのパパンドレウ首相が「ヘッジファンドにやられた」と発言し、とばっちりをくらうドイツのメルケル首相も「CDSを規制せよ!」と記者会見するほどだ。金融危機すらもうけに転嫁する金融資本のやり口となっている。

 大収奪対象となる日本

  先日のG20で「日本は財政再建しなくていいよ」と特例扱いをされ、各国は財政再建に舵を切った。下関のある大学教授がいっていた。国際的な了解で日本を見離したと。収奪対象であって、ギリシャの次は日本という意味だ。公務員削減とか財政再建とか、年金削減、預金封鎖とかが、あと数年以内に起きる可能性が十分にある。国家破綻になれば債務不履行で、預金からなにからすべて持っていかれる。長期金利の上昇がはじまったときがGOサインだ。ギリシャではないが、日本国債が暴落し国家破綻することによってもうかる奴がいる。1300兆円という国民の金融資産を完全に吐き出させることになる、といっていた。
 B リーマン・ショックといって、金融機関だけが問題なのではない。直接にサブプライムローンで数百万戸の家が差し押さえられ、おびただしい人が家だけではなく老後の蓄えも失い、路頭に迷った。金融資本に身ぐるみ剥がれたんだ。
  日本の年金基金や厚生年金・国民年金資金なども10兆円ほど焦げ付いているという。銀行退職者が「運用に失敗して年金が減るばかりだ…」と嘆いている。企業年金なども株で失敗して、次は証券化商品といわれて、運用失敗だ。農林中金も、カモにされ数兆円巻き上げられた。保険会社や国内メガバンクも運用失敗になっている。国民の預貯金や年金が知らぬ間に巻き上げられている。気づいたときには「ありません」となりかねない。
  失業者がすごい。アメリカでも中国でも世界中で数千万人が職を失ったといわれる。日本の大企業も工場の海外移転ばやりだ。中国とかインドとかラッシュだ。そして国内に職がない。新規卒業者の就職がますます困難なわけだ。
 A 金融破綻したら会計基準を変えて時価評価しないことにした。だから不良債権になっているものは隠れている。金融商品というのは6京円とも7京円ともいわれている。
  この間、「世界経済のエンジン」といわれていたのがアメリカだった。それは住宅需要だった。借金需要であり、バブル需要だ。アメリカはGDPの7割が、個人消費によって成り立っている。住宅需要を中心にしてバブルで金利が上昇することを前提にクレジット・ローンを組んで、車を購入したりしていた。世界中から金を集め、その借金でバブル需要をつくり出す。そこに日本のような輸出主導型経済といってトヨタなど特定の企業が暴利をむさぼってきた。日本の低金利資金がアメリカに流れて借金需要をつくり、トヨタなどがおこぼれをあさるという格好だ。
 
 金融技術で支配へ 米国で80年代に顕在化

  アメリカを中心にした金融資本主義というのがどういうしろものだったかだ。新自由主義とか、市場原理とか、自由経済とかいって来た。アメリカで、80年代から顕在化してきた。レーガン、サッチャー、それにくっついて中曽根だ。
 戦後のアメリカ中心の資本主義世界の段階を画すのは、1917年のニクソン・ショックだ。金とドルの交換を停止した。各国の貿易をするのに、もっとも信頼できる通貨は金だ。30年代恐慌で金本位制は崩壊するが、ドルが金との交換性を維持して世界の基軸通貨になる。ドルを持ってきたら金と交換するという約束だ。これが戦後のブレトンウッズ体制だった。しかしヨーロッパや日本の重化学工業化が進み、とくにベトナム戦争でのドルの垂れ流しによってドル価値が下落し、ドルの金との交換が維持できなくなった。アメリカの戦後支配が崩壊したということだ。
 しかし、支配が崩壊したことが、アメリカの支配が弱まったことではなかった。金の規制がなくなりドル紙幣を気兼ねなく刷りはじめた。世界通貨は金に規制されるのではなく、ドルに規制されるようになった。そしてインフレだ。1W35jと決められていたのが、いまでは1W1000jほどになる。
 E レーガンが新自由主義を始めたのが1980年初頭だ。80年代にアメリカがやったのは金融自由化だった。アメリカは、軍事技術である通信と情報技術を経済にとり入れた。それと結びついて金融技術の開発に力を入れていた。技術革新といったら製造業のことかと思ったら、金融技術で世界の優位に立つという芸当をやっていた。銀行の姿をまるで変えてしまった。銀行は、預金を預かって、それを確かな事業家に貸して、利ざやをとる。信用第一の商売となっていた。ところが、住宅ローン債権から始まって、銀行のあらゆる債権を証券化商品にし、投資家に売る、それでもうけを競うものになった。貸し付けて相手が返済不能になっても、銀行がかぶるのではなく証券化商品を買ったものが損をするというものだ。
 競争に負けてはならないというので投資銀行がやり、大銀行もやり始める。それらの金融商品や株などの売り買いを上手にやってもうけるというヘッジファンドが大暴れをする。損したときには保証する保険会社があらわれ、イカサマの格付け会社があらわれた。
  金融技術として金融工学なるものがあらわれた。これはアインシュタインの数式を駆使した確率論なのだそうだ。数式の高度な計算式を当てはめて、リスクをあっちにかわしたらこっちがもうかるとかやるのだ。そうした学者を送り出したのがマンハッタンのコロンビア大学。原爆開発のマンハッタン計画の実験室の隣の建物で、いまも学生たちは金融工学を勉強しているのだという。まさに原爆といっしょで、大量破壊兵器だったというわけだ。自殺者だけでもどれだけの人間を殺したか。ものすごく頭のきれる数学者たちだが、しかし過去の実績しかデータはあつかえず、バブルがはじけるという前提がない計算だからパンクした。そしてコントロール不能なまでにデリバティブが膨らんだ。

 収奪の為規制緩和要求

 A 日本とアメリカの関係でも、金を借りているものが威張って、金を貸しているものがペコペコしているというおかしな世の中になった。軍事力とともにアメリカの金融技術にはかなわないというわけだ。
  アメリカは金融技術の優位性で世界支配するようになった。世界的には自由化・規制緩和を要求して、自由に参入できるようにした。これにもっとも隷属的にくっついてスッテンテンにされようとしているのが日本だ。
  アメリカの住宅バブルの最大の原資はジャパンマネーだ。超低金利を二十数年ずっと続けている。外国のヘッジファンドは低金利の日本で円を借りて、ドルに替えただけでも五%の利ざやになるが、そのカネで世界的なバブルをつくっていった。円キャリートレードというやつだ。ヘッジファンドは、その金で通貨や株や証券などの投機をやったり、日本企業の買収をした。日本のカネで日本企業を買収するのだからふざけている。スペインやイギリスなども住宅バブルだった。世界的にバブルで資本主義を回してきたのだ。その金をもっとも提供したのが日本だった。だから日本国内にはカネが回らない。
  アメリカ金融資本の新しい世界収奪の手法のなかで、世界的な構造変化がよぎなくされていった。自由化、市場原理、民営化はアメリカの金融資本の要求であり、各国で社会的崩壊につながった。金融資本の暴走のなかで、強烈な搾取社会をつくってきたということだ。
  新自由主義改革というのは中曽根政府が国鉄民営化などではじめた。中心は橋本政府の金融自由化、金融ビックバンだった。そして全面的にやったのが小泉改革だ。この過程で日本の銀行も変わった。「投資信託をしませんか」の勧誘になった。転売業務である証券化が主な業務になったんだ。下関の最近のマンション・ブームを見ても、その手法でやっている。人口が減って需要はないのにバンバンつくる。銀行が企業に社債を発行させ、そのローン債権を細切れの証券に組み替えて売るのだ。それを回しさえすれば銀行はもうかる。下関の衰退にはそういう問題がある。
  産業資本が金融資本のもとで縛られてきた。大企業がヘッジファンドに買収されるということにもなった。ホリエモンのフジテレビ問題があった。株主資本主義といわれるが、株価が上がるか上がらないかをヘッジファンドが製造企業に圧力をかける。いうことを聞かなければ企業買収。目前の株価が上がるかどうかが最大基準とされる。だから当面の株主の満足のために製造業が営まれ、企業の衰退も進んだ。何よりも労働者への殺人的な搾取体制だ。小泉政府が派遣労働を製造業にも拡大した。労働者は非正規雇用で将来の展望がない。人間扱いではなくモノ扱いにされた。正職員といっても責任ばかり負わされて過重労働にあえぐ。新卒者には職がない。奴隷か家畜のような扱いになった。

 損得優先で技術力衰退

 C 日本は元来技術立国で、技術の優秀さが競争力の源泉だった。ところが労働力を破壊していった。非正規雇用で技術継承ができない。目先の損得優先で、競争力の根拠を奪っている。トヨタのリコール問題があるが、アメリカからたたかれているという面もあるだろうが、トヨタ自身の技術力が衰退しているのだ。工場が爆発したとか、労災事故もすさまじい。
 D この金融資本主義のもとで、製造業は猛烈な競争関係となった。日本は賃金が高いから韓国だ、タイだ、中国だ、ベトナムだと低賃金を求めて海外進出していく。その手法でもうけたのがユニクロだ。柳井正は個人資産で6900億円を抱えているという。昨年だけで900億円積み増しした。中国が発展しているというが、一皮剥いた実態は、貧困と格差の蔓延だ。工業化は農業の収奪であり、農村から無一物の労働者を引き出すことが不可欠だ。中国の農村の荒廃はひどい。貧富の格差がひどいものになっている。最近賃上げストが広がった。月給が一万円そこそこ、ひどいものだ。タイも米作りが衰退している。ベトナムもしかり。アジアの穀倉地帯が工業化によって破壊されている。
  学生の就職難の一つの大きな要因は、大企業が外国人を雇うからだ。パナソニックでも50%は中国や韓国から採用するという。日本の学生は行き場がない。「現地幹部を養成して現地のニーズに合致しなければ」という。ユニクロは、社内では英語を共通言語にするといっている。
  アメリカは自動車産業が花形で資本主義を発達させたのに、GMが潰れるところまできた。その次は日本だ。日本企業の衰退は著しい。パナソニックなどの電気産業もサムスンなどに技術レベルでも負けているという。世界を代表する500社のなかに占める日本企業の数がどんどん減っている。鉄鋼で世界一だった新日鉄もランクが下がっている。インドの企業が新日鉄を買収しようといっているくらいだ。
 C 財閥系企業でもぐちゃぐちゃの再編成が進行している。財閥と財閥がくっついたり、一昔前なら考えられないことが起きている。財閥の企業グループ集団で張り合っていたのに様変わりだ。銀行も6大銀行から3大銀行になった。株主も外資が入ってきて、東証上場企業のうち四割の株式を外国人が握っている。ソニーなども外国人トップだ。新製品の開発も以前のような勢いはない。
  製造業まで衰退したら、日本国内にはなにも残らない事態にもなりかねない。アメリカのデトロイトでもGMが破綻してゴーストタウンになっている。トヨタが破綻したら愛知は散散だ。黙っていたら日本が剥ぎとられている。預貯金から年金資金から全て巻き上げるから、国内には回らない。低金利が四半世紀もの長期に続いている。あれだけでも400兆円近くを国民から剥ぎとってきた。
  「市場原理の競争で負けたから仕方ない」などといってはおれない。市場原理というけれど、世界に「自由競争」を強制していた連中がいざ破綻すると、なんのためらいもなく国に「面倒見ろ」「カネを出せ」という。なにが“小さな政府”かだ。アメリカはいま世界最大の“大きな政府”になっている。大企業の国営化だ。しかし危機のたびにこれまでもそうしている。アジア通貨危機などもすべて政府資金で救済していた。もうけるのはすべて自分たちのもの。損した時は国に補填させるのだ。このダブルスタンダードは、例えば農産物でもアメリカは補助金漬けだ。日本や他国が補助金をつけると文句をつけて圧力を加える。
 B 「モノづくりと離れたマネーゲームの暴走」とかいわれるが、基本はモノづくりと離れていない。かれらの活動は何の価値もつくり出さない。かれらの収益は、生産労働がつくり出したものの奪いあいだ。より低賃金の劣悪な労働力に依存している。金融支配によって、強烈な労働者の搾取を強制して、日本だけでなく世界中で貧困を撒き散らした。この調子でいくと、日本も農漁業だけでなく製造業も崩壊してしまう。国内空洞化はすでに相当進んでいる。
 
 根に過剰生産危機 生産力拡大するが労働者は貧困

 A
 今度の金融恐慌が瞬時に経済恐慌になっている。アメリカの住宅バブルに依存して世界の経済が動いていたからだ。歴史的に見て一番根本にあるのは過剰生産危機という資本主義の基本的な問題だと思う。生産力はどんどん発展するが、需要は伸びないか縮小する。企業が資本主義的な競争に勝つためには労働者を低賃金で酷使する。しかし需要というのは結局消費購買力だ。失業をなくしたり賃金を上げなければ需要は伸びない。しかしそれは資本主義ではできない。
 ニクソン・ショックからあとを見ると、バブル経済で架空の需要をつくって、世界経済を回している。80年代後半の日本のバブル経済とその破産があった。しかし世界的にも、アルゼンチンやメキシコなどに投資した工業化バブル、タイや韓国など東アジアの通貨危機に至る工業化のバブルなどがつづいてきた。そして、最後はアメリカ本国で、90年代後半のハイテク株バブルとその崩壊、それにつづく今度破産した住宅バブルだ。
 E 戦後を振り返ってみると、敗戦後から60年代というのは第二次大戦の復興需要だ。日本の高度成長というが、戦争によって破壊した後、アメリカの資金や技術を導入し、アメリカ市場に依存して、重化学工業化をすすめた。60年代後半には、日本もヨーロッパも復興し、アメリカとの間で繊維や鉄鋼など貿易摩擦も始まった。一方のアメリカはベトナム戦争まできてドル危機に陥り、金ドル交換停止までいった。
 以後、アメリカで成長した製造業は航空と自動車だけ。半導体も一時期力を入れたものの、日本や韓国にお株を奪われていった。物づくりによって経済を発展させ、各国が貿易を通じて取引して世界経済を動かしていくということができなくなっている。世界の貿易額は下がるばかりであるが、かたや金融取引は伸びていった。
  60年代までの過程は、需要としては戦後の復興需要だったのだ。アメリカの製造業に日本が追いついて貿易摩擦になるが、工業化の波はさらにすすむ。中南米や韓国、台湾、さらにタイ、マレーシア、そして中国、インドなど、低賃金労働力を求めて、世界に製造業の直接投資が広がっていった。日本の大企業からすると国際水平分業だ。ますます世界各地で生産力は拡大するのに、世界人民は貧乏だから市場はない。アメリカの工業の衰退につづいて日本の工業が衰退する。
  もう少し歴史的に見ると、20世紀初頭に資本主義は自由競争時代を終えて独占資本時代、帝国主義時代になる。そして植民地市場の再分割戦争として第一次世界大戦が起きる。そして30年代の大恐慌だ。第一次大戦後アメリカの工業化はものすごく進展する。フォードの大量生産方式といわれるやつで、自動車、住宅、都市づくりなどで活況を呈する。ヨーロッパも復興需要だ。しかしそのあとはバブルだ。株式バブルで狂う。それがウォール街の大暴落になる。ここで下がった株価が回復するのは第二次大戦のあとになる。結局20世紀以後、世界大戦による大破壊とそれの復興需要があるときだけしか資本主義の相対的な安定期はないようだ。
 B 世界には金が有り余っているという。有り余った金でマネーゲームをやっている。その一方で、世界中に飢餓人口、貧困人口があふれかえっている。飢餓人口は9億人、貧困人口は14億人といわれる。みなが食べ物も衣類も住居も欲しがっている。それなのに金余りであり、過剰生産というわけだ。もうけるために生産活動をする、もうからないから飢餓人口のことなど知ったことではないというのが、資本主義であり、「市場原理に任せておけば何でも解決する」と主張してきたのが新自由主義理論だ。もうからないからではなく、食えないものがいるから余った金をつかえというのが当たり前のことにしないわけにはいかない。
 C こういう金融資本主義のもとでは世界は成り立たない、人人は生活できないということだ。それならじっと潰れるのを待つしかないのかという話だ。農漁業がもうからないといっても食料危機で足りないのが現実だ。

 社会の活力は生産活動

 B 新自由主義というのは自由競争、市場原理、社会的規制の撤廃で、すなわち労働者の抹殺だった。社会そのものを破壊していく。教育の破壊、学問の破壊も無惨なものだ。真理真実の基準がなく、だれかの利益のために好きなことをいっている。ドルが金の規制を受けなくなって、ドルに世界をあわせろとなったが、現実に規制されずに、アメリカにあわせろとなった。学問までそうなった。社会科学も崩壊だが、自然科学も崩壊だ。
 教育は活力である人材をつくるものになっていないし、学問は真理真実を探求するようなものではなくなった。現実に通用する科学を否定するから真理に接近しない。出世すれば良いといって捏造論文が出てきたり、出世してカネが入れば良いのだとか惨憺たるものだ。歴史のうそ、科学のうそもはびこっている。自然科学だけは現実に立脚しなければできないし、うそはないだろうと思っていたら、こっちでも地球温暖化とかの結論に合わせてデータを捏造したりするものだからムチャだ。
  金融資本が活力いっぱいで荒稼ぎをしてきたが、世界も日本社会もまるきり活力がなくなり衰退してきた。社会の活力は人人の生産活動であり、つまり労働だ。それに自然科学、社会科学であり、文学・芸術がある。市場原理主義の金融資本主義になってこの活力を徹底的に破壊している。世界には餓死や貧困の人たちがたくさんいるのだから、その人たちも必要な生活物資が手に入るように生産するという世界をつくらないわけにはいかないということだ。
  資本主義はモノ作りがあってもうかっているのが真実だ。連中がマネーゲームをやる富の源泉は労働であるし生産活動だ。消費=善で生産=悪というのが振りまかれ、消費者主導の社会だといってきたが違う。生産が中心だ。それと自分のためか社会のためかの大激突だ。社会があるから個人があるのが人間の歴史だ。ビル・ゲイツであろうと柳井正であろうと、オバマや菅であろうと、社会があって歴史があるからおまえがいるんじゃないかという関係だ。転倒したら大間違いだ。
 B 自己中心で人も社会もどうなっても知ったことではない、もうけるための大競争というイデオロギーは金融資本主義の担い手たちの根本精神だ。しかし、みんなで協力して人にとって有用なモノ、社会のために生産するというのをやっているのが労働者だし、生産人民だ。
 A 日本でも世界でも、労働者がものすごく増えた。農民もつぶされて労働者になり、中小企業も倒産して労働者になってきた。金融資本主義の方は、軍事力を持ち権力を持っているが、しかしその同調者は世界的にもものすごく少人数になっている。頭数が多いのは勤労人民の側だ。
  ここで特徴的なのが、中南米だ。中南米はアメリカの裏庭といわれてきたし、市場原理主義が真っ先に押し寄せてきたところだ。新自由主義の経験がもっとも豊富で免疫力ができている。そこがベネズエラなどを筆頭に、アメリカ資本を追い出して、大企業を国有化し、社会主義を志向している。
 キューバは砂糖しかできない国で、冷戦崩壊まではソ連の援助もあったが、その後もがんばっている。医療分野は抜きん出ていて、中南米のあちこちに医者を派遣したり、識字教育を援助している。その見返りに石油をもらうとかしてやっている。経済制裁を50年も受けているが、貧乏かというと日本よりうんと社会保障も充実しているし良い。教育も無料、医療も無料だ。アメリカに見放されたらやっていけないというものではなく、自立してやっていけるということだ。
  日本は戦後繁栄したかに見えたが結局はひどい目にあった。新自由主義改革は80年代後半に中曽根内閣から始まった。小泉政治まできて完結。日本の資産を根こそぎ持っていく構造にしてしまった。植民地支配だから一番惨憺たる結果になりかねない。軍事支配が根幹にあるからこそできたことだ。全世界的に人民がガツンと入れて、震え上がらせるようなことをしなければ、言うことを聞くような連中ではない。90年前後に社会主義崩壊で資本主義勝利とやってきたが、その資本主義が崩壊しているのだ。
 A 帝国主義の腐朽と衰退がきわまれりということだ。対峙する展望は、労働の解放、生産力の解放であるし、それを妨害する勢力とたたかう、そういう世界的な規模の共同斗争として、日本の労働運動、各層の人民の運動を巻き起こすことが不可欠ということだ。

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