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世界各国で全国ストやデモ
食料・燃料価格引き上げやめよ
                 投機資本の規制を要求       2008年6月4日付

 あこぎなアメリカなど国際投機資本の石油や穀物などへの投機によって、日本をはじめ世界各国で、食料や燃料価格の天井知らずの高騰が続いている。本来人間に食わせるための穀物でバイオ燃料を生産するというのは「意図的な謀殺」であり、食料危機は「静かなる大量殺りくだ」と憤激が高まっている。食料と燃料価格の引き上げに抗議する斗争の炎は、今やアフリカや中米、中東にとどまらず、アジア、欧州にも燃え広がり、世界的な「コメ騒動」に発展しようとしている。

 37ヶ国が食糧危機
 ここ数カ月来、世界37カ国が食料危機に襲われ、1億人が飢餓に直面している。だがその特徴は、食料不足ではなく価格の高騰である。2007年の世界の食糧総生産高は減少しなかったばかりか、06年より4・6%も増加した。しかし、国連食糧農業機関が4月中旬にまとめたところでは、世界の食糧備蓄は30年来最低で53日間ようやく維持できる(昨年初めは169日間)だけとなっている。いったい食糧はどこに消えたのか。
 先日、ブッシュ米大統領が「インドの人口が増え、金持ちが栄養価の高いものを食べるようになったからだ」といって、猛反発を買った。干ばつや人口増などの客観的要因だけでは主な食料価格が06年下半期から値上がりし、07年末までに100%上昇したことは説明できない。今では多くの人人がその最大の要因をつぎのように指摘している。
 まずブッシュ米政府が穀物からバイオ燃料の生産を大大的に進めたこと、アメリカの低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)が破綻して行き場を失った投機資金が大挙して穀物市場に流入して荒稼ぎしていること、ドル安で商品相場全体が上昇するインフレの影響で、食料の高値に歯止めがかからなくなったことなどである。
 食料価格の高騰は、真先に貧困国の多いアフリカ諸国を襲った。コメの価格は、シエラレオネで300%上昇、コートジボワール、セネガル、カメルーンなどでも50%上昇した。
 カメルーンでは今年2月、タクシー運転手がガソリン価格の引き上げに反対してストを決行、主な都市で数10人が犠牲となる暴動に発展した。これに続いてコートジボワール、モーリタニア、セネガル、ブルキナファソなど西アフリカ諸国でも、食品価格引き上げに反対するデモなど大衆行動が起こった。ナイジェリアのパン製造業組合は5月5日、小麦粉など原料価格高騰に抗議して、全国ストをおこなった。
 ケニアの首都ナイロビでも5月31日、食料価格引き上げに抗議してデモがおこなわれた。ケニアでは、今年初めの選挙騒乱もあって無秩序状態が続き、4月のインフレ率は26・6%に達し、人民の生活苦を加速していた。
 インドネシアでは今年1月から大豆価格値上げ抗議のデモなどが連続していたが、5月に入って労働者や学生、婦人も参加する大規模な斗争となった。5月24日、政府がガソリンなど石油製品価格を平均28・7%引き上げたことに抗議して、首都ジャカルタやバンドンなど主要都市で大衆的デモがおこなわれた。値上げはユドヨノ政府になってから3度目で、インフレ率は9%から12%に跳ね上がった。学生や労働者をはじめ若い婦人層が鍋や釜を掲げて行進した。これに警官隊が乱暴な弾圧を加えたため、デモ隊の意気はことのほか上がった。
 フィリピンでも5月12日、燃料価格高騰に見合った運賃の値上げを要求して、全国輸送運転手組合に属する自営業のジープニー(小型乗り合いバス)運転手が2日間のストを決行した。昨年12月3日のストに次ぐもの。運転手は、フィリピン・シェルやシェブロンなどの石油資本による違法な価格操作の取り締まりや、ペトロン石油会社の国有化を要求した。
 かつてはコメ輸出国であったフィリピンが、今では世界最大の輸入国となった。米価は昨年4月のキロ当り22から今年4月末74へと高騰した。貧困人民は毎日、命綱である割安の政府米を手に入れようと炎天下に長蛇の列をつくっている。ジープニー運転手のストは、貧困層の熱い支持を受けた。

 農業団体が13万人デモ 中米メキシコでも
 中米メキシコでは今年1月、政府が主食のトウモロコシや豆など4品目の輸入関税を完全撤廃した。食料主権を揺るがす決定に抗議し20余りの農業団体、約13万人がメキシコ市で北米自由貿易協定(NAFTA)発効以来最大規模のデモ行進をおこなった。ここ数カ月、小麦29%、トウモロコシ9%、コメ12%、大豆食品33%と基本食料が軒並み値上がりした。メーデーでは「いっそうの賃上げを、より多くの雇用を」「食料主権とエネルギー主権を守れ」のスローガンを掲げてデモ行進がおこなわれた。
 メキシコではまた昨年から、化学肥料や農薬、種子など農業生産資料の価格が通常の6倍に跳ね上がり、燃料価格も高騰した。加えてコストの低い米農産物の輸入も増大した。とくに主食のトウモロコシの30%をアメリカからの輸入に依存していたため、バイオ燃料生産で輸入が減少して食料不足に陥った。このため1月末の集会では、トウモロコシや豆類、砂糖や粉ミルクの関税を撤廃しないこと、アメリカ産、カナダ産の輸入農産物に対抗するための保護措置を講じること、国営企業の民営化を中止することなどを要求した。
 中米ハイチでは4月初旬、食料価格高騰に抗議して約1週間に及ぶ暴動が続いた。1日2j(約208円)以下で生活する国民が76%も占めるハイチで1月から4月までに、トウモロコシ価格が2倍に、コメ価格が1・4倍になるなど食費はこの半年で倍増し、「泥のクッキー」と呼ばれるものが売り切れるようになった。「もう生きてはいけない」と4月に抗議デモが発生、暴動に発展した。そして首相が退陣に追い込まれた。
 タイでは5月20日、南部ナコンタラマート県シチョン郡の入江に漁民が集まり、出口を漁船で封鎖して、燃料価格高騰に抗議した。漁民たちは、政府が支援要請を無視したために実力行使に踏み切った。

 漁民や労働者も行動へ 欧州や米国でも
 欧州でも、燃油価格引き上げに抗議する漁民の行動がフランスから各国に広がっている。フランスの主な漁港11港の漁民組合は、5月10日から始めていたディーゼル油高騰に抗議して港湾や石油備蓄・精製所を封鎖する行動を続行していた。同30日には、南欧各国の漁民がそれに合流し、各地で一斉ストに入った。最大の漁獲高を誇るマドリードでは1万人が参加。フランス、イタリア、スペイン、イギリス、ポルトガル、ベルギーで計数万人が休漁し、抗議デモを敢行した。
 昨年10月以来、ディーゼル油価格は上昇を続け、わずか数カ月間にほぼ倍増した。02年と比べると6倍に跳ね上がっている。漁民は油代を払うことができず、出漁をとりやめざるをえなくなっている。
 漁民のたたかいは他業種の労働者の理解と広い支持を集め、漁民に連帯して一斉ストに加わっている。とくに共通の燃料価格高騰に抗議するトラック運転手は、イギリス、スペイン、ブルガリアで道路封鎖などをおこなった。イギリスでは、約300台のトラックでロンドン西部に通じる幹線道路を封鎖し、代表を首相府に送って道路税引き上げ計画を断念するよう要請した。スペインのトラック運転手も、漁民の抗議の隊列に加わり、政府にコスト上昇を抑えるよう要請した。ブルガリアの運送会社のトラック100台が、首都ソフィア周辺の幹線道路を封鎖。南仏では農民数百人が石油関連施設の出入りを妨害、各地のバス・タクシー労組も参加の動きを見せている。
 フランスの大西洋岸で起こった抗議行動がまるで津波のように、欧州各国に波及していることは注目すべきである。しかも漁業、運送業などの労働者が同一の課題を掲げて共同行動をたたかうことはあまりなかった。今回の漁民の斗争は、フランスやドイツ、イギリス、イタリアなど欧州諸国で、市場原理主義に反対する労働運動の高揚と結び合ってたたかわれた。国鉄や公共部門の民営化反対、地方路線廃止反対、年金制度大改悪反対、公務員の賃下げ反対や教師の削減など教育改革反対などと根っこのところで結びついていた。
 アメリカでも4月28日、トラックの運転手が首都ワシントンに集結、安い燃料の提供を政府に要求して、ホワイトハウスや議事堂周辺で100台を連ねてトラックデモをおこなった。
 食料や燃料の値上げに抗議するたたかいはこのほか、アジアのバングラデシュやミャンマー、タジキスタン、アフリカのナイジェリア、ニジェール、ソマリア、エチオピア、エジプトなど世界各大陸に拡大している。
 今日の食糧危機をめぐって、穀物を人間に食わすのか、自動車に食わすのか、どちらなのかとブッシュ政府のバイオ燃料生産が指弾されている。またアメリカなどの石油メジャーや穀物メジャーは、石油と食糧という生活必需物資を投機対象にして暴利をむさぼっていることも激しく非難されている。一方で、ありあまる資金をもてあます大金持ちがおり、他方で飢餓的な貧困層があふれる。それらは世界の生産を根こそぎ破壊し、人間を飢餓と貧困に追いやり、社会を成り立たなくさせるものであることが浮き彫りとなってきている。

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