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世界各国で激発するゼネスト
               金融支配と斗う国際連帯    2010年12月24日付

 一昨年9月に起こったアメリカの「リーマン・ショック」は、製造業など「モノづくり」を破壊して、金融バブルで一握りの独占資本集団があぶく銭を稼ぐ資本主義制度の犯罪を浮き彫りにした。世界は「百年に一度」と呼ばれる金融・経済恐慌に突入した。アメリカを筆頭に欧州・日本などの政府は、巨額の国家資金(税金)をつぎ込んで大銀行・証券会社を救済したが、労働者や勤労人民には緊縮政策を押しつけ、首切り、賃下げ、年金や医療など福祉の改悪をやった。この1年、アメリカや欧州では、昨年を大きく上回る規模のストライキやデモ行進がたたかわれ、資本主義との決別が叫ばれた。中南米では30年来の新自由主義をうち破り、アメリカから独立した経済統合の道が開かれた。アジアでも、中国、インド、「韓国」などで米・日・欧など多国籍企業のあくなき搾取・収奪に反対するストライキがたたかわれている。
 アメリカでは、オバマ政府が金融バブルの元凶である金融資本や産業資本に対して、救済と称して計5兆5000億j(約495兆円)もの税金を投じた。アフガンやイラク戦争の戦費増大とあいまって、アメリカの財政赤字は過去最大となった。
 税金投入で一息ついた金融資本は、政府にゼロ金利政策を実施させ、中央銀行のFRBから低コストの資金を大量に引き出し、それを元手に再び投機をやり始めている。昨年から2回にわたるFRBの量的緩和策によって、ドル紙幣を刷りまくってドル安を演出し、ヘッジファンドなどに大量のドルを供給するとともに、アメリカの巨額の債務を棒引きにしようとしている。
 他方、独占大企業による首切り、賃下げ、倒産などに加えて、政府や自治体による歳出削減、所得税の引き上げなど、労働者や人民への犠牲転嫁はすさまじいものだった。失業者は毎月平均50万人と激増し、失業手当受給者は約1000万人、4360万人が貧困ライン以下の生活を強いられている。対照的に年純所得が100万j(約8500万円)をこえる億万長者は09年に前年より16・5%も増加し、貧富の格差は史上最大となった。
 金融資本が再び金融投機を始めたことは、アメリカ人民の怒りを爆発させ、「大銀行や大企業を救済するために私たちの税金を使うな」と叫ぶデモが全土で新たな盛り上がりを見せている。工場閉鎖や首切りに反対する斗争も、GMとトヨタの合弁工場やクライスラーの工場などでたたかわれている。
 なかでもアメリカ最大の航空機メーカー・ボーイングの斗争は注目された。08年9月から2万7000人の労働者が賃下げや仕事の外部委託に抗議し、無期限ストをおこなった。みずからの経済要求の実現だけでなく、全産業に広がる事業の外部委託化や年金制度の改悪、医療保険負担の増加などに反対し、新自由主義の「改革」に反対する姿勢を貫いた。家族や他産業労働者の支援も得て2カ月近いストを堅持し、資本から一定の譲歩を引き出して勝利した。それは、欧州諸国を中心に22労組から斗争支持のメッセージが寄せられるなど、世界の労働者を励ました。
 アメリカではこのほかに、各州の財政難を口実にした教育予算削減、公立学校の統廃合、教員削減、教員の成績主義導入反対を掲げて、勤労父母や教師らが各州で決起した。
 こうした恐慌の犠牲転嫁に反対する斗争は、イラクやアフガンへの侵略戦争に反対する斗争と結びあい、オバマ政府の屋台骨を揺さぶった。
 「リーマン・ショック」のヨーロッパ諸国経済への打撃も深刻だった。ユーロ圏の失業率は一時10%寸前となり、失業者は1500万人をこえた。イギリスの企業倒産は昨年前半だけで1万社をこえ、前年同期の1・5倍になった。
 各国の金融資本が長年にわたって新自由主義の規制緩和を実行し、いかさま金融商品に手を出した結果、巨額の不良債権を抱えた。その債務を穴埋めするため、各国中央銀行は巨額の国債を発行した。その国債価格が暴落し、債務不履行宣言寸前までいったのがギリシャ危機だった。実はアメリカのヘッジファンドが国債暴落を仕組んだものだった。

 IMF支配と斗う行動 欧州各地で

 ギリシャを破産国家とすれば、ポルトガル、スペイン、イタリアなど南欧各国に波及する恐れが出たため、国際通貨基金(IMF)とユーロ圏諸国は今年五月、ギリシャに総額1100億。の融資を決めた。
 ギリシャ政府はこの融資とひきかえに緊縮財政政策として、公務員の給与と年金の削減、定年の延長、付加価値税の税率引き上げなどを柱にして燃料やアルコール類、タバコの値上げなどをうち出した。
 ギリシャ最大の公務員労組連合と最大の民間企業労組連合は緊縮政策に反対して100万、250万、300万と大規模なゼネストを今年春から打ち続けている。
 同じく緊縮政策に反対して、スペインでは9月末、8年ぶりの全国ゼネストが1000万人の規模でたたかわれた。イタリアでも10月、2年間で約2兆6800億円の歳出削減をする緊縮政策に反対して、ローマをはじめ各地で抗議行動が起こっている。ポルトガルでも、大銀行や大企業救済でつぎ込んだ公的資金などで増大した財政赤字の解消を理由にした緊縮政策に反対して、今年春以来労働者のストが続いた。11月には、人口約1000万人のうち300万人以上が参加するゼネストがたたかわれた。
 フランスでは、緊縮財政政策の一環である年金制度改革に反対して、9月以来6回のゼネストと大衆デモが展開され、大学生や高校生も参加した。サルコジ政府の年金改革法案は、法定退職年齢を60歳から62歳に、年金満額受給開始年齢を65歳から67歳にそれぞれ引き上げることが柱。学生らが「われわれの職を奪うな」などのスローガンを掲げて行動したことは、年金問題が青年の就職や生涯の切実な問題、生き死ににかかわることを示した。政府と与党は10月20日、この悪法を賛成多数で上院を通したが、労働者は引き続きゼネストでたたかうと宣言した。
 イギリス政府も10月20日、810億O(約10兆4000億円)の財政赤字を今後4年間でほぼ解消するという大規模な歳出削減案を出した。そのために49万人の公的部門の人員削減、年金支給年齢の先送り、民生関連予算の大幅削減と国民の負担増を押し付けている。
 ロンドン地下鉄当局による1800人の人員削減計画に反対する鉄道・運輸・海運労働者の24時間ストは4回にのぼった。またロンドンの消防士5600人は、当局による非正規職化と一体となった勤務制度改悪案に反対して二波のストライキを打った。イギリスの放送BBCで働く全国ジャーナリスト労組の組合員4100人も、大幅な人員削減と年金保険料の労働者負担の引き上げに反対して、11月初め48時間ストライキを実施した。スト参加者のピケには、公務員労組、鉄道・海運・運輸労組、公共・商業サービス労組などの組合員が合流した。
 11月21日、アイルランド政府はEUとIMFに対し、総額は最大で900億。(約10兆3000億円)の財政支援を要請した。5月のギリシャに続いてである。直接の要因はアイルランド銀行、アングロ・アイリッシュ銀行などで不良債権がかさみ、政府が保証できなくなったためだ。だが、その根は深い。
 アイルランドでは、1990年から07年にかけて、「外資導入が成長のカギ」などといって、外資を大大的に導入した。だが、07年には不動産バブルがはじけ、9月には住宅バブルがはじけて追い討ちをかけた。政府はアングロ・アイリッシュ銀行を国有化するなど、銀行に対して今日まで公的資金を330億。もつぎ込んだ。こうして第2、第3のギリシャが生まれているし、金融危機は底をついていない。アメリカ金融独占資本がまたも金融バクチを始め、他国の国債を暴落させてぼろ儲けする限り、破産国家がどこにでも生まれない保証はない。
 欧州のゼネストなどは、ただ規模が大きく、持続的にたたかわれているだけでなく、資本主義制度に根本原因があるという認識が強まっているという特徴がある。新自由主義、市場原理主義などはあらゆる生産的なものを破壊し、富を略奪し、労働力を破壊し、経済を破滅に導くものである。多くの労働者や勤労人民はここ数年の体験から、それを実感させられているのだ。

 非正規の労働者が決起 ア ジ ア

 ひるがえってアジアを見ても、「韓国」はいかにも経済発展をとげているように伝えられているが、それは1997年の通貨危機でIMFから押しつけられた新自由主義のなかで、外資が骨の髄までしぼり取った結果である。
 主要20カ国・地域首脳会議(G20)が先月ソウルで開かれたが、その前段の7日に開催された労働者大会には民主労総や市民団体など4万人が結集した。そのメーンスローガンは「非正規職撤廃! G20反対! 労働基本権死守! 労働弾圧、労組抹殺李明博政権糾弾!」であった。また米「韓」のFTA(自由貿易協定)反対も掲げられた。
 大会で発言した非正規職の労働者は、「G20会議は金持ちだけのための景気浮揚策を企てて、各国の労働者大衆にさらなる苦痛を与える緊縮政策に合意するような危険な協議体だ」と批判した。そして非正規職の奴隷労働の実態と、それを打ち破っていくための団結したたたかいが訴えられた。
 6日に開かれた大会の前夜祭では、ある労働者が「自国の労働者、民衆の暮らしを顧みず、財貨を奪いとったうえ、各国の労働者との競争に追いやるG20を糾弾する斗争が必要だ」と強調した。この前夜祭の決議文は、経済危機の責任を転嫁する新自由主義に対抗する労働者のたたかいを強調している。
 民主労総や市民社会団体など80余りの団体が、G20に対応した抗議行動週間を設定した。民主労総の委員長は「経済危機の主犯は巨大銀行と投機資本家だが、これを規制せず、投機資本に入れた公的資金で国家財政が苦しくなると、労働者の福祉削減と基本権の剥奪につながった」と各国政府の緊縮政策を批判した。抗議行動週間で、民主労総の委員長と懇談したエクアドルの代表は、「NAFTA(北米自由貿易協定)でメキシコなどの国国が大きな苦境に立たされた。四四%の国で福祉予算が削られ、失業と貧困が増大した」と新自由主義が中南米諸国に大きな犠牲を強いてきたことを強調した。
 今回の世界金融危機はアメリカ支配層が自動車と航空機を除く製造業をつぶして、金融ばくちで暴利をむさぼるまでに腐敗したことをさらけ出した。そのなかで、各国の労働者が、共通の敵に対する共通の要求のたたかいをくり広げている。労働者の国際的な連帯が、グローバリズムとたたかう展望を与えている。

 

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