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世界金融恐慌に突入
米リーマン倒産
               巨大金融機関相つぐ破綻    2008年9月17日付

 世界金融恐慌に突入している。米証券4位のリーマン・ブラザーズが14日に史上最大の負債総額64兆円を抱えて経営破綻したのを受け、15日のアメリカはじめEUやアジアなど新興国の株価は足並みそろえて暴落をはじめた。16日の東京株式市場も全面安の展開となった。世界中に溢れている資本が米国に集まり、架空のバブルに投機することでグローバル化した世界の資本主義経済を回してきたが、いよいよ破局を迎えようとしている。

 原油等商品先物市場も急落
 16日の日経平均株価の終値は、前週末比605円4銭安の1万1609円72銭で、年初来最安値となった。15日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均は、前週末終値と比べ504・48j安の1万917・51jまで急落。ハイテク銘柄主体のナスダック総合指数も急落した。世界各国の主要な株価指数の暴騰率では、日経平均がもっとも下落している。
 商品先物市場も軒並みストップ安かそれに近い水準となった。ストップ安になったものとしては、トウモロコシ、大豆、原油、プラチナなどがある。すべての金融商品が暴落をはじめている。
 米国では金融関連株が軒並み大幅安となっている。破綻寸前の米保険首位AIGが約61%も下落したほか、同日に米証券3位のメリルリンチの買収を発表した米銀2位のバンク・オブ・アメリカが、約21%安。売りが殺到する事態となった。証券大手ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーも下落率が10%を超えた。リーマン・ブラザーズの株価は94%安の21kにまで値を下げた。日本円にして1株が20円ちょっとである。
 また救済策が発表されたにもかかわらず暴落したまま低空飛行しているファニーメイ、フレディマックのサブプライム金融機関も破綻が秒読み。ファニーメイが1株61k、フレディマックが39kで、紙屑同然になっている。破綻すると2社が抱える負債総額の550兆円がデフォルトしてしまい、世界の金融機関が抱えている170兆円もの債券も焦げ付く。世界の金融市場が麻痺することになる。すでに破綻したリーマンの株価と日本円にして10円程度の差しかなく、実質的には倒産株のような状態だ。
 「次なるリーマン(破綻する)」と目されているのが、メリルリンチ証券で、バンク・オブ・アメリカが500億j(約5兆3000億円)で救済買収すると発表したが、「その場しのぎ」にしかならないと見られており、市場は正直に反応している。
 また、AIGも経営不安が拡大しており、米連邦準備制度理事会(FRB)に400億j(約4・2兆円)の短期融資を要請したことが表面化した。FRBは、AIG向け融資を米証券大手のゴールドマン・サックスと米銀大手JPモルガン・チェースに要請しているが、どうなるかは不明。救済策がまとまらなければ、資金ショートを起こして一気に破綻という事態もありえると見られている。関係機関が救済策を協議するなど、秒読み段階に入っている。AIGは日本で保険稼業を展開している「アリコジャパン」の親会社であり、日本の関係企業も連鎖破綻する趨勢となっている。史上類を見ない破綻劇になると指摘されている。
 怒濤の金融崩壊に直面していることから不良債権を世界金融大手10社が資金を供出し合って償却するとして米シティグループやバンク・オブ・アメリカ、バークイレイズ、クレディ・スイス、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、メリルリンチ、モルガン・スタンレー、UBSが、総額7兆4000億円のファンドを設立する動きにもなっている。ただ、それぞれ70億jを出し合って、資金繰りを支え合うというわけだが、その程度の資金で資金不足を補えるとは思われていない。
 日米欧の中央銀行も16日までに短期金融市場の動揺を抑えるため総額で15兆2000億円を超える大量の資金供給をおこなった。市場沈静化に躍起である。米連邦準備制度理事会(FRB)はニューヨーク連邦準備銀行を通じて700億j(約7兆3000億円)の資金を金融市場に供給。欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の金融機関に300億(約4兆5000億円)を供給した。イングランド銀行は50億O(約9400億円)の資金を緊急に供給。日銀は1兆5000億円を供給した。

 邦銀が1700億円融資 対リーマン
 身売りしたくても受け皿が確定しなかったリーマン・ブラザーズがついに退場した。同社はライブドアがフジサンケイグループの乗っとりを仕掛けた際、ホリエモンに800億円を貸し付けて背後で操り、テクニックを駆使して100億円超を儲けた会社として日本でも有名。90年代の日本国内の金融危機と関わって、外資が二束三文で長銀や日債銀を買い叩いたさいも、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどと並んでボロ儲けした企業である。
 同社には日本の金融機関が16億7000万j(約1700億円)を融資していることも明らかになっている。あおぞら銀行が最も多い4億6300万j(約490億円)、みずほコーポレート銀行が3億8200万j、新生銀行が2億3100万j、旧UFJ銀行が1億8500万j、三井住友銀行が1億7700万jの不良債券を握ることとなった。その他、信金中央金庫、日本生命保険なども融資しているとされている。上位30件のうち9件を日本の金融機関が占めており、資金供給源であったことがわかる。
 米国金融機関で最も債権残高が大きかったのは、米シティグループとバンク・オブ・ニューヨーク・メロンで、両社合わせて1380億j(14兆6300億円)にもなる。
 また、リーマン日本法人も民事再生法を申請。負債総額は3兆4000億円にもなった。
 リーマン・ブラザーズが破綻する可能性は夏場から出ていた。不良債権を別会社を立ち上げて売却(飛ばし)するなどしていた。今月13日、ポールソン財務長官らが仲裁する形で、米国の主要金融機関の経営者たちが集まって、リーマン救済策について協議。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)とイギリスのバークレイズが、リーマンを買収するというものだった。しかし買収する側になるバンカメなども金融危機に瀕して散々な状況であり、政府が公的資金を注入することを求めたが決裂となった。
 今年3月、投資銀行のベアースターンズがJPモルガン・チェースによって救済買収された際には米当局はJPモルガンに300億jの救済融資をした。このときの理由としてはベアー・スターンズは巨額の債券倒産保険(CDS)を抱えているからで、倒産すると62兆j(6600兆円)のCDS市場がシステム的に全崩壊しかねないから、というものだった。
 しかし今回ベアスタ、サブプライム2社と同じように公的資金注入での救済はなかった。グリーンスパン前FRB議長は、リーマンへの公的救済に反対し「破綻する全ての金融機関を救済すると、きりがない」とした。米国には巨額の財政赤字があるので、リーマンを含めた金融システム全体に対する公的支援に踏み切れば、財政赤字がさらに膨らんで、ドル安が加速する関係にもなっている。原油価格や食品価格が高騰している最中にドル安が進行すると、たいへんなインフレを招き、米国経済がもろとも完全崩壊する。
 なお、リーマンが発行・保証した債券は不履行になるわけだが、この多くに破綻時の債務保証(債券保険)として契約(CDS)がついており、CDSを発行した他の金融機関が今度は保険金支払いを迫られることになる。支払不能になれば、これらの金融機関も連鎖倒産する危険性を伴っている。リーマンは、ベアースターンズよりも巨額のCDSを抱えているとされている(発行総額は未公開)。要するに金融派生商品がバカみたいに膨張しており、62兆jのCDS市場がパニックに陥ることも必至。
 住宅ローンを背負っていたフレディマックやファニーメイ、メリルリンチ、AIGなど、「次なるリーマン」が破綻していくと、これらの債券不履行に加えてCDSの問題も起きてくる。
 バブルを謳歌したアメリカ経済が音を立てて崩れはじめた。サブプライムローンの破綻は端緒にすぎず、今後はクレジットカード破綻とカーローン破綻のピークが控えている。日本の銀行や企業、保険会社は主に外国ファンドに資金を委ねており、米国市場に持ち出されているといわれる国民の約150兆円の預金や年金資金は、ドルの暴落で40兆〜50兆円にまで減ってしまうという指摘もある。買わされ続けた米国債の価値も暴落ということで、紙切れをつかまされる事態が待っている。

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