トップページへ戻る

世界巻込み崩壊に向かう米国経済
詐欺金融破綻し人民に苦難
              日本から奪った資金紙くずに    2008年10月3日付

 米国金融市場が世界中を巻き込みながら崩壊に向かっている。株式市場では連日のように経験したことのない暴落と買い戻しが繰り広げられ、ますます激しく下がり続けている。世界恐慌の流れは誰にも止められず、金融工学とか市場原理などといってノーベル賞扱いまでした詐欺商法で世界中をペテンにかけて荒稼ぎをしたが、それが終焉を迎えている。報道では「日本は1番強い」などとよそ事のように振る舞っているが、自民党の総裁選騒ぎや解散総選挙も吹き飛ぶ有様となっている。プラザ合意から小泉構造改革と、日本の生産と人民生活をさんざんに破壊して、日本の富を大量にアメリカに貢ぐ仕掛けを作ってきたが、その経済と政治が吹っ飛ぶ事態となっている。
 米国のニューヨーク(NY)株式市場は29日、ダウ工業株30種平均が777j安という史上最大の大暴落に見舞われた。米下院で、公的資金注入による救済法案が否決されたこともあるが、米上院が修正法案を可決した後も持ち直したように見えて暴落する過程をたどっている。2日の東京株式市場でも、世界的な景気の悪化を懸念して鉄鋼や商社、自動車など輸出関連株が売られ、日経平均株価の終値は今年最安値の1万1154円76銭まで大幅に下がった。ドル不足にあえぐ米国投資ファンドなどが資金回収で日本企業の株を売り飛ばしているとも見られている。

 1年間で約2千兆円減 世界の株式時価総額
 世界の株式時価総額はこの1年間で約2000兆円も目減りしている。それほどの資金が株式市場から消えた。NY取引所は280兆円以上も減少し、ロンドンや上海、香港の取引所もそれぞれ100兆円以上減少している。東京市場からはこの期間だけで約90兆円が吹き飛んだ。
 2007年10月末からの約1年間(9月末時点)、世界の主要市場の株価下落率を上位から順に見てみると、
中国 61・5%
ロシア 46・3%
香港 42・5%
台湾 41・1%
シンガポール 37・3%
イタリア 36・3%
インド 35・2%
アルゼンチン 34・3%
日本 32・7%
フランス 32・4%
豪州 31・7%
スペイン 31・1%
韓国 29・9%
ブラジル 29・5%
英国 28・3%
スイス 27・9%
ドイツ 27・6%
南アフリカ 26・2%
米国 25・6%
カナダ 22・8%
 世界中が軒並み大暴落となっている。株式市場だけでも2000兆円もの資金が目減りしたわけで、「金がない」の大騒ぎになるのは当然である。そのほか、商品市場、不動産などすべての暴落分を合計すると、世界から消えた資金の総額は数千兆円ではすまないと見られている。その分、損をした人がいる。「預金などするものはバカかアホで、株式投資こそ賢いのだ」といってきたが、大変な結果になっていくのだ。

 暴動を恐れ米軍を配置 怒り高まる米国内
 サブプライムローンの破綻をきっかけにして、事態は急展開してきた。サブプライムローンというのは、返済能力のないような低所得者層を対象にした住宅ローンで、住宅の値上がりを前提にしたもので、それで借金による架空の消費需要をつくり、経済を回していた。そういうバブルは当然はじけて今回の金融危機となった。住宅ローンを貸し付けた金融機関は、ローン債券を投資会社に売り捌き、それを証券化して世界中の金融機関に売りとばす。焦げ付いた場合の保険会社がいて、そこに格付け会社が優良証券の格付けをし、訳がわからないような証券に組み込んで、大がかりな仕組みで世界中を詐欺にかけたのである。それを金融工学といってもてはやし、これらの金融会社の経営者は50億円とか100億円とかの年収をぼりとっていた。
 その詐欺証券を世界の金融機関にも170兆円も引き受けさせた。その結果、世界中の金融機関が震撼することとなった。
 専門だった住宅金融公社フレディマックとファニーメイは550兆円もの負債を抱えて国有化され、そのCDS(債券の保険)を山ほど抱えていた米保険最大手のAIGも支払いが滞って実質国有化された。CDSというのは、デリバティブ(金融派生商品)にたいするデリバティブであり、その市場は6600兆円まで膨らんでいる。サブプライム証券関係だけでもまだ半分ほどしか表面化していないといわれており、それだけではなくいろんな種類の金融派生商品がパンクしているわけだから、恐慌は始まったばかりで連鎖的に深刻化していくと見られている。
 ベア・スターンズが破綻し、リーマン・ブラザーズも破綻。米証券大手や巨大銀行が債務不履行に追い込まれたり、あるいは国有化の道を選択せざるをえない状態に陥った。銀行間の短期資金の資金取引ができない。あらゆる金融機関がお互いにつぶれかかっていると見なしあっているのだ。放って置いたらバタバタと共倒れに発展するので、世界各国の中央銀行が65兆円もの資金を慌てて供給することになった。日銀は20兆円以上もの資金を供給している。しかし、それでも金が足りない。
 かつがつ息をつないでいる金融機関もあるが、90%ちかく株価を暴落させて、問題企業は退場していく。株主は出資金をほぼすべて失ったり、紙きれをつかまされて泣く目にあった。また、連鎖的に地銀の破綻も相次いでおり、大口預金者がペイオフ発動によって一定額以上の預金を失う事態にも発展している。
 米国当局は最大で75兆円もの公的資金注入による不良債権買い取りに乗り出すことになったが、米国にも資金はない。また、大衆を犠牲にしてさんざんに暴利をむさぼってきた投機集団の「救済」(負債の国民転嫁)にたいして怒りの世論はすさまじく、下院での否決につながった。選挙をまえにして、議員たちにはメールが山ほど送りつけられるなど震え上がる動きになった。
 アメリカ国内では、サブプライムローンで家をとられた貧民がテント暮らしに追いやられ、寒い冬を迎えようとしている。さらに金融恐慌から借金による消費購買力がつぶれ、ビッグ3なども経営危機に瀕している。もともと世界最大の貧困大国であるアメリカにおいて、ローンは破綻、年金資金は401Kなどの投機にぶち込まれて食いつぶされ失業率もさらに上昇する事態となった。貧困層の怒りが暴動に発展することを恐れた米政府は、10月1日から米陸軍の実働部隊を米本土に駐留させることにしたと、海外メディアは報じている。本来、米軍実働部隊を米本土に配備することは禁じられているが、テロ対策を名目にして、期間を1年と定めている。

 欧州でも銀行が危機に 国有化の動き加速
 破綻をまぬがれるため、銀行国有化の動きが加速しているのは米国だけではない。ヨーロッパでも相次いでいる。ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国政府がベルギー最大の金融グループであるフォルティスの部分国有化で合意したほかイギリスではブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)の一部事業が政府の救済を受けることが決まった。欧州では、イタリアでも国内1位、2位を争う金融機関2社が株価暴落で取引停止に追い込まれたりで激震が走っている。
 ドル、ユーロ、英ポンドなど各国通貨も下落し続けており膨大な資金流出に見舞われている。アジア各国への影響も大きく、米国が世界中からドル回収を促す過程で、今まで投資を受けていた新興国から資金が流出している。それが、株価や通貨の下落にもつながっていると見られている。日本も例外ではない。
 株式含み益に頼っている邦銀の経営にも直撃している。大手銀行6グループの含み益は、今年3月末の3兆9000億円から、9月末で2兆8000億円にまで減少した。サブプライムローン問題が表面化する昨年夏までは10兆円近くあったものが、一気に落ち込んだ。今後、金融機関の貸し渋りが起きると、企業倒産の続出につながり、失業者の増大にもなりかねない。また、日本企業にとっては最大の輸出国である中国や米国の景気低迷が企業業績にも直接響いてくることになる。国内では国民の購買力が落ちて早くから市場が狭隘化しているからである。

 保有残高で群抜く日本 米 国 債
 米国政府が金融機関の国有化とか債券買取りといっても、これは金融機関の債務を米国政府(アメリカ国民)の債務にすり替えるだけで、米国の財政赤字が膨らみ、ドル暴落、米国債暴落にもつながっていく。肩代わりを強いられるのはアメリカ国民とともに、日本をはじめとする各国だ。日本や中国など、各国が米国債を買わなくなると、長期国債価格の急落が起きることは必至で、米国政府の手におえなくなった場合は、米国債の債務不履行宣言となり、借金踏み倒しである。ドルは正真正銘の紙屑になる。
 米国は大借金大国で、双子の赤字を抱えながら世界から資金を吸収してバブルを謳歌してきたことは知られている。金が足りないので、米国債を乱発してまかなってきた。各国が貸し付けてきた資金はすでに目減りしているが、不履行になると完全に焦げ付く関係である。
 とりわけ、米国債の保有残高で群を抜いているのが中国と日本である。日本が購入している米国債は、外貨準備としてほとんどが蓄積されている。今年はじめには1兆jを突破している。外貨準備の額としては世界でも最も多く、金などに分散させている欧米と比べて、対米従属ぶりが際だっている。
 93年からうなぎ登りに上昇しはじめた日本の外貨準備高は2000年代に入ってからは政府・日銀が史上空前の「円売りドル買い」介入をやって急増。買い込んだドルはほとんどが米国債(米国財務省が発行する借金証書)に化けて、資金は再びアメリカに還流する仕組みであった。ところが「対外資産」というよりは、ずっと倉庫に眠っている「紙屑」のようなもので、金を借りた側の米国が圧力をかけて吸い上げたまま、返済するつもりなどない。保有残高の詳細について、日銀は「為替安定」を名目にしていっさい公表していない。公表したら「為替不安定」になるのだ。
 日銀が量的緩和による超低金利をやっているもとで、財務省が「政府短期証券」(国の借金)を発行し市場からほぼゼロ金利で介入資金を調達し、米国債を大量購入するというやり方だった。つまり、日本が借金して米国の借金財政をまかなってきた。さらに、ゼロ金利によって、瀕死の状態だった巨大銀行は息を吹き返し、潤沢な資金がジャブついたのに、日本国内への融資は減り続け、こうした国債購入にまわされたり、海外、とりわけアメリカ市場への株式投機資金として流れ出した。国民が本来手にするべき利息収入も、低金利によって350兆円以上が巻き上げられてきた。そして、年金資金や郵便貯金、銀行資金などをふくめ、アメリカの証券などを買い込むなどして、500兆円余りが巻き上げられたといわれている。これが紙屑になるだけでなく、アメリカ金融機関の不良債権の買い取りまで引き受けさせようというのだから、とんでもない事態がきている。
 日本の金融機関、そして政府・日銀は、金融安定化といってアメリカ政府と金融機関の救済に資金をさらに流している。アメリカ国内でも日本国内でも、市場原理改革といってさんざんに搾り取った上に、さらに国民に犠牲を負わせることで、悪辣な金融資本どもが生き延びようとしている。

トップページへ戻る