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戦後の歩み覆す売国奴外交
日米ガイドライン改定
              訪米し勝手に武力参戦約束    2015年4月20日付

 首脳会談に先立って、日米両政府が27日にニューヨークで外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開き、日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定に合意した。日本列島に米軍基地を置くことを正当化した「旧安保条約」を締結したのは1951年、吉田茂がサンフランシスコ郊外にある米陸軍の小屋に連れて行かれて単独署名したのに始まる。アメリカは戦後長らく極東支配の牙城として日本を利用してきたが、あれから六四年が経過したなかで、いまや米本土防衛の盾にするどころか、日本人を肉弾として戦地に放り込み、活動範囲を地球的規模に広げて武力参戦の道に踏み込ませるなど、支配者意識丸出しの対日政策を実行している。有頂天になって応じているのが安倍政府で、国会審議もなく、国民世論を問うたわけでもなく、為政者が憲法すら超越して勝手に米国で約束を交わしてくるなど売国奴外交をくり広げている。
 
 邦人の命と引き替えの米議会演説

 今回のガイドライン改定は、昨年に安倍政府が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのを受けたもので、米軍の指揮下で自衛隊を戦地に駆り出すことを最大の眼目にしている。共同声明で発表した尖閣諸島の領有権云々は付録のようなもので、米国側は従来からの見解をオウム返ししたに過ぎない。というより、むしろ南シナ海まで含めた海域の「防衛」任務に自衛隊を駆り出したい意図を示した。
 新ガイドラインでは「周辺事態」などの文言をとり除き、日本が直接攻撃を受けていなくても集団的自衛権を行使して米軍と共同作戦に乗り出すこと、その活動範囲は極東地域に限らず地球的規模に広げるとした。これまでは日本が攻撃された場合や朝鮮半島有事を対象として防衛協力を定めてきたが、「存立危機事態」すなわち時の政府が「日本国民の生命・権利を根底から覆す明白な危険がある」と思ったなら武力行使が可能というものだ。
 中東海域における機雷掃海や米軍を狙った弾道ミサイルの迎撃、米艦の保護、不審船の臨検、弾薬の提供、戦闘機への給油などが具体的に想定されている。米軍だけでなく、直接日本の安全とは関係のない事案であっても、多国籍軍への後方支援を可能にするとしている。
 「集団的自衛権の行使」については首相官邸や政府の解釈次第でどうにでもねじ曲げられるのが特徴で、訪米直前になって国会の事前承認を義務づけたのは「国際平和支援法」に基づく他国軍の後方支援活動だけだった。「重要影響事態法」に基づく後方支援については緊急時の事後承認を認めるなど、抜け道もしっかりとつくっている。
 2プラス2では他に、日米双方が米軍普天間基地について「辺野古への移設が唯一の解決策」と確認。岸田外相は「引き続き沖縄と対話しつつ強い決意で(辺野古基地建設を)推進していく」とアメリカ側に説明した。中谷防衛相も「辺野古への移設はいささかも揺るぎはない」とのべるなど、沖縄県民の世論など完全に無視した形で米国に忠誠を誓った。
 大喜びしているのが米国政府で、会合後の記者会見のなかで、米国のケリー国務長官は「日本がみずからの領域の防衛だけでなく、米国やその他のパートナーについても、その必要に応じて防衛する能力を確立した。日米の防衛関係において歴史的な転換点だ」と持ち上げ、カーター国防長官も「新ガイドラインには地理的な制約がない。従来の地域に焦点を合わせたものから、地球規模を対象としたものになった」と強調した。それに対して、岸田外相は「積極的平和主義と米国のリバランス政策との相乗効果を高めるものだ」とし、中谷防衛相は「日米同盟を新たな段階に進ませる革新的な内容に仕上がった」などとのべた。

 米国の戦争の肩代り テロの標的さえ現実味

 「専守防衛」とか武力参戦を禁じた憲法など投げ捨て、戦後貫いてきた国是を覆しているのが安倍政府で、これほどの暴挙はない。国会もいらない、国民の意思も関係なく、ひたすら米国や独占企業の要求を丸呑みすることによって、米国議会での演説や国賓待遇の特典を与えられ、嬉嬉としている。武力参戦の道に足を踏み入れ、為政者どもが「米国議会での演説」等等でいい気になるのと引き替えに、自衛隊なり日本の若者が命を差し出さなければならないのである。こうした後先考えない政治家を踊らせて、背後で笑っているのがアメリカであり、日本の独占企業である。地球の裏側まで覇権争奪に首を突っ込むなら、日本が米国の戦争の肩代わりをさせられるだけでなく、国内がテロの標的にされることも現実味を帯びる。「防衛」ではなく標的に名乗りを上げるものにほかならない。
 安倍政府は再登板して以来、特定秘密保護法の制定や米国NSC(国家安全保障会議)の傘下に組みこまれた日本版NSCの設置、集団的自衛権の行使容認を巡る憲法解釈の変更など日米軍事同盟の強化に力を入れてきた。それを役目として発足した政府である。昨年四月には武器輸出三原則も改定した。三菱のような軍需依存の独占企業が米国軍需産業のおこぼれを期待してネジを巻き、中東をはじめとした武器市場を視野に入れて、国家的規模で戦争ビジネスに乗り出そうと動き出した。外務省はODAの軍事転用も可能にするといって法改定を準備し、防衛省は「文民統制」規定を廃止する方向に舵を切るなど、一気に事態は動いてきた。一連の戦争体制が「邦人の生命を守る」ためではないことは、この間の人質事件や震災後の東北の扱い、日本国民全般の扱いを見るだけでも歴然としている。
 アメリカは「日本を守る」などとペテンにかけて、戦後は日米「安保」条約によってサンフランシスコ講和以後の占領状態を正当化してきた。そして日本列島を足場にしてやったことは朝鮮戦争であり、ベトナム戦争であり、戦争に次ぐ戦争であった。日本を守るためではなく、アメリカの利潤、アジアでの支配的な地位を得るために原爆を投げつけたし、単独占領したことは戦後70年の全過程が証明している。この数十年だけ見ても、経済的には金融博打の原資を吐き出させる貯金箱のようにして日本から富を巻き上げ、アベノミクスになってから日銀の資金に群がっているのも外資である。農漁業を壊滅的な状況に追い込んでTPPでトドメを刺そうとしているのもアメリカで、はじめから守るべき民族などとは見なしていない。
 リーマン・ショックまできてアメリカの金融支配も行き詰まり、その財政運営や経済運営も泥沼から抜け出せず、いまや世界統治どころではない。世界で軍事力を展開することができないなかで、ならば植民地従属国からカネも命も出させようと迫っているのが集団的自衛権の行使で自衛隊はまさに下請軍隊の扱いである。
 国内市場を食い潰した日本の大企業も東南アジアやアフリカなど各地へ権益を求めて出ていき、そうした海外権益を守る必要性から「地球的規模」で自衛隊を駆り出すこと、現地の反抗を軍事力によって抑えることを願望している。この利害を代表して、安倍晋三をはじめとした自民党の政治家どもが踊っている。
 70年前の大戦によって、親兄弟や友人を奪われた記憶は日本人民の脳裏から消えることなどない。天皇制軍国主義は「暴支膺懲」を叫んで国民を戦争に駆り立て、メディアは真実を隠蔽して大本営発表をくり返し、無謀な戦争に突き進んで320万人もの命を奪った。現在突っ込もうとしている戦争はさらにひどい惨状をつくり出すことは明らかで、今度はアメリカのために核戦争の標的になり、国内を食い散らかした独占資本のために日本列島を火の海にするものである。日本社会の命運をかけた戦争阻止のたたかいを全国的に強めること、性懲りもなく他人の命を差し出す売国政治と正面から対峙し、戦争も失業も貧困もない社会を実現する斗争が待ったなしの情勢となっている。

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