トップページへ戻る

戦争へ暴走する安倍政府
               「改憲」を参院選の争点に    2007年5月25日付

 安倍政府は内閣発足以来、防衛庁の省昇格、自衛隊海外派兵の本来任務化、教育基本法改悪などをおし進めてきたが、国民投票法成立を強行し「改憲」を軸にした暴走に拍車をかけている。安倍首相は7月の参院選で「改憲を争点にする」と息巻いている。現憲法は「占領軍の押しつけ憲法」というが、今やろうというのもアメリカによる押しつけ改憲である。憲法は、「戦争放棄」を柱とした平和主義とともに、主権在民、基本的人権、生存権などの重要な内容を規定しているが、それらを覆して、アメリカと財界に主権があり、言論、出版、表現の自由などはく奪し、国民が等しく生活する権利をなくし、公然と戦争ができるようにしようというのである。

 アメリカによる押しつけ改憲
 自民党は22日に明らかにした参院選公約の原案で、「美しい国づくり」の具体策の冒頭に「新憲法制定の推進」をすえた。「道州制導入の推進」や「教育新時代を開く」と明記し、「改憲」が中心であることを強調した。
 集団的自衛権行使にむけた「安全保障の法的基盤の再構築」をすること、自衛隊の海外派遣を常時可能にする「一般法(恒久法)の制定」を目指すことも列記した。北朝鮮対応では「国家の威信をかけて拉致問題を解決」「拉致容疑事案、その他の対日有害活動への対処強化」などを掲げた。
 安倍首相は19日に北海道で行った参院選候補者応援の演説でも「改憲」問題にふれ「勇気を持って取り組む。参院選で堂堂と進むべき道を示して審判を受けたい」と鼻息荒く力説した。自民党の中川幹事長は「すべての立候補者は改憲に賛成か、反対かを明らかにすべきだ」とのべた。
 安倍政府は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を叫んで「戦争レジーム」への転換を進めてきた。その具体化として「改憲」をあげ、改憲手続きを決めた国民投票法を18日に公布した。同法は18歳以上の有権者の投票で「改憲」を可能にする法律。選挙期間中は、「論議の公平を保つ」と称して教師や公務員などの発言を禁じ、テレビCMなども投票2週間前から全面禁止にした。最低投票率は定めず、いくら投票者が少なくても、賛成が有効投票総数の過半数をこえれば「改憲」が成立する。同法本体の施行は公布から3年後で、2010年5月18日が施行日となる。次の国会で衆参両院に設置する憲法審査会はその後に憲法改正原案を提出する。

 国内弾圧する自衛軍を保持 自民党新憲法草案
 自民党は「改憲」でいったい何をしようとしているのか。05年の立党50年記念党大会で発表した「新憲法草案」がその内容を示している。
 自民党憲法草案では「天皇の地位、国民主権」の項の題名から「国民主権」を削除。「戦争放棄」の章題は「安全保障」へと転換させた。「戦力不保持」「交戦権の否認」を削除して「内閣総理大臣を最高指揮者とする自衛軍を保持」とした。自衛軍の任務は「国際的に協調して行われる活動および、緊急事態における公の秩序を維持」と規定し、海外派兵と国内の治安弾圧が役割であることを明確にした。
 また「公共の福祉に反しない限り国民の権利が尊重される」という文面は「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」と変え、公共性・社会性を否定し「国家利益優先」に内容を転倒させた。全国の市町村で国家総動員法の現代版である「国民保護計画」が動いているが、「公益」を掲げれば米軍や自衛隊が土地・食料の強制接収ができる法的根拠とするものだ。
 「集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密」の項は「表現の自由」だけにし、検閲や通信傍受の禁止は削除した。「生存権、国の社会的使命」も「生存権等」とし「国の社会的使命」は削除した。「国民は等しく文化的な生活を営む権利がある」というのをやめて、生きるも死ぬも個人責任というのである。
 「地方自治体」では「地方公共団体特別法の住民投票」の規定(第95条)を全文削除し「住民自治」「団体自治」を弱めた。そして「国の財政措置」で「(国は)地方自治体の行うべき役務の提供が確保されるよう、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講ずる」とした。市町村合併、道州制の導入をテコに地方自治を弱め、米軍再編などの国策に従わない自治体への兵糧攻めを規定している。

 集団自衛権の行使も具体化 憲法解釈の変更で
 さらに具体化に着手したのは「憲法解釈の変更」による集団自衛権の行使である。安倍首相は自分のブレーンばかりで18日に発足させた研究会で検討を開始。自衛隊が、米本土を狙ったミサイルを撃ち落したり、攻撃された米軍艦船の代わりに報復攻撃をしたり、軍需物資を補給するなどの例をあげ、「集団自衛権は行使できる」と結論を出す茶番劇を演じている。今秋にも政府解釈の見直しに踏み切る方向だ。アメリカが戦争をする相手に対しては、自動的に参戦するというのである。
 この日は沖縄・辺野古沖での米軍普天間基地代替施設建設の事前調査に、海上自衛隊を出動させた。久間防衛相は「妨害行動があると、民間だけでは短期間で目的が達成できない」と住民排除が目的だと公言した。自衛隊が米軍基地建設のための国民弾圧部隊として動員された。

 米軍再編法や教育関連法等 重要法成立も急ぐ
 安倍政府は翼賛議会体制のもとで、国民世論を無視して、重要法を急ピッチで成立させている。
 23日に成立した米軍再編推進法は、米軍施設や訓練を受け入れた市町村だけに手厚い「再編交付金」をつける内容だ。ほかにも公共事業の国の補助率を上げるなどの優遇措置がある。岩国市のように市民の頑強な抵抗で受け入れ表明のない市町村は徹底した兵糧攻めで屈服を迫る仕組みである。
 21日に参院で審議入りさせた教育再生関連3法案は、義務教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度」との文面で「愛国心」を導入した。この「愛国心」は自民党新憲法草案の「公の秩序に従う」とあわせることで「お国のため」と国策へ無条件服従させる意味を持つ。それは愛国心どころかアメリカへの売国心である。さらに無期限だった教員免許を「有効期限10年、更新時に30時間の講習を義務付ける」と変え、教師を首で脅して従わせるものだ。
 「イラク特措法延長」は15日に衆院通過させた。各国が撤退し、アメリカでも米軍撤退が大世論となっているなかで、日本だけが航空自衛隊の派遣期間を2年延長するというものである。防衛庁を防衛省に格上げし、自衛隊の海外派兵を本来任務にしたもとで、それは米軍の後方支援などではなく、自衛隊を前面にたてた武力参戦に進むものとなるほかはない。
 そのほか4月に閣議決定した日本版NSC(国家安全保障会議)法案は、攻撃を受けたわけでもない「国際平和協力活動」時でも「安保会議(首相の権限で国会も無視して軍事行動に踏み込める)」を設置可能にする。ほかにも共謀罪の新設、放送内容に国が介入するための放送法が動いている。会社の一方的な労働契約変更でクビにできる労働契約法新設などの労働関連3法、九州・関西に先行的に道州制を導入するための道州制推進法も動いている。
 こうして「改憲」は現実のなかで急ピッチに進んでいる。それは遠い空の上の話ではなく、地方で暮らす市民の生活の周辺であらわれている。安倍首相の地元である下関では、安倍首相丸抱えの江島市長によって、全国に先駆けて、外国の武装勢力が上陸して石油タンクを爆破するという、武力攻撃事態の想定で市民を動員する戦時訓練をやっている。沖合人工島と直結してJRヤード跡地、中国縦貫道、関門トンネル、新幹線、さらに第2関門橋と結んだ北九州と結ぶ巨大道路があらわれている。市民に隠して進んでいるのは明らかに軍港化であり軍事都市化である。
 長崎では、核廃絶を要求してアメリカを批判し、また地方切り捨てに抵抗する伊藤市長を選挙中に銃殺する事件が起きた。これが背後勢力による謀略的な政治テロであることは明らかであり、民主主義の建前は遠い昔のことで、自由にものをいわせぬテロ国家があらわれている。

 米国の為の戦争に日本動員 露骨な売国政治
 安倍政府は、与野党総翼賛議会体制のもとで、戦争に乗り出すための暴走につぐ暴走を続けている。安倍首相など自民党改憲勢力は「占領軍による押しつけ憲法に反対する」といって改憲をするといってきた。しかし現在の憲法を改定せよというのもアメリカの要求である。安倍首相が暴走しているのはアメリカの要求だからであり、民族的な利益のすべてを売り飛ばす売国政治である。
 今年の2月、アメリカは「アーミテージ・リポート」改訂版で2020年までの日米同盟のあり方を打ち出した。「日本への提言」で「危機に際して機動的かつ柔軟に外交・安保政策を運用できるよう、政府、官僚組織を強化する」とのべ、米軍支援に役立つ体制を作るため「憲法改正論議や自衛隊の海外派遣を随時可能とする恒久法制定」を要求した。また「防衛省・自衛隊が近代化と改革を進めるにあたっては、地域・世界的な責任の拡大に見あった財政措置が重要」とのべ、日本の防衛費拡大も要求した。
 小泉政府に続く安倍政府で、日本はアメリカの植民地的な略奪体制が強まるとともに、アメリカの国益のための戦争に日本を総動員するために突っ走っている。これはアメリカの要求による売国奴どもの暴走である。第2次大戦を体験した日本民族は、そのような売国政治を容認するものではない。

トップページへ戻る