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戦争渇望する軍需産業勢力
経団連が武器輸出緩和を提言
              安倍政府持てはやす財界の本性    2014年2月17日付

 経団連が「武器輸出3原則」の「改善案」を自民党国防部会に提言した。世界的に経済情勢の悪化が深刻化し、多くの国民が貧乏になった結果、自動車や家電製品を作っても国内で物が売れない。ならばと海外に権益を求めて出ていき、輸出して売るのかと思ったら国内工場まで閉鎖して出ていったのが大企業だった。最終的には軍需で経営にテコ入れをしようと武器輸出規制をとり払い、紛争地帯をはじめ世界中に兵器を売りさばき、戦争ビジネスで生き延びようとする姿をあらわしている。安倍戦争政治を持て囃している張本人たちの正体を暴露している。
 提言を出した経団連の防衛生産委員会は、大手軍需産業60社で構成され、委員長は三菱重工業会長がつとめている。提言は岩崎総合部会長代行(三菱重工・防衛宇宙分野担当)がおこない、武器の海外輸出について「国産品の輸出を広く認めるべきだ」と主張している。
 現在禁じられている国産のセンサーや半導体の武器輸出を認めることや、政府に専門部局を設置し、国を挙げて武器輸出を推進すること、大規模な国際共同開発は国が主導することなどを要求した。
 欧米軍事企業が軍事部門で年間3兆円(ロッキードマーチン=2兆8684億円)規模を売上げるのに対し、日本企業の売上げはもっとも多い三菱重工でも2000億円規模。日本の財界は欧米企業並みに武器輸出でもうけることを夢見て、「武器輸出3原則により輸出が事実上できない。製造がすべて国内向けになっているからだ」「他国との共同開発・生産も禁止され、日本で生産される兵器は高コストとなる」「国際競争力をつける必要がある」と主張し、武器禁輸の全面緩和を求めてきた。
 こうした要望に応えて「武器輸出3原則の見直しは国家安全保障戦略の柱である積極的平和主義の実現に不可欠」と主張しているのが安倍晋三で、トルコ訪問のさいには、三菱重工業がトルコ企業と組んでトルコ軍向けに戦車用エンジンを供給する計画を仲介したり、韓国軍に例外措置として陸上自衛隊が1万発弾薬を提供する前例を作るなど、財界の代理人として奔走している。

 三菱重工業軍事部門への依存拡大

 現在、三菱重工業で作られている主な武器を見てみると、戦車やイージス艦、潜水艦、ミサイル艇、戦斗機、哨戒ヘリ、救難ヘリ、他用途ヘリ、掃海ヘリ、地対空と空対空の誘導弾、対空・対潜ミサイル発射装置、空対艦と地対艦の誘導弾、魚雷など多岐にわたっている。エンジンなど部分的に作られている部品もある。
 三菱重工全体の売上高は、08年に3兆3756億円だったのが2011年には2兆8209億円に落ち込み、リーマン・ショック以後は縮小傾向にある。しかし、一方で国の軍事予算でまかなわれる軍事部門の売上げは上昇傾向にある。軍事部門の売上げは2010年に29億j(2368億円)だったのが翌年は36・2億j(3260億円)となり、三菱重工の全売上げに占める軍事部門の比率は1割をこえ11%に達している。国内上位5社の軍事部門の売上げを見ると、川崎重工=26・3億j(全体に占める割合16%)、三菱電機=14・4億j(3%)、NEC=14・4億j(4%)、富士通=6・6億j(1%)が続いている。
 武器製造、すなわち国家財政や各地の紛争・殺しあいに依存した商売をさせろ、と臆面もなく財界が主張しはじめ、そのもとで有事法制に続いて秘密保護法などが強行され、一連の戦争体制が整備されている。「北朝鮮が偽造紙幣や麻薬を製造している」といって批判している側は、人殺し兵器を世界に売りさばくというもので、戦争や紛争が起きれば起きるほど、軍事的緊張が高まるほど「もうかる」関係となっている。

 欧米軍需産業 イラク戦争で巨額利益

 日本国内の大企業が真似をしているのが欧米の軍需産業で、ロッキードマーチン(米)、BAEシステムズ(英)、レイセオン(米)は軍事部門の売上げが全体の九割以上にも及んでいる。ノースロップ・グラマン(米)やジェネラル・ダイナミクス(米)も全売上げの八割を軍事部門が占める。飛行機で有名なボーイングも全売上げの約五割を軍事部門に依存している。こうした軍需企業は戦争がなければ生きていけず、次から次に新たな戦争を求める存在となってきた。
 イラク戦争では約65万人もの人人が殺され、約220万人が難民となった。この戦費が約6000億j(60兆円)にのぼり、一方でアメリカ国内は医療費や福祉削減と企業減税が吹き荒れて貧困層が激増してきた。サブプライムローン(低所得者向け住宅融資)の焦げ付きで家を失う人も多数出た。
 そして生活できない若者を米兵として戦争に投入し4000人余りが戦死した。
 この戦争でロッキード・マーチンはステルス爆撃機を製造し、ボーイングは輸送機を製造し、レイセオンはトマホークなどのミサイルを製造して巨大な利益をあげた。イラクをさんざん破壊した後はシュルツ元国務長官が所属するベクテル社とチェイニー副大統領が最高経営責任者であったハリバートンがイラク「復興」へ乗り込み、破綻寸前だった経営を一気に復活させた。こうした軍需産業がぼろもうけを謳歌した分、戦費が仇になって米国家財政はパンク状態になった。武器輸出拡大や大企業優遇策に明け暮れる安倍政治の末路を示唆している。
 近年、武器輸出で目立っているのは反政府勢力や紛争地帯への武器輸出だ。アメリカはイスラエルなどに大量の武器を供与して、中近東の紛争を誘発してきた。オバマ政府になってからも「五年間で輸出を倍増させる計画」を発表。この「輸出評議会」の共同議長がボーイングの最高経営責任者で、アメリカの武器輸出は2011年段階で前年の3倍(663億j)に増加した。主な輸出先は中近東諸国で、これらの武器がリビア、シリアなど反米政府に対抗する反政府勢力に流れている。

 武器輸出禁止緩和繰返した歴代政府

 武器輸出は「3原則」以前に、戦争の反省から作られた憲法で本来は全面的に禁じられている。だが歴代政府は解釈を変更して緩和ばかりくり返してきた。朝鮮戦争では日本で作られた武器が殺戮に使われ、アメリカが日本全土を兵器製造・供給・出撃基地として使う姿をまざまざと見せつけた。そして1967年には佐藤栄作が「共産圏諸国、国連決議による武器などの輸出が禁止されている国、紛争当事国または紛争のおそれのある国には武器輸出を認めない」(それ以外には認める)と国会で答弁。日本をアメリカの企む戦争の製造・補給拠点とする意図を露わにした。しかし朝鮮戦争やベトナム戦争をへて戦争阻止世論が噴き上がるなか、1976年の三木内閣時には「(他の地域や国に対して)輸出を慎む」ことが追加され、日本は建前上の武器輸出禁止国とされた経緯がある。
 しかし1985年に中曽根首相が「日米相互防衛援助協定によるアメリカへの技術供与」を例外と規定し、2005年には小泉首相がアメリカとのミサイル防衛共同開発を例外に規定した。野田政府になるとさらに踏み込んで、アメリカ以外にも武器の国際共同開発や共同生産を認めることを発表。安倍政府になって、ついに全面解禁に身を乗り出している。
 日本国内で国民が貧乏になって物が売れず、海外進出先での矛盾も激化するなか、戦争を渇望し、不況だからこその軍事依存で、「死の商人」たちが本格的な武器生産や輸出に乗り出そうとしている。その代理人になって戦争狂いをやっているのが安倍晋三で、一連のおかしげな右傾化ブレーンたちがはしゃいだり、朝鮮有事や中国との軍事的緊張を喜んでいる基盤となっている。平和とか対話を拒み、もっぱら他人を攻撃するだけという特性の根拠である。
 政党政治があてにならず、だれが首相になっても与党になっても、対米従属の傀儡になって暴走をくり返す。だれでも同じなら安倍でもよいといって、米国の盾になって対アジア、直接には中国と敵対するような好戦的な政治家がとり立てられ、世界の裏側まで米軍の鉄砲玉になって飛び出していくのを「積極的平和主義」などと叫んでいる。米国にとって賢くない人間ほど使いやすい関係にほかならない。
 世界恐慌が近づくなかで戦争と平和の問題はかつてなく抜き差しならないものになっている。安倍戦争政治を叩きつぶすのは、全国が団結した直接的な大衆行動しかない。

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