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戦争阻止の斗いに生命吹き込む
はぐるま座 『礒永秀雄の詩と童話』公演
               山口公演を450人が観劇      2014年6月30日付

 劇団はぐるま座の『戦後日本人民の魂をうたった詩人ーー礒永秀雄の詩と童話』山口公演が29日、山口県教育会館でおこなわれた。安倍政府が憲法改正や集団的自衛権行使の容認、TPPの参加など国民の反対世論を押し切って戦争政治を進めようとしているなかで、「戦争を押しとどめ、平和運動の発展の力にしよう」と、戦争体験者、戦没者遺族、文化人、退職教師、学校関係者、PTA、商店主、自治会関係者など、平和を願う多くの山口市民の手でとりくまれてきた。山口市内各所にポスター約1400枚が張り巡らされ、46人が実行委員に名を連ねた。
 公演は昼夜の2回公演でおこなわれ、戦争体験世代から親子連れまで約450人が会場に足を運び感動の場となった。
 初めに実行委員長の平田敦子氏が「礒永秀雄の苛酷な戦争体験に根ざした作品の数数は実行委員の心をとらえ、働きかけを受け止める人人の心をとらえ、戦争体験の交流が深まり、集団的自衛権行使にあらわれている“戦争をする国へ”と暴走する政治への強い怒りや危惧がどんどん語られた。また一部青少年の荒廃や命の軽視が憂慮され、礒永童話をみた小中学生の感想文が教育関係者の心をとらえ、ぜひ舞台を観ようといわれる先生方も今日この公演に参加されている」
 「まさに集団的自衛権行使を閣議決定しようとしている今日、山口において『礒永秀雄の詩と童話』の公演をもつことができ、礒永先生が“今こそ一生懸命頑張るんだよ”と声援を送って下さっているように思えてならない。平和な日本を、日本民族のすぐれた生き方を、子や孫たちに誇れる社会を手渡したいと日々頑張っておられる皆様と一緒に『礒永秀雄の詩と童話』公演を観ることができ、実行委員一同大変喜んでいる。皆様の願う日本をつくっていく力を大きく深くしていくために役立つ舞台をと、集団で日々新しい道を切り開きつつある新生はぐるま座の公演はきっと希望と力を与えてくれ、礒永秀雄の世界観は新しい戦争を押しとどめる運動に命を吹き込んでくれるだろう」と挨拶。
 幕が開けると会場は静まりかえり、劇団員の迫力ある朗読に引き込まれていった。
 第1幕は戦地から生き残って帰ってきた礒永秀雄が「死んだ戦友たちに聞かせる歌」をうたうための詩人になる、激しい葛藤と決意を描いた「中也の詩による幻想曲 修羅街挽歌」から始まった。次に戦後10年目に書かれた詩「十年目の秋に」、戦後の浮ついた繁栄ムードを風刺した「ゲンシュク」、60年安保斗争後の挫折ムードと裏切りの流れが押し寄せるなかで、大衆の根底に流れる魂を励ました詩「虎」「ただいま臨終!」が朗読された。
 第2幕は、子どもたちの大好きな童話「鬼の子の角のお話」の大型ペープサートを上演。角の生えない鬼の子のために、シカやイノシシ、最後にはタケノコまでが自分の身を投げ出して駆けつけ、助けあう様子が描かれ会場からは笑い声が上がった。続いて無償の奉仕を貫く人間像をたたえた「一かつぎの水」、山口県の方言が使われた「野良の弁」が朗読された。童話「とけた青鬼」の朗読劇では鮮やかな背景、音楽とともに、どんくさい「青コブ」が残された最後の時間を村人や子どもたちのためにたたかい、最後にはとけていった姿を描き、会場は感動に包まれた。最後の「夜が明ける」の朗読が終わると会場からは大きな拍手がわき起こり「頑張れよ」との声援が飛んだ。
 公演後には、舞台を成功させるために奮闘してきた実行委員のメンバーや劇団はぐるま座の団員を交えて交流会がおこなわれた。
 70代の女性は「3月10日に私の姉も東京大空襲で焼け死んだ。本当に優しい姉だった。舞台が戦争の場面になるとハンカチがいる。『修羅街挽歌』で魂となって出てきた戦友たちが語られた言葉が礒永さんの詩の力になった。私にはあの戦友たちの姿が姉と重なり“立派に生きなさい”といわれているようだった。私の母は台風のたびに“南太平洋にたくさんの日本兵が沈んでいるのにその魂をそのままにしているからこんなに台風がくるんだ”といっていた。年をとって沈みかけていた気持ちが今日の舞台で改めて噴き出した」と語った。
 沖縄戦で父親を亡くした遺族の男性は「父親が死んだときのことなどあまり考えもしなかったが、最近どれほど悔しかったか、無念だったか、残念だったかと考えるようになった。その思いをくり返してはいけない。この舞台はぜひ残していかなくてはいけない。戦争で弱い者、死んでいく者がどんな思いをするのか。70年間一生懸命平和を守ってきた。それが今覆されようとしている。親父たちがなんのために死んだのか。戦後私たちがなんのためにこれほど豊かな日本を築き上げてきたのか、その意味のある日本にしていかなくてはならない」と心を込めて語った。
 実行委員会の中心を担った退職教師の女性は「今、戦争ができるようにしようと政府は次々にやっている。礒永先生があの世から“どうなっとるんか。しっかりやれよ”といわれるような気がする。今が曲がり角だ。全力で頑張っていきたい」と力強く語った。
 
 アンケートより

 ▼祖父が戦死しています。軍服を着ておられる姿を見て、あんな姿だったのだろうと思い涙しました。祖母は37歳でした。さぞ無念であったことでしょうね。私たちにはわかりかねます。おかげで今があるのですね。感謝しなくてはいけませんね。戦争は二度とあってはならないと思います。子どもたちにもぜひ見せたいし、聞かせたいと思いました。迫力があるはりのある声でした。
 とけた青鬼は最後に良いことをしたのに再び鬼には戻れなかったのですね。可愛そうに! 全国を回られるときとか頑張ってください。(70代・女性)
 ▼すごく迫力のある朗読でした。修羅街挽歌がよかった。すばらしい先生の生徒であったことを今更ながらうれしく思いました。(70代・女性)
 ▼舞台背景がとても良くできて、そのなかでの演出が大変すばらしく感動いたしました。朗読が大変すばらしかったです。それぞれ違って意味深く、特に青鬼は面白く楽しませていただきました。これからもこのような舞台を続けてください。(70代・男性)
 ▼今の日本は戦争しない国から平和を捨てようとする方向に舵を切っていく様な気がします。戦争は何も生みません。苦しみが残るだけです。一人一人がもっと考えたいと思います。(70代・女性)
 ▼今の時代状況、政治状況であるからこそ、なおさら礒永さんの詩の意味することは重いですね。日本人にとっての原点を大切にしたいものです。(60代・男性)
 ▼朗読がこんなにも心に響くとは思っていなかったので大変感動しております。今日という日を有意義に貴重な時間にしていただきありがとうございます。素晴らしかったです。頑張ってください。(20代・女性)
 ▼「ただいま臨終」私もこの覚悟で現実社会を闘おうと決意させてもらいました。ありがとうございました。(無記名)
 ▼ひとつひとつの言葉が鋭いメッセージとして伝わってきました。「恒久の平和は戦争の放棄の上に成り立つ」。まさにその通りだと思います。これからも感動的な舞台をつくりあげてください。(無記名)

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