トップページへ戻る

戦争止める全国的結束に確信
広島原爆と戦争展主催者会議
               被爆70年へ気迫こもる    2014年9月17日付

 広島市の己斐公民館で14日、8月初旬に開催された第13回広島「原爆と戦争展」の主催者会議がおこなわれた。学校や修学旅行、地域をはじめ、同展でも積極的に体験を語り継いできた被爆者、戦争体験者、被爆二世、スタッフを担った現役世代、母親、学生、劇団はぐるま座の『原爆展物語』公演をとりくんだ高校生など約30人が参加し、今年の原爆記念日を頂点とした原爆展運動のなかで、今年めざましく発展した戦争阻止の全国的機運や青少年の平和の担い手としての成長などいきいきとした手応えが交流された。さらに、それを力に変えて来年の被爆70周年に向けてさらに強力な運動基盤を一段と広げるため精力的なとりくみを全市的に展開していく決意を固めあった。
 
 大学生や高校生も意気込み

 初めに原爆展を成功させる広島の会の高橋匡副会長が「今夏の原爆と戦争展は、安倍政府による集団的自衛権の問題が浮上して世間を騒がせていたこともあり、参観者の感想をみるとこの時勢を反映したものが多く見られた。われわれ国民が何をするべきか、ということまで書かれており、人人の高揚感が伝わってくる。私たちの展示会がどのような成果を収め、今後にどのような課題があるかをみなさんと分かちあいたい」とあいさつ。
 続けて、共催した下関原爆被害者の会の大松妙子会長のメッセージが代読された。
 大松氏は、同展の成功は「安倍政府が戦争をすすめようと秘密保護法を制定したり、集団的自衛権の行使容認を強行するなかで、なんとかしたいと広島へ集まってきた全国の人人との絆を深め、戦争を止める大きな力」となったこと、「お国のために」の欺瞞によって奪われた人人のためにも「戦争や原爆を過去の物語にしてはならないとの強い思い」でこれからも子どもたちに体験を語り継ぐ決意を伝えた。
 続いて、広島の会事務局から概況と決算が報告された。
 7月30日から9日間で1500人が参観した被爆69年目の「原爆と戦争展」(広島市民交流プラザ)は、開幕までに254人の賛同者をはじめ全市民的な協力のもとでチラシ11万枚、ポスター2400枚が市内に貼り出され、「対米従属の下でかつての戦争の反省を覆して戦時国家づくりを先行させる安倍政府への全国的な怒りと行動機運」の盛り上がりのなかでとりくまれた。
 会期中は、のべ50人の被爆者や戦争体験者が会場で体験を語り、大学生や現役労働者、主婦などのべ60人のスタッフが、会場設営や受付、案内、炎天下や雨の中での街頭チラシ配布、平和公園での街頭展示、外国人への通訳や翻訳作業など献身的に担った。市内外の体験世代、遺族、被爆二世をはじめ、全国からも各界各層の人人が訪れ、集団的自衛権をはじめとした戦争情勢に対する思いを語りあったり、大学単位で訪れた、ロシアや韓国の学生、アメリカ、フランス、イギリス、オーストラリア、中国、台湾など国際的な注目も集め、被爆と戦争の真実について熱気を帯びた交流がくり広げられたことを明らかにした。
 また、5日には広島、長崎、下関の被爆者や学生をはじめ、沖縄、愛知などからも海軍体験者や沖縄戦体験者が参加して全国交流会がおこなわれ、「揺るぎない核廃絶と平和、独立を求める広島市民の声を発信し、全国的に運動を広げていく決意を共有した」ことを報告。会期中だけで新たに150人が運動への賛同協力者となり総数は404人にのぼったことが明かされた。

 子どもたちの成長力に熱帯びた交流広がる

 参観者からは、昨年から様変わりした反響の特徴や、参観者との結束の深まりが確信を持って語られ、来年の70周年を展望した気迫に満ちた意気込みが口口に語りあわれた。
 精力的に体験を語ってきた男性被爆者は「9日間のうち8日間を会場に詰めていたが、語りかけたほとんどの人が熱心に被爆体験を聞いてくれ、女子高生が“私も語り部をやっていきたい”といったり、他県の人からも“アメリカに対する見方を教えてほしい”と熱心な質問が寄せられた。宮城県から来た青年は、祖父が特攻隊員だったこともあり、今の安倍政府のやり方に疑問を持っており“政府の都合のいい情報だけ流して世論操作している”と鋭い意見を語っていた。全国交流会は、それを象徴するような熱気に満ちたものになり、沖縄戦体験者から特攻隊経験者まで、聞きしに勝る壮絶な体験と激しい戦争反対の思いが交わされた。各地の生の声を聞きこれまで以上にみなが力を合わせて、なにがなんでも戦争を食い止める固い意志でつながることができた」と感想をのべた。
 今年初めて夫婦で体験を語った男性被爆者は、会場にかつての職場の同僚が集団で来てくれたことをのべ、「一緒に体験を語り始めた妻は動脈瘤という爆弾を抱えていて猛暑の中で体調が心配されたが、“語り部をやって倒れるなら本望”という思いで語りに出かけている。小中高生平和の旅、はぐるま座公演も含め、本当にすばらしい活動であり、これからもぜひ継続、発展させていかなければならない」と強調した。
 また、子どもたちから届いた感想として、「広島の小学生は“戦争を憎む、強い心を持った人間になることを誓います”と書いており、平和の旅の感想では“私は今日から戦争に反対する活動に参加します。原爆のような兵器をなくす活動に加わります”と力強い思いが綴られていた。今こそこのような運動を広げる時期だと痛切に感じた」とのべた。
 同席した夫人は、「小中高生平和の旅の子どもたちが1年生から6年生まで年相応に理解し、しっかりと感想に書いていて驚いている。子どもたちに体験を語ることでこれほどまでに成長し、将来のリーダーとしての資質が養われていることが実感できた。小さいときから競争、競争でバラバラにされているなかで、低学年から高学年までが励ましあい、支えあってともに成長していくようなグループは他にない。子どもの持つ可能性、変化していく姿をもっとみたい。このような運動の力になるなら、これからもどんどん体験を伝えていかなければと思っている」と感動の面持ちで語った。
 兄3人が戦地に出征した被爆婦人は、「今年の交流会はかつてなく力のこもったものだった。私の兄も出征するときは村長をはじめ重役が顔をそろえて万歳をして派手に送り出したが、戦後帰ってくるときは浮浪者同然だった。母は毎日のように兵隊の姿を見かけると鍬を放り出してわが子の安否を訪ねていたが、無事に帰ってきた長兄は精神を病み、宇品から京都、岩国と病院を転転とし、家に帰っても犬のような格好でご飯を食べたり、妹たちを整列させて説教したり、戦時中の記憶が頭から抜けない。戦争が終わっても、わが家では戦争は続いていた。そんなふうにかり出された兵隊さんが今も110万人が戦地から親元に帰らないまま異国の地で眠っている。安倍首相は勇ましいことをいっているが、これが戦争の現実であり、二度とくり返してはいけない。相手国の兵隊にも家族がいる。世界の人人とも力を合わせて戦争を止めなければいけない」と募る思いを語った。
 他の被爆者からも、「身内が原爆で全滅し、自分ももう取るところはないほど手術をくり返してきた。今回初めて参加したが、これから私も頑張りたい」(男性被爆者)、「学徒動員で江波の三菱造船で働いており、高須の電車内で被爆した。川の中の負傷者を運び出す作業をしたが、大人から子どもまでヤケドで皮膚がはがれてなにもできなかった。妹も“原爆の子”に執筆している。この運動が今後も盛大に広がるように力になりたい」(男性被爆者)、「みんなが身を乗り出して被爆体験を聞いてくれ、心が通じるものを感じた。子どもたちも脇目もふらずに聞いて感想文を書いてくれ、わずか一時間の話を聞いて“目を覚ましました”“戦争をくり返すようなことは私が許しません”と、まるで指導者のように心を変えている。いかに教育が大切かということだ。このきな臭い情勢のなかで、この感動を雪だるま式に大きくしていきたい。死ぬまでやっていく覚悟で頑張りたい」(婦人被爆者)などと被爆体験を語り継ぐ気迫に満ちた意見が交わされた。
 原爆展スタッフとして参加した男子学生は、「今年で2年目になるが、今年は昨年よりもやる気のある人が増えてきたと思う。自分が続けてきたことが間違っていなかった、1年間やってきてよかったと実感した。同世代の若い人たちにもっと広く認識されるまで、これからも活動していきたい」と確信をのべた。
 はぐるま座公演をとりくんだ高校生たちからは、「安倍政権が戦争にもっていこうとしているので、今この時期だからこそみんなが力を合わせてやるべきだと思う。だから、これからこの会に参加していきたい」(男子高校生)、「演劇をしていてはぐるま座公演を見てから原爆と戦争展に行ったが、広島の人間として知らなければいけないと改めて感じた。文章や言葉に加え、実際の写真を見て、これが現実なんだと痛感した。これなら小さい子どもにも伝えることができる。この運動に参加していきたい」(女子高校生)とはつらつと意気込みが語られ、参加者からは期待を込めて大きな拍手が送られた。
 スタッフを担った40代の男性公務員は、「子どもたちの目覚ましい成長を聞くにつけ、われわれ現役世代の責任を痛感している。目先のことにとらわれていたら見えない、生活に密接に関係する事実がこの展示会には詰まっている。とくに子どもを持つ母親たちの危機感が強くなっているが、今から安心・安全な生活を守っていくためにこの原爆と戦争展の内容を避けて通ることはできない。そのことをより多くの人に伝える努力をしていきたい」と抱負をのべた。

 10月末から横川で開催 さっそく取組み進む

 熱のこもる論議がかわされるなか、最後に「来年は被爆70周年という重要な節目を迎える。これまでにない気持ちをもって盛り上げ、内容上も大いに発展させなければいけない」「被爆者の高齢化は避けられないが、若い人たちがそれを受け継いでどのような役割を果たしていけるか具体的なスタイルを見出したい」という意見も出された。
 高橋副会長が、「来年に向けて、われわれ実体験者はさらなる気迫をもってやらなければいけない。そのためにもみんなが力を合わせていく輪をさらに広げていきましょう」と呼びかけ、今夏の大きな成果とともに、来年を見据えて全市的な基盤をさらに盤石なものへと拡大していくことを確認して散会した。
 原爆展を成功させる広島の会は、今月半ばから修学旅行生への証言活動を開始するとともに、10月31日から11月3日まで西区民文化センター2階ギャラリーで横川「原爆と戦争展」を開催する予定で、新たな賛同者とともに準備を進めている。

トップページへ戻る