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震災の影響全国に波及
下関  ひっ迫する食料・燃料供給
             重要さ増す西日本の役割   2011年3月18日付

  東日本巨大地震と原発事故の恐怖から1週間が経過したなかで、壊滅的な打撃を受けた東日本を中心に物流や工業生産が停滞し、全国津津浦浦にも影響が出始めている。食料や燃油の買い占めパニックが首都圏や関東地方では顕著なものとなり、西日本に至るまで日常生活や経済活動に変化があらわれている。
 下関市内の電器量販店では、11日の地震発生後、懐中電灯や単一電池が飛ぶように売れ始めた。被害の規模が明らかになるなかで、被災地に送ろうとする人人が訪れるようになり、まとめ買いをしていく現象が起きている。売場の担当者は「2〜3日は次の入荷があったが、売場に出すと即売する状態だった。メーカーも在庫を被災地に優先的に回しているので、次の入荷がどうなるかまったくめどが立たない」といった。陳列する品物がないので、空っぽの売場には「完売」の貼り紙がされた。
 ホームセンターではガスコンロやボンベ、ロウソクが売場からなくなっている。懐中電灯や電池が品切れになっているのも共通。店員に聞くと「今日は入荷したガスコンロ一六個を開店直後に来店した方がまとめて買っていかれた。カップラーメンなども完売している。少しずつ商品は入ってくるが、店頭に陳列した瞬間に買っていく」と様子を語っていた。
 下関市は17日から市立体育館(向洋町)で、被災地に送るための救援物資の受付を始めた。ひっきりなしに市民が訪れ、毛布や衣類、赤ちゃん用のミルクやおむつ、食料や水、日用製品などを持ち込んでいる。車を往復して運び込む人の姿もあった。

 元売りが出荷制限通告 ガ ソ リ ン

 ガソリンスタンドには元売りから出荷制限が通告された。コスモ石油の特約店には、仕入れ量を前年比で2〜3割落としてほしいこと、それ以上は出せないと連絡が入っている。「東日本への供給が逼迫しているので、西日本で製油したものを運んでいるようだ。これまでは翌日のタンクローリーの配車や仕入れ注文は、備蓄タンクの減り方や天候などを想定して、前日に出す仕組みになっていた。火曜日からは前前日の午前中にオーダーするよういわれている。ローリーの配車や都合を調整しなければならないからだ。月末在庫ゼロくらいの気持ちでやれば乗り切れると思うが、買いだめが起きるともたない。レギュラーガソリンはまだしも、備蓄タンクの小さい灯油や軽油は厳しい状況になる」と語られている。
 コスモ石油は大阪、香川、三重、千葉にある国内四カ所の製油所のうち、4割の生産機能を誇っていた千葉製油所(原油処理能力・1日22万ヲ)が、タンク炎上などで操業停止になった。山口県内の特約店は近場に製油所がないため、従来から宇部市の西部石油で製油されたものを仕入れるが、昭和シェルの意向や被災地への輸送の動向で、今後の展開がどうなるのか危惧されている。
 特約店の男性は「A重油が不足している。被災地の病院や緊急車両に使用するために優先的に回しているようだ。うちは下関市内の工場にも何カ所か納めているし、A重油を使う漁船にも納めている。今月は在庫で回るが来月はめどが立っていない。店頭販売についても早い時間帯に閉めるような工夫が必要かもしれない」と語っていた。
 JXの特約店も同じように仕入れ量に制限がかかっている。「仙台製油所が火災に見舞われ、茨城県の鹿島製油所が一部損壊。横浜の根岸製油所が唯一大丈夫だったようで、明日から稼働すると連絡が入った。被災地に運ぼうとするが陸路では時間がかかるようで、製油所から船で運ばなければならない。太平洋側は放射能汚染で難しいので、日本海経由で降ろし、そこからタンクローリーで運ぶといっていた。下関では14日から元売りの出荷制限がはじまった。一つのスタンドに卸すのはガソリン、軽油をあわせて一日40`gになっている」と語られていた。
 昭和シェルの特約店では「毎日ローリーが来なくても3日間ぐらいの在庫はタンクにある。こんなときこそ西日本が頑張って東日本を支えないといけない。ただ、下関市内でも一カ所ほど油がないといって閉店しかけた“無印”がある」と様子を話していた。
 スタンド関係者のなかでは、17日から被災地に向けてタンクローリーが一斉に向かい始めたことが語られている。大型だけでなく小回りが利く小型タンクローリーも必要とされ、九州地方からも応援に向かっている。東北地方では津波によって100台近くのタンクローリーが流された会社もあり、東日本で動いているタンクローリーは400台に満たない。西日本から300台が加勢する動きになっている。また、西日本の13製油所が稼働率を85%から95%にあげ、合計で2万`gを東北地方に輸送する動きになった。
 下関市内の内航船タンカーの船主は、「油はある。コスモが4割生産機能を失ったといっても、他の石油会社もふくめた製油所がフル稼働すれば、十分に対応できる能力が国内にはある。むしろ、オイルショックでもそうだったが、こういうときに買い占めを煽ったり、もうけようとするあくどい奴がいる。石油メーカーの火事場泥棒を国が規制しなければならないのだ。内航船の物資運搬能力は抜群なので、こういうときこそ利用すればよい」と語っていた。また、「東北は船乗りが多い。うちの会社にも8人出身者がいる。その家族が亡くなったりしている。国が対策をとらなければ船員もいなくなってたいへんだ」といった。

 製紙工場損壊で紙高騰 印刷業界にも打撃

 下関市内の印刷業界には、紙の卸業者から品薄が伝えられ、種類によってはまったく入荷不可なものがあると連絡が入っている。製紙大手である日本製紙は石巻工場、岩沼、勿来、秋田の4工場が操業停止に追いこまれ、25%の生産機能が麻痺。熊本県の八代工場、山口県の岩国工場がフル稼働で生産に励んでいるものの、「原料調達、製品物流の面で影響が出ることが懸念される」と状況が伝えられた。他の製紙会社でも、三菱製紙はメインの八戸工場が壊滅的な状況に直面し、大王製紙も工場が一部損壊などの被害にあった。卸業者の男性は「新聞のローラー紙は公共性があるので優先的に生産されている。しかし東日本があのような状況なので、首都圏の需要をまかなうために、九州で生産されたものが輸送されている状況だ」と語った。別の関係者は「今日新潟から入荷した。紙の仕入れはほとんど東北からだが、買い占めも始まっている」と話していた。
 印刷会社で在庫の仕入れを担当している関係者は「2社の卸しと取引しているが、1社からは上質紙とコートという艶のある紙が品薄と聞いている。もう1社からは感圧紙が入荷できないといわれた。在庫も水につかってしまったようだ」と話した。

 野菜は品薄 フグ値崩れ 農漁業も深刻な事態

 青果市場でも影響が出ている。仲卸の店主は「茨城、青森から入荷していたゴボウがまったく入らなくなった。ゴボウの値段が上がっている。北海道は大きな影響はないが、輸送路が復旧しておらず、コンテナや貨車が動いていないので、メークインや玉葱が品薄の状況。おかげで長崎から入ってくる新メークインや新玉葱が値上がりしている。宮崎や鹿児島といった九州の産地が野菜を優先的に東北に送る話が出ている。あと、長野で放射能の影響が出始めたので、春から夏にかけてレタスやキャベツが品薄になると懸念されている。東北や関東一帯で放射能汚染が広がった場合、風評被害もふくめて影響は計り知れない」と心配していた。
 かつて量販店のバイヤーをしていた八百屋の店主は、「イトーヨーカドーが宮崎の農家の野菜を買い占めていると情報が入った。震災に乗じて、自分たちの店で売る品物を確保しているんだ」と指摘した。
 唐戸市場の仲卸の男性は、地震後にフグの値段がキロ1500円近く下がっているといった。「どの仲卸も東京の方から歓送迎会のキャンセルが来たりして、大変な事態になっている。漁師への影響も大きいと思う。昨日築地に電話したが、魚市の課長が“魚が集まらない。少ない魚で競りをしようと思っても買い手がいないから市場の機能が成り立っていない”といっていた。計画停電があって、料理屋も魚を料理していないので買いに来る人がいない。新宿も真っ暗で人通りがない状況だそうだ。公共交通機関も突然止まるのだから。日本中が大変な事態で国をあげて復興しないといけない。個人で支援物資を送っても受けられないが、市が魚を集めてトラックを仕立てて走ったら受け入れられるし喜ばれる。ふく連盟も大規模に義援金を募って送ろうと計画している」といった。
 下関漁港市場の関係者は、国内生産量の2割を東北地方が水揚げしていること、漁港市場は直接の取引は少ないものの、事態が長引くと夏から秋にかけて北海道から入荷するサンマがどうなるか懸念していることを話していた。「マグロは気仙沼などが壊滅で、冷凍施設など港機能が丸ごと打撃をこうむっている。水揚げだけでなく、それを処理したり捌いていく能力は他の港では代替できないものだ。危機的な状況だからこそ、西日本や他の地域が頑張らなければいけない。食料生産を支えないといけないと漁業者とも話している」といった。
 建設資材など扱っている企業では、仮設住宅需要が高まっているため、資材が東日本に向かって流れていること、コンパネやベニヤをつくっていた福島県の製造元が打撃を受けたことも影響し、入荷が滞っている状況が語られている。「在庫がなくなったら商売にならない」と危機感を抱いている関係者も少なくない。
 バイク・自転車専門店の店主は「3月末には入荷するはずだったホンダのカブの納車が1カ月後以降に延期になった。組み立て部品が手に入らないから、生産に影響が出ている」と話していた。

 外資の投機で円高進行 国 内 経 済

 国内経済を巡っては、急激な円高が進行し、16日のニューヨーク外国為替市場では一時76円25銭まで急伸。震災復興のために円需要が高まることを見越して、海外のヘッジファンドが円買いを進めている様子が暴露されている。一方で株価は暴落過程をたどっている。300兆円市場に貼りついたり、叩き売りをしながら“火事場泥棒”が揺さぶりをかけていることが、怒りを買っている。

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