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市外発注やめよの署名広がる
             下関 雇用・生活守れの声沸騰   2010年1月13日付

 下関市内で昨年末から開始された「市民窮乏化の緊急事態に当たり、大型箱物事業と市外発注を止めて、市内に仕事を回し、市民の雇用と生活を守ることを要求する署名」は多くの市民の強い共感を持って広がっている。署名運動のなかで市内経済の疲弊と、市外発注をやめず、大型箱物事業を次次とうち出す中尾市政に対する怒りが語られ、散髪屋、建設業者、不動産関係、印刷所、酒屋、大学関係者、病院関係など、あらゆる業種で署名用紙を預かり、周囲の人人に訴える動きとなっている。
 下関市内では、リーマン・ショックの影響で急激に景気が落ち込み始めた1昨年10月から昨年11月までの1年間で約1万1000枚の離職票が交付されている。1年間の失業者が1万人をこえるという深刻な事態だが、「雇用保険に入っていない企業も相当数あるから、実際はもっと深刻なのではないか」と指摘する企業主もいる。MCSや神戸製鋼、三菱など大手企業の首切りに加え、年の暮れもおし迫った12月に市内で大手の建設業者が倒産。昨年だけでも倒産は40件に及んだ。最近でも市内の運送会社が倒産したことが話題になるなど、今年に入ってからも市内中小企業の倒産があいついでいる。
 「パートで勤めている地元中小企業も、ぎりぎりまで解雇しなかったが、とうとう人を半分に減らした」「昨年末のボーナスは出たところでも5割減、3割減などが当たり前だった」「次は3月末の決算で持ちこたえられない企業が出てくる」など、地元企業の厳しさが語られる。
 ある60代のダンプ運転手は、勤めていた建設会社が倒産し職を失った。年金が少なく、生活できないので職安に行ったが「65歳」というと「ダメ、ダメ」と門前払いされたという。長府にある西部職業訓練所に行っても若い人でいっぱいで、年配者が入る余地はなかったという。「これからどうやって生活していこうかと思っている」と話す。
 失業者だけではなく、なんとか仕事に就いていても現金収入の減り方はすさまじい。「MCSでも残業がなくなって準社員の手取りは8万円、正社員でも12万円程度だという話だ。残業代を見込んで家を建てていた人がローンを払えなくなっている。最近MCSの従業員がたくさん家を建てていた彦島の住宅地の物件がとうとう売りに出された」「三菱も大和町工場の派遣を200人くらい解雇したが、重工の現場作業長でも給料は20万円もないという話だ」と語られている。
 あるタバコ屋の店主は「50代の建設業の人で半年間給料をもらっていない人がいる。やめたら仕事がないので、家を建てるために貯めていた貯金を切り崩しながら、奥さんのパート代で生活している。20代の息子が働いているので、年末に“年越しに使え”とお金をくれたそうだ。早くどうにかしないといけないといっていたが、やめても年だから新しい仕事がそんなにあるわけではない。極端な話かもしれないが、市民の生活はすごく厳しくなっている」と指摘する。
 こうしたなかで今春卒業する高校生や大学生の就職先がない状況が共通して語られている。娘が九州方面の大学に通っている男性は「娘も4月から失業者だ」という。例年なら大学のOBが経営する企業にほとんど就職が決まるのだが、今年はまったく決まらない。「下関市内もいろいろ探してみたが、山銀も昨年採用したから今年は数人しか採らないなど、ほとんど新卒採用がないから頭をかかえている。お金をかけて大学を出したものの、こんな若い者が希望が持てない世の中でどうなるのか」と語る。
 市民に現金収入がないのに、下関市内は市外大型店が異常なほどに出店している。県内最大のゆめシティがオープンしたが、その周辺にはベスト電器や紳士服が3店舗、チェーン店のうどん屋が入るなど、入ってきた市外チェーン店まで「下関は異常」というほどだ。
 江島前市長の下で疲弊した下関の現状を危惧する市民は、市長選で「地元発注」を掲げた中尾市長に期待したが、中尾市長は当選すると次次に公約を破棄し、江島前市長のあとを継いで突っ走り始めた。ゆめシティがオープンすると挨拶に出向いて「相乗効果があっていい」といって支援した商業関係者を驚かせたが、市民が困窮している目の前で22億円かけたペンギン館がオープンを迎え、60億円の社会教育複合施設も3月にオープンする。
 その他、駅前開発で7スクリーン750席のシネコンが入る商業施設と250台分の立体駐車場をつくる計画をうち出したり、「絶対に建て替えない」と叫んでいた市庁舎の実質建て替え計画もうち出した。こうした大型箱物事業に市外業者ばかりが入ってきて、地元業者には仕事が回らない。
 中尾市長は新年早早「地元発注、地産地消、地元調達について市役所として取り組む」と宣言し、「対策本部」を立ち上げるなど、パフォーマンスは派手だが、市内業者のなかでは「これまでになく仕事がない。うちも去年の7月からなくて、最近ようやく修理の仕事がもらえた」「大型事業が地元業者に回ってくるはずがない」と語られている。大型事業だけでなく、市営駐車場や市営住宅の管理業務など、細かな業務にまで市外業者が入り込み、中尾市政になってからは学校給食の調理業務にまで北九州の業者が入って来た。
 市民のなかでは「結局中尾市長も民主党と同じで、もともと林派のひも付き。目先は変わっても根本的には解決しない。本当に市民のために頑張る志のある市長や議員を市民の手でつくらないといけない」と語られている。

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