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    四角い窓とまるい窓

    
               作 礒永秀雄    絵 鬼池道世
                                       

      発行・長周新聞社  B5判 32頁 定価1000円

 2006年10月に開かれた「没30周年記念・礒永秀雄詩祭」は、礒永の芸術作品が今の社会に生き生きとした生命力を持っていることを、深い感動をともなって証明するものとなった。詩祭当日、会場ロビーに展示された絵画の数数も参加者に強い印象を残した。今回、そのなかから絵本『四角い窓とまるい窓』が生まれた。
 作画は萩市在住の退職教師・鬼池道世氏(美術グループあらくさ会員)で、礒永秀雄の童話「四角い窓とまるい窓」を17枚(表紙を含む)の絵で表現し、1冊の絵本として出版した。開くと右ページの童話が左ページの色彩豊かな絵とともに迫ってきて、想像力がかきたてられる。
 ある冬の朝、働き者の小人たちの村に、サファイアのような青い目をした王子がやってきた。そして、すてきな車やお菓子のお城など、なんでも欲しい物が見えるまるい窓をプレゼントする。ところが、小人たちが1日中このまるい窓に見入るようになってから、それまで真っ赤に燃えていた仕事場の火が今にも消えそうになってきたのである。ことを見抜いたのは貧しい兄弟の弟の方で、村人を魔法から解くために奔走する。王子は魔法使いのお婆さんであり、村人を凍え死にさせて食べようとしたのだ。……
 この童話が書かれたのは1959年、60年「安保」斗争の前年である。その後日本は「高度成長」のみせかけの「豊かな時代」をへて、ときはひとめぐりし、戦後アメリカによって投げ与えられた「自由」も「民主主義」も「豊かさ」もまやかしだったとさめざめと気づく時代になっている。こうした今の時代にぴったりの斬新さをこの童話は持っている。鬼池氏はこの童話の絵本原画を、今年1月のあらくさ展に出品したのち、3月に米軍の厚木基地移転に対して岩国市民が住民投票で勝利したことのニュースに遭遇し、その絵を全面的に描き改めたという。
 カラー刷りで、B5判・32ページ。漢字には、読みやすいようにルビがふってある。巻末には礒永秀雄の略歴紹介もしてある。
 本書は鬼池氏の自費出版で、頒価1000円で手に入れることができる。
 問い合わせは、〒758−0011 萩市椿東2731−8 鬼池道世 0838−25−5673まで。本社でも扱っている。

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