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市県民税の倍増に憤激
連日窓口で抗議相次ぐ
             米国と大企業ばかり略奪    2007年6月6日付

 「国も地方も財政が赤字なのだ」といって、つぎからつぎへと増税が家計を襲う。 みなが知らないうちに国会で決めて、強制的に巻き上げていくのである。 今年度、市・県民税が2倍以上も跳ね上がったことから、ここ数日間は、自治体担当課に連日市民が押しかけ、詰問の電話が鳴りやまない。怒りと悔しさがにじんだ表情で市役所を去っていくのは、多くが年配者だ。税金という名目で取りたてられる金額は本当におびただしい。 しかしこの金が国民、市民のためには使われず、上層で独占大企業や外資、米国がたかって食い荒らすことによって、さらに極貧になっていくからデタラメなのである。
 下関市内で中小企業を営んでいるAさんは、「どれだけしぼったら気がすむんだ!」と腹の虫がおさまらない。「江島(市長)がバカげた箱物で使い果たすのを見ているだけでも、市民の税金を何と思っているのかと憤りを感じる。潤うのは安倍首相の縁故企業ばかり。私らは60%台のダンピングで従業員の社保代すら困っているんだ。これほど負担が増しているのに、国も県も市も、いったいどこに金を使っているのか」と怒る。
 市民が直接目にして怒っているのは、約150億円もの社会教育複合施設建設(文化会館建て替え事業)を三菱商事が落札できるように導いたり、約22億円かける市立水族館・海響館のペンギンハウスには1羽につき4000万円以上もの御殿をつくってやったり、約11億円の犬猫安楽死施設の建設、5億6000万円かける梶栗駅舎建設や下関駅ビル開発(JRへの利益誘導)などJR駅舎建設・周辺整備に約200億円もの税金をぶちこむとか、北九州に身売りするといいながら、一方では200億円ともいわれる新市庁舎をつくろうとするなどの市の食い潰しである。近年は、唐戸市場に80億円、海響館に123億円、奥山清掃工場に105億円、リサイクルプラザに60億円と大型公共事業が立て続けにおこなわれてきた。儲かったのは神戸製鋼所や三菱重工など安倍首相絡みの特定企業ばかりなのである。
 沖合人工島の建設には700億円超もの金を投じ、北バイパスや巨大道路群をつくる費用を合計すると1500億円をはるかに超える金額だ。地元企業はダンピング競争が強いられるなかで衰弱し、市民生活がますます貧しくなるのとは対照的な事態が進行してきた。

 庶民から巻き上げた 増税額は約4兆円
 今回の増税は全国共通なわけだが、小泉政府以後の5年間だけ見ても、国民負担の増大はすさまじい。「配偶者特別控除」と「老年者控除」が廃止され、定率減税が昨年になって半減。この施策によって国が庶民から巻き上げた増税額は、3兆9000億円(年間にすると約8000億円)にもなる。追い打ちをかけるように、今年は所得税・住民税の定率減税が“全廃”となり、現在の“6月騒動”になった。総額にして年間でさらに約1兆6500億円規模の増税である。
 年収500万円のサラリーマン世帯を例に見ると、定率減税半減だった昨年の所得税・住民税の合計が14万9500円。全廃となった今年からは16万4600円になった。しかしこんなものではおさまらない。政府がもくろんでいる「配偶者控除全廃」「特定扶養控除減額」「給与所得控除減額」が08年以降に実施された場合、これが45万9000円にまで跳ね上がる。所得税は約3倍、住民税は3〜4倍となる見こみで、現在どころではない破格の増税が待ちかまえている。
 03年度税制改正で所得税の「配偶者特別控除廃止」が決まって以後、04年度改正では老年者控除廃止や公的年金等控除の縮小など、年金課税を強化。住民税の均等割(定額部分)引き上げなど、庶民への増税は相次いで実行されてきた。かたや法人税、法人事業税は引き下げられて、年間約1兆4000億円の減税となり、たいへん優遇されてきた。
 国民負担はそれだけにとどまらない。2002年7月に医療制度改革関連法案が制定され、サラリーマンの健保本人負担が2割から3割になり(2003年4月から実施)、70歳以上の自己負担限度額は引き上げられて、原則1割になった(2002年10月から実施)。同年の雇用保険法等の改正によって雇用保険料は2005年度から引き上げられた。児童扶養手当の全部支給所得限度額は引き下げられた。
 03年には発泡酒やタバコ税の税率を引き上げて1870億円の増税。また、65歳以上の介護保険料を引き上げた。「介護地獄を解決しましょう」といって2000年にスタートした介護保険制度は、結局、保険料は増えるのにサービスは切られる一方。老人病院からは追い出され、特養も金がない人間は入れず、病床削減によって患者は追い出される始末である。
 04年4月からは消費税が免税となる課税売上高の上限が1000万円(従来は3000万円)に引き下げられ、課税対象となる中小の事業者が個人事業者で88万人増え、法人では48万社増えた。年収1000万円の漁師や農民からも巻き上げるようになった。この増税額が5040億円。同年には所得税・住民税にかかる老年者控除を廃止したことで、390億円の増税。年金制度改正によって厚生年金保険料率が引き上げられ、国民年金保険料も引き上げられた。また、生活保護の老齢加算が廃止された。
 05年は前述した定率減税の半減によって1兆2520億円の増税。介護保険法の改正によって、施設入所者の食費、居住費を全額自己負担にして、保険給付費を3000億円削減した。生活保護、母子加算の縮減もおこなわれた。
 06年は所得税、住民税にかかる定率減税の廃止によって、1兆3060億円の増税。また、たばこ税をさらに引き上げて940億円の増税。また医療保険制度改正によって、70歳以上の現役並所得者の自己負担額を2割から3割に引き上げ、療養病床に入院している高齢者の食費・居住費の引き上げもおこなった。高額療養費の自己負担限度額も引き上げ、さらに2008年4月からは70歳以上高齢者の自己負担額について、70〜74歳は1割から2割に引き上げることも決定した。そして、介護保険料は再び引き上げられた。
 先行してターゲットになったのは高齢者や障害者、病人、介護保険受給者、生活保護などの下層に押しつけられてきたことが特徴で今後さらに国民全般に向いていくシカケとなっている。

 利益は過去最高更新 大企業はボロ儲け
 こうしたなかで独占大企業はボロ儲け。07年3月期決算では、東証一部上場企業の全体では5期連続の増収増益で、経常利益の総額は4期連続で過去最高を更新。35兆円近く(前期が約32兆円)に達すると見られている。トヨタ自動車は営業利益が2兆円を突破。大手商社6社も軒並み過去最高の当期利益。石油大手4社もこぞって売上高が過去最高。軍需産業も利益を押し上げた。株主への配当金総額は前期よりも1兆円増えて6兆円に届くといっている。
 1000万円預かっても100円しか払わない巨大銀行は、三菱UFJフィナンシャル・グループ以外は、いまだに法人税の支払いを免除されている始末だ。バブル崩壊以後、金融機関全体に約12兆円が投入されてきた。不良債権を抱えてヒイヒイいっていた大銀行は、日銀の低金利政策と政府の税金投入でボロ儲けして、たちまち鼻息荒くなった。国民負担の残り6兆円はまだ返ってきていないだけでなく、一連の超低金利政策によって、庶民が銀行に預けたお金の利息収入は、昨年段階で304兆円も巻き上げられた。
 国民への大増税を課す一方で安倍政府がもくろんでいるのが、法人減税である。経団連などが主張している「10%引き下げ」によって大企業は約4兆円規模の減税を受けることになる。その穴埋め財源は消費税を5%から7%に引き上げる(消費税は1%上げただけで2兆2000億円もの増税になる)ことで賄うというものだ。
 また国民の血税を、米軍司令部のグアム移転などに3兆円負担、「ミサイル防衛」に総額5〜6兆円をぶちこむといった、軍需産業投入に力を入れようとしているのも特徴だ。防衛庁の受注第1位の三菱重工は、2000年から約2兆円もの“仕事”を国からもらって飯を食ってきた。これらの巨大軍需産業にとっては憲法を改悪した近い将来、巨額の利益が転がりこんでくる関係。1台2億円の戦車をはじめ地対空誘導弾、08年度からはパトリオットミサイル3(PAC3)もライセンス生産もはじまる。空自に配備するというF22(ラプター)は1機250億円で、この戦闘攻撃機の購入に総額1兆円だ。
 徳川時代を笑っておれないくらい国民、市民を“年貢奴隷”にして、この金はだれが何に使っているのかが大きな問題になっている。


     下関・抗議が100件超す 窓口に押しかける市民”我慢ならない”
 市県民税の課税納付書が市民各層に送付され、税額が2倍以上にはね上がったことから、安倍政府への怒りが噴き上がり、下関市役所の税務窓口には市民が押しかけ、電話の抗議を含め週明け4日には100件を超える事態となっている。中小零細企業の労働者、自営業者、年金生活者を問わず、「もうがまんならない」と安倍政府の米軍再編に3兆円を貢ぎ、医療・福祉・教育を切り捨てる売国と戦争の政策、江島下関市長のペンギン館、犬猫安楽死施設からJR下関駅舎改築など箱物利権へ怒りの矛先を向け、参院選を前に「安倍自民党を辞めさせる絶好のチャンス」との声が広がっている。
 惣菜店で働く5時間パート(時給750円)の婦人労働者は、昨年は年4800円の1回払いであったが、今年は年8200円と1・7倍、分割払いとなった。
 食品をつくる小企業の婦人労働者(正社員)は昨年は年4万2000円であった市県民税が、今年は9万9500円と、2・4倍にはね上がった。
 年金収入が、年225万円の老夫婦(婦人は扶養家族)は、昨年5300円であった市県民税が、今年は1万5100円、2・8倍、3倍近くにはね上がった。
 下関市長門町市場で商店を営む婦人は、昨年年7万7400円であった市県民税が、今年は17万5300円と、2・3倍にはね上がった。青色申告で税理士に見てもらい、専従者給与も上げていないのに納得できない、と語る。
 年商約4000万円、年収約800万円の自営業者は、税理士に経理を見てもらい、「所得は昨年に比べ100円しか増えていない」といわれた。ところが、昨年57万7700円であった市県民税が、今年は66万6100円と、8万8400円も増えた。
 同自営業者は、「私は配偶者など扶養者控除もなく、高齢者控除の対象でもないので、定率減税廃止の結果だ。昨年も市県民税は一昨年に比べ13万円も増えた。2年間での定率減税廃止で、市県民税は合計21万円も増えており、もうがまんできない」と強調する。

 年収700万以上は引下げ 庶民への増税と逆に
 下関市市民税課の説明によると、安倍政府は市県民税の税率を、昨年まで年収200万円未満=5%、同200万円以上〜700万円未満=10%、同700万円以上=13%だったものを、すべて10%に統一した。この10%のうち「税源移譲」と称して、6%を市町村、4%を都道府県の税金とした。
 このため、全国民の3分の1近くを占める年収200万円以下の層は、市県民税率が2倍にはね上がった。逆に、年収700万円以上の層は、市県民税率は13%から10%に引き下げられている。課税所得が300万円のケースでは、昨年より10万円の税負担増となる。
 安倍政府は、所得税と市県民税で調整しているので、「税負担額は変わらない」と大宣伝しているが、これは真赤なうそである。
 小泉―安倍と、政府・自民党は2年間で定率減税を全廃、所得税20%、市県民税15%と、課税額から定率で減税する制度を全廃した。これだけで、約3・4兆円の大増税を押しつけている。
 昨年度の半減から、今年度に全廃、所得税10%(限度額12万5000円)、市県民税7・5%(限度額2万円)が廃止され、総額1・7兆円の増税を押しつけた。
 安倍政府は、「三位一体の改革」と称して、国庫負担金、地方交付税交付金に大なたをふるい、小泉政府が地方財政を切り捨てた果てに、「財源移譲」と称して市県民税率を10%に統一、3兆円の税源を移譲したとしている。だが、定率減税廃止による増税だけで3・4兆円、政府はなにひとつ国の税収源を削ることなく、労働者、勤労人民に対する大増税によって「地方への財源移譲」をまかなっている。
 市県民税の大幅な増税は、各市町村の住民税を算定基準とする国民健康保険料、介護保険料の高騰に拍車をかけることは必至である。高齢者をはじめ市民各層の税・社会保険料の負担は、さらに限度をこえたものとなり、「これでは生活できない。米軍再編に3兆円もつぎこむなど、安倍はアメリカ人か。増税をやめ医療・福祉を充実せよ。きたる参議院選挙は、安倍・自民党に思い知らせてやる絶好のチャンス」との声は、巷に広がっている。

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