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「市民票いらない」奇妙な選挙
下関市議会議員選挙告示
              市民と異質な議員に憤激    2011年1月24日付

 下関市議会議員選挙は23日に告示を迎え、30日投開票に向けて本戦の幕が切って落とされた。安倍、林代理の中尾市政と飼い猫議員による新自由主義モデルの略奪政治を許して下関をつぶすか、それを規制して産業保護、雇用確保を中心に市民生活を守り、下関を立て直すのか、鋭い対立となっている。しかしほとんどの陣営の選挙戦は、何かの政策を訴えるわけではなく、市民に積極的に働きかけるでもなく、奇妙キテレツな選挙戦となっている。告示を迎えた選挙情勢はどうなっているか見てみた。
 この日、午前8時30分からの受付を済ませた各陣営は、市内に色とりどりの選挙カーを繰り出し、イメージカラーに身を包んだ運動員が車から手を振ったり、「出馬のご挨拶に回っております」等の連呼を開始した。
 立候補者の顔ぶれを見てみると、自民党安倍派は議長の関谷博を筆頭に、福田幸博、平岡泰彦、田中義一、自民党推薦を取り付けた亀田博、無所属安倍派の西本健治郎、香川昌則、中谷紀由、桑原博、鈴尾進。あらたに安倍事務所の肝いりで登場した新人として代議士秘書から転身する前田晋太郎、極東建設の元専務だった板谷正、磯部亜紀子の3人。旧郡部では豊田町から木本暢一、菊川町からは町内単独候補として新人の松田英二、豊北町も自民党単独候補の吉田真次と、それぞれ地盤を争う対立候補が不在の構図で、大票田を独り占めする形で安倍派の議席確保に動いている。
 激戦なのが豊浦町で、前回安倍派本命で出馬したものの落選した戸澤昭夫、同じく安倍派の林透、中尾市長派の異儀田博己、井上隆純、元町長のM岡歳生は全逓や郵便局の応援を受けて出馬。「日共」明石も含めて6人が豊浦町を舞台にしのぎを削っている。
 自民党林派は副議長経験者の林真一郎、門出眞治といった議会ボスのほかに、鵜原明人、代議士秘書をしていた安岡克昌、同じく秘書出身の倉田健治郎の2人を擁立。その他に保守系の新人としては彦島から故・植田正議員(安倍派副議長)の地盤を引き継ぐ形で小熊坂孝司が出馬しているほか、勝山地区からは引退した石川潔議員(安倍派)の後継として村中克好が立候補した。
 中尾与党からは松村正剛、田辺ヨシ子。かつて下関市議会の主流派をなしていた連合・企業代表関係では、JR西日本がバックアップする社民党の山下隆夫、神戸製鋼の菅原明の2人。公明党は長秀龍、末永昇、中村勝彦、浦岡昌博、藤村博美の五人。「日共」市議団は近藤栄次郎、明石弘史、檜垣徳雄、江原満寿男、大田幸夫の現職5人。無所属新人として小松田誠。
 長周新聞社勤務員で民主主義と生活を守る下関市民の会が擁立した本池妙子を含めて44陣営が出そろい、選挙戦は本戦に突入した。
 有権者数は1月22日時点で23万4363人。そのうち旧下関市が19万6163人、旧菊川町が6743人、旧豊田町が5314人、旧豊浦町が1万6331人、旧豊北町が9812人となっている。
 前回並みに投票率が60%前後で推移した場合、投票者数は約14万人となり、当選ラインは3000票前後といわれる。しかし逆立ちしても3000票を集めることなどできない候補が落選者数以上おり、2500から2700票だろうといわれている。38議席にたいして59人が立候補した前回選挙では、落選者20人の合計得票が3万票と分散して、低空飛行組でも幾人かが滑り込んだ。今回は定数34にたいして落選者は僅か10人。投票率が下がれば下がるほど、組織票の有効度が増す選挙構図になっている。

 投票率低い組織戦策動 市民冒涜のモデル

 選挙がはじまったが、休日の市街地はどこも閑散として、表に出てきて手を振る市民の数が少ない。あまりの無反応に青ざめている陣営も少なくない。車から降りて通行人の手を握ったり、誰もいないのに「沿道からの支援、ありがとうございます」と叫んで盛り上げてみたりしている。それにしても振り向いて声援を送る市民の姿が少ない。
 集客施設を狙って駅前には数え切れないくらいの陣営があらわれ、なかには3回もやってきた候補がいた。客待ちしながら聞いていたタクシー運転手たちは「20陣営くらい来たが、どこも中身がないのだ…」「政策の一つくらいないのか」とうんざりしていた。
 市民に訴える内容がない。政策をのべる者がおらず、もっぱら「○○(自分)をよろしく」の自己宣伝に終始。既存のオール中尾市政与党が勢揃いしたところで争点のありようがない。安倍・林代理市政の枠組みのなかで誰がポストを占めるかしか違いがない。我欲のぶつかりにしかならない、そんな議員のていたらくぶりを見て「入れたいと思う候補がいない」の声が市民のなかにうっ積している。
 市民の方から見たら、「今まで頼みに来ていたのが誰も来ない」「かつて経験したことのない静かな選挙」という不思議さがあった。各陣営のなかでは「盛り上がらない選挙」「争点のない選挙」ともいわれ、市民が悪いかのような口振りが多い。
 示し合わせたように直前まで動かず、引退議員が8人もいるのにたいして候補者を抑制する力が働いた。象徴となった旧郡部では豊浦町を除いて自民党候補一本化という選挙でなくしてしまう構図がつくられた。自民党を中心にした候補者管理であり、水面下の候補者調整ばかりで、市民の前で頭を下げて支持を訴える者が出てこない。支持者が名簿を集めても取りに来ないし、あげくは「名簿はあてにならない」と公言する副議長経験者もいる。こうして落選争いの奇妙キテレツな引き算選挙がもたらされた。
 本戦がはじまると、第一に市民の反応の乏しさが各陣営を青ざめさせている。出てきて手を振る市民が少ない。「ご支援ありがとうございます」の声が聞こえない。しかし各陣営の特徴として、市民に何事かを訴えて、市民の支持を得ようという姿勢が乏しい。自己宣伝、連呼以外に市民にたいする訴えが乏しい。
 あらわれている現象は「市民票はいらない」という各陣営の奇妙キテレツな選挙ぶりである。市民に訴えるものがなく、市民に働きかければかけるほど嫌われ怒られる。市民感覚と離れてしまって、市民のところに行っても票にならないというのが多くの実態となっている。下関は安倍、林代理の江島、中尾市政のもとで、全国先端の市場原理市政が採用されたモデル地域で、寂れ方は全国先端となったが、今度の選挙も「市民票はいらない」選挙という全国先端の選挙構図があらわれている。
 選挙構図としては、市民のところはできるだけ刺激するのをやめて、投票率の低い組織戦にしようとしている。安倍、林事務所管理の企業票など割り振り票の有効度を高める構図で、市民の世話にならず、市民に責任を感じない安倍・林代理市政を補完する飼い猫議員の数さえ確保すればよいという特徴を持っている。「市民票はいらない」市民冒涜のモデル選挙となっている。それはどの政党も信用を失っている国政選挙の行く末も暗示している。

 議会実権派の審判注目 組織票奪いあう議員

 このなかで各陣営のおもな関心は組織票の奪い合いとなっている。「○○社は○○陣営についた」「○○社の○票は分けてもらえる」「○○地域の○○票はうちがもらった」「安倍事務所が抱えてくれているから大丈夫」など、市民と別の世界で組織票の奪い合い合戦が激しくなっている。
 こうなると政治的な色合いの違いで争うことなど関心はなく、同族内の票の奪い合いが激しくあらわれている。「隣こそ敵」の選挙模様が各所であらわれている。自民党のなかでも安倍派同士の奪い合い、林派同士の奪い合いが派手になっている。とくに新人になると事務所が面倒を見てくれると見なしているが、現職の方も嫌われ方はひどく、放っておいて大丈夫かわからないところもある。安倍派新人ホープの決起大会は500のイスを用意して200人しか集まらなかったとかで青ざめていたとかの話が飛んでいる。事務所の管理票といっても、その組織票が号令通りに動かない情勢になっていることもあらわれている。
 公明党も一部「お国替え」を実施しているなかで、地域の評判の悪さのなかで出世のための大量得票は欲しいと見えて、同族仲間のシマ荒らしをやっているといわれている。
 「日共」市議団は定数削減なのに五人がそのまま登場して選挙戦にもつれこみ、前回の総得票数なら半分は落ちることになる。このなかで同族仲間のシマ荒らし争いが評判になっている。年寄りの順番で引退するところ、最年寄りが引かずに共倒れの争いを繰り広げている。かれらは本池候補の政策を盗んだ形であれこれの政策を訴えている。それも、「保守系が議会多数なので実現できなかった」と後でいい、「自分たちを多数派にしない市民が悪い」というのがかれらで、どんな政策をいっても口だけなのがかれらの特徴であることは、多くの市民が見抜くところとなっている。市民運動を組織する意志も能力もなく、分裂させ破壊することで、執行部に認められ、生活保護や市営住宅斡旋の福祉利権をわけてもらい議席をあたためる関係となっている。それが仲間争いにもなってあらわれる。
 このなかで、下関市民の会の本池妙子選挙は、独自の立場を貫いていることが多くの市民に認められている。それは、下関を食いつぶしてしまう新自由主義の略奪政治とたたかって、産業保護と雇用確保をやり市内経済を活性化させる。個別利害優先の政治をやめて、市民みんなが良くなる公共性、公益性を優先する政治をやる。それを議会だけを通じて実現することはできない。金力、権力が支配する選挙で市民派が多数派になることはなく、市政を変えることはできない。それを実現する力は市民の世論と運動であり、市政に市民の声を届け、市政の真実を市民に知らせ、市民運動を強いものにして市政を変える議員活動をやるという立場である。そして権力構造である議会にいて、市民の立場を貫き、一切の私心を捨てて、公に尽くす精神を貫くという姿勢である。
 告示第1日目、ポスター貼りは全地域のほとんどの看板で1番に貼り、組織力を示すとともに「やる気だな」の評価を受けた。選挙カーは、行く先先で多種多様な市民が手を振って歓迎し、市民の熱気を示した。この本池選挙が、市民の本当の意志と力を示す意味合いを持って、市民のなかで自分たちの選挙として活発な行動となっている。
 下関市議会がどうなるか、とくに市議会を牛耳るリーダーたちへの審判が注目される。飼い猫議会のなかでも、とりわけ安倍派の関谷議長、副議長経験者で安倍派の福田、林派の門出、林、議会の実権派とみなされる公明の長、監査委員の「日共」近藤といった面面への審判がどうなるかで、下関市議会の様相はだいぶ変わることになる。


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