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市民は緊縮、市長は箱物三昧
下関市・08年度予算案
              「許しがたい」と市民は怒り    2008年2月29日付

 下関市(江島潔市長)は26日、08年度予算案を発表した。各部局には経常経費など削らせて、大型の箱物事業に重点投資し、前年度より1割増しの大盤振舞予算となっている。市内経済はさんざん疲弊して若者が生活できるまともな職はなく、そのうえに保育園を廃園にしたり、学校では用紙代やトイレットペーパー代まで父母から徴収し老人休養ホームは閉館するなど、市民生活を切り捨てることによって、不要不急の大型箱物利権事業をやろうというのである。市民には「予算がない」が、利権には大盤振舞なのだ。安倍、林代議士代理の江島市長は下関をとことん食いつぶそうとしているとの怒りの声が一斉に上がり、「箱物をやめて市民生活に回せ」の行動を起こさなければとの声が強まっている。
 一般会計の総額は前年度から9・2%も大幅に増え、1198億2500万円になった。よその自治体が減額するなかで、下関は「積極堅実型」なのだと江島市長はいっている。「ボクは積極、市民は堅実」というわけだ。歳入では、物価高や不景気のあおりで市民生活の窮乏化が進行していることを反映して、市税は前年より9億2100万円減の360億3880万円を見込んだ。借金にあたる地方債は160億7900万円(前年度比75・9%増)発行して補う形となった。それでも財源が足りないので、財政調整基金や減債基金を33億4100万円とり崩す。08年度末の基金残高(市民の貯金にあたる)は178億4000万円に減る見通しで、この調子で使うなら5〜6年で「貯蓄ゼロ」。あと1期市長をやって「ごちそうさま」といわんばかりの勢いだ。
 歳出では、借金返済にあてる公債費は138億400万円。そのうち山口銀行などにわたる利子払いだけで21億7700万円にもなる。市債にかかる利子負担を軽減するためとして、08年度はまとめて繰り上げ償還する費用や国営農地再編整備事業の負担金の一括返済にあてる費用26億円もふくまれた。

 投資的経費が219億円に 63・8%の増
 大きな特徴は、箱物事業がオンパレードで投資的経費が219億5500万円(63・8%増)と異常な伸びを見せていることだ。社会教育複合施設(文化会館建て替え)の建設事業は、今年度の支出が42億5700万円で、もっとも財政を圧迫する要因になっている。建設にかかる費用としては総額約60億円を見込んでおり、その後の5年間の維持管理・運営費に約22億円かかる。それ以後も毎年4億円以上がランニングコストとなる。この維持管理費は将来にわたって全額が市財政からの持ち出し。
 その他では、動物愛護施設の建設費として、9億6480万円が計上された。この犬猫安楽死施設は、前年の費用と合計すると12億8400万円になる。当初11億円の事業といわれていたのが13億円の事業になろうとしている。海響館のペンギン御殿には、13億8300万円をつけた。前年の建設事業費と合計したら23億4000万円。
 川中中学校建設(土地代を除く総事業費は38億5300万円)には14億6500万円を計上。スーパーイズミを誘致する川中土地区画整理事業には、建物移転補償や減価買収、道路整備や造成工事費用として、前年より7億5000万円アップの17億7200万円の予算を計上した。
 昨年から動きはじめた豊北地区集客施設の建設事業には2億8300万円。サングリーン菊川のリニューアル事業には、突如2億1000万円がついて、露天風呂やエレベーターを設置するほか、耐震補強をおこなうとしている。豊浦町湯町地区ですすめている観光交流センターの整備費としては3億4700万円がついた。生活バス試行運転にも、1億3400万円の予算がついた。そのほかに旧4町関連では、豊北町滝部に新設する幼保一体化施設建設には3億3000万円。豊田地区の幼保一体化施設整備に3000万円を計上した。旧4町へのこれらの事業は選挙前年とあって選挙対策と見られている。
 公民館費用とか、図書館費用、青年の家、考古博物館、民俗資料館などの管理運営業務の費用などがみな削り取られているなかで、リサイクルプラザの管理運営業務にかかる費用は前年の3億2700万円から1億3500万円増の4億6200万円になった。奥山工場やもろもろの“環境”絡みの委託料が2億円増の11億4500万円に増えたのも特徴。安倍代議士出身の神戸製鋼関連に手厚い配慮。そのほかにごみ処理施設の再編整備をおこなうとして2億5000万円も計上した。水族館の運営業務にかかる費用は6800万円増えて7億9700万円になった。
 企業立地促進のための費用は前年の8800万円から3億円へといっきに増えた。これは事業所などを設置する企業にたいするご褒美で設置奨励金や雇用奨励金を交付するための費用。
 人が住んでいない巌流島をライトアップするなどとして8700万円。下関海響マラソンを開催するための準備費用として2900万円も新規事業として出てきた。
 道路関係では、緊急地方道路整備事業として、前年比10億円増しの24億4000万円の予算がついた。
 みんなを驚かせたのは、廃案になっていた新博物館構想を復活させたことだ。どさくさに紛れて、基本計画を策定するための5300万円を計上した。今回予算に反映されたもの以外にも、今後は「下関駅にぎわいプロジェクト」という駅ビル利権も本格的に動き始めることが明らかになっている。そして新庁舎建設には200億円かけると想定しており、重要案件としてはあるかぽーと開発など、大型事業が目白押しとなっている。

 抑制される従来の経費 大型投資が財政圧迫
 大小さまざまな箱物が予算全体を圧迫する分、従来の経費が抑制された。
 市役所内では、昨年秋口に各課に予算10%カット(前年度比較)が厳命され、緊縮の予算編成と折衝を繰り返していた。それだけに「逆に1割増しの予算編成」が飛び出してきて、職員の多くも呆れ果てている。「カットした10%プラス、前年を上回った9%分の合計が箱物に注ぎ込まれた」「市長選前のばらまき予算」という意見もある。
 保健衛生にかかる総務費が前年度比で2億円減、社会福祉にかかる総務費が同6200万円減。中央病院、豊浦病院、豊田中央病院への病院事業会計補助金は約5000万円減少した。障害者福祉作業所運営業務がなくなった分の6000万円が浮いて、身体障害者福祉センターの管理運営の費用も約3000万円あったのから1000万円減少。生活保護費は6億5000万円削減して82億5580万円(うち国県の支出金が57億6000万円)となった。これは生活困窮者の保護をおこない、自立させるようにするための費用として計上していた扶助費を6億7000万円削減したことが大きい。
 教育の分野では、小学校の耐震補強や老朽化施設の改修など環境整備にあてられていた予算が前年より2億円近く減って、たったの約7500万円になった。波トタンをはり付けた学校や、耐震が心配される老朽校舎はそのままになる。また、小学校の学校管理費は約4000万円減、中学校は約5000万円減となった。小・中学校とも、教育振興費は微増となった。
 少子高齢化で、ますます増大しているはずの老人福祉などの扶助費や関連経費もほぼ横ばいに抑えている。比較する従来予算そのものが貧弱であり、教育にせよ、福祉分野にせよ、地元企業が受注する公共事業にせよ、市民活動とかかわった補助にせよ、似た状況がある。
 今回の予算案では、総務関係などの業務にかかる費用が軒並み削られているのも特徴だ。行政の現場では出張を断って経費を浮かせたり、「県庁以上向こうには行かない」「高速道路は片道だけ」とか、職員配置をギリギリの人数で回す、時間外手当をとらないなど、各課の裁量に任せられる部分をかなり削り込んでの対応にもなっている。備品購入などもケチケチ大作戦を展開。人件費を浮かせるため、各部局ごとに退職者の目標数値まで掲げられている。

 港湾会計でも大盤振舞 大部分が人工島関連
 一般会計の存在の陰に隠れて大盤振舞なのは、港湾会計(特別会計)。前年度5億1300万円アップの総額93億8300万円の予算を組んだ。金はないので、47億9500万円の市債発行でまなかう。使い道の大部分が人工島関連で、埋立護岸整備費として2億4000万円、ふ頭用地の造成に9億7000万円、上屋建設に11億円、荷役機械設置のために5億8300万円などをつけた。また、この事業にかかる国直轄事業費のうち、地元の港湾管理者としての負担金8億9500万円も計上。事業の推進業務にも3億9000万円がついた。岬之町の港湾機能が移転する以外に利用状況の拡大は見込めないのに、想定以上に巨額の資金をぶち込んでいる。
 当初、590億円と予想されていた第1期工事の総工費は、すでに想定をはるかに上回っており、上屋などその他も含めて700億円以上になっている。「第1期工事でほぼ頭打ち」「利用価値がなく“バブルの産物”」という声もある。「米軍か自衛隊にでも売り払うつもりではないか」「有事の軍事施設」という危惧(ぐ)が語られるなか、下関北バイパスや、武久新垢田西線(総工費32億円で市が建設)、高架橋・武久椋野線(総工費163億円、山口県が建設)などの連結道路が山ほどできた。

 市民生活は著しい衰退 この十年来で
 江島市長による財政破綻まっしぐらの食いつぶし政治はとどまるところを知らない。ここまでくると、精神的に異常ではないかと疑う声すら上がっている。借金である地方債残高は06年度末時点で1467億円に達し、増え続けている。税金は有無をいわさずとられるのに有用に使われず、利権とセットのふざけた箱物が、これでもかといわんばかりに飛び出してくることに、市民の怒りは募っている。
 肝心の市民生活は、この10年来で、各産業分野の衰退がすさまじい勢いで進行しており、市民の大多数を占める労働者の賃金・俸給額も約1割減少するなど、生活が貧困化している。生活保護世帯の割合が、全国と比較して群を抜いているのも下関の特徴だ。
 各産業の10年来の総生産額の推移を見てみると、農業が4割、漁業は5割も減少し鉱業も4割減、建設業2割減。卸売・小売業も大型店誘致によって、売上げが減ってやれない。製造業も派遣労働が浸透して、若者がろくに家族を持てない状況だ。
 安倍縁故企業や市外大手企業ばかりが潤うような箱物などいらず、市民生活を安定させる施策、産業の再生や、切り捨てられるばかりの教育や福祉分野に予算を充実させることが求められている。
 江島市長の4期目の任期も残すところあと1年。来年春に市長選が控えるなかでの、懲りない“箱物”行政である。市民の側としても「座して死ぬわけにはいかない、行動を」の声は一気に高まっている。「箱物をやめて市民に回せ」のスローガンで、署名や集会、デモなどあらゆる行動をやろうという声も上がっている。

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