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市民とは別世界の議員
下関・満珠荘条例廃止
              市議選前に10万署名侮辱    2010年12月2日付

 下関市議会が17日、12月定例会の最終本会議で老人休養ホーム・満珠荘の条例廃止を可決した。4年の歳月にわたって利用者である高齢者たちが、暑い日も寒い日も駅前やスーパー前など、市内各所で協力を呼びかけてきた署名は10万人近くに到達。老人福祉や市民生活切り捨ての象徴として、圧倒的市民からの支持を集めてきた。この重みを無視し、平気で踏みにじっていく議会と中尾市政の姿に、市民は驚きと同時に、「これが下関をつぶしている」という憤激が広がっている。市民はあきらめるどころか市民とは別世界にいる議員たちを来月の市議選で震え上がらせる結果にし、新市議会であくまで社会福祉としての満珠荘再開をやらせようという世論に火がついている。
 最終本会議には署名を取り組んできた高齢者など20人近くが傍聴に訪れた。早朝から市役所玄関前で抗議の署名活動をおこなった。昼過ぎまで他の予算議案で延びた本会議の終盤、アリバイ的な反対討論が二件あっただけで、起立多数で一瞬にして条例廃止を可決していく様子に、傍聴席で見守っていた市民の多くは驚きを隠せなかった。
 高齢婦人の一人は「初めて傍聴したが、あんなに一瞬で決められるものなのかと呆れた。議会の中で少少何かをいってもダメで、市民の運動でやらなければ変わるものではないことがよくわかった」と話していた。別の男性は「ビックリした。こうなったら次は市議選だ」と気持ちを語っていた。
 同日に社会福祉協議会に訪れていた高齢者たちは議会の様子を聞き、一様に「あきらめることはない。市議選で思い知らせよう。代弁者を送りこもう」「議員がおかしい。10万人をなんと思っているのか。総入れ替えしなければ」と話題にしていた。
 老人クラブ連合会の幹部の一人は「満珠荘の件について、老人クラブには何の相談もなかった。通常はみんなの意見を聞いて代弁するのが議員なのに、自分たちが決めたことを認めさせる機関になっている。議員が職業になっているのだ」と怒り心頭に発していた。
 市民世論は、議員が10万人もの署名をまったく意味ないものとして踏みにじるような市民とは別の世界の人種になっていることに憤激を強めている。「決められたのであきらめる」というのではなく、「こんな議員どもが下関をつぶしている」と逆に腹を立てて「選挙で鉄槌を加えなければ!」「厳重に審判を下そう」と大きく動きはじめた。

 「福田議員は英雄だ」 驚きの『市長通信』

 12月議会の過程では、文教厚生委員会が密室審議で条例廃止を決定した当日の朝、関政クラブの福田幸博議員が庁舎前で署名する高齢者に噛みつく一幕があった。「ルールを守れ。ここで署名をするな」と吠える顔写真がビラになり、横柄な市議集団の姿を象徴するものとして注目をあびた。
 ここで市の職員を驚かせたのは中尾市長の主張だった。福田議員が一般質問で吠えた翌14日朝、インターネットで職員にだけ「市長の意向」として読ませている『市長通信』(第399号)のなかで「満珠荘は来年度、素晴らしい施設に生まれ変わります。一部の市民団体が、なぜあれほど騒ぐのか理解できません。市役所前での正当な手続きをとらないで行われたであろう署名活動に、相手を指さして抗議する福田議員は英雄になりました。ビラに福田議員の写真が大きく掲載されています。反対署名を10万人集めたと言われますが、満珠荘に行ったことがない市民でも、“高齢者が多く使う施設です。市に早い再開を求めます”と言えば、ほとんどの市民は賛成するでしょう」などと記していた。
 「福田議員は英雄だ」は一般質問で吠えた翌朝の発言だが、いまショボンとしている福田議員と同類以上の人格であることをあらわしている。また福祉を営利に変え、料金を2、3倍に上げる違いを理解できないのは、市民を理解できないことを自慢しており、そして10万人が署名した現実があるのに、「10万人など意味がない」といって、自分は市民に選ばれた市長ではないという態度をあらわした。市議選前に、しかも中尾派議員が苦戦しているなかで、福田議員以上の突っ走りであることは間違いない。
 さらにその『市長通信』では「指定管理者もそうであるが、それ以外でも、民間にできることは民間に。市がいま仕事をしていても、民間にできることであれば、民間に回していくというのは、今後の方向である」と釘を刺していた。

 老人福祉切捨てに躍起 満珠荘潰しが突破口

 老人休養ホーム・満珠荘を老人福祉とは切り離し、料金を2倍から3倍にして民間企業が営利を追求する観光施設にしていく。公共施設を特定の私企業に委ねていく「アウトソーシング」の突破口に位置している。12月議会には82件もの指定管理者の選定議案(5年契約)が出てきて可決された。これほどの案件がいっせいに出てきたのは初めてのことだった。
 従来から公営施設管理公社にまかせていた施設のなかで、引き続き公社に業務が委託されたのは勤労青少年ホーム、勤労福祉会館、勤労者総合福祉センター、長府毛利邸、ふれあい健康ランド、長府庭園、長府体育館、市民プール、彦島体育館・庭球場。
 社会福祉協議会が管理運営するのが身体障害者福祉センター、きくがわ温泉華陽、菊川老人憩の家、豊浦老人福祉センター、和久生きがいデイサービスセンター、デイサービスセンター「ほのぼの」。
 その他、従来からの運営管理者を踏襲した施設として、商工業振興センター(商工会議所)、海響館(下関海洋科学アカデミー)、火の山ユースホステル(特定非営利活動法人青少年共青活動協会)、王喜農村センター(土地改良区)、下関市民会館(文化振興財団)、市立豊浦病院(済生会)、豊浦地域ケアセンター(済生会)。
 従来から自治会や老人クラブに委ねていた施設とは別に、今回から公募にして民間企業の参入を促した施設がある。吉見のフィッシングパークには東京都のハウスビルシステムが下関参入の足がかりとして登場し、指定管理者に選ばれた。国民宿舎海峡ビューしものせきの運営は管理公社が担っていたが、今回から満珠荘の運営企業になると噂されてきた「ユニコン」に切り替わった。深坂自然の森と、森の家下関の管理運営も東京の「太平ビルサービス」に委ねた。下関球場は「イチローを呼んでくれるかもしれない」といってスポーツメーカーの「ミズノ」が選定され、細江旅客上屋の管理は「株式会社オペロン」、リフレッシュパーク豊浦は「下関植木」といった企業が公共施設利権を獲得した。
 管理公社を廃止していく流れとセットで、公共施設を民間企業に切り売りしていく。細江町に完成した下関図書館・社会教育複合施設も広島市の「合人社」、市立大学も独立行政法人化で民間経営状態にしてしまい、市退職者が報酬1600万円を得ながら私物化してしまった。再来年から市立中央病院も独法化する計画になっている。
 今回、深坂自然の森の指定管理者ポストを狙って失敗したのが福田議員で、「我々を外した!」と怒っている始末。選挙利権も加わって、市民みんなの財産を特定企業や団体が奪い合いしていること、そこに情報通の議員などが加わって争奪に熱を上げている現実がある。県外企業が鵜の目鷹の目で利権を獲得し、非正規雇用化によって人件費を削り倒して儲ける手法が共通している。
 社会福祉や病院、大学、教育を切り捨てていく。この民間委託、市場原理路線をあくまで突っ走る中尾市政として、満珠荘の放り投げが譲れぬ位置にある。お金だけに換算すれば、満珠荘の老人休養ホームとしての運営は、200億円の新庁舎などに比べたら遙かに市財政の負担にはならない。金銭的な大小ではなく、老人福祉の切り離しに躍起になっている。
 中尾市長は市長選のなかで、5つの主要な公約のうちの1つに「老人休養ホームとして以前の経営形態で存続させる」と掲げていた。その後、ためらいなく公約を破棄し、「選挙は嘘をいってだましてやるものだ」という確信犯として市長のイスに座っている。詐欺師、ペテン師を恥じないばかりか、「(存続を要求する市民に吠えた)福田議員は英雄」などと主張する始末で、「ろくでもない奴だ」の批判が高まることとなった。
 公約違反政治は「チェンジ」を再チェンジしたオバマしかり、民主党・菅政府しかりであるが、下関の地で先行してやられてきた。そのチャンピオンが江島前市長であったが、バトンを引き継いだ中尾友昭が輪をかけている。

 役割分担し運動を潰す 公務の観念ない議員

 10万人署名を無視して突っ走る市政や議会の姿に市民はぶったまげているが、突っ走る側はそれが常識と思っている。そして30万市民のうち0・01%程度の38人、落選などによって絶滅寸前の少数派議会が「多数派」と思い込んで威張っている。そして選挙前に10万人をためらいなく冒涜するという果敢なる行動に出た。
 満珠荘存続運動を巡っては、そのような議会の姿が幾度にもわたって市民に暴露されてきた。紹介議員として登場した「日共」江原、社民・山下、自称市民派・松村の三議員が、紹介ではなく采配を振るって、自分たちの仲間に民間委託する方向へと誘導したり、「議会で多数派がとれないから無理だ」といってあきらめさせ、市役所前の行動や署名をやめるよう求めるなど、執拗な運動潰しをやった。
 条例廃止の採決で「日共」議員団は反対討論をして着席していたが、それが特有のイカサマであり、実際行動において先行して民間委託路線に導いたのが実績だった。さらに委員会採決をしたのが山下委員長、田辺副委員長率いる文教厚生委員会で、自称市民派のインチキな姿も露呈した。
 紹介議員が当局側からの意を持って運動をつぶす。これは満珠荘に限らず、角島保育園の存続を父母たちが求めた際にも、松村氏から鵜原、門出議員に紹介議員がチェンジして、林真一郎議員が請願内容を書き換えてつぶした前科がある。議会内の配置によって、あるかぽーと開発担当、新庁舎移転問題など、市民運動が盛り上がると「あれは○○議員の担当」といった調子で役割分担が決められ、最も盛り上がっている運動には「日共」市議団が近づいて市民を追い散らしたり、運動を潰すのが常態化している。
 ところが満珠荘運動ではそれが通用せず、「6万人でダメなら10万人を目指そう」と運動が発展し、議員の生態が暴露された。
 さらに、12月議会では文教厚生委員で公衆浴場組合の顧問でもある鵜原議員が民業圧迫論を展開し、条例廃止を後押しする場面もあった。風呂屋は12軒しかなく、三十数年にわたって満珠荘と共存して圧迫されたわけでもなく、閉館している期間にそれほど儲かったわけでもないのに、中尾市長の民業路線を議員が補佐し、浴場組合を招集して意見書を出す形で争わせた。
 福田議員は市役所前で署名をしないのがルールといって吠え、関谷議長は「福祉バスの問題も同じように大切です」とモニターを振り向け、文教厚生委員会の密室審議をルールだと言い張った。福祉バス問題を傍聴しに来ていた市民はおらず、10万人署名の満珠荘が最も注目されていることは関谷議長もよく知っていることだから、誰が何を言ったのか知られないようにするというルールを実行しただけである。関谷議長は四年間にわたって文教厚生委員として関わってきた。署名が提出されると「まかせて下さい。僕がみなさんの思いを実現しますから」と言っていたことが忘れられないと、利用者の会の人は言っていた。
 議員の常識は市民の非常識、主権者は有権者ではなく議員だと確信している。市民に対して常に見下し、横柄な者揃いになっている。市民を代表するとか公益・公務という観念がない。自分を代表するだけで、自分の自由な商売、自分が飯を食うための職業になっている。そのために金を握る執行部と一体になってその手伝いをする。有権者に選出された議員ではなく、政治ではなくなっている。

 議会に激震走る選挙に 市政の主人公は市民

 今度の選挙では、「ろくな議員がいない」が市民の合い言葉になっている。自治会はもちろん諸団体の役に立つ議員がおらず、企業代表というのも企業の役に立たないといわれている。
 農漁業をはじめ各種産業や経済活動の落ち込み、医療、教育、福祉、文化、政治にいたるまで崩壊著しいなか、下関ではまずは議会からの立て直しが急がれている。満珠荘10万人署名の蹂躙というところへきて、議会に激震が走るような選挙にしようという意気込みが大きく広がっている。
 市民のなかでは、「議会を牛耳るボス連中を震撼させる選挙にしたい」と語られている。ボスといえば、安倍派・関谷議長のほかに、副議長経験者として安倍派代表の議会仕切り屋といわれる公明・長議員、林派・門出、林真一郎、安倍派・福田の各議員がいる。市民を欺瞞する代表格として「日共」集団の近藤、江原、社民・山下、自称市民派の中尾派・松村、田辺などの議員が注目される。
 満珠荘問題は、条例の廃止を強行採決したから終わったのではない。市民世論全体は、福祉の回復を断固として求めている。満珠荘問題は、経済的には市庁舎建て替えなどと比べて大きな問題ではないが、政治的にはきわめて重要な役割を占めている。4年間10万人の署名となった大運動であり、社会福祉全体の切り捨てに反対する象徴であり、下関をつぶしてしまう政治に反対して、下関を立て直す市民要求の象徴となっている。
 そして、満珠荘運動が、江島市長を引きずりおろす先頭に立った運動になり、市民とは別世界の議会の異様な様を広範に暴露する運動になった。したがって政治的にはきわめて鋭い運動となった。その力は、江島市長以上にどはずれた中尾市長を破産に追い込まざるを得ないし、市議会を震撼させる力の結集へとなっていくことは疑いない。市政の主人公は市民である。


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