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市有地売却議案ついに廃案
下関・あるかぽーと計画
              市民の運動がまたも勝利    2007年1月19日付

 下関市の江島市政がすすめてきた、関門海峡沿いの市有地を6年まえの5分の1という二束三文の値段で売り飛ばすあるかぽーと商業開発計画は、白紙撤回を求める市民の世論と運動で、ついに廃案へと追いこまれた。江島市長は自分の選挙運動の会計担当をした人物の会社に市有地をたたき売り、大型商業施設誘致で地元商店をなぎ倒そうとしてきた。この出資メインは神戸製鋼で融資はみずほ銀行という、いずれも安倍晋三総理の縁故企業だった。6年にわたるこの問題は、安倍総理誕生で暴走を始めたが、商店主をはじめとする市民の力によってはね返された。下関では、11月の150億円もの文化会館建て替え事業で10億円も高い安倍実兄企業である三菱商事グループへの落札を取り消させたことにつづき、高まる市民の運動の力を証明するところとなった。
 臨時議会本会議が開かれる下関商工会議所前は、17日開会1時間前から、商店主や地元住民がぞくぞくと集まってきた。「守れ関門海峡」ののぼりや、「下関を第二の夕張にするな」の横断幕を掲げて、議員たちがくる10時前には約70人になった。あるかぽーと開発で突っ走ってきた建設委員会の門出委員長や、ボスの小浜議長があらわれると、「あるかぽーと開発の廃案を」「世界に誇る海峡を守れ」などと、ひときわ大きな声が飛んだ。
 多くの議員は、こわばっ       あるかぽーと売却議案廃案の要請行動をする市民(17日)
た表情で足早に通り過ぎていった。佐伯議員や兼田議員が市民に呼び止められて、「あるかぽーと開発にあなたは賛成か?」と問いつめられ、「反対です」と答える一幕もあった。市民が待ち続けていた江島市長は、市民がいる表玄関にはあらわれず、裏口からこっそり入り、みんなの笑いものになった。
 唐戸商店会の中尾弘明理事長は、「建設委員会で参考人招致となったが、合意書を撤回したことをのべる。反対で最後までがんばりたい」と力強くあいさつし、大きな拍手が起こった。下関商店街連合会の緒方聖雄会長は「江島市長は新議会になっても、再提案するといっている。世界に誇る海峡を守る会では、議員候補予定者に公開質問状を出すことにした。反対か賛成かどちらか、はっきりしてもらおう」とのべた。
 要請行動のしめくくりは「あるかぽーと反対でがんばろう」を三唱して散会した。商店主や市民のなかでは、「今回は流れるだろうが運動をゆるめてはいけない」「市民がこれだけ反対して、やるならリコールだ」と、たたかう熱気にあふれていた。
 建設委員会では、あるかぽーと用地売却議案について午後2時半、参考人招致が早早に切り上げられ、採決見送りが決まった。モニターで傍聴していた商店主や市民からは、「よしっ」「勝った」など、喜びを爆発させた。唐戸商店街にはすぐに結果が伝わり、商店会の関係者などが顔を上気させて報告に回った。

 口口に語る商店主市民が力あわせれば勝てる
 50代の店主は、「商店会の人がすぐに知らせてくれた。本当にうれしかった。これも市民の力が、1つになったからだ。私らは商店街ごとつぶされるわけにはいかないから行動した。市民の方方は、景観を大事にしないといけない、二束三文で売り飛ばしてはいけないと立ち上がった。市民が力を合わせれば、江島市長や議会であろうが、安倍首相であろうが、だめなことははね返せる」と、興奮冷めやらぬ様子で語った。
 年配の店主は、「こんなに気持ちがいいことはない。よくやった」と顔をほころばせた。「この1年間は、唐戸商店街も本当に苦しい思いをしてきた。商売に力を入れたくても、あるかぽーと開発がどうなるかわからないから、どうにもならなかった。はね返せたのは運動をささえてくれた市民みんなのおかげだ。ビラをつくるにしろ、集会を開くのにも力を合わせたからできた」と、感慨深げに語った。
 物販店の店主は、「商店がつぶれるから反対だけでは勝てなかった。全国どこでも大型商業施設が乱立している。市民の運動と結びついたから、ひっくり返せた」とふり返る。「僕らも市民のなかに、下関を夕張市のようにしてはいけないという思いがあることがわかった。これ以上の大きな商業施設より、子どもや老人の住みやすい街にしてほしい。何100億をかけて駅舎や市庁舎をつくっていると、借金だらけで市民     小浜議長に売却議案廃案を求める市民
サービスがなくなり、税金が払えないほど重くなる。市民1人1人が、どんな街をつくるかを考えさせられた」とのべる。
 お客さんや通行人から、「あるかぽーと計画が廃案になって、よかったですね」など、知らない人からにこにこ顔で声をかけられるという。「私ら商店会も朝市やお祭りなど、お客さんと一緒になってがんばらないといけない。今度は、市民のためにやる番だ。それと市議選がどうなるかが、大きいと思う」と、商店街のことだけでなく市民の運動をもっと強くしようと意気込みを高めている。
 ゴミ袋値下げの運動や新博物館の撤回署名に打ち込んできた婦人は、「私心がなければ怖いものはない。自分のためか市民のためかで、議会や江島市長はあたふたした。山口県は8人の総理を出してほまれというが、自分のためのチンピラみたいな政治をやって、何がほまれか」と満面に笑みをたたえて語った。
 「市議選がひかえていることだから、今まで推してきた議員にあるかぽーとや犬猫の安楽死施設など聞いてみようと友だちと話している」「遠くに就職した息子からも“お母さん、よくやったね”とメールが入ってきた。今からが勝負だ」と気をひきしめていた。

 市民が市政動かす 安倍総理地元でも 強行図るが頓挫
 あるかぽーと開発は2000年に審査委員会で、8グループから公募したというが、市役所内部だけで決めたおてもり。神戸製鋼所グループとして選定したが、それから5年以上は行き詰まっていた。04年には神鋼が社長から引き、連帯保証人を断るなど計画自体が破たんしていた。
 安倍首相が出身の神鋼は、00年に奥山工場ゴミ焼却炉(105億円)、01年にはリサイクルプラザ(60億円)と、土木建築の会社ではないのに、ピンハネ目的だけで大型公共事業に入り官製談合騒ぎを起こしていた。神鋼の連帯保証人辞退と入れ代わって、昨年ごろから表に出てきたのがみずほ銀行である。
 初期投資145億円のうち、みずほ銀行が7割以上を融資意向と表明をしたことから、あるかぽーと開発は息をつないだ。安倍氏の叔父・西村正雄氏(昨年8月に死亡)が会長をつとめたみずほホールディングスは、同行の持ち株会社であり安倍総理の縁故企業であった。
 藤井清崇社長は、江島市長の資金管理団体「江翔会」の会計責任者で、大きな負債を抱えて倒産した不動産会社・新日本勧業の専務であった。通常考えられない巨額融資の実態は、みなとまち開発が倒産しても、大口債権者としてみずほ銀行があるかぽーと用地を握る、跡地利権にほかならないと地元業界では語られてきた。
 あるかぽーと用地売却の動きは、安倍総理誕生を前後して暴走を始めた。昨年9月初旬には反対する地元自治会長に、市の顧問弁護士が開発会社の代理人となって脅迫文書を送りつけた。市民の反対集会に集まったのが200人と聞くと、イベント会社を雇い利害関係の土木業者や、サクラの学生をかき集めて、「500人の地元住民の賛成集会」と、偽った建設促進集会をやり、議会が色めき立つというインチキも始めた。
 江島市長は11月には「仮契約をしないから論議が起こっている」「反対があったからと中止するような、ローカルな事業ではない」と独断の仮契約をして、市議会12月定例会の用地売却議案提出で、一気の売り渡しをはかった。104人のマンモス市議会が2月の市議選で解散される直前に、かけこみで売却しようというものであった。
 これは市有地5400平方bを、下関みなとまち開発(藤井清崇社長)に格安の3億5000万円で売却するとして、ホテル用地として外資系を誘致するとし、6年まえに隣接する市立水族館への売却額と比べて、5分の1というデタラメなものだった。
 さらに隠していた売場面積偽装が表面化すると、下関商工会議所(林孝介会頭・サンデン交通)とのトップ交渉で、12月にみなとまち開発との間で強引に覚書をかわした。市民に嫌われても市長利権のおこぼれにあずかりたい引退組や、「下関のことはわからないから賛成する」という旧郡部の出稼ぎ議員がいる間に、強行採決を狙った。

 市政変革の世論沸騰 市民の意気込み更に強まる
 これに対して市民は、商店主や地元住民をはじめ、各界各層が力を合わせて、たたかってきた。ゴミ袋値下げ運動をしてきた下関市を良くする連絡協議会は、昨年7月にまとめた市民1万人アンケートで、45%が白紙撤回で63%が公園・緑地を求めていることを明らかにした。下関商店街連合会や南部町自治会をふくむ7団体が、世界に誇る海峡を守る会を発足させて、8月には白紙撤回の決議を上げた。
 地元の中央地区自治連合会は計画反対を通告し、昨年12月には地元の唐戸商店会が、旧執行部の幹部数人とみなとまち開発だけのインチキ合意を、臨時総会で合意破棄とした。市民世論は圧倒的に反対であることをはっきりさせ、市長と市議会だけが執着する姿を浮き彫りにしてきた。
 ゴミ袋値下げ署名から新博物館廃案、文化会館建設の三菱商事取り下げ、あるかぽーと開発の売却議案廃案まで、市民の運動は江島市長や安倍、林事務所を正面から暴露しながら強まってきた。
 この江島市政を立ち往生させた下関市民の世論と運動は、いくら国のトップの安倍総理地元であろうと、市民が力を合わせたら逆らうことはできないことを示した。江島市長は新議会になれば再提案すると強弁したり、JRの駅も総額300億円をかけ、市庁舎は200億円を注ぎ込むなどと、暴走をやめる気配はないが、市民の力を持ってすればどうにもならないものである。江島市長の飼い犬議会であろうと、市民の運動があれば、市政を動かすことができることを示した。さらに市民が強く結びついて、市民主導で市政を動かし、市議会に風穴を開けようという市民の意気込みは一段と強まっている。

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