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市民が生活できる市政を
下関・市民アンケートの書込
                 聞く耳ない市政に怒り      2006年6月23日付
 
 下関市内で市民アンケートが、3カ月間で約6000人分集められ、その結果が報告されている。市民の各層から、設問の回答だけではなく、熱心な書き込みがされた。それは生活できる雇用、地元企業のなぎ倒しではなく保護、保育料や教育費、介護料など社会保障の切り捨て、そして市の事業は市外業者ばかりで地元排除、地域経済は切り捨てて大型店ばかりを野放しに誘致し、資金はまったく市内に回らなくしていること、そして市民に聞く耳のない市政であることなど、深い憤りが書き込まれている。市民の要求はなにか、来年1月に予定される市議選を展望して整理してみた。
 
  家計預かる母親たちの苦悩反映
 下関市を良くする連絡協議会と有料指定ゴミ袋を値下げさせる会がおこなった市民アンケートは、5月末までの3カ月間で5911人分集められた。55の自治会がとりくんだほか、子ども会やサークル、病院や企業で集めたところもあった。商店街やスーパー前など街頭で合計23回おこなわれて多くの市民が協力した。各地17カ所の店内に回収箱が常設され、買い物客などが書き入れていた。戸別訪問により1枚1枚アンケートがおこなわれた地域もあり、発行した約1万枚のうち6割が回収された。
 回答者で男性は1107人、女性は3427人。職業別では主婦24%、会社員22%、パート・アルバイト13%の構成比だった。医療・介護の職場をささえる看護師や介護士が、組織的にアンケートを回したり、清涼飲料配達やスーパーの店員、清掃作業員の女性たちなど、無数の人人が動いていた。官公庁の職場や子ども会、スポーツサークルなどでも下部から草の根のように運動が広がった。3年前にゴミ袋問題で10万3000人の署名を集め、値下げを実現させた母親たちの市政刷新の行動力が、市民アンケートでも発揮されたことを示した。
 アンケートに書き込まれたコメントは、子どもや老いた親の世話など、家計を預かる母親たちの苦悩がつづられていた。市政に関心を持つ問題では、半分以上の3354人(57%)が、福祉についてもっとも関心があると答えた。国保料、介護保険料を下げて欲しいと答えた人は、4050人とほぼ7割におよんだ。
 2人家族の主婦は、「65歳になったばかりで、年金の振り込みはまだ無いのに(したがって無収入)、介護保険料の請求は来ました。しかも支払期限の半月前に、2カ月分の5820円です。期限の3月末を過ぎたら延滞金がいる。国や市は血も涙もないところとわかりました」と、つづった。80代の独居老婦人は、「ボロ屋で水道が破れているが、払えない、直せない、早く死にたい。正直、娘たちに迷惑をかけられんから。政府は金を使っているのか。どう生きていくか、布団のなかで死んだ方がましと思う」と、思いを切切と書き込んでいた。
 6月から介護保険料は値上げされ、市民にも請求が送りつけられて、家計に深刻な負担を与えている。81歳の無職老人は、「介護保険料はもう支払えない。国民年金7万円から4000円いくらは払えない。生活できん!」「保険料は高くなる一方なのに介護施設への入所は非常に難しい。これでは高額有料施設に入れない者にとって近い将来が非常に心配」とつづった。60代の主婦は、「介護保険の無駄づかいがないよう厳しく審査して欲しい。これ以上の保険料値上げがないように。少しでも意見が届きますよう、この会のご活動をお願いいたします」と書き込むなど、市民からぼう大な怒りが寄せられている。

 高齢者抱える家族深刻
 介護が必要な高齢者を抱えた家族の悩みも深刻である。会社員の40代女性は、「母子家庭ですが老老介護している両親の面倒が見られない。ケア付き有料老人ホームを市街地内につくってほしい」とつづり、親と同居する60代は「現在、心のストレス、介護の問題で悩んでいる」と書いた。5人家族の40代女性は、「高齢者になり病院へ行きたくても、金額の面でがまんして悪化させてしまう現状があるようですが、市民の負担を軽くして欲しい」とした。
 現役世代にとっても人ごとではない、さし迫った将来に対する不安として、受け止められている。自営業の50代女性は、「国保、介護保険料が高いので、年金で支払った後の生活が大変不安です。生活ができそうにもありません。何かよい方法がありませんか?」とし、60代の会社員は、「年金額が安すぎで1人生活が苦しい。働ける内は良いが、働けなくなったら怖い」とつづった。60代の女性は、「シルバーセンターにのみ登録させて、現実には働かせてもらえないなんてザンコク。年金だけでキュウキュウとした暮らし。少しでも元気なうちに働いて、生活の足しにしたいと思っているのに。何歳からはハタラクナという法律があるんですか。ジイさんバアさんの議員も随分といますね。居眠りしていたりしているが、報酬はすべてわれわれの税金です」と共通の怒りが浮き彫りとなっている。

 若者には職がない あってもパートや派遣
 市民のあいだではすさまじい勢いで働き口が失われ、各界各層で広範な怒りとなっている。30代の4人家族・主婦は、「工場などで派遣の斡旋が多いので、正社員にするよう市独自で条例をつくること」と書き、50代男性・会社員は「若者の就職先がなかなか無い。パートや派遣はあるが正社員がない。市長は箱物ばかりでなく活性化のために働くべき」と書き、小泉構造改革で地方がさびれたことに疑問を投げかけた。
 旧下関市の就業者数(15歳以上)は2000年の国勢調査では11万8806人で、95年調査と比べてマイナス7000人で下げ幅としては過去最大だったが、近年はそれ以上と見られる。水産業の低迷に加えて、構造改革の目玉の1つである流通再編により、就業者の大きな受け皿であった卸・仲卸が、五年間で約1600事業所もたたきつぶされた。製造業や水産加工も低迷がつづいているが、市当局としての振興策は1000万円規模しか組まれていない。
 さらに公共事業の地元発注をしぼったうえに、小泉首相の地元・横須賀市につづき2002年から、ダンピング競争政策を4年間にわたりつづけたことで、就業人口の12%を占める建設労働者の大多数が、食べるのもやっとの低賃金になった。50代男性の会社員は「市長は公共事業で北九州の会社を使い、下関の会社はたくさんつぶれ、高卒者の就職先がなくなっている」と怒りを書き込んだ。60代の自営業女性は、「仕事は地元の業者で。公共事業もたとえ下関の業者が少しくらい高くても、よそからきたのでは下関の活性化にはならないと思います」と、つづり、3人家族の40代パートは、「市内の工事関係の会社を使って欲しい。九州の工事業者を使うのは、市長としておかしいと思う」と怒りを書き込んだ。

 働けど教育費で消える
 市立の幼稚園や小・中学校の教育要求についても、経済問題は根底に横たわっている。20代の女性は、「働けどほとんどが保育料に消える。今は子どもが小さいので、教育に関心があるが、教育施設の老朽化などもっと子どもたちが通いやすい、かつ安全に過ごせるようにしてほしい。働きながら子どもを育てることは、本当に不便なことも多く、下関はあまり良い環境ではないような気がする」と書きこんだ。30代の女性は、「3人の子どもを私1人で育てているのに、少し所得がオーバーしたことにより、手当金がストップしてしまい、本当に苦しい生活をしている。どうにかしてほしい」とした。女性の会社員は、「パートです。本社員になりたくても子を安心して預かってもらえるところもない。5時までの勤務だと、ギリギリ6時のお迎えという話だ。延長が1番安心だと思う」とつづった。
 市民生活は厳しくなり、支払いだけは青天井で収入が追いつかず、共働きや夜遅くまで働いてやりくりしているのに、どだい市政や市議会に対応する構えがない。市民の声に耳を傾けようとしない。市民アンケートではあるかぽーと開発について、大型商業施設誘致に反対が圧倒して、市議会に意見を求めることになった。ところが市議会(104人)への公開質問状で、回答した議員は58人で、46人が無回答という結果だった。回答したなかでも見解をはぐらかす内容が多く、関門海峡の景観を損なうこと大型商業施設の誘致については、無記入が、25人(45%)にのぼり、「よい」8人(15%)、「よくない」22人(40%)を上回った。
 市民は何事においても、議員が代表としてたちふるまった姿を見たことがない。無回答46人のうち小浜議長をはじめ38人は、昨年5月の有料指定ゴミ袋を値下げさせる会がおこなった公開質問状にも答えていなかった。ゴミ袋や教育、福祉について、見解を求められたものだったが、なかでもたちが悪いのは毎度回答をしない小浜俊昭議長が率いる政友クと、最大会派の菊政会と市民クだった。
 市民に対しては「議員に質問するとは横着だ」と聞く耳を持たない一方で、小浜議長を先頭にして江島市長の顔色をうかがう飼い犬となっている様を示した。

 市議会に募る憤り 「痛み」押しつける先兵
 電子入札導入は市議会の提案に沿ったものだった。地元業者にダンピング競争をさせて、建設労働者は、代行タクシーや深夜労働など、副業に頼らざるを得ない低賃金にたたき落とされた。製造業やタクシー、トラック運転手など、全市の労働者が地位をいちじるしく低めた。大型店の出店ラッシュは止まらず、スーパーの小売店舗面積は7割前後の占有率までなり、商店街はゴーストタウンと化して、中小の商工業者は倒産があいつぎ、自殺者数は年間60人前後と10年間で倍加した。
 小・中学校の教育予算は、県下でもっともみすぼらしく、トイレが壊れたり、外壁が落ちかけても放置されたままで、子どもたちは、粗末に扱われている。トイレットペーパー代から用紙代まで、親から徴収している。下関市立大学も行政から予算が下りないことで全国1だし、図書館の蔵書数は少なく貧相なまま。市議会が市民世論を代弁せずに、市執行部に唯唯諾諾として従い、小泉改革のいうところの「痛み」を先兵となって押しつけてくる存在を浮き彫りにした。
 5月中旬に開かれた本会議では、細江町3丁目の社会教育複合施設計画について、賛成の圧倒多数で可決した。設計、建設、管理運営まで同じ大手企業に一括発注するもので、アドバイザリーとしたパシフィックコンサルタンツ(東京都多摩市)は、汚泥・し尿処理施設の基本計画策定で水増し設計やクボタ落札ありきの官製談合にからんだところ。この件は公正取引委員会が強制調査に入り、大阪地検がメーカー関係者を逮捕するなど大騒ぎとなったが、市長と市議会に悪びれる様子はまったく見られない。
 下関市民は破たんした第3セクターの日韓高速船でも、投資した26億円すべてについて、今年初めの最高裁判決で、市民負担とされた。元市長に対して約8億円の損害賠償が求められていたものだったが、最高裁では議会が同意していることをもって、公益性があったとして、首長責任は問えないとした。つまり汚泥・し尿処理施設においては、議決をとったから、市民に高い建設費を払わせて、地元業者は指名停止と課徴金、損害賠償を押しつければ、それで一件落着というもので、市長も議員も安泰なのである。いくら巨額な事業を破たんさせようが、大借金をかかえて市民に背任行為となろうが、市長と議会のあいだだけで手続きさえとれば、責任を問われずに好き放題に使いこみができる。

 用途不明の事業は熱心
 江島市長と市議会はこれに勢いづいたかのように、今年度からは大型公共事業の巨大プロジェクトを目白押しですすめようとしている。用途不明の沖合人工島には2006六年度は26億円注ぎこまれ、米艦寄港とあわせて不審がられている。三菱重工業の利権づくりで計画を組んだ水族館のペンギン槽改装は、総額20億円前後と見られる。小・中学校の校舎なら数棟分建てかえられる。JR西日本の駅舎改築には、調査だけで2カ年で1億2000万円の予算がつけられた。駅舎焼失にともない、建設に向けた決起大会が安倍官房長官、林芳正参院議員を招いて開かれた。彦島公民館実施設計に5000万円をつけ、新市庁舎の候補地選定に300万円かけ、200億円以上の巨大庁舎をつくる計画をすすめている。450億円の合併特例債を当てこんだもので、いずれ借金として市民が返さなければいけないもの。
 市民アンケートでは「下関市政は県政同様、国政に左右された形でのとりくみが強く、われわれ市民の声は非常に届きにくくなるなか、この会の代表者また関係者のみなさんに、まず持って感謝いたします。がんばってください」(60代、パート男性)、「市民の財産を江島さんや政商が、自分の財産のようにあつかっていることこそ問題。市民の財産を市民の手にとりもどそう」(60代男性)など、批判が数多く寄せられている。フィリピンのマルコス政府、もしくはシカゴのアル・カポネ親分もどきの暗黒政治に対して、怒りが広がっていることを示している。
 市民が妻子も養えないほどになっているのは、江島市政が真に富をつくり出す生産はうとんじており、公共的なものは投げ捨てていく一方で、市場原理のもうけ第1で投機やピンハネばかりをはびこらせてきたためである。ポスト小泉の安倍官房長官のお膝元として、小泉モデル市政がすすめられてきたことで、貧乏市民を大量につくり出す格差社会の先進地につき落とされた。だが食いつぶしにも限界がある。失うものはなくなった市民が、各界各層で力をあわせて思い知らそうと決起が始まっている。オール与党態勢の市議会が、在任特例切れが近づき解散となるのをまえにまず議員からやりかえようという論議が高まっている。

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