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広島・長崎・全国と固い絆
下関原爆被害者の会総会
                語り継ぐ運動の発展に確信      2006年5月29日付   

 下関原爆被害者の会(伊東秀夫会長)の平成18年度総会が28日午前10時から下関市の西部公民館で開催された。総会は被爆60年の節目となった昨年度の活動の到達を明確にし、今年度の方針を定めた。昨年来の長崎原爆展の成功と広島、長崎の被爆者の絆を強め、本当の声を広げるため貢献した活動、原爆と下関空襲展を通じた戦争体験を語り継ぐ運動の発展に確信あふれるものとなった。
   
 被爆者・被爆2世の実態調査も
 開会の挨拶に立った伊東会長は「6年まえ下関からはじまった“原爆と峠三吉の詩”原爆展が全国に広がり、長崎原爆展が大成功した。広島・長崎の2つの被爆地が本当の声を全国へ伝えることは、被爆者はもとより平和を愛し、戦争に反対する人人に大きな励ましを与えている」とのべた。さらに、原爆と下関空襲展について、「被爆者と空襲などの戦争体験者がともに語りあって運動の輪が広がった」ことを確認。原爆症認定集団訴訟の勝訴判決に対して国が控訴したことを批判し、原水爆禁止と平和運動を強化するとともに、「被爆者と二世の援護の活動を強める」ことを強調した。
 来賓として、下関市保健部次長・久保正昭、山口県被団協会長・竹田国康、原水爆禁止下関地区実行委員会・吉山宏の各氏が祝辞をのべた。
 竹田氏は、「憲法九条の改正で日本がふたたび戦争する国になろうとしており、アメリカはより使いやすい核兵器を開発している」と指摘。「原爆投下という人道に反する犯罪・実相、平和の尊さを語り伝えていくことが、被爆者の最大の使命であり義務である」と強調した。また、下関の会が山口県と全国の被爆者の運動を主導していることをたたえ、「山口県内でも原爆と下関空襲展を見習って、とりくみが進んでいる」ことを紹介した。
 吉山氏は、「労働者が中心になって、アメリカの原水爆使用の手足を縛る運動を発展させるために、アメリカに謝罪を求める署名運動を起こし、平和の力を大結集したい」と決意をのべた。
 つづいて、全国の被爆者からのメッセージが読み上げられた。「原爆と峠三吉の詩」原爆展を成功させる広島の会会長・重力敬三、原爆展を成功させる長崎の会・中村博、呉原爆被爆者友の会会・植田雅軌、武蔵野市原爆被爆者の会会長・永井淳一郎、岡山県原爆被爆者会評議員・岩浅久儀、沖縄県原爆被爆者協議会副理事長・比嘉幸子の6氏の連帯の感情こもるメッセージは、下関の会の活動への共感と熱い期待に貫かれ、全国の被爆者の運動の発展を示すものとなった。

 会員の活発な発言続く
 杉山真一事務局長が、昨年度の活動の経過報告と今年度の活動方針を提案した。
 報告は、被爆者・被爆二世の援護の充実をはかる活動とともに、「思想信条・政党政派をこえて、核兵器の廃絶と平和な未来のために被爆体験を語りつぐ使命で団結し、下関からはじめた原爆展を全国に広げ、被爆者運動、原水爆禁止運動の発展に寄与してきた」ことを確認。さらに、原爆と下関空襲展で被爆者と他の戦争体験者が力を合わせて原爆と戦争の体験を若い世代に語りつぐ運動を起こし、その後の川中・長府地区でのとりくみをつうじて市民各界の賛同者が500人になったことを明らかにした。
 また、原爆展や平和の旅で、また小学校に招かれるなど、被爆体験を語り伝える活動にのべ12人が参加したこと、子どもたちに向けた『被爆体験集』を発行し、旧市内の小・中学校に2000冊を寄贈したことが報告された。
 今年度の方針では、「1950年8月に峠三吉たちが始めたように、広島、長崎の被爆者がほんとうの怒りの声を世界に向かって上げることが原水爆禁止運動の原点」であり、この方面でのとりくみをさらに強めることを確認。同時に、下関における被爆者・被爆二世の実態調査をおこない、被爆者・被爆二世援護の充実をはかる運動を進めることを提起した。
 総会討議では、長崎原爆展の成功と被爆者交流、原爆と下関空襲展のとりくみ、学校に招かれて子どもたちにはじめて体験を語った感動を報告する発言があいついだ。
 長崎で被爆者と交流した婦人は、「長崎は祈りでなく、怒りの長崎であり被爆者であるかぎり共通した感情を持っていることがわかった。二度目の長崎市民原爆展も大成功し、長崎の県知事、市長からメッセージがあったことをうれしく思う」と語った。
 「原爆と下関空襲展」をとりくんだ婦人は、これまで、被爆者と空襲などの体験者が対立させられてきたことをのべ、「下関空襲の悲惨なことを知った。同じ戦争の犠牲者が手をとりあって、仲良く協力していきたい」と発言した。
 小学校で初めて体験を語った男性は、「誤った教育で竹やり訓練をさせられたことがくやしくてならない」「戦争反対をしなければならないとつくづく思った」と語り、婦人は心の葛藤(かっとう)をつうじて、体験を語ることができ、子どもたちから手紙をもらった喜びをあらわした。
 総会は「広島周辺を原水爆戦争の基地・標的とすることに反対する決議」を満場一致で採択。「被爆60周年で到達した運動の成果の上に立って、核兵器の廃絶、原水爆の禁止という悲願達成まで、今後も多くの人人と力を合わせて活動します」という総会宣言を採択した。
 総会後の懇親会では、下関の被爆者の体験に学び成長してきた青年たちがお礼の言葉をのべて「花を贈ろう」「青い空は」「赤とんぼ」を合唱。会場のあちこちから「がんばってね」と声がかけられた。

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