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下関も小児医療が危機
                小児3万5千人に医師9人     2006年4月19日付
 
 小泉政府の市場原理改革によって、小児科医師の不足は一段と深刻さを増している。全国各地の総合病院で小児科の廃止・縮小があいつぎ、小児救急体制が確立していた地域でも、体制維持が困難となり、社会の必要に応える「小児医療制度」の創設を要求する声が医療界から高まっている。「下関の小児救急体制も危機にある」といわれ、その実情を聞いた。

  小児科医療制度創設を要求
 下関の大手総合病院の小児科医A氏は臨床研修制度(2年間で各診療科を研修)を終えて、小児科を希望していた医学生が研修終了後に4割も減ったことを説明、大学医局も医師不足となり、病院に派遣することが困難になっていると語る。 市場原理による採算性一点ばりでは、大人1人に対し子ども10人を診療しなければならない。赤ちゃんから15歳までを対象とする医療は細やかな技術が必要であり、注射をするにも複数の看護師が必要である。だがこれは評価されない。また、子どもの病気は夜中でも対応がいる。
 小泉改革のもとで、小児科はきつく、不採算の“お荷物”のような位置におかれている。
 下関市の小児救急体制は、休日の小児科開業医による当番診療、夜間急病診療所での同開業医による診療、重症ケースに対応する体制を済生会下関総合病院、市立中央病院、関門医療センター(旧国立下関病院)の勤務医が支えている。ところが今年4月から、勤務医はさらに2人減り、9人となった。済生会が6人から5人に、関門医療センターが2人から1人、市立病院が3人である。
 下関の小児人口約3万5000人の救急医療を九人で支えるとなると、1人が月平均6回の当直勤務となる。また、勤務医の年齢や女医の場合は家事・育児が社会化されていない制約から、機械的に1人月6回とはならない実情。このため小児救急体制を継続的に維持することは困難であり、医師が疲弊し燃えつきてしまうと強い危惧(ぐ)が出ている。
 下関市小児科医会は当面の対策として、子どもの休日・夜間の急病では休日当番医と夜間急病診療所を利用することを市民に呼びかけ、必要な症状を総合病院小児科に送ることを徹底し、勤務医の負担をできるだけ軽くする方針を検討した。この方針を市民にアピールするためにポスターやチラシを作製し、市当局に啓発への協力を求めることにしている。
 総合病院小児科医師A氏は、市場原理では小児科も産科も成り立たないことを強調し、「子どもの出産、育成にかかわる医療を社会的に保障しないということは、日本民族の将来にかかわっている。こんな明解なことがなぜ政治家にはわからないのか」と指摘。「江島市長も小児科医を下関につれて来るために、懸命な努力をすべきだ」と語気を強めて語った。また小児科開業医B氏は「子どものための医療を社会的に保障するために、国の責任と負担で小児医療制度を創設すべきだと思っている」と強調した。

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