トップページへ戻る

生活関連予算削り大型箱物
下関市来年度予算案
            産業振興、雇用増はせず  2006年3月4日

 下関市の江島潔市長は、総額1140億円となる06年度の一般会計当初予算案を発表した。市民税が2割近くふえ介護保険料が上げられるなど、大衆課税が強められた。一方で第一次産業の農林水産業が大幅減で農山村切り捨てに拍車がかけられ、小・中学校は壊れたトイレや外壁の落ちた校舎は予算化されず放置されたままである。地方交付税が下りても使わせず、大型公共事業などハコモノ利権に注ぎこむ小泉モデル市政は、いっそう露骨になった。地元雇用をつくり賃金をふやす経済政策はなく、あるかぽーと開発の大型商業施設誘致など消費ばかりで、貧富の格差を広げる市場原理市政がより露骨になっている。

  市民には増税を強化
 歳入のうち市民税は前年度比で117%の151億円で、なけなしの市民のふところから22億円がよけいにとられる。確定申告の時期を迎え、年金受給者や非課税世帯から「税金が重くなった」と怒りが上がっている。小泉政府が税制をかえたためで、所得税の減税措置としていた定率減税、老年者控除、公的年金等控除の廃止・縮小が市民税アップのおもな財源とされた。
 所得税の課税対象は所得の8割だったが、9割に引き上げられた。これまで所得税のかからなかった公的年金等控除額は、140万円から120万円に引き下げた。従来なら年金収入が190万円までは非課税世帯であったものが、120万円以上で所得税がかかることになる。老年者控除は所得で50万円、市民税で48万円が廃止された。大衆増税ははじまったばかりで3年間の移行期間をへて、かりに今回2万円の増税だった人は、2年後には3倍の6万円までふえる。さらに課税世帯となったことで、介護保険料が上がる市民も多く、増税はばく大なものとなる。
 一方で法人市民税は45億円で伸びは28%となっているが、もともとが低く抑えられている。大企業を中心にリストラ「合理化」で内部留保を増大させているのに、小泉政府が税金四割カットの減税措置をとりつづけている。さらに江島市政は奥山工場焼却炉やリサイクルプラザのゴミ処理等として、神戸製鋼所に毎年10億円前後を注ぎこんだり、三菱重工に何十億円もの土木建築をさせるなどしてきた。下関市内に1万以上ある中小零細の商工業者とは比較にならない優遇をして、ダブルスタンダードの政策をとりつづけてきた。
 固定資産税は市勢を反映して、前年度比で94・7%の150億円と減少傾向である。三位一体の改革として国庫支出金がマイナス18億円(12%減)の129億円であり、県支出金はマイナス4億円(7%減)の54億円となった。財源確保のため基金を約18億円とり崩し、基金残高は200億円を割りこんだ。さらに市債発行は113億円にのぼり、借金である市債残高は前年より八億円多い1176億円。特別会計をあわせると2000億円をこえる。30万市民1人当り約80万円の借金である。中核市になり権限が移譲されたと喜んでいるのは市長や市議だけで、国や県からへらされたツケは、市民に回された形となった。

  教育費は5%削減 災害復旧費は62%減
 歳出のうち教育費は前年度比でマイナス7億6000万円(5%減)の141億円で、農林水産費は同マイナス3億4000万円(7%減)、衛生費が同マイナス11億4000万円(10%)と、住民生活にかかわる予算が大幅削減された。台風災害が多いにもかかわらず、もともと少ない災害復旧費は62%減でわずか2000万円とされた。米国育ちの江島市長は、ハリケーン被害が広がったニューオーリンズ市を手本にしたと見られる。すでに低所得と高所得の家庭の格差拡大や、大型商業施設による商店街のなぎ倒しなど、市場原理市政で市民生活はズタズタにされてきた。
 小・中学校の教育現場は、台風か戦災にあったような状態が放置されている。前年につづき中学校の施設整備費はなかった。小学校は大規模改造が1校、トイレ改造は1校など3億6000万円が予算化されたが、10年まえの10億円規模とはほど遠い。来年度にむけてトイレ改善要求が前年度より2以上の108カ所も上がり、排水が3日かかるトイレや10カ所以上のドア破損が報告されていた。学校の校舎262棟のうち、築後40年以上が50数棟で50年以上は13棟にのぼり、海砂を使っていた時代のものなど外壁はく離はあたりまえとなっている。
 総務省交付税課によると小・中学校には全国一律で1学級ごとに、地方交付税が67万1000円(今年度ベース)組み入れられてきた。下関市には80校、814学級あるから、約5億5000万円がおりていることになる。大規模改修工事には総事業費の六割ほどがさらに地方交付税としてつき、14億円の仕事はできるものだが、放蕩親父市政にピンハネされてきた。
 
  箱物に大盤振る舞い 生活破壊に拍車
 雇用対策もデタラメで、市民生活を深刻にするものである。農林水産業のうち農山村の衰退対策となる農業振興費はマイナス1億3000万円となり、水源確保や農道整備の農地費はマイナス2億2000万円で、のきなみ減額された。下関は水産業衰退とともに造船業や関連する業界がさびれてきたが、深刻なことは人口1人当りの家計所得は310万円(2001年)で、第一次産業以外はほとんどない町村水準の311万円すら下回る、哀れなところまで落ちていること。産業を育成することで賃金をふやすようなことは、まったくとらないどころか、逆の政策をとりつづけてきた。
 水産加工業は数千人の労働者が働いているが、来年度は技術開発と資金対策の融資に1400万円をつけただけ。下関市としては水産加工の振興策はないに等しいというものである。生活に密着したガケ工事や住宅施設の改修といった中小の公共事業は件数、金額ともに半減している。ダンピング入札に拍車をかけ、失業、半失業の奴隷労働が広がっており、就業人口の一割を占める建設労働者は、妻子も養えない賃金となっている。
 旧市内で1年間に生まれた赤ちゃんの数は、人口25万人(2003年調べ)のうちわずか1912人であった。出生率7・7人は全国平均8・8人をかなり下回っており、山口県の48市町村の平均8・1にも満たない。下関市の生活保護が人口1000人当りの保護人員が19・4人(2004年度)で、全国平均10人の2倍だった。この10年間でふえつづけており、世帯数でも過去3年間は3000世帯をこえている。下関市の就学援助の受給率は33・2%(2004年度)で、3人に1人の子どもが援助を受けており、全国平均の2・5倍となっている。
 教育費や農山村対策には地方交付税がついているが、子どもたちが開発途上国のような学校にかよわされているのは、学校教育などの目的以外にも使えるため。さらに小泉改革では国庫支出金をなくしたうえで、地方交付税の算定基準を人口と面積だけに簡略化して、わからなくしようとしている。子どもの教育費を食いつぶす放蕩三昧の江島市政を、次期総理候補といわれる安倍官房長官のもとで全国化しようというわけである。来年度予算でもゼネコンや大企業むけの大型公共事業計画が、てんこ盛りされている。
  海響館のペンギン水槽には、基本実施設計だけで7000万円の予算がつけられた。総事業費は20億円前後と見られており、ペンギン1匹当りに数千万円がかけられる計画となる。下関市から長門市までのJR山陰本線で走らせる観光列車をつくるため、6500万円を予算化している。前年度にひきつづきJR西日本の駅舎改築、新駅整備は、基礎調査として下関駅、梶栗駅、長府駅をやりかえるとして6200万円の予算がつけられた。基礎設計は2カ年で1億2000万円で、ジェイアール西日本コンサルタンツに委託しており、環境および動態調査をすすめているとされるが、建設から完成までにどのくらいかかるか見当もつかない事業である。山口銀行やJR西日本と3者共同で、プラン策定の合意をしており、下関駅舎の焼失でいっきに実現化させたいかまえ。
 そのほか彦島公民館実施設計に5000万円をつけ、文化会館を壊して建設する複合施設に1000万円、新市庁舎の候補地選定に300万円かけるとしている。超大型公共事業にむけて突っ走っているのである。市民が求めているのは働く場であり、まともに家族を養えるような生活環境である。税金をべらぼうに高くして、地元経済を衰退させる江島市政への怒りは、市民に嫌われているのに市長選で丸抱えしてむりやりとおした安倍官房長官もふくめて、各界各層の共通の怒りとなって広がっている。

トップページへ戻る